子犬の臭いが気になる!ニオイの原因と対策、注意点など解説

子犬の臭いが気になる!ニオイの原因と対策、注意点など解説

かわいい子犬をお迎えしたものの「あれ?この子、何だかくさいな」と感じる方は、意外に多いようです。今回は、子犬の臭いのお悩みについて、ひとつひとつ解説いたします。

子犬の臭いの原因

抱っこされる子犬たち

生まれてからしばらくの間、歯が生えてきたり被毛が生え替わったりと、子犬の成長にはめざましいものがあります。

生後2ヵ月くらいまでの子犬は、ふわふわとした柔らかい被毛に包まれていますが、生後3ヵ月くらいになると、柔らかくてもしっかりとした艶のある毛が生えてきます。

ふわふわの被毛が生えている期間、子犬には特有の「子犬臭」があります。
この子犬臭は、他の犬に自分が幼い犬であることを伝えるための生理的なもので、消すことはできません。

しかし子犬の臭いは、この子犬臭だけではありません。子犬臭が嫌な臭いと感じられることが少ないのに対して、明らかに「くさい!」と感じる臭いが子犬からすることがあります。可愛い子犬が、なぜ臭くなるのでしょうか?

1.口が臭う

子犬の臭いの原因のひとつに、口臭が考えられます。口臭は、口腔内のトラブルや消化不良、内蔵系の病気により強く臭います。

口腔内のトラブルには、口の中の乾燥や歯周病などの口腔内疾患がありますが、「まだ幼い子犬が歯周病になるの?」と、疑問に思われるかもしれません。歯周病の原因は主に歯石ですが、犬の歯垢は2〜3日で歯石に変わるといわれており、人間よりはるかに歯周病になりやすいことが分かります。

それ以外にも「乳歯遺残(にゅうしいざん)」で、歯周病になることがあります。
犬の乳歯は、生後約4~7ヵ月くらいで永久歯に生え替わりますが、乳歯が抜けていないところに永久歯が生えてきた状態を乳歯遺残といい、特に小型犬に多く見られます。

乳歯遺残になると歯並びが悪くなり、乳歯と永久歯の間に歯垢や歯石がたまりやすくなります。それが原因で、歯周病にかかりやすくなるのです。乳歯が抜ける前に、永久歯が生えてきたら、獣医師に相談してみましょう。

内臓系の病気による口臭には、胃腸の不調によるすっぱい臭いや、腎臓や肝臓の疾患によるアンモニアのような臭いがあります。

さらに、口臭に糞便の臭いがすることがあります。これは、口腔内のトラブルや重度の便秘の影響とも考えられますが、回虫症による腸閉塞や腸捻転など、危険な病気が原因となっている場合もあり要注意です。

ほとんどの場合、糞便のような嘔吐物を吐く、強い腹痛や痛みを伴う全身の緊張感、下痢または重度の便秘、元気が無くぐったりしている、などの症状を伴います。このような状態の時は、生死に関わる可能性が高く非常に危険ですので、早急に動物病院で診察を受ける必要があります。

その他にも、よだれや食べこぼしをそのまま放置すると細菌が増殖し、口の周りの毛が臭いの原因となることもあります。口周りの毛足が長い犬や、よだれが出やすい犬種は、こまめにケアして清潔にしてあげましょう。

2.体が臭う

顔や体のシワに汚れが溜まり、臭いが強くなることがあります。そのため、シワの多い犬種は、体臭が強いといわれていますが、皮脂が多い犬種では、さらに体臭が強くなることがあります。

この場合は、濡れたタオルなどでこまめに体を拭いてあげることで、臭いを軽減することができます。被毛に溜まった汚れやフケは、ブラッシングすることで取り除くことができます。

犬のお尻の肛門腺は、強い臭いを発する分泌液が中に溜まる構造になっています。この分泌液が過剰に溜まると、臭いが外に漏れ出しますので、定期的にケアすることが必要です。

また、消化器が未発達な子犬は、軟便になりやすく肛門付近が汚れやすいので、排便後に肛門を拭いておくと、雑菌の増殖を抑えられるので臭いを軽減できます。

3.耳が臭う

犬の耳の中は湿度が高く、カビや雑菌が繁殖しやすい状態になっていますので、耳垢が溜まると臭いを発するようになります。

垂れ耳の犬は、通気性が悪く蒸れて汚れが溜まりやすいので、立ち耳の犬より臭いの強いことが多いですし、アトピー性皮膚炎を持つ犬も耳のトラブルが多く、強く臭うことが多いようです。

耳の臭いは、定期的な耳掃除で軽減することができますので、普段から耳の内外をよく拭く、耳垢を除去する、などのケアをしておくことが大切です。

また、耳の中が臭う時は、外耳炎などの病気や、怪我による膿で臭いが強くなっていることも考えられます。犬の耳の中が強く臭う時は、念のため動物病院で診察を受けておくと安心です。

4.糞尿の臭いがする

まだ幼い子犬は、トイレトレーニングが完璧でないことも多く、糞尿を踏み付けたりトイレで寝転び被毛に糞尿が付くというようなことも度々あり、これらが原因で、子犬の体が糞尿臭くなってしまうということもあります。

