ブリタニースパニエルってどんな犬?
現在、世界には約300を超える犬種が公式に登録されていると言われています。さらに非公式な犬種を含めると700~800ほどの犬種が存在しているというから驚きです。その中でも、今回はブリタニースパニエルという犬種について詳しくご紹介していきます。
まずはブリタニースパニエルについて、簡単な情報から見ていきましょう。ブリタニースパニエル(Brittany Spaniel)はフランスのブルターニュ地方原産の犬種で、フランスではフランス語で「エパニュールブルトン(Epagneul Breton)」と呼ばれています。
名前から見てもわかるとおり、元々スパニエル系の猟犬として活躍していましたが、主に行っていた役割としては追い出し作業や獲物の回収作業を担っていたため、スパニエルというよりもポインターとしての役割を持つことが大半だったと言われています。
賢く多くの芸を学習できることから、1896年には既にドッグショーに出演していたと記録されている犬種でもあります。原産国のフランスでは最も人気のある犬種の1種としても有名で、年間多くの登録数を誇っています。
ブリタニースパニエルの性格
スパニエル系の犬種でありながら、元々はポインターのような仕事を中心に担っていた猟犬・ブリタニースパニエルは、主に以下のような性格を持つ犬種です。
- 自立心が強い
- 環境に適応する能力が高い
- 陽気で穏やか
- 我慢強い
- 好奇心旺盛
環境に適応する能力が高く、穏やかであることから、元々猟犬として飼われていたブリタニースパニエルですが、最近では家庭犬として飼われるようになりました。では、早速ブリタニースパニエルのこれらの性格を1つずつ詳しく見ていきましょう。
自立心が強い
まず、ブリタニースパニエルは自立心が強いという性格的特徴が挙げられます。これはわがまま、ということではなく、強すぎる依存心を持たず、自分で考えて行動ができるという意味です。
そのため、甘えんぼう、寂しがりといった性格が前面に出ることは滅多になく、分離不安症などの症状から問題行動を頻繁に引き起こすといったこともありません。
ブリタニースパニエルは飼い主に依存し過ぎてしまうということがないため、他の犬種に比べても比較的お留守番が上手くできる犬種とも言えるでしょう。次でもお話ししますが、だからといって家族に対する愛情が薄い犬種ということではありません。
環境に適応する能力が高い
自立心が高い犬種ですが、頑固であるといった傾向は比較的低いため、その環境に適応する能力がとても高い犬種です。ブリーダーさんなどの元から新しい家族の家に引き取られても、比較的早く馴染める傾向にあります。
「元々は猟犬」と聞くと非常に警戒心が強く、小さい子どものいるご家庭では不安視されがちですが、ブリタニースパニエルは非常に適応能力が高く、家族に対する愛情も深い犬種です。そのため、しっかりしつけを行うことで子どもと一緒に遊んでくれる良い家庭犬となります。
また、飼い主と一緒に過ごしていくうちに、観察力が優れているため、少しの変化も感じ取ることができるようになります。またしつけも正しく行うことで飼い主の指示を正確にこなすことができる犬種です。
陽気で穏やか
上記でも軽く触れましたが、元々猟犬だったブリタニースパニエルは警戒心が強い、頑固といった勘違いをされることもありますが、実際は非常に陽気で穏やかな性格の犬種です。警戒心も強くないため、人や犬に対してフレンドリーに接することができます。
人懐っこい一面も持っているため、友人などが訪問してきた際も警戒し吠えたりせず、早い段階で仲良くなることができます。落ち着いた性格をしているため、しつけをしっかり行うことで飛び付き癖も付かなくなるでしょう。
我慢強い
ブリタニースパニエルの特徴として、我慢強いという性格も挙げられます。元々猟犬であったこともあり、リーダーである飼い主の指示を正確に理解し、実行に移す能力には非常に長けています。
「待て」と言われれば、飼い主からの許しが出るまで辛抱強く待ちますし、覚えさせることによって多くの芸も行うことができるようになります。
しかし、ここまでに何度も説明しているように、正しくしつけができていれば、ということが前提になります。どの犬種にも同じ事が言えますが、子犬のうちからしっかりしつけを行うことが良い家庭犬へと繋がります。
