ドーベルマンの性格
知的で賢い
ドーベルマンは非常に利口で学習能力が高く、しつけがしやすい犬種です。その性格を活かし警察犬や麻薬探知犬、軍用犬として、シェパードと同様に世界中で活躍しています。洞察力も鋭いので、飼い主がどのようなことを要求しているのか察知して行動することができます。
飼い主に非常に従順
家族を守る気持ちが強いドーベルマンは、飼い主をリーダーと認めると忠実に寄り添い、従順な態度を示します。飼い主に対して服従心も強く、与えられた指示には的確に従います。
警戒心が強い
ドーベルマンは忠誠心が強い一方で、他人や他犬に対しては強い警戒心を見せます。縄張り意識も強いため、自分が認めていない相手がテリトリーへ進入すると、攻撃的になることもあります。飼い主を守るために近くに危険はないか、不審者はいないかと周囲の様子を常にうかがっている用心深い性格です。
人懐っこく甘えん坊
遊び好きで甘えん坊の一面も持ち合わせています。怖いイメージとのギャップに魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。甘えるドーベルマンのかわいい姿を見ることができるのは、飼い主の特権です。
オスとメスにも性格は若干の違いがあり、オスは成犬になってもやんちゃな面がありますが、メスは2~3歳になると急に落ち着き大人びた性格になります。
ドーベルマンの特徴
外見
「犬のサラブレッド」とも呼ばれるドーベルマンは、しなやかで美しい体をしています。すっきりとした首周りと小さな顔や引き締まった筋肉質な体は、欧米で非常に人気があります。優美で凛とした姿は、自信にあふれた性格を現しているかのようです。
被毛
ドーベルマンはビロードのように滑らかな短毛で、シングルコートの犬種です。寒い気候の地域で生み出された犬種ですが、あまり寒さには強くありません。
公認の毛色はブラックタンやチョコタンです。ブルータンや、白っぽい斑模様のイザベラタンのドーベルマンもいますが、特定の疾病が発症しやすいことから、あまり積極的にはブリーディングされていません。毛色によって性格が違う犬種もありますが、ドーベルマンはそういった報告はないようです。
尖った耳と短い尻尾
ドーベルマンはピンと尖った耳と短い尻尾が特徴です。見た目の印象が、警戒心の強い性格とあいまって、「怖い」というイメージを抱かせる要因の1つかもしれません。これは子犬の頃の断耳、断尾によるものですが、本来は垂れた耳と長い尻尾を持っています。
ドーベルマンの歴史
ドーベルマンは19世紀末頃にドイツ人の「カール・フリードヒ・ルイス・ドーベルマン」氏が警護犬として作出した比較的新しい犬種です。ジャーマンピンシャーを元に、ワイマラナーやグレイハウンド、ジャーマンシェパードなどを交配しています。
有能で賢い性格のドーベルマンは、警護犬のほか家庭犬としても世界中で人気が高まりました。第一次世界大戦では多くのドーベルマンが軍用犬として起用され、日本では1930年代に多数のドーベルマンが輸入されています。
ドーベルマンの種類
ドーベルマンには、アメリカンタイプとヨーロピアンタイプの2つの種類があります。種類によって性格の違いもあるといわれています。
アメリカン
ヨーロッパから入ってきたドーベルマンをアメリカで繁殖したのがアメリカンタイプになります。家の中で飼うことを想定して品種改良がされおり、性格は比較的穏やかでヨーロピアンよりもスレンダーで小柄な体をしています。ドックショーや街中で見かけるドーベルマンはアメリカンタイプが多いそうです。
ヨーロピアン
ドイツやオランダ、イギリスなどヨーロッパ各国で繁殖されたのがヨーロピアンタイプです。警備犬や軍用犬を目的に作られたこともあり、忠実さや警戒心が強く出ています。たくましい筋肉と大きな骨格が特徴で、警察犬として活躍しているのはヨーロピアンタイプのドーベルマンが多いようです。