糞尿が付いた不衛生な状態のまま放置すると、臭いだけでなく、子犬の健康面にも悪影響を及ぼしますので、糞尿が付いた箇所は、その都度きれいにしておくことが大切です。

子犬の糞そのものが強い臭いを発している場合は、ドッグフードが、子犬の体質に合っていないのかもしれません。その場合は、ドッグフードを見直してみる必要があります。

子犬の臭い対策

歯磨きする子犬

子犬の臭いを完全に消してしまうのは難しいですが、日常の細やかなケアで、臭いを軽減させることはできます。
それには、それぞれの原因に即した対策を講じる必要があります。

子犬の臭い対策をひとつひとつ見ていきましょう。

1.歯磨きをする

口臭予防に最も効果的なのは、歯磨きです。1日1回以上を心がけましょう。子犬の頃から歯磨きを習慣付けることで、成犬になっても口に触られることを嫌がらなくなります。

効果が1番高いのは、歯ブラシでの歯磨きですが、どうしても嫌がる時は、歯磨きシートや指サックタイプのものを利用してみましょう。子犬が口に触られるのに慣れてくると、いずれ歯ブラシでの歯磨きができるようになるかもしれません。

特に、奥歯と犬歯は、歯垢や歯石が付着しやすい箇所ですので、念入りに磨いてあげましょう。また、遊びながら歯をケアすることができるデンタルトイや、噛んで歯をきれいにする歯磨きガムなどを利用するのもおすすめです。

2.シャンプーやブラッシングをする

シャンプーやブラッシングで体を清潔に保つことは、子犬の臭いを軽減することにつながります。初めてのシャンプーでは、優しく声がけしながら、お尻からゆっくりとお湯をかけていき、顔は濡れタオルなどで拭いてあげるなど不安いっぱいなワンちゃんに配慮してあげましょう。

免疫力が十分に備わっていない子犬はシャンプー後、体が冷えて体調を崩すことが懸念されます。子犬のシャンプーは混合ワクチン接種完了後からスタートしシャンプー後はドライヤーでしっかり乾かすことを推奨します。

ブラッシングを毎日行うのも臭い対策として効果的です。臭いの原因となる汚れが付着した抜け毛を取り除ける他、犬とのスキンシップにもなります。

3.耳掃除をする

犬がかかりやすい病気のトップに「外耳炎」が挙げられるほど、犬は耳にトラブルを抱えやすいので、臭いだけでなく病気予防のためにも、定期的な耳のケアが大切なことが分かります。

しかし、あまり耳掃除をし過ぎると炎症を起こす可能性もありますので、健康な犬の場合、耳掃除は月1〜2回程度にしておきましょう。シャンプーをする前に耳掃除をしておくと、べたべたした耳垢で耳の周りが汚れてしまっても、犬を洗うときに一緒に洗い流せます。

犬が耳掃除をあまりに嫌がる時は、耳の中で炎症が起きて痛みが生じている可能性がありますので、動物病院で診察を受けることをおすすめします。

耳を掃除する時は、まず耳に炎症などがないか確認します。異常が無ければ、次に、イヤークリーナーなどを使って耳の奥の汚れを外に出し、ガーゼやコットンなどで拭き取ります。

動物病院やサロンに耳掃除を依頼することもできますので、自分で耳掃除をするのが不安であればお願いするとよいでしょう。

4.臭いの原因にならないドッグフードを与える

食べているドッグフードが、子犬の体臭や糞の臭いに影響している場合があります。
では、犬の臭いの原因にならないドッグフードとは、どのようなフードなのでしょうか?

それは、消化吸収率の高いドッグフードです。
犬は本来肉食動物ですので、食物繊維を消化するのが得意ではありません。そのため、穀物や添加物を多く含んでいるフードは、犬の腸内環境を悪化させ、糞の臭いが強くなるのです。

ドッグフードの消化吸収率が悪いと、胃腸の働きに悪影響を及ぼしますので、口臭の原因にもなります。最近では、犬のアレルギーなども考慮して、グレインフリーのフードもたくさん販売されています。愛犬の体質をよく考えて、与えるフードを選びましょう。

子犬の臭い対策でシャンプーはいつからできる?

ブラッシングは、子犬の体の状態をチェックするためにも、毎日行なうことが推奨されますが、シャンプーやお風呂は、いつからどれくらいの頻度で行なえばよいのでしょうか?