好奇心旺盛
ブリタニースパニエルは猟犬でしたが、他の猟犬とは少々異なる性格(穏やかなど)を持つ犬種でもあります。しかし、やはり元は猟犬です。非常に好奇心が旺盛で、動く物に反応したり、匂いを嗅ぎ回ったりと多くのことに興味を示します。
また頭を使い動き回ることも大好きな活発な一面も持ちますので、おもちゃを使った遊びを飼い主と一緒にする事を好む子もとても多いです。部屋の中を自由に歩き回らせると、様々な物に反応し、興味を示して匂いを嗅いだり、ジーッと見入っている姿が見られます。他にもペットを飼っているご家庭の場合は、その動物を追いかけないようしつける必要があるでしょう。
ブリタニースパニエルの特徴
穏やかで好奇心旺盛な愛情深いブリタニースパニエルは、正しくしつけることによって家庭犬としても優秀な犬になります。続いて、ブリタニースパニエルの体にはどのような特徴があるのでしょうか。大きさから被毛の特徴、さらにはブリタニースパニエルならではの身体的特徴を詳しく見ていきましょう。
大きさ
まずはブリタニースパニエルの大きさから確認しましょう。ブリタニースパニエルは体高が44~52cm、体重が13~18kgの中型犬に分類される犬種です。中型犬に分類される犬種ではありますが、比較的中型犬の中では小さめに見えるでしょう。また、鳥を専門としていた猟犬の中では、最も小さな犬種としても認定されており、室内でも飼育しやすい犬種として知られています。
被毛
ブリタニースパニエルの被毛は短めですが、毛先が少しカーリングしている点が特徴的です。なめらかな肌触りの被毛でブラッシング自体も頻度は少なめで良いとされています。
しかし、ブラッシングはスキンシップにもなりますので、綺麗な被毛を保ちやすいブリタニースパニエルであっても、コミュニケーションの一環として毎日行ってあげると喜びます。血行促進にも効果的ですよ!
また、ブリタニースパニエルの被毛は短めですがダブルコート犬種ですので、寒さには強い性質を持っています。しかしその反面、夏は少しばかり暑さを感じやすいため、温度管理には気を付けてあげましょう。
ブリタニースパニエルの被毛は、基本的にホワイトカラーがベースです。そこにオレンジやブラック、パイボールドなどの色が混ざり、模様のようになっています。1頭1頭の個性が光りますね!
しかし、国際畜犬連盟によって1956年以降、被毛のベースカラーがブラックの個体もブリタニースパニエルとして認められるようになりました。今でもホワイトベースのブリタニースパニエルが多いですが、中にはブラックベースのブリタニースパニエルも見られます。
たくましい筋肉を持つ
ブリタニースパニエルは、鳥猟犬の中出は最も小さい犬種であると言われていますが、パット見てもわかるくらい猟犬に相応しいたくましい筋肉を持っています。
やはりこの体にしっかりとついた筋肉は、獲物を狩る際に必要となる筋肉が備わったために、見た目からでもわかる筋肉質な体型となっています。
そのため、獲物を追いかける際の速さや持久力はもちろんのこと、跳んで捕獲するための脚力にも十分な力が発揮できるようになっています。
尻尾がない個体も存在する
犬には犬種によって長さに差はありますが尻尾が付いています。その尻尾の動きを見て、犬に心理を読み解こうとする飼い主さんも多いでしょう。しかし、ブリタニースパニエルの場合、中には尻尾がない個体も存在します。
これは先天的なものと後天的なものがあり、生まれたときから既に尻尾がない子もいれば、生まれた後に猟をする際に邪魔になってしまう、怪我をする恐れがあるという理由から断尾することもあります。先天的にしっぽがない状態で生まれてきた場合は、遺伝子が関係しています。
遺伝として親をはじめとした祖先にしっぽのないブリタニースパニエルがいると、生まれた時点で尻尾がない状態で生まれます。特に病気ということではないため、安心してください。
ブリタニースパニエルの値段
日本国内でブリタニースパニエルを家族として迎える場合、子犬の時期に迎えるご家庭が多いでしょう。では、ブリタニースパニエルの子犬は、平均でどのくらいの価格相場なのでしょうか。最近ではブリタニースパニエルの子犬の平均価格は、約18万円前後とされています。
