犬の成長について
犬の成長の過程
犬が生まれてから老犬になるまでの発達段階には様々な分類の仕方が示されています。ここではその一例を以下に示したいと思います。
出生からまだ目も開かずほとんど何もできない生後2週間までの時期を「新生子期」と言います。その後、よちよち歩きを始める「移行期」を経て、生後4週間から生後13週間までの期間である「社会化期」を迎えます。この時期は犬が社会と関わるときの行動を決める重要な時期であると言われています。社会化期で性格の基礎ができ、その後迎える「若齢期」で本格的な性格が作られ、生後6か月から1年で「青年期」になります。この青年期は犬の人生の中で最も長く続き、その後、小型犬・中型犬の場合だと7~8歳から、大型犬の場合では5~6歳から「シニア期」になるという過程を経ていきます。
犬の成長期とは
犬のしつけや食事など、犬の生涯の中で成長期は重要な期間になってきます。それでは犬の成長期とはどの期間のことなのでしょうか。
そもそも成長期とは身体が著しく発達する期間のことを言います。人間の場合の成長期は十代半ばの数年間を指しますが、犬の成長期は生後50日ごろから成犬になるまでの時期のことを指します。犬は成犬時の大きさによって成犬になるまでの期間が異なります。そのため犬の成長期も犬の大きさによって異なるということになります。
大きさごとに見ていくと、犬が成犬になる時期は、成犬時の体重が10kg以下の小型犬では生後約10か月、11~25kgの中型犬では生後約12か月、26kg以上の大型犬では生後1年半が成犬になる時期です。つまり生後50日からそれまでの間がそれぞれの犬の成長期となります。
また、犬の老いと寿命に関しても犬の大きさで違いがあります。簡単に言えば、小型犬はより早く成熟しますが、老化が遅いため長寿です。それに対して大型犬は、ゆっくりと成長し成犬になり、その後小型犬よりも早く老化していくので、一般的に小型犬より寿命が短いということです。
犬の成長が盛んな時期の食事
犬の成長に伴って大きく変化するものの中に、食事の回数が挙げられます。生後2~3か月だと食事は1日4~5回与えますが、生後4~5か月になると1日3~4回というように犬の成長に伴って食事の回数は減っていきます。生後8か月以降には1日2回程度になります。
また食事の回数だけではなくその内容も重要で、犬の成長が盛んな時期はより多くのカロリーや栄養を必要とします。身体が急速に成長する犬の食事は栄養価がより高いものであることが特徴になります。
犬の成長が盛んな時期に気をつけたいこと
成長期の犬の運動
犬にとって運動は、ストレス解消や成長を促すために欠かせないことです。しかし、身体にいいからと言って過度な運動は犬の身体の負担になることがあります。特に気をつけたいのが成長期の犬の場合なのです。
育ち盛りでよく食べるので、散歩などでたくさん運動させたくなる人もいるかもしれません。しかし生後1年以前の犬はまだ身体が成長している段階で、いわば未熟なのです。そんな時期に過度な運動で身体に大きな負荷を与えると、身体はダメージを受けてしまいます。犬は成長期に運動させすぎないように気をつけなければなりません。
成長期に気をつけたい病気
犬の成長が盛んな時期には気をつけなければいけない病気があります。有名なものをあげると股関節形成不全と膝蓋骨脱臼です。
股関節形成不全は大型犬に多い先天性、つまり生まれつき持っている病気で、その多くが骨の急激な成長に筋肉の成長が追い付かないために引き起こされると言われています。発症すると、足を引きずったり痛がったり、歩き方がおかしくなるなどの症状が見られます。
膝蓋骨脱臼は先天性と後天性のものがあり、先天性の場合は生まれつき膝関節の周りの筋肉や骨、靭帯に異常があり、これは小型犬に多く見られます。
どちらもその発症には犬の成長が関わっていると言われている病気のため、発症が成長期に多くみられるのです。犬に栄養豊富な食事をたくさん与えすぎると、骨や筋肉など身体が急速に成長し、股関節形成不全を発症させることに繋がりますし、栄養の取りすぎで肥満になると膝蓋骨脱臼の症状が出やすくなります。どちらの病気も犬の食事のとり方に注意が必要になります。
犬の成長が盛んな時期にしておきたいこと
犬のしつけ
上記でも述べたように、社会化期や若齢期、つまり犬の成長期に当たるこの時期は、社会との関わり方や性格を形成する上で重要な時期になっています。犬のしつけはできるだけ早く始めた方がいいとされています。特に社会化期はとても重要で、犬をこの時期に間違った育て方をしてしまうと、その後のしつけは非常に難しくなります。犬は社会化期の時期にしっかりと人間社会に慣れさせ、ルールを守らせるようにしつける必要があるのです。
