危機感の無い飼い主により体重が2倍以上に増えた肥満犬

危機感の無い飼い主により体重が2倍以上に増えた肥満犬

私たち人間と同じように、犬も肥満になると様々な病気のリスクが高くなります。ある文献では、犬全体の半数以上が「肥満」と報告されており、飼い主さんの食事管理が大きな原因の1つともいわれています。今回は、食事管理不足により、体重が2倍以上にも増えてしまったポメラニアンについてお話ししたいと思います。

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私は動物病院で働いており、家では猫を飼育しています。

最近では年々「犬の肥満」の割合が高くなっていると言われていて、全体の「1~3割が肥満」とも「半数以上が肥満」ともいわれています。実際に私が動物病院で働いていつ経験からしても、最近は特に肥満している犬が増えているように感じます。

残念なことにある調査では、『飼い主の9割程が、愛犬の肥満に気づいていない』ともいわれています。犬も肥満になると、人間と同じように心臓や関節などに負担がかかる等、病気のリスクを高めてしまいます。

今回は、2倍以上に体重が増えてしまったポメラニアンと、愛犬の肥満に全く気づかず危機感のない飼い主さんについてお話ししたいと思います。

ポメラニアンと飼い主のご夫婦

ポメラニアンの顔アップ

私が働いている動物病院に、ポメラニアンを飼っているご夫婦がいらっしゃいました。そのご夫婦は、ポメラニアンを子犬の頃から飼い始めていて、当初はまだ体が小さくとても可愛い様子でした。

飼い主のご夫婦は『犬を飼育するのは初めて』とのことでしたので、成長期の頃はバランスの良いフードをしっかり食べさせる必要があるため、くれぐれも栄養不足やカロリー不足にならないように、と説明をしました。

「そうなんですね!分かりました!」

ご夫婦共に人柄が良く、お話の受け答えもとても好印象だったため、それらの説明はきちんと理解してくれた、とその頃は思っていました。

ポメラニアンの成長期後は特に問題はなかったため、適した時期に予防目的として不妊手術をおこないました。

しかし不妊手術を受けさせることは、生殖器関連の病気の予防や繁殖防止などのメリットはありますが、その一方でホルモンの影響により代謝が低下して太りやすくなります。そのため、飼い主さんには、成長期の頃と違って今後は太らせないように気を付けて、食事を与えるように伝えました。

不妊手術後からの体重増加に危機感が全くない飼い主

ポメラニアン

しかしながら、不妊手術後からポメラニアンの体重はだんだんと増えていく一方で、来院するたびに体重が増えていました。元々3kgだった体重が、わずか半年ほどで5kgを越えていき、あまりにもの体重の増加に衝撃を受けました。

「いや~、欲しがるからついあげちゃって」

飼い主のご夫婦共に悪びれる様子がなく、説明したのにも関わらず食事管理が不十分であったことと、その危機感の薄さにショックを隠せずにいました。

私たち人間と同じように、犬も肥満になってしまうと心臓や関節に負担がかかってしまったり、糖尿病のリスクが高くなります。そしてその状態を放置してしまうと、体に様々な悪影響を及ぼし、健康、そして寿命に大きく関わってくることになります。

このままではますます体重が増加してしまう恐れがあったため、獣医師とともに、改めて肥満によって起こりうる病気のリスクを説明し、減量のために食事に十分に気をつけるように再度説明をしました。

「そうですか~、頑張ってみます…」

ご夫婦は口ではそう言ってはいたものの、本当に理解して実践してくれるのか、不安でしかありませんでした。が、結局は愛犬の健康は飼育者である飼い主さん次第。残念ながら病院側としては、次回来院した時には体重が減っていることを願うしかありませんでした。

ついには体重が2倍以上に!

ポメラニアン

しかしそのわずかな期待は、あっという間に裏切られる形となってしまいました。

数ヶ月後、ワクチン接種で来院した際に、ご夫婦のポメラニアンは一瞬見ただけでも分かるほど明らかに体型が丸くなっていました。 恐る恐る体重を計測してみたところ、なんと7kg越え!不妊手術前の体重の倍以上に増えていたのです。

「えぇ?!そんなに増えていたんですか?!一応気をつけてはいたんですけどね~」

ポメラニアンの体重増加は誰からみてもすぐ分かるレベルなのに、ご夫婦共に全く気づいていませんでした。

さらに悲しいことにポメラニアンの膝は、体重が倍以上に増えたことが原因で状態が悪くなっていました。犬種的にもポメラニアンは膝関節の病気になりやすく、このまま太ってしまうと関節が変形してしまったり、最悪の場合は靭帯が切れてしまう恐れがあります。

そのような状況でもあったため、必ず減量させるように、獣医師とともに改めて飼い主のご夫婦に説明しましたが、またしてもその表情は平然としていて危機感は感じられませんでした。今回も、きちんと理解されているのか不安しかありませんでした。

まとめ

ポメラニアン

今回は犬に多い「肥満」についてのお話をさせていただきました。

特に日本では小型犬の飼育が多く、かつ室内で飼われていることもあり、不妊手術後の肥満が多く目立ちます。その背景には飼い主さんの食事管理の問題があります。実際にどれくらいの量を愛犬に与えているか、飼い主さん自身がきちんと認識できていないケースが多いのです。

前述の通り、犬は不妊手術を受けることでホルモンの影響により太りやすくなるため、飼い主さんが食事量に気をつけなければいけません。肥満が原因で病気になったり、最悪命に関わってくることもあります。

愛犬がいつまでも健康で元気でいられるように、今一度全ての飼い主さんに日々愛犬に与えている食事について確認・見直しをしてほしいと思います。

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