ビションフリーゼは臭いが強い?体臭がきつい場合の対策

ビションフリーゼは臭いが強い?体臭がきつい場合の対策

「ビションフリーゼって毛がとてもふわふわで可愛いけど、体臭って強いのかな」と気になる方もいると思います。そこで今回はビションフリーゼの被毛と体臭、臭いがきつい時の原因と改善方法までをご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

ビションフリーゼは臭いが少ない犬種!

かわいいビションフリーゼ

ビションフリーゼの被毛は1本1本が螺旋状に縮れて、くるくるした巻き毛になっています。また、オーバーコートとアンダーコートが生える「ダブルコート」ですが、犬種の特徴として体臭が少ないといわれています。そのため、室内で飼っていても臭いはほとんど気にならないでしょう。

ビションフリーゼの他にも一般的に臭いが少ない犬種はあります。臭いが少ないと言われている犬種の特徴は以下の通りになります。

【小型犬・中型犬】
小型犬や中型犬は、大型犬に比べて身体が小さいため、排出される臭いの量や範囲が少なくなります。

【中頭種・長頭種】
パグやフレンチブルドッグといった短頭種は、顔のしわに汚れがたまることで、臭いを発生させてしまうことがあります。また、短頭種やリップ(口唇)のたっぷりした犬種ではよだれを多く出すことがあり、そのような場合にも臭いが発生しやすくなります。

中頭種や長頭種では、短頭種のような顔のしわはありませんし、リップのたっぷりした犬種でなければほとんどの場合、よだれも少ないでしょう。その様な犬種では一般的に臭いが発生しにくいです。

【立ち耳】
ミニチュアピンシャーのような立ち耳の犬種は、耳の中の通気性が良いため、垂れ耳の犬種よりも細菌や酵母が繁殖して臭いをを発生させてしまう外耳炎になりにくいと言われています。

【短毛】
スムースコートチワワのような短毛の犬種は、長毛の犬種と比較すると蒸れることが少なく汚れもたまりにくく、体臭が発生しにくいでしょう。

【シングルコート】
トイプードルやマルチーズといったシングルコートの犬種では、ダブルコートに比べると被毛と皮膚の間の通気性が良いですし、抜けた毛がたまっていることも少ないため、臭いが発生しにくいです。

【皮膚があぶらっぽくない】

皮膚細胞のターンオーバーが崩れ過剰に皮脂が分泌される脂漏症という皮膚病があります。脂漏症の犬や、脂漏症ではなくても皮脂の分泌量が多く皮膚があぶらっぽい犬の場合、臭いが発生しやすくなります。反対に、皮膚があぶらっぽくない犬では臭いが発生しにくいでしょう。

獣医師:木下明紀子

ビションフリーゼの臭いがきつい時の原因

外で待機をしているビションフリーゼ

ビションフリーゼは体臭が少ない犬種です。しかし、以下の理由で臭いがきついと感じてしまうことがあるかもしれません。

身体が汚れている

ビションフリーゼは、遊び好きでアクティブな犬種です。お散歩や庭で遊んだ後には思わぬ汚れがついていることがあるかもしれません。

また、犬は人間のようにサラサラとした汗を全身にかくことはありませんが、全身にアポクリン腺という分泌物を出す腺や皮脂腺を持っています。体質や管理によってはこれらの分泌物が蓄積して臭いのもととなることがあるかもしれません。

顔が汚れている

ビションフリーゼは真っ白な被毛のため、涙や目ヤニによる「涙やけ」や口の周りに食べ物やよだれがつくことで「よだれやけ」が目立ちやすい犬種になります。

目立ちやすい分、飼い主さんがこまめにお手入れすることも多いでしょうが、「涙やけ」や「よだれやけ」は放っておくと、被毛が常に濡れている状態になることで細菌が繁殖し、臭いが発生する原因となります。

耳が汚れている

ビションフリーゼは毛量が多いことや耳の中にも毛が生えること、垂れ耳という特徴があります。そのため耳の中に汚れがたまりやすく、湿気がこもることで細菌や酵母が繁殖し、外耳炎を発症することがあります。外耳炎を発症すると、耳の中が赤くなったり黒や茶色の汚れが多く見られ、臭いを発することも多くあります。

