犬のシャンプーのやり方とコツ
犬の皮膚はデリケートな部位で、汗・皮脂汚れや排泄物が付いたままだと、皮膚トラブルを起こす可能性があります。
そのため、月に一度トリミングサロンでシャンプーするワンちゃんであっても、サロンの合間の2週間に一度は、自宅でシャンプーすることをおすすめします。
自宅での犬のシャンプーの具体的な手順とコツを以下でご紹介していきます。
シャンプーの前の準備
犬をシャンプーする場合には、いきなりお湯で濡らさずに、以下のような準備をしておきましょう。
ブラッシングで毛のもつれを取る
犬をシャンプーする場合には、必ず先にブラッシングをしてください。シャンプー前にブラッシングをすることで、被毛のもつれ・毛玉、抜け毛、汚れを除去してシャンプーが馴染みやすくなります。
ちなみに、毛玉のあるワンちゃんをブラッシングなしでシャンプーした場合には、毛玉が締まり固まってしまい、解消することが難しくなります。
犬用シャンプーを用意する
愛犬にシャンプーを行う場合には、必ず犬用シャンプーを用意しましょう。
人間用シャンプーには、犬の被毛や皮膚トラブルの原因となる強い刺激成分が含まれていることがあり、犬用シャンプーの代用として使うことはおすすめできません。
お湯の温度を確認する
犬にとってのお湯の適温は35~38℃、人間では「ぬるま湯」に感じるほどの湯加減になります。
人間の赤ちゃんに飲ませるミルクを作る際と同様に、熱を感じやすい皮膚の薄い腕の裏側などで、お湯が熱くないか確認しておきましょう。
犬のシャンプー手順
愛犬のシャンプーを初めてする飼い主さんの場合には、顔や頭から洗おうとすると思います。しかし、いきなりシャワーをかけて顔や頭が濡れると、犬が驚いて暴れる可能性があります。
そのため、以下の紹介する順番にシャンプーすることをおすすめします。
全身をお湯で流して水洗いする
犬にシャンプーをつける前に、必ず適温のお湯で全身を流し、水洗いしておきましょう。濡らす順番は、背中・腹→足→お尻の周り→顔・頭です。
胴体・足の洗い方
- 使用するシャンプーの泡立て方法に従って、犬の体にシャンプーをつける
- 首から下に向かって、胴体を洗う(背中→腹)
- 足は、汚れの溜まりやすい足の裏の間や付け根を念入りに洗う
お尻周りの洗い方
- 肛門嚢が膨らんでいる場合には肛門腺絞りを行う
(1)犬を自分の顔に対してお尻を向けるように立たせて、尻尾を持ち上げる。
(2)肛門腺にティッシュを当てた状態で、親指と人差し指でつまんで、犬が痛がらない強さで肛門腺から肛門に向かって押すように絞りだす。(肛門腺は左右に2つあるため、一つずつ行う) - 肛門周りを洗う
- 尻尾を洗う(特に尻尾の被毛が多い犬種は汚れがつきやすいため、念入りに洗う)
顔・頭の洗い方
胴体や足、お尻周りを洗い終わったら、最後に頭・顔を洗うようにしましょう。
シャンプー後は、しっかりすすぎ・乾かす
全身をシャンプーでしっかり洗い終わったら、お湯でしっかり石鹸成分が残らないように洗い流してください。その後は、タオルドライをして、ブラシとドライヤーを使ってしっかり乾かしてください。
犬にシャンプーする上での注意点
使うお湯の温度に気をつける
シャンプー前の準備でもお湯の温度調整に触れたように、犬のシャンプーを行う上で、使うお湯の温度が重要です。
熱すぎると皮膚をやけどしてしまう、冷たすぎると体が冷えてしまう可能性があるので、犬にとっての適温のお湯を使うようにしましょう。
耳の近くを洗うとき
シャンプー中に犬の耳に水が入ると、外耳炎を起こす可能性があります。
そのため、犬の耳を洗うときには、耳の中に水やシャンプーが入らないように行ってください。特に立ち耳の柴犬などの犬種では、耳の穴が無防備であるため注意が必要です。
また、シャンプー後も汚れや臭いが残りやすい耳を洗う場合には、外側だけでなく、内側のひだや付け根もやさしく洗ってあげてください。
顔の近くを洗うとき
