ボルゾイがかかりやすい病気と予防法
犬にはその犬種によって掛かりやすい病気というのがあります。ボルゾイもまた例外ではありません。
ボルゾイのかかりやすい病気には、飼い主の努力によって予防できるものがあります。
- 胃捻転
- 皮膚疾患
- 外耳炎
- 熱中症
胃捻転
症状
- よだれが増える
- 腹部が膨れる
- 苦しむ
- 落ち着きがなくなるなど
があり最悪の場合死に至ります。胃捻転を起こした場合は、進行が速いので急いで獣医師に手術してもらう必要があります。
胃捻転は胃が捻じれて、ガスが溜まり、膨らんだ胃によって周囲の血管や臓器が圧迫されることで様々な症状が起こります。
予防法
- 食前や食後すぐに運動させない
- 一度に多くの水や食事を採らない
- 食器の置き場所を高くする
胃捻転の予防法としては、食前や食後すぐに運動させないこと、一度に多くの水や食事を採らない(食事は2回程度に分けるとよい)、ボルゾイの食事の際に頭が下がりすぎないように、食器の置き場所を高くすることなどがあります。
皮膚疾患
症状
- 脱毛
- 痒み
- 皮膚の異常
原因
- 寄生虫
- アレルギー
- 紫外線の浴びすぎ
- 自己免疫性の病気
主に脱毛、痒がる、皮膚の異常などの症状が見られます。皮膚疾患には様々なものがあるので、何の病気かを突き止めるために獣医に診てもらう必要があります。
ボルゾイが発症しやすい皮膚疾患には様々なものがあり、原因も様々です。
寄生虫による毛包虫症、アレルギーなどでもみられる肢端舐性皮膚炎、紫外線が原因の日光過敏症、自己免疫性の皮膚病である落葉状天疱瘡や円板状紅斑性狼瘡などが一例として挙げられます。
予防が出来ないものもありますが、紫外線の浴びすぎに気を付けたり、ブラッシングやシャンプーなどで被毛と皮膚を清潔に保つことでボルゾイの皮膚疾患を予防できる病気もあります。
ただし、シャンプーのし過ぎは皮膚トラブルを招く場合があるので、月に1~2回程度の適切なシャンプーをボルゾイに心掛けるようにします。
外耳炎
症状
- 耳をこすりつける
- 頭を振る
- 耳の後ろを掻く
- 耳が汚れ異臭がする
- 耳の穴が腫れる
耳を床などにこすりつける、頭を振る、耳の後ろを掻く、耳が汚れ異臭がする、耳の穴が腫れるなどの症状が見られます。治療には、耳垢の除去、異物の除去、抗生物質の投与などを行ないます。
原因
- 細菌や寄生虫の繁殖
- 耳への異物混入
- 耳の通気性が悪い
- アレルギー
外耳炎は耳の穴から鼓膜までの外耳道が炎症を起こす病気で、細菌や寄生虫の繁殖、耳への異物混入などが原因とされています。
ボルゾイは耳が垂れているため通気性が悪く外耳炎になりやすいのです。気温と湿度が高い春から秋にかけては特に注意が必要です。
予防
- 週に1~2回程度の耳掃除
- 耳の中をこまめに確認する
- 犬用のイヤークリーナーを使う
予防としては、週に1~2回程度の耳掃除で耳の中を清潔に保つことです。ボルゾイの耳の中を確認し、耳垢がついている場合は、綿棒などは使わず、コットンなどを使い犬用のイヤークリーナーを使用してもよいでしょう。
ただし、耳掃除のし過ぎはボルゾイの耳を傷つけ、逆効果になる場合もあるので、無理に汚れを全て取ろうとせずにやさしく行なうことが大切です。また、奥まで指を入れすぎると鼓膜を傷つけてしまうこともあるので、指の届く範囲で行うようにしましょう。
熱中症
症状
- 元気がない
- 呼吸が荒い
- 食欲がない
- フラフラと歩く
- よだれが大量に出る
ロシア原産で長毛をまとったボルゾイは、暑さに弱く夏の暑い時には注意が必要です。
熱中症になった場合、ぐったりして元気がない、呼吸が荒い、食欲がない、フラフラと歩く、よだれが大量に出るなどの症状が見られます。
さらに下痢、嘔吐、痙攣などの症状が出たら緊急事態です。水をかけるなど体を冷やし、急いで獣医師に処置をしてもらう必要があります。
特にボルゾイを運動や散歩をさせる際には、暑い時間帯を避ける、時間を短めに切り上げる、水分補給をするなどの予防が必要です。
ボルゾイの病気は予防が難しい
上記では、ボルゾイのかかりやすい病気の中でも、日頃から気を付けることで予防につながるものを紹介しました。
