警察犬の歴史~警察犬が初めて登用された日~
警視庁で、警察犬が初めて登用されたのは、1912年12月1日のことです。大正元年でした。そして、この日は、日本で警察犬が本格的な活動を始めた日でもあります。日本での警察犬の歴史は、100数年ほどですが、19世紀のドイツのヒルデスハイムという町では、すでに警察犬という概念が生まれていたとされています。
なぜ、この町は、警察犬を必要としていたのか、という明確な理由はわかっていません。ヒルデスハイムには、8世紀から存在する2つの教会があり、世界遺産に認定されています。カトリックの拠点であったことや、古い歴史のある町であったことなどから、人の出入りが多く、犯罪が起きやすくなり、警察犬を必要としたのかもしれません。
日本で直轄警察犬になれるのは7犬種
- German Shepherd Dog
- Doberman
- Golden Retriever
- Labrador Retriever
- Collie
- Airedale Terrier
- Boxer
警察犬と聞いて、みなさんは、どんな犬種をイメージされるでしょうか。シェパードが最もイメージしやすいかもしれません。日本では、このような7犬種が直轄警察犬になれる犬種として認定されています。
直轄警察犬(ちょっかつけいさつけん)とは、警察組織のもとで育成され、訓練された警察犬のことを言います。また、民間の公認訓練によって訓練された警察犬は、嘱託警察犬(しょくたくけいさつけん)と言います。警察組織ではなく、家庭で暮らしているワンちゃんのことです。嘱託警察犬の中には、柴犬(岡山県警)・トイプードル(鳥取県警)・ジャックラッセルテリア(山口県警)・ミニチュアシュナウザー(和歌山県警)などの犬種もいます。
警察犬の仕事と役割
威警犬
威警犬は、警察官と共にパトロールをします。犯罪者を発見した場合、手足に噛みつくなどし、逮捕するために必要な行動を起こします。犯罪を防止することが目的であり、人を威圧することができるような、見た目が強そうな犬種や、カラダの大きな犬種が役割を担うことがほとんどです。
跡追求犬
- 事件現場に残された、犯人のニオイを嗅ぎ取り、居場所を探し出す。
- 行方不明者の持ち物のニオイを嗅ぎ、いち早く見つけ出す。
このような仕事を行っているのが、跡追求犬です。行方不明者の捜索では、山の奥深くまで入り、探し出すこともあるのだそうです。
麻薬探知犬
麻薬探知犬は、空港の税関などに常駐し、麻薬を国内に持ち込ませない、という役割を担っています。麻薬のニオイを嗅ぎ取り、税関職員に知らせるのが仕事のひとつです。
気選別犬
事件現場に残された証拠(ニオイ)と、逮捕された容疑者のニオイが一致するかどうか、ということを確認するのが、気選別犬の仕事のひとつです。裁判でも利用することができる証拠として取り扱われます。
警察犬はこんな場所でも活躍しています
夏になると、全国で、夏祭りや花火大会が開催されますね。隅田川花火大会では、警察庁によって、3000人態勢で警備が行われるようです。そして、その中には、警察犬の存在もあります。不審物を発見したり、不審者への警戒を行っています。
警察犬の引退と引退後の過ごし方
警察組織によって管理されている、直轄警察犬は、10歳ほどで引退します。「引退した警察犬を引き取ることはできるのか?」「引退した警察犬のお世話をするボランティアはあるのか?」などと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、直轄警察犬は、国の所有物である、という扱いをされています。そのため、一般の家庭に譲渡されることはありません。生涯を施設で暮らしますが、その施設から出ることさえも禁止されているため、警察犬を引退した後も、基本的には施設内で余生を過ごします。
まとめ
いかがでしたか。警察犬の存在を、もっと身近に感じていただけたでしょうか。警察犬と触れ合うことができるイベントが開催されることがあります。警察犬がどのような仕事をしているのか、その場で実演されることもあるようです。参加してみたいですよね。