パトラッシュの犬種は?ブービエ・デ・フランダースや作品について

パトラッシュの犬種は?ブービエ・デ・フランダースや作品について

昭和50年にアニメ放映された事で大人気となった児童文学「フランダースの犬」のあらすじや日本で発行された際の驚きエピソード、舞台となったベルギーとの人気の温度差の理由等を紹介していきます。

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パトラッシュの犬種は何犬?

セントバーナード

アニメ版のパトラッシュの犬種

日本で放映されていた「フランダースの犬」アニメ版を見る限りだと、パトラッシュはセントバーナードであると思っている方も多いですよね。確かに、日本で放映されていたアニメ版のパトラッシュのモデルはセント・バーナードである可能性が高いものの、これは日本側による作画変更の結果だったようです。

原作のパトラッシュの犬種

パトラッシュはブービエ・デ・フランダースというベルギーの犬種であるとされています。実際にベルギーのホーボケンに建てられたネロとパトラッシュの銅像には、ブービエ・デ・フランダースがモデルとして採用されています。

しかし、このブービエ・デ・フランダースという犬種の外見は、真っ黒で毛むくじゃらであったため、日本でアニメ化する際に親しみを持たれるようにセントバーナードや和犬を参考にしてオリジナルで描かれたのですね。

しかし、原作内においてパトラッシュの外見は「皺だらけの (wrinkled) 黄色い額」「全体的に黄色、もしくは褐色の」「がっしりとした立ち耳」などの表現をされていることから、ベルジアン・シェパード・ドッグと呼ばれる犬種が近いのでないかという説もあるようです。

パトラッシュの名前の由来

パトラッシュ(Patrasche)という名前はパトラッシェと発音されることもあり、その語源はパトリック(Patrick)と同じであり、一般的な名前ではなくルーベンスの造語であると考えられています。主人公ネロの母親であるメアリーのミドルネームを付けているという説もあるようですね。

フランダースの犬のあらすじ

ブービエ・デ・フランダース

ベルギーを舞台にしたイギリス人作家による児童文学

フランダースの犬は、イギリス作家ウィーダが19世紀頃に発表した、ベルギー北部のフランドル地方を舞台とした美術と貧困や家柄の格差を書いた悲劇の児童文学です。

※余談ですが、著者は最近までアニメで水車が出て来ている事からオランダが舞台だと勘違いしていました。

ストーリー

フランダースの犬は、もはや知らない方のいない名作中の名作なのですが、改めてフランダースの犬のストーリーを大まかにまとめさせていただきました。皆様ハンカチまたはバスタオルを用意して下さい(笑)

ネロとパトラッシュとの出会い

ベルギー地方で祖父ジェハン・ダースと暮らす少年「ネロ」は、ミルクの運搬業で生計を立てるも貧しい生活を送っていました。彼には「アロア」という唯一の親友がいましたが、村一番のお金持ちの一人娘である彼女と家柄も低く、貧しいネロが関わり合うことを、彼女の父親を始めとする周囲の人々は快く思っていませんでした。そんなネロの夢はルーベンスのような画家になる事と、アントワープの聖母大聖堂にあるルーベンス作の二つの祭壇画を見る事でした。

ある日、ネロは金物屋に虐待に近い扱いを受けて瀕死になっている大きな犬「パトラッシュ」と出会い、保護した後一緒に暮らし始めることになります。祖父ジェハンの介抱のおかげで、元の元気な体を取り戻したパトラッシュは、自らミルクを積んだ荷車を引く素振りを見せ、後に彼にとって大切な仕事となります。

ますます苦しくなる生活

やがて月日は流れ、病気がちだった祖父が亡くなったり、ライバル業者に仕事を奪われたりと、ネロの生活はますます厳しくなります。家賃を滞納するまでになってしまうも、ネロは辛い日々をパトラッシュと身を寄せ合いながら過ごします。そこでネロは、クリスマス前日に行われる絵画コンクールに入賞して起死回生を計ろうと、渾身の力で絵を描き上げます。

