ココアが犬に与える影響
ココア成分の主であるカカオに含まれる『テオブロミン』が犬には有害な成分となり、摂取してしまうとチョコレート中毒を起こします。(日本では飲み物をココア、食べ物をチョコレートと区分している。)
ココアの主な成分
- カカオポリフェノール
- テオブロミン
- リグニン
- マグネシウム
チョコレート中毒の症状
初期症状としては多尿と下痢が見られます。また、嘔吐や興奮、抑うつなどの精神状態が不安になることも。さらに中毒が進むと筋肉痙攣を起こし、呼吸困難、不整脈が起こり、最終的には痙攣、麻痺し、死に至ることがあります。
犬への影響は摂取量や犬の体重などによって異なります。テオブロミンの含有量はチョコレートの種類によって違います。
テオブロミン含有量
- 板チョコ(1枚あたり)→ 約60mg
- ミルクチョコレート(1枚あたり)→ 約132~180mg
- ビターチョコレート(1枚あたり)→ 約360~660mg
これを基準とすると犬の大きさにより以下の摂取量が許容量になります。
小型犬(5kg)
- ミルクチョコレート → 約2枚
- ビターチョコレート → 約3/4枚
中型犬(15kg)
- ミルクチョコレート → 約6枚
- ビターチョコレート → 約2枚
大型犬(30kg)
- ミルクチョコレート → 約11枚
- ビターチョコレート → 約6枚
意外と危険がないと見なされる量は多いように思えるかもしれません。しかし、影響については個体差があるためほんの少量でも重篤な症状を引き起こす可能性もあります。「少しなら大丈夫かな」などと安易に考えず十分に気をつけて摂取させないようにしましょう。
犬がココアを飲んでしまった場合の対処方法
この中毒には解毒剤はありません。そのため、できるだけ早く吐かせる処置が必要です。基本的には自分でやらず、獣医師の診察を受け吐かせる処置をとりましょう。深夜で獣医師の診察を受けられない場合は、落ち着いて応急処置を行ってください。
応急処置方法
食塩を使う
食塩を食べさせ、大量に水を飲むことを促し吐かせます。ただし量が多すぎると塩中毒を起こし死亡することもありますので、吐かないからと言ってたくさん飲ませることは絶対にやらないでください。大匙1杯の塩が約15gです。体重3㎏ぐらいの犬の場合この1/3の量で亡くなることがあります。
オキシドール(過酸化水素水)を使う
水で薄めたオキシドール(オキシドール:水=1:9)を飲ませて胃内に酸素を発生させ、吐かせます。目安は体重5kgに対して1ccです。必ずあごをつかんで、上を向かせてください。
口の脇にシリンダタイプかスポイトタイプのような物で少しずつ液体を流し入れ、飲み込んでいるのを確認してください。液体の量が多いと気管に入りむせてしまうこともありますので、十分注意をしてください。
この方法をとった場合は胃粘膜から出血が起こったり、潰瘍を起こしたりしますので危険な方法であることを認識しましょう。
応急処理を行った場合でもできるだけ早く獣医師の診察を受け、その際には応急処理の内容を獣医師に伝えてください。
すでにかなりの時間を経過してしまい吐かせることが難しい場合や、大量に摂取し致死量を超えてしまっているような場合は、緊急で胃洗浄や他の処置が必要となります。
少量の摂取でも食べてから6~12時間後に症状が現れます。愛犬の様子を注意して確認してください。
犬がココアを誤飲しないために飼い主が気をつけること
誤飲や誤食の原因で多いのは、棚やテーブルにココアが置いてあり犬が飲んでしまったというもの。また、散歩中に誰かが落としてしまったものを犬が拾い食いをしてしまったというものです。
防止策
- ココアを冷蔵庫で保管する
- 犬に拾い食いをしないようにしつけを行う
さらには、我が家でもよくある光景ですが、おやつを食べているとどこからともなく飛んで来る愛犬。つぶらな瞳でちょうだい、ちょうだい光線を送ってきます。毎回、これに負けて人間のおやつを与えてしまいます。
しかし、もしこの中にココアパウダーが入っていたら大変なことになります。人間用のおやつはできるだけ犬にあげないようにするかココアなどが含まれていないかしっかりと確認しましょう。
油断禁物!テオブロミンを含む食材
- ココア
- 緑茶
- コ−ラ
- チョコレート(ホワイトチョコレート、イチゴチョコレートなども含まれます)
犬とココアについてのまとめ
ココアのように人には健康に良いとされている物でも、犬にとっては大変な毒性を持つ食品や嗜好品は私たちの身の周りにたくさんあります。うっかりと置いてしまったココアやチョコレートを犬が食べてしまったら…。その後の愛犬の苦しんでいる姿を見て後悔することのないように、飼い主が細心の注意を払いきちんとトラブルを予防してください。
ユーザーのコメント
20代 女性 あめたま
我が家の場合は愛犬が誤ってホワイトチョコレート入りのクッキーを食べてしまいました。
すぐに吐かせた後に獣医に電話連絡をし、指示を仰いだところ「下痢をするかもしれませんが、吐かせたのであれば様子を見て大丈夫です」と言われました。
結果、愛犬は下痢をすることなく健康なまま1日を過ごしました。
もしかしたら気付かなかっただけで何らかの症状が出ていたのかもしれませんが、概ね元気に過ごしていたので病院にも連れて行きませんでした。
このように、チョコレート菓子を犬が口にしたらすぐに吐かせると中毒症状が出ない場合もあります。
ですが、最も大切なのは慌てずに専門医の指示を仰ぐ事です。
自己判断で応急処置をする事が一番危険なので注意しましょう。
女性 るりぽん
ご存知の方も多いと思いますが、息子が飲まず放置していたものをうちのワンコがぺろぺろとそれはもう美味しそうに飲んでいてさすがに慌てました。
その時点でココア=チョコと同じ成分が入ってると認識していたのですぐに止めました。
幸いにも大量に摂取していないので身体にも異変は見られずホッとしたのですが、本当にほんの一瞬の出来事で気をつけなければいけないなと改めて痛感しました。
なんといってもココア系のドリンクは甘い匂いがします。大好きなミルクの匂いもします。
もちろんミルクも犬用以外はあげていませんが、美味しいということは分かっていますから要注意です!
ワンコの味覚は「甘味」を一番に感じ、甘みが何よりも大好物なのでココアは確かに興味ありますよね。
でも記事に書かれているようにチョコと同じ、ワンコが摂取しては危ない成分が含まれているのでココアを日頃、愛飲されているご家庭では要注意されてくださいね。
とにかく、万が一摂取したときの対処も大切ですが、ワンコが口にしてはいけないものは目に付くところに置かない、手の届くところに置かないが鉄則です!