ドーベルマンのヨーロピアンとアメリカンの違い
ヨーロピアンタイプは「使役犬」
ヨーロピアンタイプのドーベルマンは、元々人間のボディーガード役として作出された「使役犬」でした。
その歴史は意外と浅く、1980年頃にドイツの「カール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマン氏」によって作出されました。
ドーベルマン氏は、元々犬のブリーダーだった・動物の保護活動をしていたなど諸説あるのですが、税金を徴収する仕事に従事していた時に、徴収した現金を持ち歩く自分を警護してくれる存在を必要とし、それがきっかけでヨーロピアンタイプのドーベルマンを生み出すことにしました。
自分を警備する為に犬を使おうと考える点をみても、やはり犬に関する事業に携わっていたのは事実なのかもしれません。
ドーベルマン氏の作り出したドーベルマンは、人を警護する能力が優れていただけではなく、その姿は勇ましく気品に溢れ手入れにもあまり手間がかかりませんでした。
このようなタイプの犬は当時ドイツにはいませんでしたので、ドーベルマンはまたたく間に話題になり1900年にドイツのケンネルクラブ公認犬種として登録されました。
元々ドーベルマン氏が自分の理想となる警護犬として作られたのが、ヨーロピアンタイプのドーベルマンとなり、アメリカンタイプのドーベルマンが誕生するのはもう少し後になります。
ヨーロピアンタイプのドーベルマンは、警護犬としてだけではなく、警察犬や軍用犬としても現在もその能力をいかんなく発揮しています。
そのことからも、ヨーロピアンタイプのドーベルマンの血統証は、PD(日本警察犬協会)から発行されていることが多いです。
アメリカンタイプは「ショードッグ」
一方、アメリカンタイプは主に「ショードッグ」として活躍してきました。日本国内で見掛けることがまだ少ないのですが、アメリカではアメリカンタイプのドーベルマンが、そのスリムな体型を活かしてショードッグとして活躍しています。
アメリカンタイプが生まれたのは、ドイツでヨーロピアンタイプのドーベルマンが人気犬種となって話題になっていたころです。アメリカでも「優秀な警護犬がドイツにいる」とすぐに話題になり、輸入されるようになりました。その後すぐに、警護犬や警察犬として活躍するようになりました。
ところが、アメリカ人の多くが、ドーベルマンを優秀な番犬として家庭で飼育したがるようになり、一般家庭でも飼育しやすいようにとヨーロピアンタイプのドーベルマンを改良し、アメリカンタイプのドーベルマンが作出されました。その後は、家庭の番犬として、またそのコンパクトで引き締まった身体を活かして、ショードッグとしても活躍するようになりました。
このように、もともとは1つに犬種であったため、ヨーロピアンタイプとアメリカンタイプの区別が付かないと言われる方もいるようですが、2種類の犬を実際に並べて見ると大きな差があります。
ヨーロピアンタイプの方が、アメリカンタイプよりもかなり大きな身体を持ちます。分かりやすく例えると、アメリカンタイプのドーベルマンを大型犬と区分するのであれば、ヨーロピアンタイプのドーベルマンは超大型犬に区分されます。実際にはアメリカンタイプのドーベルマンもヨーロピアンタイプのドーベルマンも大型犬として区分されています。
アメリカンタイプのドーベルマンの血統証は、JKC(ジャパンケンネルクラブ)から発行されています。近年では、日本でもコンパクトで扱いやすい、アメリカンタイプのドーベルマンの頭数が増えてきていて、日本にいるドーベルマンのほとんどがアメリカンタイプのようです。
ドーベルマンのヨーロピアンタイプ
体格
- オス:73~78㎝
- メス:68~73㎝
ヨーロピアンタイプのドーベルマンは、全体的に重厚のある体格が特徴で、頭頂部から肩のあたりまでは特に筋肉質となります。ヨーロピアンタイプの頭部は広くV字型で、口元は幅広く一見すると口元がたるんでいるようにも見えます。
