動物愛護センターの実情と厳しい現実

動物愛護センターの実情と厳しい現実

動物愛護センターとは、各都道府県に設置され動物の保護や愛護に関する業務を行っている公的な施設です。どの都道府県にあるセンターでも人と動物が共生できる社会づくりを目指して日々活動しています。では動物愛護センターとはどのようなところなのか、ご紹介していきましょう。

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動物愛護センターの業務

犬の施設の外観

市民に対する動物愛護・適正飼育の普及啓発活動

犬猫の正しい飼育方法を伝える「飼い方教室」や、保育園・幼稚園、小学校において動物とのふれあい方を伝える「ふれあい教室」の開催を行います。また、動物愛護協会と一緒にしつけ教室を行ったり、犬の散歩指導を行ったりするところもあります。

近年多発している不審者事案に対して、犬の散歩を通じて町の見守り活動を行う「わんわんパトロール」活動が注目されていますが、こちらも都道府県の愛護センターがボランティアを募集したり研修したりしているんですよ。

動物取扱業の監視・指導業務

県内の動物取扱業者(ペットショップ、美容室、動物病院など)へ動物の適切な取り扱いを指導する仕事です。悪質な飼い方をしているショップやブリーダーがいた場合、行政の指導対象になります。

動物の保護・収容業務

迷子になったり負傷した動物の一時保護や、やむを得ない事情で飼育困難になった犬や猫の引き取りと新しい飼い主を探す業務です。愛護センターと言えばこちらの業務を思い浮かべる方が多いかもしれません。

迷子になって保護された動物は、迷子札を付けていたり飼い主情報が記録されているマイクロチップが注入されていれば、飼い主の元へ連絡をいれて引き取りに来てもらえます。飼い主の情報が分からなければ、ホームページ上に写真や特徴の情報を掲載して飼い主を捜します。また脱走してしまった動物の情報も掲載し、捜索のための情報提供を受付けることもあります。
飼い主の側にやむを得ない事情が発生した場合、動物の引き取りを行います。その後新しい飼い主を探しますが、どうしても引き取り手がいない場合は一定の期間を経過した後にその動物を殺処分する施設もあります。

愛護センターでの殺処分を減少させるための取り組み

犬と人の手

殺処分について

前述のとおり、多くの愛護センターでは動物の引き取りを行った後、一定期間に新しい飼い主が現れない場合は殺処分を行っています。処分「0」を掲げている施設もありますが、現状ではなかなか難しいところがほとんどでしょう。

総務省自然環境局(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html)によると平成28年の統計で、愛護センターや保健所に引き取られた犬猫の数が11万4千頭だったそうです。そのうち元の飼い主に返還されたり新しい飼い主に譲渡された数が約5万7千頭です。不幸なことに飼い主に巡り会わず、殺処分された動物の数は約5万6千頭でした。昭和50年代ではほぼ100%だった殺処分数が動物の愛護と管理に関する法律が施行されて以来年々減少していますが、まだまだ数が多いことが分かります。

また動物別内訳は犬がおよそ1万頭に対して猫の殺処分数は46万頭です。保護されたり、引き取りを依頼される猫の7割近くが幼齢の個体です。これは犬と比較して外飼いや飼い主不明の野良猫が多いこと、それらの猫に繁殖制限のための処置をしていないことが原因と考えられています。
犬猫の引き取り状況別内訳をみると、飼い主からの依頼による引き取りは11~15%ですが、犬、猫ともに所有者不明の場合が8割以上となっています。やむを得ない事情により愛護センターに引き取りを依頼される動物より、無責任な遺棄による迷子や野良で飼い主不在の動物の方が圧倒的に多いのです。

犬猫いずれも治療困難な病気にかかっていた場合、あるいは人に対する高い攻撃性がある場合など、譲渡が不可能と思われる場合にも殺処分の対象となります。

愛護センターの取り組み

多くの動物愛護センターでは、動物の殺処分数減少のために様々な取り組みを行っています。
まず施設が安易に動物を引き取らないことです。引き取り前に相談や面談を行うこと、依頼人の情報をきちんと提出してもらうことなどで、動物を手放すことを冷静に考える時間を取ってもらうようにしています。

犬に関してはしつけ教室など「動物の飼い方」教室を行うことも、安易に手放す人を減らす働きがありますね。

また引き取った動物に関しては積極的に譲渡先を探します。これはセンターや職員だけの取り組みではなく、地域の獣医師会、動物愛護協会やボランティアの協力が不可欠です。病気や健康状態のチェックを行い、場合によっては治療を行わなければいけません。
また特に猫では保護した段階ではまだへその緒が付いているといった状況も珍しくないため、ケージに入れっぱなしにしたりすぐに新しい飼い主さんに譲渡したりできる状態ではない場合があります。そのため授乳を行いある程度の月齢まで保育するミルクボランティアの協力がなければ、新しい譲渡先を探すこともできないのです。

さらに動物を増やさない、捨てない、迷子にさせないといった啓蒙活動も、殺処分を減らすための大切な取り組みでしょう。そのために犬猫の不妊手術を促進する事業や、飼い主情報のマイクロチップの装着を推進する事業を行っています。
 

最後に

犬と女性

愛護センターではほぼ常時、保護動物の情報を公開していますし保護動物と面会することができます。一頭でも多くの動物が新しい里親さんと新しい生活を送れるようになるといいですね。

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