犬のワクチンについて
ワクチン接種は、犬にとっては、「伝染病から守る大切な習慣」と私は思っています。愛犬が元気で過ごすため、健康でいてほしいと思うなら、"予防”はとても大切なことだと思います。
もしかすると、飼い主さまの中には、先生にすすめられるままワクチンの種類を決めていらっしゃる方もいるかもしれませんが、種類によって予防できる病気があること、種類によっては体に負担がかかったりアレルギーや副作用を起こしてしまう犬もいること、ワクチンを接種できない場合があるなども知っていただけたらと思います。
そして、必ずしも多く受ければ安心できるというわけではありません。
犬のワクチンの種類
ワクチンには対応するウイルスや感染症によって種類があります。
わかりやすく説明すると、「5種混合ワクチン」であれば、「5種類」の病気を予防するためのワクチンです。
なので、「6種混合ワクチン」であれば、5種にプラス1種類で6種ということになります。
ワクチンの種類と料金
ワクチンの料金はその製造メーカーによって変わってきます。
同じ5種混合ワクチンと名前の付いた種類のワクチンでも、動物病院に毎に取り扱っているメーカーが違う場合があり、そのメーカーによって料金の差が出るのです。
2種混合ワクチン
犬ジステンバー、及び犬パルボウイルス感染症の、2種類の病気を予防するワクチンです。
料金は、5,000~6,000円。
5種混合ワクチン
2種混合ワクチンに、「犬伝染性肝炎」「犬アデノウィルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)」「犬パラインフルエンザウイルス感染症」5種類の病気を予防するワクチンです。
料金は、5,000~7,000円。
6種混合ワクチン
5種混合ワクチンにプラスして、「犬コロナウイルス感染症」計6種類の病気を予防します。
料金は、6,000~8,000円。
8種混合ワクチン
6種混合ワクチンに加え、「犬レプトスピラ感染症」を追加したし、8種類の病気を予防するワクチンです。
※犬レプトスピラ感染症の場合、2種類のワクチンを摂取します。
料金は、8,000~10,000円。
ワクチンが予防してくれる病気の種類
犬ジステンバー
犬ジステンバーを発症すると、高い熱や目やにまた鼻水がが多く出たり、食欲不振や元気がなくなります。
これに加え、下痢や嘔吐の症状もでます。この病気を放置し病状が進んでしまうと、神経系統が異常をきたし、場合によっては麻痺などの重い後遺症が残る場合があります。※死亡率の高いため注意すべき病気です
犬パルボウイスル感染症
主な症状として、「激しい嘔吐」「激しい下痢」を起こします。
また、食欲も無くなるため、急激に衰弱する危険があります。重症化すると、ひどい脱水症状を起こし、短時間で死亡することがあります。
感染性が強いのも特徴です。※死亡率の高いため注意すべき病気です
犬伝染性肝炎
主な症状は、発熱や嘔吐、腹痛や下痢が見られ、後遺症として目が白く濁る症状も見られます。
得意に注意すべきは、生後1年未満の子犬等で、もし感染したならば、症状をまったく見せないまま、突然死することもあります。
犬アデノウィルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
発熱、鼻水、くしゃみ等、人間の風邪のような症状に加え、食欲不振や短く乾いた咳がでて、重傷になると肺炎を起こすこともあります。
犬アデノウィルスは、他のウイルスとの混合感染を起こすと、より症状が重くなるため、その場合死亡率が高くなる注意すべき病気です。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
風邪症状がでて、混合感染や二次感染が起こると重症になり、死亡することがあります。伝染性が非常に高い病気です。
犬コロナウイルス感染症
子犬が感染すると、嘔吐や重度の水下痢を起こします。
ただ、成犬であれば、軽い胃腸炎ですむことが多いため、整腸剤等で、腸内をの健康を保つ事で、数日で治ることもあります。
ただし、犬パルボウイルスと、混合感染した場合では重症化することもあるので、注意が必要な感染症です。
犬レプトスピラ感染症
この感染症は、人にも感染することもあるので、注意が必要です。主に暖かい地域に多くみられます。
症状は、発熱、脱水、出血などを起こし、重症化すると死に至ることもある病気です。
ワクチンの副作用について
予防は大事です。ですが、人間のインフルエンザ予防ワクチンのように、犬もワクチンの種類や相性によって、接種による副作用が出る場合があります。
これは個体差があり、子犬で8種混合ワクチンを接種しても何の副作用もでない犬もいます。
ですが、5種混合ワクチンで副作用がでる犬もいます。ワクチンの過剰接種によって、免疫系の混乱を招いてしまい、癌や心不全の病気を誘発する場合があるそうです。
私が一番心配なのは、「アナフィラキシーショック」です。
アナフィラキシーショックになると犬が死にいたることもあります。これも個体差があるので、先生に相談の上でワクチンの種類をご選択されたほうが良いかと思います。
我が家の愛犬の場合・・・
我が家の愛犬は、子犬の時に2回目のワクチン接種で5種混合ワクチン接種をしたところ、副作用がでて、発熱と顔が腫れあがりました。
ワクチン接種をした際には、先生から接種後10~15分は院内で様子を見て、特に体調が崩れたり副作用がでないようであれば、帰宅して大丈夫ですと言われます。
