飼い主夫婦が立て続けに死亡、取り残されてしまった3匹の犬たち
発端
「(佐賀県)唐津市の誰も住んでいない家の敷地内に、3匹の犬たちが取り残されているので、なんとか助けられないだろうか?」という相談が、同県伊万里市で動物救済活動をされている『NPO法人アニマルライブ』に寄せられました。
この相談を受け、同団体のボランティアさんらがその家に確認に向かうと、確かに3匹の犬たちがかなり痩せた状態で発見されました。
疑問
いったいいつから犬たちはこの状態なのか?
いったい何故、誰も住んでいない家の敷地内に取り残されてしまったのか?
飼い主はどうしたのか?その家族は?
犬たちはどうやって生き延びてきたのか?
いろいろ疑問がありました。当然ですが、犬たちは何も語れません。
そこで近所の人にこの家の事情を聞いてみたところ、驚くべき事実が判ったのです。それは、かなりショッキングな内容でした。
近所の人たちの話
アニマルライブのスタッフの1人、ヒロさんのブログにはこう書かれていました。
「そこに住んでいたおじいちゃんとおばあちゃんは、犬好きで可愛がってくれてたようです。ただ、昔ながらの飼い方で、避妊しないまま放し飼いをされていた為、母犬が子供を産み増えたようです。
廃材下にいる子が先に生まれた子供で、およそ7歳くらい・・名前は、ソックスというそうです。
その数年後に入院した子と
床下の子が姉妹で生まれています。名前やはっきりとした年齢は分かりません。
そのおじいちゃんとおばあちゃんは、2年前に立て続けに亡くなっています。
その2年前は、5頭いたはずなのですが、母犬ともう1頭がいません。おそらく、亡くなったと思われます。今現在、残されているのが、その3頭のみ・・
その老夫婦に子供さんが同じ唐津市に住んでいるそうですが、全く来られることはないとか・・
役所の方からも散々お願いされたようですが、全くの無関心。
それどころか、餌をあげなかったら衰弱死するかなと言っていたとか
親が可愛がっていた犬たちなのに・・あまりにも哀しすぎる。
こんな過酷な状況の中、本当に本当に生きてくれてた(泣)」
ご近所さんのお話では、この家のご夫婦が健在だった頃は、とても犬たちを可愛がっていたようで、以前は廃材もなくとても広かった敷地内で放し飼いにされていたそうです。
残っている犬たちはすべて雌でした。
おじいちゃんが他界し、その後、おばあちゃんが入院されたのですが、犬たちのことをとても心配されていたそうです。そして2年前、おばあちゃんも他界されてしまいました。犬たちを敷地に残したまま…
このご夫婦には、既に独立された家族がいらっしゃるのですが、犬たちを引き取る意思は全く見られず放置状態で、3匹とも空き家となってしまった敷地内にそのまま取り残されてしまいました。
敷地はとても広く、母屋と2つの納屋があるのですが、誰にも手入れされることなく、空き家となった家はいつ崩れてもおかしくない状態で、地面はたくさんの廃材で埋め尽くされているのが、写真から見てとれます。犬たちにとってはけっして安全とは言えない状態でした。
1匹保護、2匹は通いで世話を
上記の話の中で”入院した子”というのは、ボランティアさんたちが様子を見に行った時に、立つことができなくなっていた非常に状態の悪い1匹を、とりあえず保護して動物病院に連れて行ったところ、いつ心臓発作を起こしてもおかしくない状態であると診断され、そのまま入院することになったというわけです。
この時、アニマルライブのスタッフたちの家には既に保護した犬猫で満員で、これ以上保護しても置いておく場所もないというどうしようもない状態となっていたのです。
翌日も、スタッフが2匹の様子を見に行き、犬たちが廃材の下や床下で寝ていることから、犬たちがくつろげるクレートもしくは犬小屋を必要としているとSNSで呼びかけたところ、たくさんの人たちが犬小屋を送ってくれたそうです。
そして、2匹の元へ毎日交代で通うボランティアさんも呼びかけたところ、手を挙げてくれた人が6人も出てきたということでした。
アニマルライブのスタッフたちは、保護したたくさんの犬猫たちの世話に日々明け暮れています。しかも伊万里市を拠点として活動されているため、同じ佐賀県といっても唐津市まで毎日通うことは本当に大変なことでした。
けれど2匹の犬たちを連れて来ても、もう保護しておく場所もなし…ということで、里親が決まるまで、複数のボランティアさんたちが交代で犬たちの元へ通い、餌と水の世話、散歩などこの子たちの面倒はその場でみることになったのです。それは苦渋の決断でした。
猛暑の中、ずっと外にいる2匹のためにスタッフは日よけなどをつけたりしました。安全に過ごせるように、犬たちのいる周りは整理するとのことでした。更に近所の人が草刈をしてくださったということで、風通しが少し良くなっているそうです。
入院した子のその後
動物病院も現在、入院を必要としている動物たちがいっぱいで、緊急での治療は終わり後は処方薬を飲ませていくだけだったので、翌日、退院させられたそうです。
しかし、まだ状態の悪いその子を再び炎天下のあの場所に戻すわけにもいかず、アニマルライブのヒロさんの家に。もう既に満員状態だったのですが、なんとかスペースを開けたそうです。
退院後は、ちゃんと歩けるようになったそうです。どうやら空腹すぎて立てなかったようです。ただ、心臓はかなり悪いそうなのですが、薬を服用していれば大丈夫ということでした。
2年もの間、よくぞ生きのびていました
犬たちはみな、とても人懐っこくて、近寄っていくと本当に嬉しそうに甘えてくるそうです。
可愛がってくれていたおじいちゃんとおばあちゃんがいくら待っても戻ってこなかったのですから、2年もの長い間、本当に不安で辛い思いをたくさんたくさんしてきたと思います。
暑くて寒くてお腹が空いて喉が渇いて、雨も雪も台風も雷も、すべてこの子たちは廃材の下や床下で耐え忍んできたのです。
いつか誰かが来てくれる、助けてくれると信じて、ただひたすら救いの手が差し伸べられるのを待っていたのだと思います。
この子たちのことは、近所で話題になっていたのだと思います。かわいそうにと思った人たちが時々お水と食事を与えてくれていたことで、かろうじて生き延びることができました。
でも、それだけで足りていたわけではけっしてないことは、この子たちのやせ細った体を見れば判ります。
本当によくぞ生きのびてくれました!