尾はかなり短めに断尾される傾向で、狼爪の除去はしないのが一般的です。ヨーロピアンタイプの成犬の体高は、オスが約73~78㎝、メスが約68~73㎝となります。
体重
- 2ヶ月:14㎏
- 6ヶ月:31㎏
- 成犬:40㎏~50㎏
成長段階での平均的な体重は上記のように推移します。また、個体差によっては成犬で60㎏近くまで成長する犬もいます。ヨーロピアンタイプのドーベルマンはかなりの大型犬と言えますので、他の大型犬同様に生後半年くらいまでの成長過程は早く、その後は3年程をかけてゆっくりと大きく成長していきます。
性格
- 甘えん坊
- 人懐っこい
- 温厚な性格
- 落ち着いた性格
- 飼い主に忠実
ヨーロピアンタイプのドーベルマンの性格として、一番に挙げられるのは「大変甘えん坊で人懐っこい」ということです。
強面に見える外見からはなかなか想像がしにくいのですが、ヨーロピアンタイプのドーベルマンがあの大きな身体で飼い主に甘える姿はギャップが激しく、そこが大きな魅力と言えるのかもしれません。
ヨーロピアンタイプのドーベルマンは、基本的には温厚かつ落ち着いた性格の持ち主で飼い主に対してとても忠実ですので、しつけをしっかりと正しく行えばとても飼いやすい安心感を与えてくれる犬です。
飼い方
ヨーロピアンタイプのドーベルマンは、前述した体重を見ても分かるように、子犬の頃からかなりの体格になります。
海外ではヨーロピアンタイプのドーベルマンは基本的に室内飼いですが、室内飼いをするためにはしつけをしっかりと行う必要があります。
大きな身体で無邪気に家の中を動き回られては、家具やその他室内の物が破壊されてしまう恐れもあります。
ただし、ヨーロピアンタイプのドーベルマンは飼い主に忠実で大変賢い犬ですので、トイレトレーニングやクレートトレーニングなど、正しいしつけを行えばきちんとそれに付いてきてくれます。
散歩については、ヨーロピアンタイプのドーベルマンを警察犬や軍用犬として扱うのではなく家庭犬として飼育するのであれば、その他の大型犬と同様に1回あたり40分~1時間程度の散歩を1日に2回程度行ってあげれば問題なく、運動不足にさえならなければ特別な運動は特に必要ありません。
ドーベルマンのアメリカンタイプ
体格
- オス:65~70㎝
- メス:60~65㎝
アメリカンタイプのドーベルマンは、ヨーロピアンタイプと比較するとかなりスリムな印象を受ける体格で、洗練されたようなイメージを持ちます。アメリカンタイプの頭部は、ヨーロピアンタイプと比較すると狭いV字型で、口元は細長く引き締まってすっきりとしています。
尾の断尾は、ヨーロピアンタイプと比較するとアメリカンタイプのドーベルマンはかなり長めにされる傾向があり、最近では断尾せずにそのままとしているアメリカンタイプドーベルマンも増えてきています。
アメリカンタイプのドーベルマンは家庭犬と飼育されるのが多いことから、狼爪はしっかりと除去されるのが一般的です。アメリカンタイプの成犬の体高は、オスが約65~70㎝、メスが約60~65㎝となります。
体重
- 2ヶ月:9㎏
- 6ヶ月:27㎏
- 成犬:30㎏~40㎏
アメリカンタイプのドーベルマンの成長段階での平均的な体重推移は、上記のようになります。アメリカンタイプのドーベルマンも、ヨーロピアンタイプのドーベルマンと同様に、生後半年くらいまでの成長過程はとても早く、その後は3年程をかけてゆっくりと大きく成長していきますので、生後1年程では小さく感じられることが多々あります。
性格
- 甘えん坊
- 人懐っこい
- 温厚な性格
- 落ち着いた性格
- 飼い主に忠実
- やや警戒心が強い
アメリカンタイプのドーベルマンの性格は、基本的にはヨーロピアンタイプのドーベルマンと左程大きな違いはありません。飼い主に忠実で、大変人懐っこく甘えん坊なので家庭犬としても飼いやすい犬です。ただし、ヨーロピアンタイプのドーベルマンよりもアメリカンタイプのドーベルマンの方が、若干ではありますが警戒心が強い面があるようです。
その為、決して乱暴なことをした訳でもないのに、攻撃的な犬だと誤解をされてしまうことがあります。