濡れ衣を着せられ家を出される

ところがある日、アロアの父親が所有する風車小屋が家事になってしまうと、ネロは周囲から放火の濡れ衣を着せられてしまうことになります。更には家賃も滞納していた事から、クリスマス前日にパトラッシュと共に家を追い出されてしまいます。

夢を打ち砕かれ…

更に追い討ちをかけるかのように、望みを託していた絵画コンクールの結果は落選。行く宛もなく雪の降りしきる中を歩いていると、パトラッシュが道に落ちていた財布を拾います。その持ち主は、アロアの父親でありネロを追い出した張本人でした。しかし、ネロは素直に財布をアロアの家へ送り届け、「パトラッシュが見つけたんです」と伝え、代わりに愛犬のパトラッシュを養ってくれるよう託してから、再び雪の中へ消えていきました。

その財布には、全財産が入っていたことから、アロアの父はとうとう改心することとなります。ネロに過去の仕打ちを償い、何でも与える、息子にしてもいいと言い、アロアは心の底から喜びました。ネロが家を追い出されたことを知らない一家は「明日の朝一番でネロを迎えに行こう」と話し合います。一家がネロの話をしながら笑顔で過ごす中、パトラッシュは家を飛び出す機会を伺っていました。

最後の夢を叶える

雪道を歩き続けたネロは、アントワープ大聖堂に辿り着き、真っ暗な聖堂の中で佇んでいました。石畳の上で倒れるネロの元に、後を追ってきたパトラッシュが駆け付けるとネロはパトラッシュを抱きしめます。いよいよ死の眠りが近づいてきたその時、雲の間から月の光が差し込まれ、ネロが夢にまで見ていた二つの祭壇画を見る事ができたのです。そして飢えと寒さに力尽きたネロとパトラッシュは静かに息を引き取り、天に召されたのです。

フランダースの犬日本語訳版

時計台

次に上記のストーリーで流した涙が吹き飛んでしまうような驚きのエピソードを紹介します!

登場人物が日本名に!

フランダースの犬は明治41年に牧師兼翻訳家でもあった日高柿軒(ひだか しけん)さんによって日本で知られるようになったのですが、この当時は西洋の名前を覚えるのが難しいだろうという日高さんの判断によって登場人物はすべて日本名に変更して翻訳されたそうなんです!

ネロ=清

主人公ネロの日本名は「きよし」と変更されました。
何故この名前が名付けられたかというと答えは簡単!
当時は男の子に「清」と名付ける親が多かったからなのだそうです。

パトラッシュ=斑

準主役でもある愛犬パトラッシュの日本名は「ブチ」に変更されました。
こちらも当時の犬につけられていた名前の定番だったのでしょうか?

ジェハンじいさん=徳爺

ネロのお祖父さんの名前は「とくじい」に変更されました。
なんだか爺と付くとじいやみたいになりますね(笑)

アロア=綾子

ネロの唯一の親友の女の子、アロアの日本名は「あやこ」に変更されました。
現代でも人気のある名前の一つでもありますね!

フランダースの犬はベルギーにおいて

ベルギー

日本では大ヒットしたフランダースの犬ですが、一方で舞台となったベルギーではフランダースの犬の物語を知らない人の方が多いのです。その理由は主に3つありました。

その①主人公の年齢
アニメでは幼く描かれていますが、原作においてのネロの設定年齢は15歳とされています。
欧米では、この年齢の子をある程度一人前扱いする考え方があるので、あまり児童文学として有名にならなかったのです。

その②国のイメージを損なう
また地元ベルギーの人達は、主人公が若くして身寄りを亡くし貧しさと空腹と寒さで死んでしまう話に対し、
「私達の国では飢えで苦しむ子を死なせるような残酷な事はしない!」と国柄を否定されるような設定に怒りを持たれてしまったのも理由の1つだそうです。