外耳炎はまた、皮膚病と関連して発症することも多くあります。アトピー性皮膚炎を持つ犬の多くは外耳炎を発症します。ビションフリーゼもアトピー性皮膚炎を起こす確率が少し高い犬種ですので、治療をしていても外耳炎を繰り返す場合には、耳だけではなく皮膚に痒みや赤みが出ることがないかもチェックしましょう。

口臭がきつい

口臭によって犬自体を臭く感じてしまうことがあります。犬の口臭の一番の原因は、口内環境が悪い、歯垢や歯石がたくさんついている、歯周病が進行していることなどが挙げられます。特に歯磨きの習慣がないワンちゃんであれば、そのような状態になっていることが多くあります。

肛門周囲が臭う

犬は肛門の周りに肛門腺という器官があります。この肛門腺には独特な臭いを発する分泌物を溜めています。通常、その分泌物は排便の際に肛門腺が圧迫されることで、便と一緒に少しずつ排泄されるものです。しかし、排便の際に排出されるだけでは不十分で分泌物が徐々にたまり過ぎてしまい、臭いが生じるようになったり分泌物を溜めておく袋が破れてしまうこともあります。特にビションフリーゼのような小型犬で多く見られます。

また、トリミングの際には特に希望しなくてもトリマーが肛門腺絞りを行うことが多くあるため、定期的にトリミングが必要なビションフリーゼは、飼い主さんが意識していなくても定期的に肛門腺を絞られていることが多く、分泌物が過剰に溜まってしまい臭うことは少ないかもしれません。しかし、分泌物が液状ではなく泥状で排出されにくいワンちゃんや、排便時にあまりりきまないワンちゃんの場合などは、分泌物が貯留しやすい場合があります。

ビションフリーゼの臭いを改善する方法

撫でられているビションフリーゼ

体臭が少ないビションフリーゼで臭いがきつい場合に考えられる原因は理解できましたか?原因を理解したところで、次は臭いの改善方法をご紹介していきます。

  • こまめなブラッシング
  • 定期的なトリミング
  • 顔をこまめに拭く
  • 適切な耳掃除で外耳炎を防ぐ
  • 定期的な歯磨きで歯石の付着や歯周病を防ぐ
  • 肛門腺絞り

こまめなブラッシング

被毛の種類に関わらず、こまめにブラッシングすることで絡んだ汚れや抜け毛が取り除かれて、体臭改善や予防になります。

定期的なトリミング

トリミング犬種であるビションフリーゼには、1~2カ月に1回ほどの頻度でシャンプーとカットをして、体臭や被毛が汚れたままになることを防ぎ被毛ケアをしてあげましょう。

特にシャンプー時は汚れを落とすだけでなく、毛質や肌質に合ったシャンプーやコンディショナーを使うことで、皮膚を保湿したり被毛を滑らかにし、健康で汚れにくい皮膚と被毛を維持することにつながります。愛犬の状態に合ったものを使えるようトリマーに相談してみるのも良いでしょう。

顔をこまめに拭く

涙や目ヤニによる「涙やけ」や、口の周りに食べ物やよだれがつく「よだれやけ」で臭いが発生している場合は、こまめに目元や口元を拭いてあげることが有効です。

特に頑固な涙やけ・よだれやけの場合には、専用のクリーナーやウェットティッシュを使用することもおすすめです。

適切な耳掃除で外耳炎を防ぐ

ビションフリーゼは垂れ耳で耳の中に生えている毛も多く、外耳炎になりやすい子もいるでしょう。耳が汚れていないのに耳掃除をする必要はありませんが、定期的に耳が汚れていないかをチェックすることは重要です。外耳炎は、外で遊んで植物の破片や種などが耳の中に入ったり、水遊びの後水が耳に入ったままになってしまって起こることもあります。耳に何か異常があれば、耳や頭を頻繁に振ったり耳を気にして頭を傾けたり手足でひっかいたりすることが多くありますので、そのような様子が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。定期的に耳の状態を確認した際、見える範囲に耳垢がある場合には、指で届く範囲だけ掃除をすると良いでしょう。

