飼育不十分で正しい食事管理をされず、過度な肥満になってしまったトイプードル

飼育不十分で正しい食事管理をされず、過度な肥満になってしまったトイプードル

動物看護師として、これまでたくさんの犬と飼い主さんに出会ってきました。犬を飼育する上で、飼い主としてきちんと行わなければいけないお世話がたくさんあります。きちんとお世話をしている飼い主さんもいる一方、ずさんな飼育方法により愛犬を辛い思いをさせているケースも少なくありません。今回は、実際に愛犬のお世話をないがしろにして、愛犬に苦しい思いをさせていることに気づいていない飼い主さんについてのお話です。

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私は動物看護師として動物病院に働いています。

毎日たくさんの動物達が飼い主さんとともに来院してきますが、ご家庭によって実情は様々。愛犬を適切に飼育している飼い主さんもいらっしゃれば、ずさんな飼育で愛犬を病気にさせたり、最悪命を落とすケースも少なくありません。

犬は自分だけで生きていけないため、結局は飼育環境やその運命も全て飼い主さん次第になってしまうのです。

今回は、生活に困っている人を助ける傍ら、飼育不十分さが原因で不衛生で肥満になった愛犬のお話です。

人助けはできても愛犬はないがしろにする飼い主

見つめるトイプードル

私が働いている動物病院通っている方の中に、トイプードルのミックス犬を飼っている飼い主さんがいらっしゃいます。

その飼い主さんは自称『生活に困っている人を手助けする活動』をしている、という方でした。困っている人を助けることはとても良いことだと思いますが、ご自身の愛犬に対しての飼育内容の不十分さが目につき、以前から気になっていました。

住んでいる地域や生活環境などにもよりますが、犬には感染症から守る混合ワクチンと狂犬病ワクチン、その他にもフィラリア症やノミ、マダニ予防が毎シーズン必要です。しかしトイプードルのミックス犬を飼っているその飼い主さんは、驚くべきことにこれらの予防対策をほとんど受けさせていませんでした。

「はいはい、この次やるから」

もちろん獣医師とともにその必要性については説明していますが、相槌はするものの軽くあしらわれてしまいます。

「私は生活に困っている人を助ける活動をしてて、色々と忙しくてね」

次回受けると言いながらも、結局は忙しいなどと言い訳を言って誤魔化してきます。飼い主さんの忙しさは理解できますが、同じように多忙でも毎年しっかりと予防してくれている飼い主さんもいらっしゃるのは事実です。

実際、犬の感染症の中には私たち人間にも感染するものもあり、感染症対策は飼い主としてのマナーでもあります。その理解力のなさや、愛犬に対する飼育不十分さは、正直我々には理解できませんでした。

愛犬はトリミングもされず不衛生な状態に

トイプードル

このミックス犬はトイプードルの遺伝があり、その毛質から適度なトリミングをおこなう必要があります。しかし毛は伸びてボサボサ、爪も床にカチカチと鳴るくらい伸びた状態でいつも来院してきます。

「いやあ〜忙しくてなかなかトリミングに連れて行けなくてね」

予防関連だけではなく、定期的なお手入れに対しても忙しいと理由をつけて放置気味。日々どのように愛犬のお世話をしているのか疑わしく、ミックス犬のその姿をみるたびに悲しい気持ちになりました。

またお手入れを怠ったことが原因で外耳炎を発症させてしまい、しかもかなり悪化した状態で来院してきたことも。

「ここ最近、耳を痒がってね〜。しかもなんか臭いんだわ」

半笑いして言う飼い主さんの態度に、愕然とした気持ちになりました。

外耳炎が悪化してしまうと耳の奥の内耳まで炎症が及び、斜頸が眼振といった神経症状を引き起こす恐れがあります。

また重度の外耳炎になってしまうと、治るまで長い時間がかかったり、定期的な耳掃除も必要にもなります。その危機感や理解力のなさ、そして激しい耳の痒みで愛犬に辛い思いをさせていることに全く気づいていない飼い主さんにまたしても憤りを感じました。

食事管理もできず過度な肥満に

診察中のトイプードル

ある日、下痢と嘔吐の症状でそのトイプードルのミックス犬が再び来院してきました。しかも半年前に来院した時から体重が7kgから12kgへと増えており、かなり太っていました。

「そんなに太っちゃったの〜?ごはん全然増やしてもいないんだけど」

多少の体重変動はホルモンバランスや年齢などよって変わってきますが、ここまで体重が増えてしまった原因には日々の食生活が大いに考えられます。誰がみても明らかに肥満体型に気づくはずなのに、全く気づかない飼い主さんに私はショックを受けました。

「好き嫌いが激しいから、そういえば最近はコンビニのウェットフードをあげているわ」

このまま体重が増えてしまうと関節や心臓に負担がかかったり、糖尿病などの病気のリスクを高めてしまいます。またコロコロと好き放題に食事を変えたりしてしまうと、愛犬の食べ好みが激しくなったり、どれくらいカロリーを摂取しているか管理が難しくなってしまいます。

どのみち減量させる必要があるため、獣医師とともに食事指導をおこない、必ず体重を減らすように伝えました。しかし毎回言い訳を言って誤魔化されるため、飼い主さんの心にちゃんと響いているのかどうか不安な気持ちがありました。結局は飼い主さん次第のため、病院側としては、次回来院した時には食事改善とともに体重が減量していることを期待するしかできませんでした。

まとめ

命令を待つトイプードル

今回は、飼育不十分により正しい食事管理ができずに愛犬を肥満にさせてしまった飼い主さんのお話を紹介させていただきました。

今まで動物看護師として働いている中で、今回のようにずさんな飼育により肥満になったり、病気になったりするケースはかなり多いと感じます。犬の寿命が伸び、愛犬と過ごす時間が増えて可愛がることは良いですが、それが歪んだ愛情ならば返って愛犬に辛い思いをさせてしまうことになるのです。場合にもよりますが「愛犬が喜んでいる=良いこと」とは限りません。

また犬種や体質によっては定期的にシャンプーやカットさせる必要があり、怠ってしまうと毛玉ができてしまったり皮膚炎の原因にもなります。また、しつけも、犬とともに生きる上で欠かせませんがそれだけではありません。

予防関連や日々の食事、トリミング、そして清潔でストレスがない生活環境を整えるなど、犬と暮らす上で飼い主としてやらなければいけないことがたくさんあります。

今回の記事をきっかけに、愛犬との生活を今一度見直していただければ嬉しいです。

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