獣医師と動物看護師とはどんな職業なのでしょうか
獣医師と医師の違い
動物看護師について理解するためには、一緒に働く獣医師への理解は欠かせません。獣医師については人の病院の医師と比べながらご説明しましょう。
獣医師の多くは一次診療、つまり街のホームドクターとして働いています。一次診療では「とても広い知識と技術」が求められ、予防医療(ワクチン接種など)から外科手術(腫瘍切除・整形外科など)まで幅広く対応します。私たちも犬の体調で何か気になることがあれば、まずホームドクターに連れていきます。より専門性が高い診療が必要と判断された場合、専門科のある二次診療病院を紹介してもらい受診します。
一方、人の病院ではたくさんの専門性を持った方々が、それぞれ役割を持って働いています。
医師は診療科、つまり内科や外科・皮膚科・小児科といった科に分かれた、その分野のスペシャリストです。患者側も、吐き気があったり、痒かったりといった症状で病院を選びます。
人の医療では、診療科ごとにより専門的な診察・治療を行うのに対して、一般的な動物病院では幅広い知識・技術を持って1つの動物病院で多くの病気をカバーしています。当然、動物看護師も幅広い分野の知識・技術を求められています。
動物看護師の役割
動物看護師は、動物病院で獣医師の診察や治療のサポートを行うだけでなく、受付や清掃・消毒・在庫管理といった幅広い業務を担い、人の医療における看護師・医療事務・検査技師といった様々な役割を広くカバーしています。中でも動物看護師にとって大切な役割は、動物・飼い主と獣医師との橋渡しをすることです。また、動物病院によってはトリミングやリハビリ、パピーパーティーなどの教室も動物看護師が行っています。
動物看護師の仕事
受付業務・会計
多くの動物病院では、来院して一番最初に出迎えてくれる受付も動物看護師が行います。診察券を受け取り、カルテを用意して来院の理由を伺い、獣医師に伝え診察が始まります。
最後に会計をして、お見送りするのも動物看護師です。会計の際には、ペット保険の手続きを行う場合もあります。
受付では、診察室で聞けなかったり、診察後に思い出したご相談を受けることも多くあります。そんな時にも必要であれば獣医師に確認を取りながら、正確にお伝えするのも大切なお仕事です。
電話応対
電話対応では、診察時間のお問い合わせや急患を知らせる電話まで、様々な対応を行います。特に急患対応の場合は、来院の際の注意や応急処置などの指示を分かりやすく伝えなければなりません。
診察補助
診察補助のお仕事で一番大切なのは「保定」です。保定とは、動物に処置をする際におさえるお仕事です。保定を行うことで、動物に対して安全に、獣医師は確実に処置を行うことが出来ます。おさえると言ってもその方法は様々で、力を入れずに身体をくっつける事で落ち着く子や、声をかけて気を逸らしてあげることで処置が出来る子もいるので、性格に合った方法で保定を行います。
動物病院では、院内で検査の多くを行います。その補助も動物看護師のお仕事です。動物病院では、様々な手術も行います。その準備や助手も動物看護師のお仕事です。
入院動物看護
動物看護師にとって、入院中の動物のお世話はとても大切なお仕事です。食事の用意や消毒清掃、治療の補助や投薬、体調の記録を行って獣医師に報告します。動物看護師は、より動物の近くにいる時間が多いので、些細な変化に気が付くこともあります。また、慣れない入院室の環境の中で、少しでも安心してもらうために声をかけたり逆に放っておいたりと、様々な工夫を行っています。
動物看護師にとって、一生懸命看護した動物が退院する時というは大きな喜びです。
お薬の用意
動物病院では、獣医師が診断に基づきお薬を処方します。動物看護師は処方を確認して、お薬を用意しお渡しします。お薬の間違いは動物の命にかかわる場合もありますので、獣医師と動物看護師で2回以上確認するのが一般的です。
飼い主向け教室
動物病院では、動物看護師が講師になって、しつけや日常ケアなどの教室を行っている病院があります。動物看護師は、教室のテーマに沿った準備をして皆さんをお迎えします。
こういった教室を通して、皆さんに役立つ知識をお伝えして、動物たちとの楽しい毎日をサポートしています。
まとめ
動物看護師のお仕事について、その主だったものについて解説しました。実際には、獣医師が行う「診断・処方・治療」以外の全ての業務が動物看護師のお仕事と言えます。動物看護師は病気のことだけではなく、例えば子犬の時期の接し方や老犬のケアの仕方など幅広い知識を持っています。
何か疑問に思うことがあれば、受付などで話す機会が多い動物看護師に聞いてみましょう。きっと答えを持っているはずです。
皆さまにとって動物病院という場所が、動物看護師が身近なものになれば、きっと犬や猫にとっても楽しい時間が増えることでしょう。