最終的にこの子たちの話は大阪まで伝わりました。そして大阪の心ある人から佐賀県で活動しているアニマルライブの耳に入ってきたのです。
きっとこの子たちのことを今でも心配している天国のおじいちゃんとおばあちゃんが一生懸命どうにかしてやっと伝えてくれることができたのではないでしょうか?
現在、アニマルライブでは、この子たちの里親を募集されています。
床下で、廃材の下でそしてヒロさんの家で、今でも過ごしているこの子たちが一日も早く幸せになれますようにと心から願わずにはいられません。
NPO法人アニマルライブ
現在、佐賀県の保健所では、次から次へと犬や猫たちが収容されて大変な状態になっているそうです。
殺処分されないように、アニマルライブさんができる限り引き取りをされているのですが、それももう限界の状態がきています。
場所、物資、資金、人手、そのすべてが全然足りていません。皆さまに様々な形で支援していただくよう、常に呼びかけられています。
以下、ヒロさんのブログにいつも書かれている内容です↓
ここのところ、ー保護犬猫たちの治療費やセンターから引き出してきた子たちの治療費の負担がかなり大きくなってきいます。
治療費以外にもすごく経費がかかってしまい、もうパンク寸前・・・(泣)
そうかといって、放っておくことはできません。
彼らを助けるためには、どうしても皆様からの協力が必要です。
どうか、力を貸してください!!少しでも構いません。是非、ご協力をお願いします!
(中略)
沢山の犬猫たちを保護しているため、ドライフード、ウェット系、更にトイレ砂、トイレシート、毛布、バスタオルなどが不足しています。
開封したものでも構いません。どうか、ご支援のご協力よろしくお願いいたします。
物資の送り先や寄付の振込先などはヒロさんのブログをご参照下さい▼
http://ameblo.jp/hirorights/
アニマルライブのホームページ▼
http://www.animal-live.jp/
アニマルライブのふるさと納税▼
http://www.animal-live.jp/furusato/
最後に
筆者もこの犬たちのことをSNSで知りました。1本の相談からアニマルライブさんが関わったことで、2年間も近所以外の誰にも知られていなかったこの犬たちのことがやっとこうして日の目をみることになりました。
そして少しずつ、少しずつ、人々が注目するようになってきました。やっと3匹に助けの手が差し伸べられ始めたのです。
でも、まだこの子たちの闘いは終わっていません。優しい里親さんが現れるまでこの子たちの闘いは今でも続いているのです。
更にアニマルライブさんのような動物救済のボランティアさんたちの必死の活動も、日々休むことなく続けられています。助けを必要としている命を救うために…それはまるで出口の見えない樹海のように、終わりの見えない闘いとなっています。
日本には、救いを求めている犬や猫たちが数えきれないほどいます。けれども救いの手を差し伸べてくれるボランティアさんたちの数はとても少なすぎて、その全ては救いきれないという現実が存在しているのです。
今、あなたにできることはなんですか?あなたにも何かできることがきっとあるはずです。それは物資や金銭の寄付だったり、ボランティアとしての協力だったり、SNSで情報配信することだったり、今一緒に暮らしている子たちを途中で見捨てたりしないで最後までちゃんと面倒みることだったり、他の人に終生飼育の大切さを話すことだったり、動物愛護センターや動物愛護団体にいる犬猫たちの里親になることだったり…
いろんな選択がきっとあるはず、きっと何かはできるはず…
みんなで増やしてしまった命を、みんなで守っていきませんか?
※尚、この記事及び写真の掲載に関しましては、アニマルライブのヒロさんに承諾を頂いております。
追記:その後、廃材下にいたソックスちゃんと床下の子には里親さんが決まりました。 後はアニマルライブのヒロさんの家で保護されている子だけになりました。
ユーザーのコメント
女性 サクラ
女性 チビちゃんのその後
詳細&写真:http://ameblo.jp/hirorights/entry-12301285380.html
尚、行方不明になっているソックスはその後、3件の目撃報告(写真の個所)がありますがまだ発見されていません。
40代 女性 お世話ボラ
未だ保護に至りません。
必死の捜索が続いています。
無事にソックスに会えるよう、情報をまってます。
女性 サクラ
女性 サクラ
50代以上 女性 ミッシエル
私は異国に住んでいます ボランティア頑張っています この世の中から悲惨な動物達が無くなる事を祈っています
40代 女性 小さな命
ヒロさんのブログから必死で動物達の為に奮闘しているのが、伝わって来て、私に出来ることは拡散のみでした。
今では、病気を抱えながらですが、私も個人ボランティアとして、出来ることをしています。
動物達だけではなく、子供や高齢者など、弱者に優しい国にしたい。
言葉を話せない動物達の現状をみていると、今の日本は動物と弱者が同じ扱いに感じ、分かりやすい例をみせてくれていると思っています。
こんな時代に早く終止符が来ればいいのにと願いながら、私も奮闘し続けます。