ナポリタンマスティフとは
ナポリタンマスティフは、「ナポリタン」という名前からも分かる通り、イタリア原産の大型犬です。
一般的に、マスティフと言えばイングランドマスティフのことを言いますが、マスティフの名前がつく犬種は世界中に存在しており、それぞれの国で独自の改良を重ねているので、見た目は全く違います。
一度見たら忘れられないほどインパクトのある怖ろしい顔。他の大型犬と比較して、顔のサイズも未だかつて見たことも無いほど大きいので、初めて見る人は驚きを隠せないようです。
ナポリタンマスティフの歴史
ナポリタンマスティフの先祖犬は、紀元前の古代ローマで、闘犬として活躍していた犬だと言われています。イタリア人の画家によって描かれた作品の中に、ナポリタンマスティフに似ている犬が描かれていたことなどから、19世紀頃までは確かに存在していた犬種でした。
20世紀に入り、絶滅の危機に瀕しましたが、愛犬家によって守られ、改良されて今日に至っています。この時の改良では、インパクトのある怖ろしい顔にするという点が重視され、たるんだ顔の皮膚や大きな体は、より一層迫力を増しました。
世界中で闘犬が禁止されるようになる頃には、ナポリタンマスティフも警察犬や番犬として人間のために働いたり、ドッグショーなどでも見かけたりするようになりました。
ナポリタンマスティフの特徴
平均体高は65cm~70cm、平均体重は50kg~60kgもあるので、人間の大人一人分の大きさであることが分かります。
顔はどこもかしこもたるんでいると言っても過言ではないほど、皮膚のたるみで顔の大きさが2倍になってしまっているという印象です。特に喉のたるみ(デューラップ)が一番の特徴とも言え、顔つきはお世辞にも優しそうとは言えない雰囲気です。
ナポリタンマスティフの皮膚のたるみは闘犬時代の名残であり、犬に噛みつかれた際に、痛みが軽減されるように改良されています。世界の三大恐怖犬種の一種でもあることから、常に近寄りがたい雰囲気を醸し出しています。歩く姿も、ライオンや熊に似ているとよく言われるほどゆっくりで、王者の気質が備わっているかのように見えるのが特徴です。
ナポリタンマスティフの性格
ナポリタンマスティフの見た目の恐ろしさについて、たっぷりと触れてきましたが、性格も見た目のように獰猛で恐ろしい犬なのでしょうか。闘犬として活躍してきた犬種が先祖なので、もちろん気質が荒くて警戒心も相当強いのでは?と思いますよね。
ところが、ナポリタンマスティフは、見た目とは正反対のとても穏やかで優しい性格をしています。主従関係がきちんと築かれてさえいれば、飼い主の命令も忠実に聞き入れ、おとなしく寝転がって静かに1日を過ごしているような犬種です。
動き回るのがあまり好きでは無いので、いつもじっとしていますが、番犬としての役割も担うことができるので、いざという時にはスピード感溢れる動きで家族を守ってくれます。
ナポリタンマスティフのしつけ
ナポリタンマスティフをしつけるには、飼い主をリーダーとして認めさせる、主従関係を構築することが一番重要なポイントです。闘犬だった頃の気質が根底にあるナポリタンマスティフは、絶対に他人に危害を加えない犬種であるとは言い切れません。優しく温厚な性格ではありますが、どんな時でも飼い主が犬をコントロールをできるようにしておかなければ、大きな事故にもつながりかねません。
ナポリタンマスティフをしつける際には、体罰を与えることはしないでください。上手にできたら褒めてあげる方法を取るほうが、強く叱りつけるよりよほど効果的です。また、ナポリタンマスティフは、あまり厳しくしつけをすると、威嚇されていると勘違いすることがあります。防衛本能の強い犬なので、威嚇されていると感じると、襲いかかって来る危険性があるのです。
感情的にならず、冷静な口調で接するように心掛けましょう。しつけが上手くいかない場合は、できるだけ早くプロのドッグトレーナーに相談することもおすすめです。そして、ナポリタンマスティフのしつけは、なるべく子犬のうちにしっかり行っておきたいところです。
ナポリタンマスティフの飼育方法
ナポリタンマスティフは大型犬なので、体を支える筋肉量を減らさないよう、ある程度の時間をかけた運動が毎日必要です。ナポリタンマスティフは、命令されない限りはあまり動きたがらない犬なので、飼い主さんが積極的に散歩に連れ出さなければ、運動不足になってしまいます。1日に3回、最低でも1時間ずつ、たっぷり時間を取って散歩に連れて行きましょう。
被毛のお手入れに関しては、そんなに神経質になる必要はありません。1週間に1度くらいはブラッシングをしてやり、しわの間は汚れが溜まりやすいので、濡れたタオルで拭き取り清潔にしてあげましょう。
ナポリタンマスティフの注意したい病気
体が大きなナポリタンマスティフは、股関節形成不全になりやすい犬種です。一般的に、ほとんどは遺伝的な要素から、この病気は起こっていますが、ナポリタンマスティフの場合は大型犬なので、成長の過程で発症してしまうことが多いです。急な体重の増加などが、股関節に負担をかけてしまい、骨が順調に成長しなくなります。
生後2か月から6か月にかけて発症することが多いので、スキップするような歩き方をしていたり、腰を左右に振るように歩いたりしている場合は、疑ってみた方が良いでしょう。
また、ナポリタンマスティフは、よだれが多いことと、体のしわが原因で、皮膚炎を起こしやすいです。濡れたタオルでこまめに拭き取り、清潔な状態を保つようにしてください。
目の裏側が炎症を起こして腫れてしまうチェリーアイも、ナポリタンマスティフのかかりやすい病気です。生まれつき発症しやすい犬種なので、予防法は特にありません。とにかく目に異常を感じたら、すぐに病院へ連れて行ってあげましょう。
まとめ
ナポリタンマスティフの性格は、強面の顔とは違い、優しく温厚です。しかし、闘犬としての血筋を受け継いでいるので、飼う際に油断は禁物です。ナポリタンマスティフは、初心者向けの犬種ではありません。主従関係を築き、どんな状況になっても命令を聞くようにしつけなくてはなりません。ナポリタンマスティフの優しい性格や、勇敢なところを上手く引き出してあげながら生活すると、素晴らしいパートナーになってくれるでしょう。
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女性 ふうた
30代 女性 匿名