私は以前、動物病院に動物看護師として勤めていました。
その頃に実際にあった安易に安楽死を求めて病院にやってくる飼い主さんのことについてお話ししたいと思います。
シベリアンハスキーを安楽死させてほしい
シベリアンハスキーを飼われている飼い主さんから、ある日病院に電話がきました。
という内容でした。
安楽死をするかどうかは実際に犬の状態を診察し、そのうえで話しを聞いてから決めることになり往診に行きました。
そのお家へ訪問すると、庭には普通に歩き回る元気なシベリアンハスキーがいて私達を出迎えてくれました。 飼い主さんは、その犬を安楽死して欲しいとのこと。
電話では寝たきりだと聞いていたので、どういうことなのか詳細を尋ねると…
と、とても辛い身振り手振りでそう話してきました。
と、先生は飼い主さんに話しますが…
と涙涙に語るのです。
そう話している間、シベリアンハスキーは何も知らないまま飼い主さんの元へ行き、尻尾を振り擦り寄っていました。「身体が大きいから」などを理由にするのであれば、大型犬を選ぶべきではありません。安楽死は犬の為に考えた末に止むを得ず選択するもののはずなのに、人間側の都合で軽い気持ちで安楽死を選んでいるように思えてなりませんでした。
結局そのシベリアンハスキーは動物病院へ連れて行き動物病院で飼うことになりました。その提案をしたときの飼い主さんの反応はとてもあっさりしたものでした。犬は事情が分からないので最初は寂しそうにしていましたが、病院での生活にすぐ慣れてくれて朝晩のお散歩もスタッフと元気に行っています。
同じお家で今度は猫の安楽死の依頼
シベリアンハスキーの安楽死を依頼をしてきた飼い主さんが、今度は同じお家で飼っている猫を連れて来院しました。
その猫は慢性の口内炎で痛みがあり、薬をきちんと続けていれば食事を摂れますが、飼い主さんが薬を真面目に続けない為にたびたび飲まない期間があり、状態が酷くなると病院へとやってきました。
口内炎を患っている以外は至って元気な猫でしたが飼い主さんは治療を続ける気はないようでした。
そんなやり取りをしていると、別の患者さんが急患で運ばれてきた為に先生が一度その場から離れました。
急患の患者さん優先のため安楽死を求める飼い主さんには待合室で少し待っててもらうよう診察室から出てもらいました。
すると待合室で待っている間、さっきまで泣いていた飼い主さんの態度は豹変し、ケロッとした様子で「今日の夕飯何にする〜?」などと動物のこととは全く関係ない話題でゲラゲラ笑いながらお喋りを始めました。
愛情持って飼っていた動物の安楽死を悩んだ末に出した決断だったならこんな風にケロッとした態度になれるでしょうか?
さっきまで安楽死して欲しいと涙涙に語っていたのは演技だったのか、前回のシベリアンハスキーの件もあったので、この飼い主さんはいかに安易に動物を飼い、命の大切さを感じていないことが見て取れました。
急患の診察を終えた先生に、その飼い主さんの待合室での態度を伝え話し合い、その猫も動物病院で引き取ることになりました。その時もとてもあっさりした様子で猫を名残惜しそうな素振りは一切ありませんでした。
先生から飼い主さんへは、「二度と動物を飼わないで下さい」と忠告がされました。
猫は今も動物病院で毎日元気に過ごしています。
動物を飼い始めるにあたってよく考えてもらいたいこと
動物は大切な命であり、最期まで大切に愛情を持って飼う責任があります。
今はペットショップから簡単に動物を飼うことが出来る時代です。
不幸な動物を増やさない為に、これから飼う予定の方は以下をきちんと考えてから飼って欲しいと思います。
- ショップ等で子犬の見た目に一目惚れせずに成犬時の大きさをイメージする。
- 病気や怪我をしてもきちんと治療をし、最期まで看取る覚悟はあるのか。
- 動物を飼うには食事やトリミング代、病院代などがかかりますが金銭的余裕はあるか。
- 犬種別になりやすい病気があるのでちゃんと調べて分かったうえで飼う。
- しつけを学び理解してから飼う。
- 孫や赤ちゃんなどの家族が生まれても変わらずに動物に手間と愛情をかけられるか。
- 家族全員の同意を得ていて最期まで飼える住宅環境が整っているか。
- 独り身や高齢者が動物を飼う場合は、人間側の問題で飼えなくなってしまった場合、犬をどうするのかきちんと考え代わりに飼ってくれる方を最初に見付けてから飼い始める。
- 家庭の家族に見合った犬種を選ぶ(毎日の運動量をたくさん必要な犬種や、大型犬等は高齢者には不向き)。
まとめ
安楽死はときには必要な選択です。それは病気や怪我等で治療をしても治る見込みがなく苦痛を経て亡くなるしかない症例に苦渋の決断で選択をするものであり、決して安易に人間側の都合で行うものではありません。死期が迫っていない安楽死は殺処分と変わりません。
動物をファッション感覚で買ってはいけません。
最期まできちんと愛情持って飼えると約束出来る方だけが飼って欲しいと思います。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
流行りや見た目だけではなく自分達に合う犬を終生飼育して欲しいものです。
安易に安楽死やセンターへ持ち込む飼い主に対しての罰則があればと思います。
50代以上 女性 匿名
大型犬でしたが今なら体力的に何とかなると思いましたし、旦那さんがとても喜んでいました。家族になりとても愛しい存在です。
高齢になり病院に行く機会も増えました。それなりの覚悟はありましたが、もしも手の施しようもない病気や怪我で苦しむ我が子を診る事しか出来ない毎日を過ごしたとしても、安楽死は避けたいです。何をしても後悔が残る気はしますが、安楽死は究極の選択です。
家族として迎える心構えは大切ですが、その時にならないと分からない事ってあるのは確かです。安らかな最後を迎える事が出来たら幸せなのですが、こればかりは選べません。安楽死を選んだご家族の心中をお察しします。
簡単に安楽死を望む人がいるのには驚きました。懐いていたようですが、それまでどんな風に接していたのか怖いです。しかも猫まで。いい動物病院に引きとられて幸せです。2度と動物を飼わないようにと釘をさした先生の言葉を、重く受け止めるような人ではなさそうですが、新しい犠牲者が生まれない安心感はあります。
女性 Ludy
君に会えてよかった。
君が我が家に来てくれてありがとう。
君のくれる笑顔に感謝します。
最初は誰でもそうやってワンコを迎えるはず、いつまでも一緒に居たいと!
なのに心変わり、きっと思い通りにならない煩わしさ、こんなはずじゃなかったって。
ワンコも感情はあると思う、喜怒哀楽を共にしぶつかりあうことだってあります。
一方的に相手を責めないで、自分も変わる必要を感じてほしい。きっとワンコだって貴方に合わせようと頑張っているはず。
それができない人は動物と暮らさないでほしいですね。
我が家のトイプーは男の子ですけど、服は私の好み、嫌がらずに着てくれますよ。
20代 女性 匿名
私は愛犬を看取れたことに本当に感謝しました。最後のひと時を一緒に過ごせることがどれだけ難しいことか。
病気で回復が見込めず、やむなく安楽死を選択されるのは辛いながらも愛犬を思ってこその決断であるべきです。
一日でも長く一緒に過ごすことを望まない人がいる事に驚きます。望んだって叶わない事だってあるというのに。
こういう人には動物を飼わないでいただきたいです。
ご自身が歳をとって思うように動けなくなった時、同じ扱いを受ける覚悟なのでしょうか?
50代以上 女性 匿名