自宅でのシャンプーは、1回目のワクチン接種から1~2週間経てば可能ですが、子犬は免疫力が弱く体力も無いので、体調が安定している時に、手足やお尻など部分的に洗うことから始めます。

ワクチン前のシャンプーできない時期は、ドライシャンプーを利用する、シャンプータオルや濡れタオルで体を拭く、または、汚れがひどい時にシャンプーで部分洗いをする、に留めておきましょう。‎

すべてのワクチン終了後、2週間〜1カ月経過すれば、サロンでシャンプーすることができるようになります。

犬の皮膚は、人間の1/3程度と非常に薄く、乾燥や刺激に弱いので、汗と皮脂からできた保護膜で皮膚を守っています。この膜が必要以上に洗い流されると、皮膚を防御する力が低下してしまいます。

そのため、シャンプーのし過ぎには注意が必要で、基本的に成犬のシャンプーは月1~2回が目安とされていますが、子犬のシャンプーの頻度は、月1回程度で充分です。

目ヤニ、涙やけ、鼻水などで汚れやすい顔や、お尻の部分は、入念に洗うようにします。また、シャンプーの前に、肛門腺のケアもしてあげましょう。肛門腺を絞って分泌物を除去することで、体臭の軽減につながります。‎

お風呂のお湯に浸からせる入浴は、体調の変化が多くあまり体力が無い子犬の負担を考えて、成長に合わせ必要な時にだけさせるようにしましょう。

シャンプーや入浴後は、よく流してしっかり乾かすことが大切です。生乾きのまま放置しておくと、子犬が風邪をひくことがありますし、雑菌が繁殖して臭いの原因になる可能性があります。

子犬がいる部屋の臭い対策

トイレシートに座る子犬

犬の臭いが気になる場合、子犬に対しての対策だけでなく、子犬が生活する部屋全体の臭い対策も見直す必要があります。犬と人間が、ストレス無く暮らすためにも、生活環境の臭い対策をすることは重要なことです。

1.犬のトイレは常に清潔に保つ

犬が生活する部屋で、1番気になるのはトイレではないでしょうか?ほとんどの方は既に実行されていると思いますが、排泄後はすぐに片付けることが重要です。

便の処理、シートの取り替えはもちろんですが、トイレトレーもこまめに洗い、消臭剤を適宜使用するなど、できるだけ臭いを残さないようにしておくことが大切です。

また、犬には排泄は決まった場所以外でしてはいけないことを徹底して教え、トイレ以外の場所で排泄してしまった場合は、臭いが残らないように完全に拭き取るようにしましょう。クエン酸水などで拭き取ると消臭効果が期待できます。

2.こまめな換気と消臭を心がける

リビングやキッチンは、犬の臭いだけでなく様々な臭いが入り混じっているところですので、窓を開ける、換気扇を回す、など定期的に空気を入れ換えることが必要です。
また、脱臭機能つきの空気清浄機を利用するのも効果的です。

窓を開けられない場合や急な来客時には、除菌・消臭効果のあるスプレーを高い位置から部屋全体に散布するとよいでしょう。

玄関は、家に入った時に、家全体の臭いが感じられる場所です。1日に数回、扉を開け放ち空気の入れ替えをしましょう。また、消臭剤や脱臭剤を置くことも、臭い軽減に効果があります。

3.こまめに布製品を手入れする

カーテンやソファ、クッション、マットなどの布製品は、犬の毛や臭いがつきやすいので、こまめに付着している毛を取り除きましょう。抜け毛も臭いの原因になりますので、抜け毛が溜まりやすい家具の下などの場所も、忘れないで掃除をしておきます。

洗う場合は、布製品用の消臭剤を吹きかけてから洗濯し、天日干しにすると殺菌効果で臭い防止につながります。ソファなど洗濯することが難しいものは、太陽に当てるだけでも、雑菌の繁殖防止に役立ちます。

子犬の臭い対策での注意点

寝ている子犬たち

臭い対策で大切なことは、嫌な臭いを良い香りでごまかすのではなく、嫌な臭いそのものをできるだけ取り除くようにするという点です。

犬は人間よりはるかに嗅覚の優れた動物です。せっかくの臭い対策も、犬のストレスになるようでは意味がありません。人間と犬、どちらもが快適に過ごせるような臭い対策が必要です。

1.香りの強いものの使用は控える

人間にとって心地良いと感じられる香りでも、嗅覚の優れた犬にとっては、ストレスとなることもありますので、香りの強い消臭剤や洗剤などの使用は控えるようにしましょう。

特に、犬が使う毛布などを洗濯する場合は、香りの強い洗剤や柔軟剤の使用を控え、できるだけ無香料のものを使用するようにしましょう。また、犬の体に直接触れるシャンプーやリンスの香りにも注意する必要があります。

2.安全で安心なものを使用する

臭い対策のためのものを選ぶ時は、香りだけでなく、安全で安心に使用できるものかどうかという点にも留意しましょう。

犬は様々なものを舐めたり嚼んだりします。子犬の時期はなおさらです。洗剤、柔軟剤などを使用する時は、犬が口にしても安全で安心なものを選びましょう。

また、犬が使用するトイレの消臭剤は、犬に害の無いペット専用の消臭剤を選んでおくと安心です。

まとめ

子犬と女性

犬と共に生活する以上、臭いの問題は避けて通ることができません。なぜなら、犬の臭いを完全に消すことはできないからです。しかし、それぞれの原因に即して、入念に対策を講じれば、臭いを最小限に抑えることは可能です。

正しい臭い対策は、愛犬の健康を守ることにもつながりますし、犬にとっても人間にとっても快適な生活環境を整えることになります。愛犬と愛犬の周りの環境をよく観察し、臭いの原因を突き止めて、それぞれにあった対策を考えていきましょう。

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