犬に人間の食べ物をあげてはいけない5つの理由

犬に人間の食べ物をあげてはいけない5つの理由

飼い主さんが食事をしている時に、愛犬がキラキラしたおめめで『おねだりビーム』を出しているのを感じたことはありませんか?そのおねだりビームを目の当たりにすると、ついつい食卓から食べ物をおすそ分けしたくなってしまいます。ですが、愛犬に人間が食べているものをあげてはいけません。その理由についてご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

愛犬に飼い主が食べているものをあげてはいけません!

たくさんの食材に囲まれる犬

私が子供だった30年程前に飼っていた愛犬の食事は、白飯に水で薄めたお味噌汁をかけたものでした。たまに、魚の干物の残りなんかも乗っていたかもしれません。今となっては考えられない食事内容ですが、当時は当たり前な感じだったと記憶しています。

愛犬は10年生きられませんでしたが、現在は犬の健康に必要な栄養素がバランス良く配合されたドッグフードが普及し、また獣医療も進歩したことなどによって犬の寿命は延びました。今や犬全体の平均寿命は14歳前後と言われており、犬の飼い主としては大変喜ばしいことですね。愛犬に健康で長生きして欲しいと願わない飼い主さんはいないのではないでしょうか。しかし、愛犬の健康と長寿を願いつつ、愛犬に人間の食事をあげている…なんてことはありませんか?

飼い主さんのほとんどが『犬に人間の食べ物をあげてはいけない』ということは知っていると思います。ですが、「いけないことだと知っていても、なぜいけないのかその理由までは…」という飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。犬に人間の食べ物をあげてはいけない理由は、単に『贅沢だから』などという理由ではありません。愛犬の健康を害し、命にかかわることすらあるからです。また、しつけにも影響します。
今回は、犬に人間の食べ物をあげてはいけない理由を5つご紹介します。

理由その1:塩分が多い

山盛りの塩

塩分は体内の浸透圧を調整する働きなどがあるため犬にも必要な成分ですが、犬が汗をかくのは肉球だけで人間ほど汗をかきません。ですから、犬に必要な塩分は人間の1/3程度と言われています。

人間の食事には塩分が多く含まれていますから、人間より塩分を必要としない犬がそれを食べれば当然、塩分の過剰摂取になります。
塩分の多い人間の食事を犬に与え、塩分過剰になると

  • 心臓疾患
  • 腎臓疾患
  • 皮膚の痒み

など、犬の健康に影響が出てきます。愛犬の健康を守るため、人間の食事は与えないようにしましょう。

理由その2:犬にとっては有害となる食べ物がある

色々な食材

人間が問題なく美味しく頂いている食べ物であっても、犬にとっては有害となるものが意外と多くあります。
犬に与えてはいけない食べ物として玉ねぎが有名ですね。飼い主さんは、愛犬が玉ねぎを口にしないように、玉ねぎの管理に細心の注意を払っていることと思います。ですが、調理された食品の中に玉ねぎが入っていることはうっかり忘れてしまいがちではないですか?「愛犬におねだりされてあげたハンバーグに玉ねぎが!!!」なんてことにならないように、人間の食事はあげないのが一番ですね。
意外なところでは、ポテトチップスなどのスナック菓子の原材料にも玉ねぎが含まれていることが多いようです。おやつにも要注意です。

犬にあげてはいけない食べ物

犬に有害な成分が含まれる食べ物の中でも、特に注意が必要なものは

  • ねぎ類(玉ねぎ、ねぎ、にら、にんにくなど)
  • ぶどう、干しぶどう
  • キシリトール入りのお菓子
  • 香辛料(こしょう、わさび、七味唐辛子など)
  • チョコレート
  • 魚介類(いか、たこなど)
  • 甲殻類(かに、えびなど)
  • マカデミアナッツ
  • コーヒーココア各種お茶類
  • 生卵の白身

などです。これらの食べ物は、犬が食べると中毒症状を起こしたり、健康を害することがあります。最悪の場合、命にかかわることもあるので与えないようにしましょう。
参考HP:公益法人埼玉獣医師会「犬のキシリトール中毒に注意!!」

理由その3:人間と犬では必要な栄養素が違う

リンゴをもらう犬

人間も犬も健康に生きるためには5大栄養素、つまり

  • タンパク質
  • 脂肪
  • 炭水化物
  • ビタミン
  • ミネラル

を食事から摂取しなくてはいけません。しかし、人間と犬とでは必要な栄養素の割合に大きな違いがあります。
人間は炭水化物を主食としますが、肉食傾向にある犬にとっての主食はタンパク質であり、犬は人間の4倍以上ものタンパク質が必要と言われています。
また、人間の場合ビタミンCは食べ物から摂取しなくてはいけませんが犬の場合、体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるため基本的に食べ物から摂取する必要はありません。
ミネラルの中のカルシウムについては、犬はなんと人間の14倍も必要と言われています。

このように人間と犬とでは必要とする栄養素の割合には大きな違いがあるため、人間には栄養バランスの良い食事であっても犬には栄養バランスの悪い食事になってしまいます。ですから愛犬には人間の食事ではなく、犬の栄養バランスを考慮した食事を与えてあげなくてはいけませんね。

理由その4:わがままになる

欲しがる犬

飼い主さんが食事をしている時、愛犬が食べ物をおねだりしてきたらどうしますか?愛犬の可愛さやしつこさに負けて「しょうがないわねぇ…少しだけよ」なんて食卓から食べ物をあげたりしていませんか?

犬は一度おねだりしてそれが通ると、次もおねだりすれば自分の思い通りになると思ってしまいます。そして飼い主さんが食事をする度におねだりをし、次第にわがままになっていく可能性があります。犬がわがままになればしつけにも影響が出て、食卓の食べ物を勝手に食べてしまうような犬になってしまうかもしれません。

愛犬が人間の食べ物をおねだりしてきたら「ダメ!」と毅然とした態度で叱りましょう。

理由その5:肥満になる

太っている犬

人間の食事には塩分が多く含まれていると先述しましたが、脂分や糖分も多く含まれています。それを犬におすそ分けしてしまうと肥満の原因になります。
また、人間のデザートやお菓子にはバターや砂糖がたっぷり使われているものが多いですね。体重5キロの犬が人間のクッキーを1枚(60kcal)食べると、人間がハンバーガーを1個食べるカロリー(350kcal)に相当するそうです!

人間も犬も肥満は万病の元。犬には人間の食事やおやつではなく、犬用のものを適量与えましょう。

まとめ

炊飯器を見つめる柴犬

いかがでしたか?犬に人間の食べ物をあげてはいけない理由を知ると、「絶対にあげないぞ!」という気持ちになりますね。人間が食卓で食べている物をあげてしまうと、結局は愛犬の健康を害したり、寿命を縮めることにもなりかねないのですから。

「今日だけ特別だからね」と人間の子供に言い聞かせることはできますが、犬には通用しません。「今日だけ特別だからね」と犬に人間の食べ物を一度与えてしまえば、犬は次ももらえると期待しておねだりをしてきます。ですから、人間が食べている物を愛犬が欲しがってもあげないのが一番だと思います。もし人間の食べ物をおすそ分けするならば、食材そのままか加熱しただけのものを少量、愛犬の食事やおやつの時間に与えるのが良いのではないでしょうか。

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