耳掃除の方法は、イヤークリーナーをつけたティッシュやコットン、耳掃除専用シートで耳垢を拭き取ることが有効です。しかし、犬の中には耳掃除が苦手な子もいます。その場合には無理に行わずにトリミングサロンや動物病院などにお願いするようにしてください。

ビションフリーゼやプードルなどの犬種で耳の中の毛を抜くことには賛否両論あります。耳の中の毛を少なくすることにより耳の中が蒸れにくくなり、外耳炎の予防になるという意見と、毛を抜くことが刺激となり耳の毛を抜くことが外耳炎につながることがあるという意見があります。トリミングの際には特にお願いしなくても耳の中の毛を抜いているサロンも多いと思います。今まで特に問題が起きていないのであれば今後も耳の毛を抜き続けてもいいのかもしれませんし、トリミングに行った後はいつも頭を振ったり耳を気にするなどの症状があれば、耳の毛を抜くことをやめた方が良いのかもしれません。

定期的な歯磨きで歯石の付着や歯周病を防ぐ

ワンちゃんの歯に歯垢や歯石がたまって口内環境が悪くなり、口臭がきつい場合には定期的に(できれば毎日)歯磨きを行うことで、臭いを軽減することが可能でしょう。しかし、歯磨きに慣れていないワンちゃんもいるでしょうし、歯石がひどく溜まっていたり既に歯周病がある場合には、歯磨きだけでは臭いは改善しません。

歯磨きに慣れさせるためには、ワンちゃんが喜んで舐めてくれる歯磨きジェルや歯磨きおやつを与えることから始めて、慣れてきたら歯磨きシートやガーゼを指に巻いて歯をきれいにすることに慣れさせる、次に歯ブラシで磨くことに慣れさせると良いでしょう。愛犬に合わせた歯磨きの習慣を身に着けられるように取り組んでみてください。

歯石がひどくたまっていたり既に歯周病になっている場合には、動物病院での治療が必要になります。歯周病を放置すると鼻や顎、顔全体に合併症を起こすだけではなく全身の健康にも悪影響を及ぼすことになりますので、早めに動物病院を受診してください。

肛門腺絞り

肛門腺に分泌物が貯留していることで臭う場合は、以下の手順で肛門腺絞りを試してみてください。

  1. 犬を立たせて尻尾を持ち上げる
    犬を自分の顔に対してお尻を向けるように立たせ、尻尾を軽く上に持ち上げます。またこの時に肛門腺絞りをする人以外に、もう一人が頭側で動かないように犬を抑えてもらうとやりやすくなります。
  2. 肛門腺にティシュを当てた状態で指でつかむ
    肛門腺は肛門の中心より少し下辺りで左右に1つずつ存在します。時計で言うと、肛門を中心として4時と8時の辺りです。分泌物が周囲に飛び散らないよう肛門の外側に何枚か重ねたティシュを当てながら、親指と人差し指、中指を奥にある分泌物が貯まった袋をつかむイメージで肛門周囲にあてます。
  3. 肛門腺から肛門に向かって押していく
    犬が痛がらない程度の強さで肛門腺(肛門の両脇)から肛門に向かって、押すように分泌物を絞りだします。
  4. 肛門の周りを清潔にする
    分泌物を絞り切れた後は、必ず肛門の周りは拭くか洗って清潔にしましょう。

まとめ

こちらを見つめるかわいいビションフリーゼ

ビションフリーゼの被毛と体臭について、臭いがきつい時に考えられる原因と改善方法までをご紹介しました。犬と生活していて意外と問題になることの一つが、体臭がきついことだと思います。

特にビションフリーゼは白いふわふわの毛並みと綿あめのような可愛い顔が特徴で、毛量が多いことから体臭が強いのではないかと思われるかもしれませんが、実際は体臭が少ない犬種に分類されます。

しかし、身体・顔・耳・口の中などが汚れている場合や肛門腺の分泌物が溜まっている場合には、臭いがきついと感じてしまうことがあると思います。その場合には、今回紹介した臭いの改善方法を試してみることをおすすめします。

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