1.好きな人の香り
飼い主さんから愛されて育っている犬は、飼い主さんの香りが大好きです。犬は信頼できる人や好きな人と一緒にいると安心感や幸福感を感じますが、香りを嗅ぐだけでもその気持ちを感じることができるのです。
そのため、留守番中などに寂しくなると飼い主さんのベッドやいつも飼い主さんが座っているソファに乗ったり、飼い主さんの洋服やスリッパなどを自分のベッドに持ち込んだりすることがあります。これは、飼い主さんの香りが強くついたもののそばにいることで、安心して眠れるようになるためだと考えられています。
アメリカで行われた犬の脳神経に関する研究では、犬が飼い主さんの香りを嗅ぐとポジティブな感情を示すということがわかっています。飼い主さんの香りを嗅ぐことで、犬がうれしい気持ちになったり安心したりすると考えると、より一層愛おしい存在だと感じますよね。
2.肉類や甘い食べものの香り
食べることが好きな犬は、食べものの香りに強い反応を示します。食べもののなかでも、肉や魚、チーズといった動物性たんぱく質を多く含んだ食べものを好む犬は多く、それらの香りにも反応しやすい犬が多いとされています。
また、犬の味覚はそれほど敏感ではありませんが、塩味や酸味に比べて甘味を強く感じる傾向があるため、甘味のある食べものを好む犬は少なくありません。このことから、動物性たんぱく質を含む食べものと同様に、甘味のある香りに対して敏感に反応する犬も多く見られるのです。
3.有機物系の強い香り
犬は、人間からすると「くさい」「嫌なにおい」と感じるものを好むことがあります。具体的には、人の足や靴のにおいや他の動物の排泄物、雨上がりに干からびているミミズなど、人間は決して鼻を近づけたくないと思うようなものを喜んで嗅いでいます。
これは、犬が動物や植物などを構成する物質である「有機物」の香りを好むためだと考えられます。そのため、人間の汗や皮脂のにおい、生ごみの腐敗臭など強烈だと感じるようなものさえも好んでいるのです。
また、犬は敵から自分の身を守るための術として、カモフラージュになるように自然界にある香りを身にまとおうとすることがあります。
そのため、シャンプーしたばかりのときに、飼い主さんの洗濯物や靴の上で寝たり、土や芝生の上で体をこすりつけるように横になったりします。これは、シャンプーの人工的な香りを消して、自然な香りを身につけるためだと考えられています。
犬に嗅がせるべきではないにおいとは?
犬は嗅覚が敏感なので、刺激を感じるようなにおいや、人工的なにおいを苦手に感じる傾向があります。
家庭で嗅ぐ可能性のあるものとしては、煙草のけむりやアルコール、お酢やレモンのような酸味の強いもの、胡椒など香辛料、マニキュア、柔軟剤や芳香剤などが挙げられます。
人間にとってはいい香りに感じるものもありますが、犬にとっては刺激が強すぎたり、体に悪影響を与えたりすることもあるので、気をつけましょう。
まとめ
広く知られている通り、犬の嗅覚はとても優れています。香り成分を受ける鼻腔内の粘膜は人間の数十倍の広さがあり、香りを感じる嗅細胞も人間の40~50倍の数があります。
また、香りの詳細を脳に伝達する嗅神経も非常に発達しているので、香りを強く感じるだけでなく嗅ぎ分ける能力も高いのです。
そのため、私たち人間ではわからないほど微かな香りを嗅ぎ取ったり、その違いやそこに含まれている情報を理解することにも長けています。
香りの好みについては個体差はあるものの、この記事で紹介した「好きな香り」「苦手なにおい」の特徴は多くの犬に当てはまります。愛犬が心地良い環境で生活ができるように、日常生活でぜひ役立ててくださいね。