犬の避妊・去勢手術
犬の成長期の間に行った方がいいことに避妊・去勢手術があります。一般的には生後5~6か月以降とされています。それではいつまでに行えばいいのでしょうか。雌と雄でそれぞれ見てみると、雌の避妊手術は最初の発情を迎える前、つまり生後6~8か月よりも前が適当だと言われており、雄の去勢手術の場合は生殖能力が完成する前、つまり生後1年よりも前に行うことが一般的です。
手術は早すぎる時期に行うと麻酔のリスクが心配されます。遅い時期だと手術によって予防できる生殖器系の病気を防げる確率が大幅に下がってしまいます。犬に避妊・去勢手術を考えている方は早めに獣医師に相談し手術の時期を決めましょう。
まとめ
犬の成長期は、犬を飼っていく中で大変重要な時期の一つです。飼い主もそのことを頭において、食事の管理やしつけ、避妊・去勢手術といったことを計画的に行っていくようにしましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 SUSU
9歳になる小型犬がいます。
生後2ヶ月で我が家に迎え、あっという間に9年が過ぎました。
人間と同じように、犬の成長期は健全に成長していく上でとても大切ですね。育犬時代の頃を振り返っても確かにその通りだと思います。
犬と暮らし始めて10年目を迎えた今、気づいたことは成長期において大事なことは栄養価のある食事と穏やかで愛情のある生活、これにつきるのかなと思います。そしてこれは成長期だけでなく生涯必要なことなんだと思っています。
愛犬を迎えた頃、ドッグフードのパッケージの裏面に表記されている原材料の違い、意味することなどを考えたこともなく、CMで見たから、犬種専用があるから、などあまりよく考えずにフードを選んでいました。生後半年を過ぎた頃から、だんだんとフードを食べようとしなくなり、フードを変えると少し食べるがまた食べなくなる・・・といったフードジプシーの時期が長く続きました。
フードのことをきちんと勉強をし、食べなくなった理由が分かった頃には既に成犬になっていました。
身体が作られる成長期に良質なタンパク質やオイル、ミネラル類が配合され、かつ安全な添加物が使用されているフードを与えられていたら、と思うと愛犬に申し訳ない気持ちです。
また、パピーで迎えた頃は巷のしつけの本に従って、人間社会で暮らしていけるように厳しくしつけを頑張っていた時期がありました。上位関係を徹底し、飼い主主動で物事が運ぶように努めてきました。
でもある時、犬も家族の一員と言いながら、これは正しい家族の形なんだろか、軍隊みたいだな、そういえば笑っている写真がないな、そもそもあまり笑っている所を見たことがない気がすると思うようになりました。
愛犬のためだと思ってしていたことは、私の一方的な押し付けであり、愛犬の気持ちを考えるよりも優先してしまっていたんだと思います。
現在、我が家ではしつけというしつけはしていません。おやつを鼻先に差し出しておいて「待て!」と言うこともありません。自分がされたら嫌だと思うし、他の家族にそのようなことはしないと思うからです。
そのようなことをしなくても、普段からの信頼関係があれば「ちょっと待っててくれる?」と伝えるだけで待っていてくれます。
お散歩は危険がない限り、リードは緩め、ゆったりと行きたい方向にのんびりと進むようにしています。「ツケ」とコマンドを出さなくても「車が来るからこっちに来てくれる?」と言えばそれで解決します。
来客時に吠えっぱなしになることもなく、私が対応をしていれば吠えることはありません。上下関係が出来ているというよりも、お互いに認めているといったところだと思います。
成長期において必要なことは、子育てと同じなのかもしれません。身体の成長に必要な十分な食事と家族の愛情、これがあればその他のことは後から付いてくる、そんな気がしています。
なお、保護犬など成長期を過ぎた段階で迎え入れることもあると思います。保護犬などは特に、上下関係やしつけよりも、ここにいれば安心なんだ、この人は自分を守ってくれる人なんだと分かってもらえて、信頼してもらえることが一番大事なことだと思うのです。その意味においては、成長期を過ぎてからでも信頼関係は結べるし、子犬からでないとなついてくれないということもないと思います。