そしてその日は大人しく過ごすようにと。3日間の間に副作用がでる場合があるので、様子を見るようにも言われます。
うちの愛犬は、午前中に接種しましたが、帰宅後の夜に発熱と顔が腫れました。
すぐに病院へ電話して様子を伝えたところ、食欲があるかの確認とぐったりしていないかを聞かれましたが、それは大丈夫でしたので、次の日まで様子見となりました。
でも子犬だったためか、病院に電話してから3時間後に「様子はどうですか?」とお電話をいただき、その時には熱も腫れも引いていたので、大丈夫ですねと言われ、安心したのを覚えています。
3回目のワクチンの時には、愛犬のかかりつけの動物病院では、5種混合ワクチンと6種混合ワクチンではメーカーが違うため、副作用も違うので、出ないかもしれないと言われ、6種に変えたところ副作用はでませんでした。(一応アレルギー止めのお薬を持ち帰りで出してくださいました)
心配な場合には、ワクチン接種の前にアレルギー止めのお注射をしてくださることもありますが、副作用はでなくなってもワクチンの効果が少し効きづらくなることがあるそうです。
ワクチン接種証明書が必要??
ワクチンを接種することは、愛犬を死にいたるような怖い感染病から守ることができ、周囲の犬にうつさないことにもなります。
わんちゃんとお過ごしの方でしたら、楽しみでもある、ドッグランや、ドックカフェ、ペットとホテル一緒に泊まれるホテルに行きたくなりますよね?
ですが、そういった場所へ連れていくには、ワクチン接種と狂犬病接種を証明するものを提示することが求められます。(接種一年以内のもの)
急な外出や仕事などの都合で、ペットホテルに預ける際にも、接種していなければ断られてしまいます。
副作用についても接種時には頭にいれてほしいですが、周りのわんちゃんのためにも、自分のわんちゃんのためにもワクチン接種は必要となることもあります。
ワクチン接種を行う頻度について
ワクチンの接種は、狂犬病注射のように、法によって接種が義務づけられてはいません。なので、混合ワクチンの摂取の判断は、「飼い主の判断」となっています。
愛犬にワクチン接種させる頻度は、成犬であれば年1回「補強接種」する事がが望ましいです。動物病院で摂取を受けた場合、健康手帳に今年の接種日とシールが貼られ、来年の予定日が記入されますので、とてもわかりやすくなっています。
子犬の場合は、母親からもらった免疫が弱ってくるので、生後2ヶ月前後で1回、生後3ヶ月で1回、生後4ヶ月で1回の年3回をすすめる獣医さんが多いようです。
また、生後1年で1回、以後は1年ごとにという病院もあれば、3年ごとに1回というところもあるようですね。そして10歳以上のシニアになった際には控えた方がよいと考える獣医さんが多いです。
このように、混合ワクチンの接種に関しては、動物病院の先生によって、方針が変わってくるため、
出来れば、日頃から愛犬の体調や環境を知ってもらえる「かかりつけの獣医さん」と相談して、どのワクチンを摂取するか決めることをおすすめします。
また、混合ワクチンの種類や接種をする犬種によってワクチンが持続する長さが変化してきます。
3年~7年の効果があるという意見もありますが、2003年に発表された米国動物病院協会の発言では、「1歳以上の犬・猫の場合、3年~4年ごとの接種で問題無い」と発表しました。
近年では、日本でも「1年に1回のワクチン接種」を見直す先生が増えているようです。
私の愛犬が通う動物病院では、今のところ毎年接種となっているので、毎年接種をしようと思っています。
犬が持病や妊娠中、高齢などの場合
基本的に、ワクチンは接種したほうが危険な病気から愛犬を守れます。また、周りのわんちゃんにも迷惑をかけることがないというメリットがある事がわかったと思います。
しかし、ワクチンの種類や強さによる副作用についても考えなければなりません。中には持病を持っている犬、妊娠中の犬、シニアのため体への負担が大きい等で、受ける事ができない場合もあります。
これについては、日頃からお世話になっている動物病院へ、今までの病歴や持病等を踏まえて先生とご相談をして、無理はさせられないと判断された場合には、ワクチン接種はしません。
ワクチン接種を証明する書類が必要になった場合は、先生にお願いしましたら、こういった理由によりワクチン接種ができないという証明証を毎年更新で出してくださるので、証明書はこれを提出することになります。
こういった証明書を発行している場合、注意が必要です。当然ですが、実際にはワクチン接種を行っていないため、病気が感染する可能性があるためです。
例えばなんらかの理由で、ドックランに入れたとしても、その時は出来るだけ他の犬と触れさせないように愛犬の管理は徹底しましょう。
よそ様のわんちゃんへの過度な接触がないように、また近くに来てくれるわんちゃんもいますが、ほどよい距離を保つことをおすすめします。また、そのような時はドッグランの使用を控える事も必要です。
まとめ
ワクチンを接種しても、あくまでワクチンですので100%感染を防げるわけではありません。
また、100%安全なワクチンもないということも覚えておいてください。高い予防効果がある反面、高いリスクがあることを覚えておくことは損ではないですし、今一度、うちの子は今のワクチンで大丈夫だろうか?と考えてみることもおすすめします。
いかがでしたでしょうか?ワクチンの種類、接種することでどんな病気の予防となるかについて、ご理解いただけましたでしょうか?
