犬に最適な温度と湿度は、人間の感覚とは違う!
私達人間は暑さや寒さを感じると冷暖房で室温を調節しますが、室内飼いの犬がいる場合は設定温度に注意が必要です。なぜかというと『人間に最適な温度=犬に最適な温度』ではないからです。
人間は被毛で覆われていませんが、犬は被毛で覆われています。また人間は汗を出して体温調節をしますが、犬は汗を出して体温調節をする汗腺が肉球にしかないためパンティング(舌を出してハアハアと呼吸をすること)で体温調節をします。こうした人間と犬との違いから、犬が最適と感じる温度が人間には少し寒く感じたり、人が薄着でちょうど良いと感じる温度が犬には少しつらいと感じたりするのです。
人間に最適な湿度と犬に最適な湿度はほぼ同じですが、人間は温度の変化に比べて湿度の変化には鈍感です。しかし犬は温度の変化にも湿度の変化にも敏感ですから、湿度の調節にも気を配ってあげなくてはいけません。
犬に最適な温度
犬種や個体によって差はありますが、一般的に犬は寒さに強く暑さに弱いとされています。寒さに強く暑さに弱い犬に最適な温度は18~22℃と言われています。22℃を超えるとパンティングをして体温調節を行い始めます。
冷房の設定温度には注意を
人間の冷暖房の設定温度は、冷房28℃暖房20℃が目安となっています。暖房の20℃設定は犬にも快適と言えますが、冷房の28℃設定は犬には暑いかもしれません。もしパンティングなどが見られるようでしたら冷房の設定温度を少し低くしたり、冷房と扇風機やサーキュレーターを併用するなどして犬が快適に過ごせるようにしてあげましょう。犬用のクールマットやジェルマット、アルミプレートなどを置いてあげるのも良いでしょう。
涼しくするために冷房の設定温度を低くしすぎると犬が体調を崩す原因になりますのでご注意を。
犬に最適な湿度
ついつい温度にばかり気を取られてしまいがちですが、湿度の調節も忘れてはいけません。犬に最適な湿度は40~60%と言われています。湿度が最適でないとどのようなことが起こるのでしょうか?
湿度が最適でないと起こりやすいこと
湿度が高すぎると
- カビ、雑菌、害虫の発生
- 熱中症
- 耳や皮膚に炎症などの異常
などが起こりやすくなります。
逆に湿度が低すぎると
- フケが出る
- 呼吸器の異常
- 脱水症状
などが起こりやすくなります。
気温が高くなくても湿度が高いと危険
気温がさほど高くなくても湿度が高いと犬には危険です。
犬は体温を下げるためにパンティングをしますが、湿度が高いといくらパンティングをしても唾液が蒸発できずに体温を下げることができません。犬の平均体温は38℃前後ですが、体温を下げられずに41℃以上になると命にかかわってきてしまします。
温度・湿度が原因で現れる症状
最適な温度や湿度が保たれていないと犬は体温調節が上手くできずに『熱中症』や『低体温症』の症状が現れます。どのような症状が現れるのか、それぞれ見ていきましょう。
熱中症の症状
温度が高いと熱中症になりやすくなります。また、温度がさほど高くなくても湿度が高いと熱中症になりやすいので要注意です。
熱中症になると
- ハアハアと浅く速い呼吸をする
- 多量によだれが出る
- 急激に40℃以上に体温が上昇する
- 歯茎や目が充血する
- ぐったりする
- けいれんを起こす
などの症状が現れます。
熱中症を予防するためには、温度と湿度に気をつけることとこまめに水分補給をさせることが大切です。
低体温症
熱中症とは逆に温度が低い環境下に長時間いると低体温症になりやすくなります。
低体温症になると
- 体温が35℃以下になる
- 震える
- 筋肉が硬直する
- 血圧が低下する
- 呼吸が浅くなる
- 意識を失う
などの症状が現れます。
冬に低体温症になりやすくなりますが、体温調節の機能が未熟な子犬やその機能が衰えている老齢犬には特に注意が必要です。
犬が出す『暑い』サインと『寒い』サイン
犬にとって最適な温度と湿度であるかは、温湿度計で計測してチェックできます。犬は床に近い位置で生活していることを考慮して、犬の高さで計測すると良いでしょう。
また、犬の動作からも暑かったり寒かったりしないか読み取ることもできます。暑い時や寒い時に出す犬のサインを見逃さないようにしましょう。
暑い時のサイン
暑い時犬は
- パンティングをする
- 動きが緩慢になる
- 食欲がなくなる
- 水をたくさん飲む
- 冷たい床などに寝そべる
などの動作をします。これらの動作が見られたら『暑い』というサインです。
寒い時のサイン
寒い時犬は
- 体をブルブル震わせる
- 体を小さく丸めて縮こまる
- 寝てばかりいる
- 水をあまり飲まなくなる
などの動作をします。これらの動作が見られたら『寒い』というサインです。
暑い時や寒い時のサインを出していたら、犬が快適に過ごせるように温度や湿度を調節してあげましょう。
まとめ
犬に最適な温度と湿度は人間の感覚とは違うため、飼い主さんが快適と感じていても愛犬には暑すぎたり寒すぎたりすることがあります。そのことに飼い主さんが気づかずにいると、熱中症や低体温症を引き起こしてしまうかもしれません。
ですから飼い主さんは温湿度計で計測してチェックしたり犬が出すサインを見逃さないようにして、愛犬が快適に過ごせるように温度や湿度の管理を行いましょう。特に子犬、高齢犬、疾患のある犬は体温調節が上手くできないことが多いので、最適な温度や湿度を保てるようにより一層気をつけてあげたいですね。
ユーザーのコメント
女性 匿名
ドックランに着いて10分もしないうちに、片方の前足を上げてプルプル震えながら私の方を見ているのに気付いて駆け寄ると、水のようなヨダレがポタポタ。
ヨダレなんて初めてだったので、これはおかしいと思い、係の方に言うと、同じビル内に動物病院があるので行って下さいと言われ、急患で診て頂きました。
すると診断は、まさかの『熱中症』。
そう言われても、こんな涼しい日に?ウソでしょうって思いました。
点滴をしてもらって、すぐに落ち着きましたが、帰りの電車もドキドキしながら家路を急ぎました。
家に帰ってネットで調べたら、熱中症は湿度も関係があると知りびっくり!
雨の日のキャリーバッグの中の湿度がいかに高かったかを思い知らされました。
自分の無知さで、もう少しで愛犬を亡くすところでした。
12年も前の事ですが、それ以来雨の日は連れ歩かないようにしています。
知らないって、本当に怖いです。
女性 ゴン吉
我が家の愛犬は長毛なので被毛がじっとりしてしまう湿度は、体温を上手く調整できず体調も崩しやすいです。夏よりも梅雨の方が注意です。