犬の断耳・断尾が規定されている犬種
断耳が規定されている主な犬種
- ドーベルマン
- ボクサー
- グレートデーン
- シュナウザー
- ボストンテリア
- ミニチュアピンシャー
- アーフェンピンシャー
- マンチェスターテリア
- ブービエデフランダース
断尾が規定されている主な犬種
- ウェルシュコーギーペンブローグ
- プードル
- ヨークシャーテリア
- ジャックラッセルテリア
- ノーフォークテリア
- ノーリッチテリア
- コッカースパニエル
- ミニチュアピンシャー
- ワイヤーフォックステリア
- エアデールテリア
- ドーベルマン
- ボクサー
- ワイマラナー
- ロットワイラー
断耳・断尾の処置方法とは?
断耳は生後7~12週頃に行われることが多く、全身麻酔を伴う美容耳形成術となります。切開や糊付けで成形後、耳がぴんと立つまで副木を添わせて包帯で固定しますが包帯が取れるまでには3~8週間程度必要とします。断尾は基本的に生後間もなく、痛覚が発達する8日目までにひもなどで結んで壊死させる結紮法(けっさつほう)か刃物を使用する切断法にて完了させます。それ以降は生後8週を過ぎてから全身麻酔をして行うこととなります。
飼い主が犬の断耳・断尾を望む理由
スタンダードに沿った美観性
上記したように断耳・断尾した姿が「スタンダード」とされている犬種は数多くいます。そのため、そのスタンダードに合わせた美観性を保つために断耳・断尾を希望する飼い主さんも少なくありません。ただし、特に生後間もなく行う断尾の場合は、飼い主さんの希望の有無に関わらずブリーダーの判断で行われていることが大半です。断耳の場合、最近ではショーなどに出品しない一般の家庭犬であれば手術を行わない選択をする人も増えてきているようです。
疾患・ケガ予防
垂れ耳の犬は立ち耳の犬に比べて耳の中に湿気や汚れが溜まりやすく、疾患やトラブルの原因になりやすいと考えられています。その予防、対策として断耳を選択する飼い主さんもいます。断尾の場合は本来狩猟や牧畜などの仕事を担ってきた犬たちが、長い尾を木の枝に引っ掛けたり牛に踏まれたり噛まれたりすることを防ぐために行われてきました。ただし、現在の日本ではそれらの目的のために断尾を行うという選択をする飼い主さんはほとんどいないでしょう。
飼育前に断耳・断尾されている
これは飼い主の希望ではありませんが、断耳・断尾が規定されている犬種の多くは飼い主が飼育を始める前にすでにその処置が完了してしまっているでしょう。特にペットショップで販売されているなど、断耳・断尾を行う時期よりも前には関わることが出来ない場合には飼い主の希望に関わらず断耳・断尾済みとなっていると思います。そのため、特に断尾の場合は自分の飼っている犬が処置済みであるということすら知らないという飼い主さんも少なくないのです。ブリーダーで出産前から購入の相談をしている場合などには断耳・断尾に関する希望を伝えることも出来る場合もあるようです。
犬の断耳・断尾にまつわる危険性
断耳・断尾を行うかどうかを判断する上では、やはりその危険性やデメリットについても知っておかなくてはならないでしょう。断耳・断尾を行うことで悪影響を及ぼすのは、身体的な問題と社会的な問題の2種類があると考えられています。
断耳の場合、全身麻酔を伴う手術が必要となるため麻酔によるリスクが大きく、手術後の傷口からの感染症の心配などがあります。また、犬同士のボディランゲージによるコミュニケーションにおいて、思うように耳が動かせなかったり表現が乏しくなったりすることで意思の疎通に影響を及ぼすとも言われています。断尾の場合は生後間もなく処置が行われますが、過剰な出血や傷口からの感染を引き起こすことがあります。また、体を動かす上でかじ取り、バランサーとなる尾を失うことでボディバランスを崩しやすいとも言われています。さらに断耳と同様、ボディランゲージにも大きな影響を与えるでしょう。
犬の断耳・断尾に関するまとめ
犬の断耳・断尾は歴史が深く、かつては犬を守るために必要なこととして行われてきました。しかし現在では犬種としてのスタンダードを維持するために行われていることがほとんどであり、そのデメリットにも注目が集まるようになってきました。そのため、ヨーロッパの多くの国では断耳や断尾など美容目的の外科手術を禁止しています。アメリカでは禁止はしていないものの特に断耳については疑問視する声も高まってきており、広まりを見せています。
日本でも犬種のスタンダードとして断耳・断尾が慣習化していますが、その実情を知る飼い主さんはあまり多くありません。「なぜ断耳・断尾をする必要があるのか」「それは本当に犬のために必要なことなのか」そろそろ日本でも本気で考え、声を上げなくてはならない問題だと思います。