しつけを厳しくすれば言うことを聞くようになりますし、一見、成功したと思うかもしれません。でも表情豊かに言いたいこと、思っていることを遠慮なく伝えられて、それでも何があっても愛情を貰える、守ってもらえると信じていられるワンコの方が幸せなのではないだろかと思っています。
なお、記事にある避妊去勢手術の時期についてですが、確かに早過ぎるのも麻酔のリスクはあります。ただ、一般的に麻酔のリスクはシニアになればなるほど、高くなります。遅すぎると手術によって予防出来る可能性のある病気を避けることが出来なくなってしまうこともあると思いますが、それに加えて麻酔のリスクも高くなる(=目覚めなくなる。)ということの記載はあっても良かったのかなと思います。
女性 クッキー
愛犬は分離不安症で、いまだに15分以上の留守番をさせたことがありません。
ペットショップから迎え入れてすぐに転居が決まり、1か月間しつけも兼ねてとしつけ教室へ預けました。
共働きのため、留守番の練習をお願いしたのですが、パニックになって呼吸困難(過呼吸症状)になるため、トレーナーさんから留守番のトレーニングは諦めてくれと言われてしまいました。
留守番ができない犬なんて聞いたことがなかったので、なんて大変な子を迎えてしまったんだろうと悩みましたが、重度の分離不安症で命に関わるとのことで、小さい命を守るためにも留守番をさせることは諦めました。
恐らく7年前ですので、幼少期、生まれてすぐに母犬から離され(パピーミルのような犬舎出身でした)、1カ月でセリに出され、それから我が家で迎えるまでペットショップで一人で過ごした子です。ペットショップもチェーン展開しているところだったので、何店舗か回されたことでしょう。しかも私の家に迎えてから、さらにしつけ教室へ1カ月預けてしまいました。赤ちゃんの頃からこんな状況ではむしろ仕方ないと思わざるを得ませんでした。
犬にとっても、人間同様、情緒面の成長のためには、幼少期の母親や兄弟の存在は欠かせないんだなと痛感しています。
女性 おおもり
それに比べて大型犬は1才半で成犬と、成長にかなり違いがあるんですね。
これまで犬を3頭飼って来ましたが、どの子も子犬の頃は無邪気で明るくて怖いものなしの小悪魔でした!
物事の分別が付くようになると、警戒心を持ったり苦手なものが出来たり、大人になるにつれて性格が定まってくるような気がします。
よくしつけの本に1才までに100人の人に会わせて100頭の犬に会わせるといい、とありますが、柔軟で適応力のある子犬期にいろいろな人や犬に出会うことでたくさんのことを学ぶのでしょうね。
人間の子どもよりずっと早く大人になってしまう犬なので、子犬期は特に意識して一緒に過ごす時間を作ってあげたいとこの記事を読んで思いました。
40代 女性 匿名
成長期でもう一つ重要なのが、避妊・去勢手術です。
きちんと計画的に時期を決めて手術する事で、その後の病気予防になったり、様々な面で利点があると思いますので、飼い主が判断してあげる事が必要ですね。
女性 kon
初めて犬を飼ったので知らなかったのですが、ちゃんとしたブリーダーさんは生後2カ月では売りに出さないそうですね。お母さんが子犬の歯でおっぱいが痛くて嫌がるギリギリまでお乳を飲ませて、親犬、兄弟犬と最低3カ月は一緒に暮らさせると後で知って。犬同士でないと教えられないことや与えられないものがいっぱいあるでしょうに、この子は生後1カ月ほどでペットショップに出ていたのです。
なので、愛犬には大げさなほどスキンシップをいっぱい取るように努めました。悪いことをしたら叱る代わりにぎゅーっと全身を抱きしめました。
たくさんの犬と触れ合えるように、と子犬のうちは、ワクチンが終わってからは週に3日ほど犬の幼稚園へ通いました。
幸いなことに、とても母性の強い(?)面倒見の良いわんちゃんがいて、うちの犬ととてもよく見てくれていろいろなことを教えてくれたようです。
女性 メロンパン
飼い始める前にきちんと勉強して、かわいい子犬でも厳しく対応しないといけない覚悟を入れておくべきでした!
私が犬のしつけのやり方や、これほど厳しくしないといけないものなのか、と理解した頃には愛犬は2才を迎えていました…大切な成長期を逃してしまった!
20代 女性 ラッキー
」お陰様で分離不安や人見知りも無くしつけ面ではあまり手のかからない子になってくれました。子犬の頃に十分に社会化出来たのが大きかったのかもしれませんね。
女性 もふころ
成長期で学んだことは、その後もずっと持続するようです。