保護犬を家族に迎えるときに気をつけなくてはいけないことってなんでしょう?
保護犬を迎えるにあたって気をつけることと言うと、どんなことが頭に浮かびますか?
責任を持って最後まで世話をする?最初に全身の健康チェックを行う?愛護センターや保護団体の人にしっかりと話を聞く?どれもみんな正解です。むしろ全部あげていったら、とてつもなく長いリストになってしまってキリがないかもしれません。けれど、いろんな事柄がひとつに集約された「気をつけること」があるんです。
保護犬のバックグラウンドは百犬百様
まず「保護犬」と一口に言っても、保護犬になるまでの経緯は百匹いれば百通りあるくらいに様々です。
山野で暮らしていた野良犬と呼ばれる犬、野良犬の中でも人に捨てられたのか、生まれた時から野良なのか。
パピーミルから保護された元繁殖犬、前の飼い主が飼いきれなくて愛護センターなどに持ち込んだ犬、多頭飼崩壊の現場から保護された犬、ごく普通の家庭犬として愛されていたけれど飼い主と死別してしまった犬、などちょっとあげただけでも、これだけ背景が違えば対応も違ってくるよねとすぐに想像がつきます。
「See the Dog, Not the Story」ストーリーではなく犬を見よう!
そんな様々なバックグラウンドを持つ保護犬を迎える時に共通する大切なこと、それは「See the Dog, Not the Story」=犬の抱えている過去のお話にとらわれすぎずに、犬自身に注目しようということです。
この言葉はアメリカのある動物行動学者が、ご自分のブログで読者に向けて「保護犬を迎える時に大切なことはなんでしょう?」と意見を募集した時に、集まったものの中でベスト回答に選ばれたものです。
少し古い話ですが、『崖っぷち犬』と呼ばれて話題になった保護犬がいました。高い崖で身動きがとれなくなって救出された姿がニュースなどテレビで放送されて注目を集め、里親希望者が殺到したのでした。けれどもこの犬は野犬として生まれ育っており、一般の人が家庭犬として飼育するのは難しく脱走を繰り返し、結局動物愛護センターで再度保護されることとなりました。
これなどは犬そのものには全く目が行っておらず犬が背負っているストーリーばかりに目を取られている典型です。
どんな環境から来た犬なのかを知っておくことは、適切な対応の仕方を探るために有効です。けれどもいつまでもその犬の過去のストーリーに捉われたままでは、犬の精神的なリハビリテーションの進み具合や心の成長を見落とすことにもつながります。
過去に虐待されていたり過酷な環境で飼育されていた犬でも、新しい環境できちんとした生活を始めると、感情も行動も少しずつ変化していきます。犬の過去のストーリーばかりに注目して犬自身を見ることをしないでいると、いつまでたっても「この子は以前に虐待を受けていたかわいそうな子なんですよ。」と過保護になってしまい、犬の社会化や心の回復を妨げてしまう例も少なくありません。
まとめ
「この犬はこうだから」「こういう犬にはこういう対応を」と決めつけることなく、今現在の犬の心と身体の状態に注目して柔軟に対応することは保護犬だけでなく、すべての犬にとって大切なことです。
保護犬を家族に迎えようとする人の場合は、ややもすると「かわいそうな犬を救いたい!」という部分に力が入りすぎてしまうということも起こりがちです。その結果、犬の現在の状態よりも犬がくぐってきた過去の経験やお話ばかりに注目してしまい、犬が本当の意味で回復して幸せになるということから遠ざかってしまうことにもなります。
もしも保護犬の譲渡会や、預かりボランティアのお宅にいる保護犬に会ってみようと考えている方がいらしたら「See the Dog, Not the Story」を意識してみてください。そうすると、おのずとそこにいる保護団体の人やボランティアの方々に向ける質問も、犬たちを見る目も変わってくるかと思います。
ユーザーのコメント
女性 マリオ
女性 匿名
だけと、そこにばかり目を向けていては前に進めないですね。
保護犬だからと気構えばかりして、犬そのものの本質を見逃しては勿体ない。
今の子は穏やかで吠える事も噛む事も無くて生活しやすいです。
新しく家族になる子が真逆ならそれも困りもの…。
保護犬だからと言って、問題だらけでは無く、ブリーダーからなら楽ちんでも無く。
何処から迎えても変わらない部分もあるという事ですね。