ドーベルマンのしつけ方法
飼い主がリーダー
ドーベルマンの性格は、良い面にも悪い面にも出ることがあります。赤ちゃんの頃からドーベルマンと信頼関係を築いて、飼い主がリーダーだと覚えさせることが大切です。
飼い主が曖昧な態度を見せると自分のリーダーとして相応しくないと判断し、言うことを聞かなくなります。トレーニングをされずに自身がリーダーだと勘違いしたドーベルマンは、攻撃的になり手が付けられません。
リーダーであることを示す一例として飼い主から先に食事をとりその後で犬に与える、犬と同じ場所で寝ない、リーダーウォークを身につけさせるなどがあげられます。しかし、飼い主がリーダーであることを示すことと理不尽な体罰をすることは違います。特に幼犬は体罰を受けることで飼い主に不信感を持つので十分な注意が必要です。
必ず「待て」をおしえる
「待て」はドーベルマンに必ず覚えさせましょう。飼い主を守る気持ちが強いドーベルマンは、たまたますれ違った通行人や他の犬を、敵だと認識してしまうこともあるかもしれません。攻撃的な性格を見せた時、飼い主がきちんとコントロールができていないと大事故に繋がってしまいます。
「待て」はおすわりができるようになったら教えます。時期としては子犬を家に迎えてから、およそ2~3週間頃が適しています。訓練は家の中だけではなく適宜場所を変えて行い、いつ、どのような場所でも周囲の状況に左右されずに確実にできるよう、繰り返しトレーニングしましょう。
ドーベルマンの飼い方
環境
ドーベルマンは屋内で飼育することが理想です。外で飼うと警戒心が強い性格から常に周囲を見張らなければならず、ストレスのかかる暮らしを強いられることになります。また、ドーベルマンは短毛のため、外気温の変化にも影響を受けやすいでしょう。
室内で飼育する際は、できるだけ静かな環境を用意します。他の動物がいる場所は避けたほうが良いでしょう。しつけができる前のドーベルマンは、ケージの中で飼うようにします。
適度な運動
非常に活発な犬であるドーベルマンには、十分な運動量が必要です。若犬のドーベルマンは基本的に1回につき1時間、1日に2回程度の散歩が必要となります。運動不足によるストレスは、指示を聞かなくなったり攻撃的な性格が強く出たりしますので注意が必要です。
日々の散歩だけでなく、週末にはドックランやアジリティ施設などに連れていき、思い切り走らせたり、知的な運動も取り入れたりするのもよいでしょう。
ただし、年齢や性格によっても必要となる運動量は異なります。子犬の頃から長時間の運動をさせることは股関節形成不全につながることもありますので、様子を見ながら愛犬の成長にあった運動量を取り入れていきましょう。
お手入れ
ドーベルマンの被毛は硬い短毛のため、お手入れは簡単だといわれています。しかし毛が生え変わるサイクルが短いので、抜け毛の量が多いと感じるかもしれません。
散歩で汚れた時は、蒸しタオルで拭くだけでもきれいになります。柔らかめのブラシや粗い布で定期的にマッサージをしてあげると、血行も良くなり毛艶も良くなります。甘えん坊な性格を持つドーベルマンとのコミュニケーションとして、マッサージを取り入れても良いでしょう。シャンプーは1~2ヶ月に1回程度が目安です。
食事
体も大きく活発な性格を持つドーベルマンには、食事をたくさん与えたくなりますが、栄養過多はさまざまなリスクを引き起こします。肥満になるだけではなく皮膚病になる可能性があることを覚えておきましょう。
また、一度に大量の餌を食べると胃捻転をおこしやすくなります。少量の餌を、何回かに分けて与えることが望ましいです。
ドーベルマンの価格
ドーベルマンの子犬の価格は、およそ20~30万円です。血統によっては非常に高価になることもあります。相場と比較して安すぎる場合、遺伝疾患などを持っていることもありますので、購入する前に確認することをおすすめします。
