愛犬の麻酔、何歳まで大丈夫?
愛犬が、何かしらの病気や思いがけないケガで手術をすることになったとき、全身麻酔をすることがありますよね。
なぜ全身麻酔が多いのか?
人間の場合、ちょっとした傷や抜歯程度であれば局部麻酔、大きな外科手術などであれば全身麻酔が行われますが、ワンちゃんも全く一緒というわけではありません。
大きな手術の場合でも小さい傷の場合でも全身麻酔が使われることが大半です。なぜワンちゃんは全身麻酔が多いのでしょうか?
その理由は、大人しく治療を受けられないからなのです。触診だけでは判断できない場合、医療機器を使って検査を行いますよね。特に検査に時間のかかるMRIやCTスキャンなどでも、動いてしまうと正確な検査ができないので全身麻酔をかけることがあります。
こういった経緯から動物病院の多くが、診察や処置時の麻酔は全身麻酔を使っているということをまず理解しないといけませんね。
麻酔の年齢制限
小さい傷や検査をするだけでも全身麻酔が行われることがわかりましたが、ワンちゃんの麻酔に年齢制限はあるのでしょうか?
結果からお伝えすると、年齢制限はありません。しかし、特にシニア期にさしかかったわんちゃん、つまり10歳以上のワンちゃん(大型犬は8歳以上)の場合、麻酔による影響により体の負担が若い子とくらべて大きいため、十分な検査が必要になる場合が多いです。
また、年齢だけでなくワンちゃんの今の健康状態によっては麻酔自体がNGになることもあります。
老犬に麻酔を打つとリスクがある?
前述で10歳以上のワンちゃんに麻酔を行うとリスクが高くなるとお伝えしましたが、老犬といえる年齢になるとさらに麻酔のリスクは高まります。
麻酔による影響はどんなものがあるの?
麻酔が体にあたえる影響は以下の通りです。
- 循環障害
- 呼吸器障害
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 精神的症状
小型~中型犬であれば12歳以上、大型犬であれば10歳以上だと老犬ともいえる年齢になります。麻酔による弊害に関しては、健康な成犬でも100パーセント出ないとは言い切れません。
また、その弊害も一時的なものとして終わるものもあれば、後遺症として残る場合もあります。これは、ベテランの獣医でも正確な予測判断ができないといわれています。
なので、そのリスクを少しでも減らすために術前検査というものを行うのです。
麻酔による死亡率
麻酔を受けたことで最悪の場合死に至るケースも報告されています。大学病院など、比較的規模の大きい動物病院で公開されている情報を見る限り、麻酔による死亡率は0.1~0.3パーセントといわれています。
約300~1000件のうち1件は麻酔による死亡が起きているという計算になります。このように聞くと決して少ない件数ではありませんよね。
年齢以外にも麻酔によるリスクが高まるもの
10歳以上(大型犬の場合8歳以上)の場合、麻酔によるリスクが高まるとお伝えしてきました。しかし、年齢以外にも副作用などのリスクが上がるケースがあります。
持病を持っている場合
次の持病を抱えているワンちゃんは特に麻酔による危険性が高くなります。
- 心臓疾患
- 呼吸器疾患
- 肝機能障害
- 腎臓の疾患
- 肥満
麻酔は心臓や呼吸器に大きな負担を与える可能性が高いため、元々それらの持病を抱えているワンちゃんには、通常よりもさらに負担がかかってしまうおそれがあります。
犬種による場合
- パグ
- ブルドッグ
- フレンチブルドッグ
- シーズー
- ボストンテリア
上記のような短頭種のワンちゃんも麻酔の危険性が高まります。理由としては、鼻の穴が狭く呼吸が上手ではない短頭種は、麻酔の影響によっては呼吸が不安定になったり、酷い場合は呼吸困難になるケースもあります。
麻酔のかけ始めと目を覚ました後が一番危険と言われているので、きちんと獣医さんに見守ってもらうようお願いした方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?年齢を中心に麻酔に関するリスクをご紹介しましたが、私たち飼い主にもできることがあります。まずは、本当に麻酔が必要な状態かどうか獣医さんとよく相談しましょう。
また、麻酔を受ける場合愛犬の健康状態が大きく影響してきますので、持病の有無や体調の変化など気になることがあれば事細かに伝えておきましょう。
術前検査の内容などもきちんと飼い主が理解する必要があります。分からないところをそのままにせず納得がいった上でお願いしたいですね。
ユーザーのコメント
20代 男性 動物看護師
術前検査に関しては何歳であろうとも麻酔のリスクはありますので必ず実施をおすすめします。
さらに麻酔をかけた後も心拍や血圧、体内の酸素濃度、体温、呼吸状態などなどモニタリングをしておりますので異常があれば手術の中断、対処できるものであれば続行という形で人間同様行っていきます。
麻酔に関して過敏に心配される飼い主もおられますが麻酔のリスクと現状の病態の放置とを天秤にかけた時、どちらがそのわんちゃん猫ちゃんにとって
マイナスなのかよく考えてから判断して頂ければと思います。