犬の中には水が鼻や口、耳に入ることを恐れて、顔にシャワーがあたることを嫌がる子もいます。そのような場合には、人間の子供用ボディスポンジにお湯やシャンプーを含ませて洗うことをおすすめします。
さらに顔の中でも目元を洗う時は、目に水やシャンプーが入らないように注意して優しく行ってあげてください。
犬の体を冷やさない
犬は全身を被毛に覆われているため、長時間被毛が濡れた状態でいると、体が冷えやすいです。
特に冬場のシャンプーでは、より体が冷えやすくなります。そのため、なるべくシャンプーは短時間で行いましょう。また、シャンプーをした達成感で、つい被毛を乾かすのが面倒に感じる飼い主さんもいるかと思います。
しかし、濡れたままの自然乾燥の被毛は、犬の体が冷える原因になります。生乾きのままの放置することは、被毛の臭いやムレ、皮膚トラブルを起こす可能性が高いです。
必ずシャンプー後はドライヤーを使い、しっかり被毛を根本から乾かして、犬の体温を下げないようにしてください。
子犬をシャンプーするとき
子犬を家族に迎え入れて、初めてシャンプーする場合には、生後2カ月頃に受けるワクチンから2週間経過した頃が最適になります。
犬がシャンプーを嫌がる・できない場合の対処法
飼い主さんが愛犬のシャンプーに挑戦してみたけれど、どうしても暴れてしまうことや子犬や加齢、病気で水を使ったシャンプーが難しい場合があると思います。
その場合には、水を使うシャンプーの代わりに以下の方法がおすすめです。
犬用シャンプータオル・ドライシャンプーを使う
現在店頭や通販などでは、水の使わずに犬の被毛をきれいにすることができる犬用シャンプータオルやドライシャンプーが販売されています。
これらは、ウエットティッシュや泡などで被毛を拭き取ることで、汚れを落とします。特に子犬や加齢、病気で水を使ったシャンプーが難しい愛犬にはおすすめです。
無理せずトリマーにお願いする
どうしてもシャンプーが苦手で、飼い主さんが行うことが難しいワンちゃんも中にはいると思います。
その場合、飼い主さんが無理に行うことは避けてください。無理に行うことで、余計にシャンプーが嫌いになってしまう可能性があります。
そのため、プロであるトリマーにシャンプーをお願いしてみることがおすすめです。トリマーは日々さまざまなワンちゃんを相手にしているため、愛犬にあった方法でシャンプーをしてくれます。
もし、トリマーにお願いして問題がない場合には、飼い主さんの手技や愛犬の甘えが原因であることも考えられます。担当トリマーから愛犬のシャンプー中の様子を聞き、今後のシャンプーに使える良い方法を見つけても良いと思います。
犬が皮膚炎にかかっている場合
皮膚炎にかかっている愛犬をシャンプーする場合には、基本的にはかかりつけの獣医師と相談してから行うことが大切です。一般的な皮膚炎にかかっている犬のシャンプーのポイントを以下にご紹介します。
少し冷たいぬるま湯を使う
皮膚炎にかかっている犬の多くが皮膚のかゆみを伴います。皮膚のかゆみは皮膚を冷やすことで、緩和します。そのため、通常のシャンプーで使うお湯よりも冷たく感じる25~30℃程度のぬるま湯を使ってあげてください。
薬用シャンプーを使う
皮膚炎を起こしている場合には、通常の犬用シャンプーではなく、薬用シャンプーを使うことがおすすめです。
薬用シャンプーを使う場合には、薬剤を10分間皮膚につけた状態で保つことが大切です。しかし、犬がじっとした状態で10分間待つことは難しいので、症状の重いところから洗い始めても良いです。
また全身を洗うことが難しい場合には、症状の重いところだけを部分的に洗うことも効果があります。
地肌を優しくマッサージするように洗う
皮膚炎を起こしている皮膚はデリケートな状態です。シャンプーを手につけて、地肌を優しくマッサージするように洗いましょう。
まとめ
今回は犬のシャンプーの詳しい方法やコツ、皮膚炎の場合のシャンプーについてもご紹介しました。
定期的なシャンプーは、犬のデリケートな皮膚をトラブルから守るために必要です。ぜひ今回紹介した内容を参考に、愛犬にシャンプーをしてみてくださいね。