人気のある犬種なのでペットショップで購入することもできますが、ブリーダーからの購入がおすすめです。ブリーダーから購入する場合は、遺伝的疾患有無や犬の性格、購入後のしつけや飼育の相談に乗ってもらえるのかなどもしっかりと確認しましょう。
ドーベルマンの体重や大きさ
体重
ドーベルマンの体重はオスが40~45キログラム、メスが30~35キログラムになります。大型犬の場合、生後半年の間に急激に体重が増加し、その後は時間をかけてゆっくりと成長していくことが多いようです。ドーベルマンも同様で、生後半年頃には15キログラムくらいにまで成長します。
短毛で体型があらわに見えるドーベルマンは実際の体重よりもやせているように見えるので、目視だけでなくしっかり体重を量るようにして、太らせすぎないように注意しましょう。
大きさ
標準的なドーベルマンの体高はオスが66~72センチ、メスが61~68センチとされています。体長はほぼ体高と同じくらいのスクエアな体躯構成です。他の大型犬と同様に、ドーベルマンも生後3年くらいは体が大きくなるといわれています。
ドーベルマンの寿命
一般的に10~13年くらいといわれています。大型犬の平均寿命が12歳前後ですので、ほぼ同じくらいと言えるでしょう。犬の寿命は環境でも大きく異なりますので、少しでも長生きできるように犬の性格をふまえた飼育環境を整えましょう。ドーベルマンは5~6歳でシニア期を迎えますので、定期健診を受けるようにしてください。
ドーベルマンの国内最高寿命は18歳で、これは人間年齢に換算すると100歳を超えていたことになります。
ドーベルマンのかかりやすい病気
胃捻転症候群
胃捻転は、ドーベルマンのように胸の深い犬種で起こりやすいとされています。何らかの原因で胃がねじれてしまうことによって、脾臓や周囲の血管もねじれてしまい、処置をしないと発症から数時間で死に至ることもある恐ろしい病気です。
胃捻転のリスクを減らすために、食事は小分けにして何回か与えるようにし、食事や水を与えすぎないようにします。また、運動は食事の前に行い、食後数時間は安静にさせましょう。
ウォブラー症候群
ドーベルマンやグレートデンでよく見られるウォブラー症候群は、頸部脊椎すべり症や頚部頚椎不安定症とも呼ばれ、尾側の頚椎や椎間板の異常により脊髄圧迫を引き起こす病気です。中高齢のドーベルマンに多く見られます。発症すると後ろ足にふらつきが見られたり、頭をなでられることを嫌がったりします。病状が進むと、犬の四肢の麻痺が起こり、歩くことも立つことも不可能になることがあります。
内科的な治療と外科的な治療がありますが、再発の恐れもあるため、病気と長く付き合っていく覚悟が必要です。
拡張型心筋症
拡張型心筋症はドーベルマンなどの大型犬でよく見られる病気です。この病気は、心臓の筋肉が薄くなり、全身に血液を送る力が弱まることで心臓が肥大する病気です。
症状としては咳や体重の減少、他にも疲れやすくなったり運動を嫌がったりという傾向がみられます。重症化した場合、肺に水が溜まって呼吸困難を起こしたり、不整脈によって失神したりすることもあります。
初期段階では異変を感じにくく、気がついたときには症状がかなり進行していることも多いので、定期的な健康診断を受けて早い段階で治療が受けられるようにしましょう。
まとめ
ドーベルマンを飼育することは簡単なことではありません。十分な運動や一貫した訓練は、犬が何歳になっても継続が必要です。ドーベルマンは飼い主さんのしつけや接し方次第で忠実な犬にも、危険な犬にもなりえます。
しかし、凛々しい見た目のドーベルマンが甘える姿を見ることができるのは、飼い主さんの特権です。性格や特性を理解し、信頼関係を築いてドーベルマンとの豊かな生活を楽しんでくださいね。