価格が高く設定されている場合は20万円ほど、反対にブリーダーさんやペットショップ側が低く設定している場合には10万円を下回ることもあります。しかし、基本的には15~20万円の間で取引されていることがほとんどですので、ブリタニースパニエルを迎えたいと考えている方は、このくらいの価格を目安に考えましょう。
ブリタニースパニエルをブリーダーから迎えるには
ブリタニースパニエルを家族として迎える場合は、ペットショップから迎える方法とブリーダーさんから迎える方法の2種類を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実際はペットショップにブリタニースパニエルが在籍していることは珍しく、一般的にはブリーダーさんから引き取る家庭が大半です。
ブリタニースパニエルをブリーダーさんから引き取る場合、まずはブリタニースパニエルをブリーディングしている犬舎を探す必要があります。現在、ブリタニースパニエルをブリーディングしている犬舎さんは、全国で2箇所あります。
広島県と愛知県ですが、広島県の犬舎さんは出張も行っているため、関東や四国、九州にお住まいの方も問い合わせることが可能です。ブリタニースパニエルを取り扱う犬舎は全国でも多くはありません。
そのため、ブリタニースパニエルを迎えたいと強く考えており、すでに様々な面を考慮し飼育できる環境が整っているという方は一度問い合わせてみると良いでしょう。犬舎から引き取る場合は、育ててくださっているブリーダーさんが丁寧に飼い方やしつけの仕方、おすすめのドッグフードなどを教えてくださいます。初めてブリタニースパニエルを迎える方も安心ですね!
ブリタニースパニエルの里親になるには
ブリーダーさんから引き取るという方法の他にも里親募集にかけられているブリタニースパニエルを迎えるという方法があります。
しかし、当たり前ですが常に募集がかけられているわけではありませんし、里親に出されている子は一度飼育を放棄されていることが多いため、犬のことを考えても常に里親に出されていては困ります。
また、一般家庭で生まれ里親募集に出されているのではなく、飼育放棄をされてしまったり、捨てられてしまった犬は心に大きな傷を抱えています。人間に対して恐怖心を持っている子も多いでしょう。
したがって、ブリタニースパニエルをはじめとした保護犬に対しては、簡単に家族に迎えるという決断はしないでください。その子のすべてを受け入れ、一生懸命愛情を注ぎ、最期の時までお世話をするということの重大さをしっかり覚悟した上で、トライアルに応募しましょう。
ブリタニースパニエルの飼い方
ここまでブリタニースパニエルの性格や身体的特徴など、様々な情報をご紹介してきましたが、ここまで読んで「やっぱりブリタニースパニエルを家族として迎えよう」と考えている方に向けて、次にブリタニースパニエルの飼い方をご紹介します。
環境
ブリタニースパニエルは紹介したとおり環境適応能力が非常に高い犬種です。そのため、基本的にはどのような家庭であってもその環境を把握し、それに適応することができます。しかし、一般的にブリタニースパニエルは室内で飼育するのが好ましいと言われています。
これは、飼い主とのコミュニケーションを多く取り、飼い主の指示を聞いたり、飼い主の感情を読み取りコミュニケーション能力を高める効果があるからです。また被毛は短いですがダブルコート犬種のため、冬は強いですが夏は少々弱い傾向にあります。
特に日本の夏は暑いため、シングルコート犬種でも過ごしにくい暑さです。そのため、室内の温度管理や散歩の時間帯などは考えてあげましょう。
運動
ブリタニースパニエルは元々猟犬だったこともあり、多くの運動量を必要とします。1日1時間以上の散歩を2回は必要とするため、体力のある人や散歩の時間をしっかりとってあげることができる人におすすめです。
また走ったり、何かを追いかけたりすることが好きなブリタニースパニエルは、散歩中に少し走ってみたり、ドッグランに連れて行ってみるなど、運動や遊びの中に工夫を取り入れてあげると喜びます。
また家の中で遊ぶ際は、おもちゃを引っ張り合ったり、軽くボールを投げて取りに行かせるといった遊びを取り入れてあげましょう。他にもおやつを隠し、嗅覚で探させるといったゲーム感覚の遊びも猟犬の本能を刺激するため、積極的に参加してくれますよ!
