坂上忍×くっきー!奇跡のコラボ絵本
『坂上忍、家を建てる。』や『坂上どうぶつ王国』などのメディアや自身のブログで動物への大きく深い愛情を見せるなど、大の動物好きとして知られる坂上忍さん。
そんな坂上さんが現在のように愛犬のための家を建て、保護犬たちを迎え入れるようになったきっかけ、原点ともいえるイタリアン・グレーハウンド『リク』との物語が綴られた一冊が、2020年4月17日に株式会社インプレスより出版されました。
イラストはお笑い芸人・クリエイターとして多彩に活躍するくっきー!(野性爆弾)さんが担当。独特で温かみのある鮮やかなイラストが物語を彩ります。また、特典として渡辺満里奈さんの読み聞かせ音声も。渡辺さんの大きく優しく包み込むような読み聞かせは、小さなお子様はもちろん普段読み聞かせをしてもらう機会がなくなってしまった大人にもおすすめです。
『リクはよわくない』あらすじ
坂上家の五男『宝田リクゼン』通称『リク』の短くも温かい、力強く生き抜いた生涯を綴るストーリー。
登場人物
- イタリアングレーハウンド『リク』
- 幼稚園に通う5才の少年『ぼく』
- 長男のチワワ『ツトム』
- 次男のミニチュアダックスフンド『ヨースケ』
- フレンチブルドッグの三男『マルちゃん』
- パグの四男『パグゾウ』
虹の橋のふもとへ旅立ったリク
物語は、リクが虹の橋のふもとへ旅立つのを見送るシーンからはじまります。そして『ぼく』はすこし冷たくなったリクを抱きしめながら、たのしくて苦しかった日々を思い返すのです。
お父さんが連れ帰った病弱なイタリアン・グレーハウンド。「このこの病気をなおそう」お父さんにそう声を掛けられたぼくは、「このこはよわくない」「このこならがんばれる」そう信じていました。
ぼくは、ブルブルと震えて散歩さえまともにできなかったリクを『リクがんばれ!だいじょうぶ!』『リクはよわくない!』と励まし続けました。
少しずつ元気を取り戻していったリクは、愛犬兄弟と共にぼくを玄関まで出迎えたり、海へ旅行に出かけたりとすっかり家族の一員になりました。
しかし、日に日に少しずつ…元気を失っていったリクは、とうとう入院することになってしまうのです。「リクはよわくない」「ぼくがいればだいじょうぶ」そう思っていたぼくに無情にも訪れたのは…あまりに早すぎるリクとの別れでした。
『リクはよわくない』見どころと感想
抱っこしてしばらくして息を引き取って……。だから死に目にはあえたんですけど、後悔ばっかりですよ…。やっぱりね、申し訳なくて…。
『リクはよわくない』発売日の4月17日、MCを務める坂上どうぶつ王国でそう涙ながらにリクとの別れを語る坂上さんを見てひどく胸を締め付けられた時のことはまだ記憶に新しく、絵本のなかで待つ「リクとの別れ」に再び胸を締め付けられそうになりながら、1ページ目を開きました。
『リクはよわくない』と叫びたい
『リクはよわくない』タイトルにもなっているこの言葉は、リクを励ます言葉としてはもちろん、坂上さん自身がそう思いたかった、そう信じたかった…願いが込められた言葉でもあるのかもしれない。読み進めていくうちに、こちらまで「リクはよわくない!よわくない!」そう声に出して叫びたくなるような感情が込み上げてきました。
愛犬との別れは必ず訪れる。頭では分かっていてもそう受け入れられないのが現実であり、それらの複雑な感情は愛犬家ならば痛いほど理解できるもの。愛犬との別れを題材にした絵本はこの世にたくさん溢れているけれど『リクはよわくない』が教えてくれたのは、今まで感じたことのない新しい感情でした。
ぼくが選んだ未来
それは「失ったからこそ、得た優しさと愛」。
どれだけ願っても信じても叶わない、あっという間に奪われてしまったリクの命。『ぼく』は、その計り知れない悲しみを乗り越え、「おおきないぬ、ちいさないぬ、げんきないぬ、びょうきのいぬ」たくさんの愛犬たちと、そしてリクの思い出と共に生きることを選びました。
「こんなに辛いなら、もう二度と犬と暮らしたくない」「病気を持つ犬を引き取るなんて自分には無理だったんだ」そう思ってしまってもおかしくはないのに。
自分だったら困っているわんちゃんを幸せにできるとか、どんな子でもしつけられるとかではなく、犬の命を軽くみているとかでもなくて…。また失敗しちゃうかもしれないけど、いろいろ勉強もさせてもらったから、変なところに行くんだったらうちに来てくれていいんだよって。
坂上さんは坂上どうぶつ王国でリクとの出会いがあったからこそ、愛犬たちのための家を建て行き場のない犬や猫たちを引き取っていると説明されていました。
作中に登場するお父さんのセリフに「リクは いのちのよころびと こわさをおしえてくれたね」というものがあります。「こわさ」という表現はまさに言い得て妙、核心を突かれたような気持ちになりました。
この「よろこびとこわさ」は、まさに坂上さんがこの絵本を通じて伝えたかったことだったのではないかと、筆者は(勝手に)感銘を受けたのです。
命が繋がれていくということ
リクが教えてくれた命の儚さやこわさ、そして喜びを糧に再び愛犬たちと歩む人生を選択した坂上さん。
『ぼく』の強さと愛の深さに「愛犬や愛猫との別れがきたら、もう二度とお迎えすることはないだろうな…」とぼんやり考えていた筆者自身、叱責されたような気分でした。
『リクはよわくない』は、ただ愛犬との別れや闘病生活を描いた感動物語ではなく、どんなに願っても思い通りにならないことばかりで、命とは強くも儚く呆気ないものであるということ、それでも命は繋がれていく、繋がれていかなければならない…そう強く訴えかける力を持っていると感じます。
ぜひ、お子さんと一緒に
ありきたりな表現にはなりますが、大人はもちろんお子さんにもぜひ読んでほしい一冊。
大の動物好きである小学校4年生の息子は、涙を溜めながら「リクは、ぼくと兄弟たちと出会えてよかったね。もしかしたら、ぼくが一緒に暮らしているたくさんの犬たちの中に、リクの生まれ変わりがいるかもしれない。きっとリクは、もう一度みんなに会いたいと思っているよ」と話していました。
まだまだ落ち着きのない3歳の娘は、くっきー!さんの鮮やかで愛おしいイラストに目を輝かせ、渡辺満里奈さんのあたたかい読み聞かせに珍しく耳を傾けていました。
これから、たくさんの命と出会うチャンスを持つ子どもたちに「命のこわさ」と「生きる喜び」をストレートに伝えてくれる、ぼくとリクの物語をぜひお子さんにプレゼントしてあげてください。
『リクはよわくない』
作品詳細や読み聞かせ音声のダウンロードは公式ページから
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