シングルコートの毛を持つ犬の特徴
犬の被毛の構造は、「シングルコート」と「ダブルコート」の2種類に分類され、さらに「アンダーコート」「オーバーコート」と毛質が分類されます。これらに、どのような違いがあるのか説明します。
シングルコートの特徴
シングルコートとは、オーバーコートのみが生えている被毛のことです。オーバーコートは太くしっかりした毛で、紫外線、外部の刺激から皮膚を守る役割があります。
シングルコートの犬は暖かい地域出身であることが多く、抜け毛が少ない点が特徴です。抜け毛が少ないため、アレルギー体質の人も飼うことができ、飼い主が行う被毛の手入れや掃除の手間は最小限で済みます。
しかし、シングルコートで長毛種の場合、被毛が伸び続ける犬種もいるので、定期的にトリミングをする必要があるのでトリミングに連れて行く手間はあるでしょう。
ダブルコートとの違い
ダブルコートの犬との違いは、アンダーコートが生えていないことです。
ダブルコートの犬は寒い地域出身であることが多く、オーバーコートとアンダーコートの二重毛構造になっています。アンダーコートは保温、保湿の役割をしており、柔らかく密度のある被毛です。
シングルコートの犬は、アンダーコートが生えていないため寒がりで、ダブルコートの犬は密度のあるアンダーコートが生えているので夏の暑さに弱い傾向にあります。
さらに、ダブルコートの犬はシングルコートの犬と比べると抜け毛が多いので被毛の手入れは欠かせません。
春と秋には換毛期があり、春には密度のある被毛が通気性のいい夏毛に。秋には夏毛が保温性に優れた冬毛に生え変わります。このように、シングルコートの犬とダブルコートの犬には、アンダーコートが生えているかの違いがあるため抜け毛の量にも違いがあります。
「シングルコート」と「ダブルコート」の見分け方
シングルコートとダブルコートは見た目で区別するのは難しいです。
例えば、キャバリアは被毛がぺたっとしていてシングルコートに思われる傾向にありますが、ダブルコートの犬種に分類されます。反対に、被毛がふわふわしていて密度があるように見えるトイプードルはシングルコートの犬種です。
シングルコートかダブルコートか区別したい場合は、実際に犬の被毛をかき分けてみてください。シングルコートであれば地肌が見え、ダブルコートであれば密な被毛が生えていることがわかります。
人気のシングルコート犬種
シングルコートではどんな犬種に人気があるのでしょうか?人気の犬種をご紹介します。
シングルコートの小型犬
- トイプードル
- ヨークシャーテリア
- マルチーズ
- シーズー
- パピヨン
シングルコートで人気の小型犬は上記のような犬種が挙げられます。トイプードル、ヨーキー、マルチーズ、シーズーは抜け毛が少ない傾向にありますが、被毛が伸びるので定期的なトリミングが必要です。
パピヨンは長毛ですがトリミングに出さなくても問題ありません。しかし毛玉、毛もつれができやすいため、定期的なブラッシングが必要となります。
シングルコートの中型犬
- ウィペット
- バセンジー
中型犬で人気の犬種だと、柴犬、コーギー、フレンチブルドッグといったダブルコートの犬が多いです。シングルコートの中型犬で人気なのはウィペット、バセンジーといった少し珍しい犬種となります。
両犬種とも短毛種なので被毛の手入れが簡単です。シングルコートの犬種にしては抜け毛が多い傾向にあります。
シングルコートの大型犬
- スタンダードプードル
- ダルメシアン
- ドーベルマン
スタンダードプードルはトイプードルと同様に、抜け毛は少ないですが、毛は伸び続けるのでトリミングが必要です。体が大きい分、トリミング料金が高くなってしまう点がデメリットになります。
ダルメシアン、ドーベルマンは短毛なので、被毛の手入れが簡単です。ダルメシアン、ドーベルマンはシングルコートですが抜け毛が多い傾向にあります。
シングルコートの毛のお手入れ方法
シングルコートの犬種は抜け毛が少ないからといって、被毛の手入れをしなくていいわけではありません。シングルコート犬種の被毛のお手入れ方法を紹介します。
トリミングに出してプロにお願いする
シングルコートの犬種は抜け毛が少ない傾向にありますが、中には被毛が伸び続ける犬もいます。そのような犬種にはトリミングが必要です。
シングルコートでトリミングが必要な犬種には、トイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリアが挙げられます。トリミングに出すと犬種によってさまざまなカットスタイルを楽しむことができるので、愛犬を可愛く仕上げてもらうことが可能です。
さらに、皮膚や被毛の清潔を保つことができ、肛門腺絞り、爪切り、耳掃除など、普段は自宅でできない手入れもプロにやってもらえます。トリミングに出すと費用がかかってしまいますが、自宅で行う手入れの手間を省くことができるので便利です。
ブラッシングをする
シングルコートで長毛の犬種だと被毛が絡まりやすく、毛玉や毛もつれができやすいです。定期的にブラッシングをして毛玉や毛もつれを作らないようにしましょう。
ブラシは、ピンブラシやステンレス製のコームがオススメです。毛玉がある場合はスリッカーブラシを使ってください。
短毛の犬種でもブラッシングをしてあげましょう。シングルコートでも抜け毛が全くないわけではないので、ブラッシングをすることで床に落ちる毛の量を減らせます。短毛種にはラバーブラシがオススメです。
ブラッシングには毛玉や毛もつれを取り除く効果の他にも、マッサージ効果、皮膚トラブルの早期発見につながるので、被毛の長さに関係なくブラッシングをしてあげましょう。ブラッシングは2~3日に1回程度で行うのが理想的です。
シングルコートの犬を飼うときの注意点
シングルコートの犬と暮らすときに気をつけたいのは「温度管理」です。
シングルコートの犬は、温暖な地域出身である犬種が多く、ダブルコートの犬種のように保温効果のあるアンダーコートがありません。そのため、シングルコートの犬は寒がりです。
冬はエアコンを使って犬のいる室内を暖め、ヒーターを使う、寝床に毛布を敷くなどして暖かい場所を用意してあげましょう。外出時には洋服を着せるといった工夫も必要です。
夏は適温で過ごせるようにしてあげましょう。アンダーコートがないからといって暑さ対策をしないでいると、日本の厳しい夏の暑さでは熱中症になってしまいます。クーラーの効いていない部屋で過ごさせるのはやめましょう。
クーラーが効きすぎていても、犬によっては寒いと感じることもあります。涼しい場所とクーラーの風が当たらない場所を作って、犬が自由に移動できるようにしておくことがオススメです。
まとめ
シングルコートとダブルコートの犬にはアンダーコートが生えているかどうか、という違いがあります。
シングルコートの犬は抜け毛が少ないとされていてアレルギー体質の人も飼育が可能ですが、毛が伸びる犬種もいるので定期的に手入れをしてあげる必要はあります。
シングルコートで代表的な犬といえば、プードル、マルチーズ、ヨーキーです。トリミングに出す手間はありますが、さまざまなカットスタイルを楽しめます。
シングルコートの犬には温度管理に配慮しましょう。特に冬は苦手なため、防寒対策が必要です。
シングルコート、ダブルコートともに被毛の手入れは必要になってくるので、被毛の手入れにかけられる費用、時間を考え、ライフスタイルに合った犬を迎えましょう。