この状態まで手を打たなかった人の罪
通報・発見
ギリシャ・クレタ島ののどかな冬の田舎道を歩いて行くと、道端の草むらから犬が起き上がりました。この犬を見かけた人が水と食べ物をあげて、タキス・シェルターに保護依頼の連絡をしたのです。
やせ細ってノミだらけ、皮膚病も広がり始めていますが、しっかりと人の目を見る、意志の強さを感じる子。弱った犬を飼い主が捨てたのでしょう。犬は静かに座って、頭をなでる手を受け入れてくれました。
保護
犬をつないでいたヒモを細い木からはずすと犬はやっと立ち上がり、大量に水を飲み始めました。腎臓が弱っているのかもしれません。体は見ての通り、ボサボサの体毛の下に皮下脂肪も筋肉もなく、骨と皮です。
おとなしいのでタキスさんは体のあちこちを触って確かめ、おなかにも手をまわしました。すると犬はさっと振り返って「ワン!」とひと声。タキスさん、「咬まれそうでしたよ。」と言いますが、咬む前の警告という感じですね。まあ、水を飲んでいる最中に唐突におなかを触られたら、いやですね。それにしても、まだ飲んている!これだけやせ細ってしまって消化もうまくできず、ひたすらのどが渇くのでしょうか。
ずっと飲み続けていそうな勢いの犬。ヒモを引いて、「ほら行こうよ。」と声をかけると、少し前進しましたが、すぐに座り込んでしまいました。ここで「生き分かれた」飼い主を待ちたいのかもしれません。捨てたんだよ、その人は君を…。
体のあちこちがかゆそうですが、少しシッポも振って、ごきげんは悪くなさそうです。「老犬のように見えますが、(歯を見ると)3歳ぐらいですよ。」
アシスタントの職員が車から運んできたケージに、ほぼみずから入ってくれました。かつてケージに入った記憶があるのか、昔の犬小屋に似ていたのかわかりませんが、何か思い出すものがあったようです。
シェルターに到着
数百頭の犬がエリアに分かれて暮らすタキス・シェルターに到着しました。ケージから出てきた犬は、さっそくヨチヨチと歩いて、新しい場所を確認します。お隣の犬が吠えてもあまり気にする様子はなし。
体力が戻ってきたら、きっとうまく溶け込めるでしょう。
よい兆候!柔らかい缶詰のドッグフードを食べ始めました。まだ食べられるなら、回復への道が開けます。
シェルターに到着した時の様子はこちら
シェルターの夜
食欲は完全復活するまでの道のりはまだ遠いよう。夜にはもう少し食べさせたかったけれど、これ以上は「いらない。」と拒否されました。少しずつ回復しようね。
「僕が食べる!」と乱入した子猫を不思議そうに見守ります。
健康状態と、その後
血液検査の結果、心配した腎臓は問題ありませんでした。でも皮膚リーシュマニア症という皮膚病を抱え、赤血球が減少して貧血の疑いがあります。これからの治療に期待です。
タキスさんが健康状態の説明をしていると、さきほどの子猫が再び乱入!ちょっと元気のない新しい仲間に興味しんしんの様子です。でも皮膚病が感染するといけないからね、子猫はわしづかみで引き離されました。笑
さらにその翌日の様子も別動画に収められています。変化、見えますよ!どうぞ最後の動画までご覧ください。ちなみに、やっとこの子の名前が判明。「クーパー」です!
動画を見ることは保護支援にもつながります!
※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。
掲載YouTubeチャンネル:Takis Shelter