全国にたった74頭しかいない「介助犬」とは?
介助犬のおかれた現状
介助犬の誕生は1970年代後半のアメリカ、障害を持つ人たちと犬たちとの関係を考えようという試みから介助犬の歴史は始まったといわれています。
日本では1992年にアメリカで訓練された犬を日本に持ち込み、人間と共に生活をはじめたのが最初です。
介助犬がそばにいることによって、家族やヘルパーさんたちの手を借りることなく日頃の生活活動を営むことができる障害者の方々はたくさんいます。
特に手足に不自由を抱えた方々にとっての介助犬は、なくてはならない存在ともいえるでしょう。
ですが介助犬はその訓練の難しさからか全国に74頭しか存在していません。
多くの人が介助犬を必要としているにも関わらず、残念なことに絶対的にその数が足らないのが現状です。
また介助犬への社会的認知度、理解度はまだまだ高いとは言えず、2003年に「身体障害者補助犬法」が完全施行され公共施設への介助犬同伴の受け入れが義務化されているにも関わらず、受け入れ拒否をする施設が後を絶たないのが現状です。
さらには一般店舗への入店に関しても、他の客の犬アレルギーなどを理由に入店拒否する店舗が多く、まだ様々な議論がされている段階であるといえるでしょう。
介助犬の育成に関する取り組み
介助犬を育成することはとても難しく、一人前になるには2年もの時間を要するといわれています。
日本介助犬協会所有の繁殖犬から生まれた仔犬はしばらくの間、母乳で育ち健康な身体を培いながら、母犬や兄弟姉妹たちと暮らしながら犬の社会化を学びます。
その後ボランティアによるパピーホームに預けられた仔犬たちは、預けられた家で人と暮らすことを覚え、愛情をたっぷりと注いでもらいながら人との生活と習慣を身につけていきます。(※繁殖犬は交配・出産時以外は、ボランティアの家庭でのんびりと通常の暮らしをしています。)
そして仔犬が1歳になる頃に協会に入所、犬ごとの性格や適性を見ながら約1~2年ほどの時間をかけて基本訓練や介助作業訓練、パブリック訓練を行います。
また訓練していく中で、介助犬の適性がないと判断された犬については、一般の家庭にペットとして譲られます。(※引き取る際には一定の条件があります。)
介助犬の仕事とは、例えばただ人の代わりにものを拾ったり、またそれを渡したりするだけではなく、それをどのようにして渡したら対象者の身体の負担にならずに済むか?というような部分まで考えて訓練することが必要とされます。
そして特に難しいとされているのが、ひたすらジッとすること。
オモチャなどの気をひきやすいものはもちろん、食べ物などの誘惑に負けずひたすら無視し続けることができるようになることが必須条件となってきます。
介助犬は、その使用者の指示があるまで我慢し続けなければいけません。
使用者と共に飲食店に入店する機会もあるため、そのような誘惑にも打ち勝つ必要があるのです。
介助犬の育成は社会福祉法人・日本介助犬協会によって行われており、訓練に関しては専門の訓練士が日々訓練を行ってはいますが、その経過においては数多くのボランティアの方々の手を借りて育成が成されています。
つまり介助犬とは、介助犬に対して深く理解してくれる方々みなさんの手によって育成されているといえるでしょう。
まとめ
もしあなたが、何らかの形で介助犬の育成を手助けしたい!と思ったら。。。
日本介助犬協会のホームページにアクセスすると、たくさんの支援項目が出てきます。
直接の寄付から募金箱・自動販売機の設置、または先述のパピーホームや介助犬総合訓練センターでの様々な業務(犬舎作業、施設内や車の清掃、イベントや募金活動でのお手伝いなど)、PR犬の預かりボランティアなどなど...グッズの販売や書き損じハガキや切手、洗濯用洗剤の寄付募集というものもあります。
犬を飼っている方でしたらもちろん、これから飼おうと考えている方、飼ってはいないけど介助犬に理解のある方でしたら、すぐにでも支援できそうな項目が幾つか挙げられていますし、その他介助犬訓練センターの見学会なども行われています。
ご興味を持たれた方はぜひ一度、日本介助犬協会のホームページを参照してみてくださいね。