飼い方
アメリカンタイプのドーベルマンの飼い方も、基本的にはヨーロピアンタイプのドーベルマンと変わりません。
ドッグショーなどに出す予定のアメリカンタイプのドーベルマンの場合には、それに見合った特別な運動が必要かもしれませんが、家庭犬として飼育していくのであれば、ヨーロピアンタイプのドーベルマンと同様に運動不足にならない程度の適度な運動で十分です。
また、これはヨーロピアンタイプのドーベルマンにも言えることですが、特にシャープな見た目のアメリカンタイプのドーベルマンは、慣れ親しんでない人から見るとやはり怖い印象を受けてしまいがちですので、飼育していく上では逸走には特に気を付けるようにしてください。
アメリカンタイプのドーベルマンがうっかり家から抜け出してしまった、ということが起こらないように管理をしっかりする必要があります。
まとめ
ヨーロピアンタイプのドーベルマンとアメリカンタイプのドーベルマンの違いについて紹介してきました。
ヨーロピアンタイプのドーベルマンとアメリカンタイプのドーベルマンは、比較してみるとその大きさこそ違いはありますが、性格や飼い方などには大きな違いはありません。
現在ヨーロピアンタイプのドーベルマンは数が減少してきているようで、日本で飼育されているドーベルマンは、ほとんどがアメリカンタイプのドーベルマンのようです。そのため、私たちがドーベルマンと認識しているものは大抵がアメリカンタイプのドーベルマンだといえます。
ヨーロピアンタイプ・アメリカンタイプ共に、ドーベルマンは身体が大きい割にとても甘えん坊で、更に飼い主に忠実なところが大変可愛い犬です。しつけさえきちんと行えば、とても飼いやすい犬だと言えます。
ユーザーのコメント
40代 女性 かえまり
ヨーロピアンタイプは軍用犬などに相応しいのですね‼
一方、アメリカンタイプは家庭犬に相応しいのですね‼
被毛の手入れは簡単そうですが、アレルギー体質の子が多いと聞いたことがあります。
ブラッシングをしながら、かさついてないかなど、アレルギー症状が出てないかをきにしてあげたらよいですね。
ヨーロピアンタイプしか、知らない私はよく食べて足が早くてよく動き、活発な犬という、イメージをもっています。躾をきっちりしっかりしておかないと、大変なことになるので頑張らなければいけませんね。
胃捻転になりやすいと聞いたことがあります。どんな、変化も早く気づいてあげたいですね‼
40代 女性 チャッピー
20代 女性 ちびまま
40代 男性 匿名
血統もあるでしょうが、アメリカンタイプは額からマズルの段差がなく、マズルも長くキレイな印象です。
対してヨーロピアンタイプは、額からマズルへの段差があり、かわいい顔立ちでした。
本記事では、ヨーロピアンタイプの方が屈強なように書かれてますが、運動や食事の飼育状態によるかと思います。うちのアメリカンタイプは、一般的なヨーロピアンタイプより大きく力強い仔でした。
噛む事は無かったですが、じゃれる時に手(前足)を出してくるのですが(お手の動作)、手が大きく力が強いので、子供のパンチくらいの威力があります。油断してるとかなり痛いです。爪もありますから当たり方によってはケガします。
攻撃する事を訓練させなければ、従順で甘えん坊な面しかありません。
その体格さえ気にしなければ、非常に飼いやすい犬種だと思います。
30代 女性 さら
50代以上 女性 ゆきえ
ランでは、教えたわけではないのですが、喧嘩になりそうな子がいると間に入り止めています。飼い主さんもウチの子がいると安心と言っていただけます、護衛しているのでしょうか?吠えないので番犬に全くなりません、郵便屋さんや宅急便屋さんとは仲良しで、撫でてもらうのを待っています。夕方はのんびり歩いて挨拶しながら散歩を40分程、夜は自転車でゆっくり30分程、9:00にはケージに入って行きます。
シャンプーも20分くらいでタオルドライ簡単です。犬のためにたっぷりと時間が取れるなら、想像するより飼いやすい犬です。