ぜひ今後のワクチン接種の参考にしていただけたらと思います。
ユーザーのコメント
女性 ゴン吉
愛犬2頭とも8種混合を打っています。今のところアレルギーやショック症状は出たことがないので、今回の記事を読んだときに副作用が出ることもあるのだと知り少々びくびくしてしまいました。なぜ8種かというと、そこの獣医さんが副作用の面でも一番安全だと判断しているのがこの8種混合だからです。
ワクチンですから、合う合わないやその時の体調で副作用も出やすくなってしまいますよね。愛犬の1頭は高齢犬なので、混合ワクチンの接種の有無は獣医さんと相談しながら決めています。体調も崩しやすいので、特に問題のない時を探りながらお願いしています。今年はワクチン接種の時期に腎臓の炎症が重なってしまい2週間ほどずれてしまいましたが、特に問題もなく安心しました。
高齢犬だからといってワクチンを接種しないと、病気を予防できないリスクが生まれてしまいます。ある程度の年になると動物病院にはお世話になる機会も増えてきます。他のわんちゃんと同じ空間にいることも増えてしまうので、その場合は呼ばれるまで外や車中で待機するなど、移すことも移されることもないように気を付けなくてはなりませんね。
女性 ワミ
30代 女性 ちょびこ
30代 女性 zzz
毎年きちんと接種していますが、一度ケンネルコフに感染したことがあります。ペットホテルで感染したようでした。ワクチンを接種しているからといって、必ず病気を予防できるわけではなさそうですが、症状は軽く済む場合があるそうです。
ドッグランやペットホテルなどの犬が多く集まる場に行かれる機会がある方は、必ず混合ワクチンの接種はしておいた方がよいと思われます。また、かわいいですがむやみに子犬には近付けない方が賢明です。
50代以上 男性 安田 獣医師
・接種方法に関して現在、最も信頼され科学的根拠があるのは世界小動物獣医師会(WSAVA)が提示しているワクチネーションガイドラインです。
世界の獣医学の専門家による提言です。これ以外の方法はないと言っても過言ではありません。常に見直しが行われていますので、過去の提言を採用している病院もあります。
最新版です。http://www.wsava.org/guidelines/vaccination-guidelines
・最新版の要約は、以下のとおりです。
このガイドラインの目的は、副作用を減らし動物に優しい獣医療のため、エビデンスに基づいたワクチネーションを実施するためです。
①ワクチンをコア(ジステンパー、アデノ、パルボ)、ノンコア(レプトスピラ、パラインフルエンザなど)及び非推奨(コロナ)に分類する。
②全ての犬(猫)にコアワクチンを接種する。
③コアワクチンの最終接種を16週齢(4か月齢)以降にする。
④コアワクチン最終接種後4週間以上あけて抗体検査を行う。
⑤状況によりコアワクチンを26週齢から52週齢で再接種を行う。
⑥以降3年以内にコアワクチンを接種しない。
⑦必要に応じて抗体検査を行い動物の状態を検査する。
⑧ノンコアワクチンは、地域の特性に合わせて毎年接種する。
⑨狂犬病ワクチンは、その国の法律に従う。
・以上から、毎年、3年毎の全種類接種という成犬のプログラムは存在しなくなりました。
・子犬の時期にしっかりとコアワクチン接種を行えば抗体は長期間持続します。
・抗体検査を行い、抗体がなければ打つ、あれば打たない、事が副作用防止の観点から必 要です。
30代 女性 イイコ
ネットで調べると、毎年打つ必要はないとおっしゃる意見があったり、副作用で重篤な症状に陥ったケースの症例があったりで、もしものことがあったらどうしようと不安になってしまいます。
病気を未然に防ぐためのワクチンなのに、そのワクチンで命が脅かされたら元も子もありませんもんね。
しかし、やはりワクチンで予防できる病気は、実際に感染したらそれこそ命が脅かされるような大変な病気なのできちんと受けることにしています。
うちの犬は、獣医さんと相談をして5種混合ワクチンにしています。お住まいの地域によって感染リスクのあるウイルスの発生頻度は違うでしょうから、信頼できる獣医さんと密に相談して愛犬の健康を守っていきたいですね。
女性 そらまめ