お手入れ
お手入れに関しては、他の犬種と比較しても手間がかからない犬種と言えます。ダブルコート犬種ですが、毛質や被毛の長さから毎日ブラッシングをしなくても綺麗に維持することは可能です。しかし、ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、同時に血行促進やスキンシップといった効果もあります。
これらを考えると、飼い主とブリタニースパニエルのコミュニケーションのためにも毎日行ってあげることが望ましいでしょう。また垂れ耳の犬種ですので、耳の掃除は定期的に行う必要があります。汚れたまま放置していると外耳炎になってしまう恐れがあります。
耳掃除に自身がない場合は、トリミングサロンに連れて行った際に耳掃除もお願いしたり、動物病院で定期的に行ってもらいましょう。
ブリタニースパニエルのしつけ
ブリタニースパニエルは正しくしっかりしつけることで、飼い主に対する服従心はしっかり育ちます。しかし、自立心が強い傾向があるため、しつけを怠ると自分で考え勝手な行動を起こしてしまい、後に問題行動に繋がりやすくなってしまいます。
ブリタニースパニエルは、元々猟犬であったこともあり、トレーニングなどは嫌がらない性格ですので、比較的しつけはしやすい犬種と言えるでしょう。また、好奇心も旺盛でチャレンジ精神も旺盛です。そのため、しっかりしつけができ、さらにトレーニングをする余裕があるのであれば、競技大会やドッグスポーツへの参加も検討してみると良いでしょう。
ブリタニースパニエルの寿命
最後にブリタニースパニエルの寿命と患いやすい病気について見ていきましょう。ブリタニースパニエルは丈夫な体を持っている犬種のため、遺伝性の疾患を患うことは少ないと言われています。
そのため、寿命も12~13歳と中型犬の中では平均的です。しかし、丈夫な体を持つ健康的なブリタニースパニエルでも患いやすい疾患は存在します。主に患いやすい疾患は以下の病気です。
- 皮膚糸状菌症
- 眼瞼炎
- 股関節形成不全
この3つが主に患いやすい病気として挙げられます。免疫力が弱まっているときや、子犬期などの低下している状態でかかりやすい病気も多くありますので、子犬期やシニア期は特に気を付けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?ブリタニースパニエルは活発で遊び好きな犬種ですが、しっかりしつけをすることで素敵な家庭犬となります。
ペットショップで見かけることは少ないですが、ブリタニースパニエルを扱っている犬舎はありますので、ブリタニースパニエルを家族に迎えたいと考えている方はブリーダーさんに問い合わせてみましょう。
ユーザーのコメント
女性 ふうた
男性 匿名
ブリタニーを飼っている他の飼い主さんのところも皆同じような感じで、とても愛すべき犬種です。
運動量は多い・・・というか疲れ知らずなので、普段は家族で3回以上、トータル2時間以上散歩に連れ出してますが、そこまでやらなくても大丈夫だとは思います。
日本でも、もっともっと飼う人が増えてほしい犬種です。