しかし、ボルゾイに注意が必要な病気の中には、その原因が分からないなどの理由で予防することが難しい病気もあります。
以下はその中の一例です。治療の方法が確立されていないものもありますが、早期発見で進行を遅らせられるものもあります。ボルゾイの様子の異変で病気にいち早く気づける場合もあります。
- 血小板減少症
- 肥大性骨ジストロフィー
- ウォーブラー症候群
- 変性性脊髄症
- 骨肉腫
血小板減少症
症状
- 口の中や皮膚に点状出血が見られる
- 傷口の出血が止まりにくくなる
- 血尿、血便、鼻血など
原因は骨髄の異常、脾臓の異常、感染症、腫瘍、投薬、自己免疫性などが考えられます。検査で原因が分かればそれに対しての治療を行なっていくことになります。
肥大性骨ジストロフィー(肥大性骨異栄養症)
症状
- 起立が困難になる
- 歩き方がおかしくなる
- 熱が出る
- 食欲がなくなるなど
その発症の原因ははっきりしていません。ほとんどの場合は自然に回復します。
ウォブラー症候群(頸椎不安定症)
症状
- 頭を下げたまま歩く
- 後ろ足を引きずるなど
歩行異常の症状がみられ、進行すると歩行が困難になります。若齢で発症するものと、成長に伴い発症するものとがあり、外科手術、脊髄の炎症を抑えるステロイド剤の投与などで治療をします。
変性性脊髄症
進行性の脊髄の病気で脊髄が麻痺する疾患です。後ろ足から麻痺し、排尿排便障害、筋肉の衰えで運動失調も起こり、最終的には呼吸障害で死に至ります。原因も治療法も分かっていません。
ボルゾイの病気の治療にかかる費用
- ボルゾイの入院費:1日に約4千~5千円
- ボルゾイの1週間分の薬代:約2万~3万円
- ボルゾイの胃捻転の治療:約30万円
ボルゾイが病気になったとき、一体どのくらい治療費がかかるのか気になるところだと思います。
犬にかかる費用で大きい病気や怪我の治療費
ある保険会社の調査によると、犬にかかる費用で最もかかるのが病気や怪我の治療費なのだそうです。その額は犬全体で年間平均7万円を超えています。
犬は話せないので、病気を突き止めることが難しく、診察や治療によっては動かないようにするために麻酔を使用することがあります。そのような理由からも治療費が高くなりがちです。
しかも、動物には保険が適応されないので、治療費は基本的には飼い主が全額負担することになります。
大型犬のボルゾイが一度病気になれば、その治療費は小型犬や中型犬より多くかかってしまいます。治療費は病気の種類や状態などの要因でも異なりますが、獣医師が診療報酬を個々で自由に設定できる動物病院では、病院によって治療費が大きく左右されます。
そのため明確な治療費の金額を示すことは難しいですが、一般的には診察に約千円、入院費は大型犬のボルゾイの場合、1日に4千~5千円ほどかかります。
1週間分の薬代は2万~3万円になるとも言われます。ボルゾイの病気で有名な胃捻転の治療に30万円かかったというのは珍しい金額ではありません。
ボルゾイが病気になる前にやるべきこと
ボルゾイのかかりやすい病気をある程度把握しておくことは、その予防策を講じる上で必要です。また、もしボルゾイの異変に気づき、病気の見当がつけば早い対処ができる場合もあります。
いずれにしても獣医師に診せることは必要ですが、ボルゾイを飼っているなら、ぜひボルゾイの病気についての勉強もしてみてください。併せてボルゾイが病気をした時のためにペット保険に加入することもお勧めします。
もしボルゾイが病気になり、治療が長期に及ぶことになればその医療費は莫大になることもあります。そんなときのために、ペット保険加入の検討は必須です。
保障する治療の範囲や金額の上限など様々な条件がありますので、検討には時間がかかる場合が多いです。ボルゾイを家族に迎え入れる前に病気に備えて検討をしておくことをお勧めします。
ボルゾイの病気に関するまとめ
ボルゾイのかかりやすい病気について参考になりましたでしょうか。上記はあくまで一例にすぎません。他にもボルゾイがかかる恐れのある病気はたくさんあります。
ぜひボルゾイを飼っている方や飼うことを考えている方は、ボルゾイの病気について理解を深め、大切な家族であるボルゾイと少しでも長く一緒に楽しい時を過ごしていただければと思います。