その③悲劇が嫌い
そして人気の出なかった理由の最後に挙げるのが「悲劇的な内容」でした。
欧米の物語は紆余曲折がありながらもハッピーエンドになるのが好まれるのですが、ご存知のように最後まで主人公が悲劇なまま亡くなってしまう内容が受け入れ難かったのです。

パトラッシュ以外のアニメや漫画に出てくる犬の犬種

洋館

パトラッシュ以外のアニメや漫画などに登場する犬についてご紹介します♪

名犬ラッシー

名犬ラッシーは、フランダースの犬に並ぶ有名なお話ですよね。名犬ラッシーの主人公であるラッシー(Lassie)の犬種は、ラフ・コリーです。牧羊犬として活躍してきた歴史を持つラフコリーは、名犬ラッシーの物語の通り、とても穏やかで利口、愛情深い犬種です。

アルプスの少女ハイジ

アルプスの少女ハイジに登場する「ヨーゼフ」は、超大型犬であるセント・バーナードがモデルとなっています。実際にアルプスで雪山救助犬として活躍していたこともあり、アニメに登場するヨーゼフの通り、利口で穏やか、優しい性格をしています。

平成イヌ物語バウ

お調子者なバウと犬神家の中心に展開されるコメディ漫画(アニメ)、平成イヌ物語バウの主人公バウは、ブルテリア犬がモデルとなっています。ブルテリア犬は、ユーモア溢れる表情やひょうきんな仕草が魅力的な犬種です。

わんわん物語

ディズニー名作「わんわん物語」には様々な犬種の犬達が登場します。まず、主人公のレディはカールがかった被毛が特徴の「アメリカン・コッカー・スパニエル」。トランプは設定上、雑種であるとされていますが「エアデール・テリア」がモデルになっているという説も。レディの友人であるトラスティはブラッド・ハウンド、ジョックはスコッチ・テリアがモデルとなっており、それぞれ犬種による性格が現れていて面白いですよ!

動物のお医者さん

動物のお医者さんは日本の少女漫画です。テレビドラマ化もされた大ヒット作ですね。主人公の飼い犬である「チョビ」の犬種は、シベリアン・ハスキーです。この作品のヒットによって、シベリアン・ハスキーブームが引き起こされたほどでした。チョビの性格には、飼い主に忠実で上品、温厚さなどハスキーの魅力が詰まってますよ~!

上記以外にも犬を題材にしたアニメや漫画は非常に多く存在します。この機会に子供の頃に好きだったアニメや漫画に登場した犬の犬種を調べてみるのがいいかもしれませんね~♪

まとめ

田舎の風景

イギリス人作家によって生み出された名作「フランダースの犬」は日本では親しみやすい名前に変更して出版したりアニメ化するなどして大ヒットになりましたが、舞台となったベルギーでは様々な理由により有名にはなりませんでした。

ですが、ベルギーでは近年になり舞台となった場所に沢山の日本人観光客が押し寄せた事から、今や地元では町おこしの一環として観光地になっているんです!
最後にその一部を紹介したいと思います。

聖母(ノートルダム)大聖堂

  • 住所:Handschoenmarkt
  • TEL:32 (0)3 213 99 51
  • 開館時間:月~金曜10:00~17:00、土曜10:00~15:00、日曜祝日13:00~16:00、祝日前日10:00~15:00
  • 入館料:5ユーロ、12歳以下は無料

※教会の前にはトヨタが寄贈した記念塔があります。

ネロとパトラッシュの銅像

  • 住所:Kapelstraat 3
  • アントワープの中心地からトラム(2か4番線)に乗ること20分。ホーボーケンは終点です!
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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 女性 てとまる

    フランダースの犬は思い出すだけでも胸が痛むお話ですよね。わたしも当時はじめて読んだときはハッピーエンドが多い中、この話はバッドエンドで終わるのでとても衝撃でした。絵のコンクールに受賞するだろうと絶対に思いましたね(笑)観光客が増加したことから石像などがあるようですが、風車小屋も存在するようですね。原作について調べてみると登場人物の祖父が片足であったり、アロアには混血の面影を描いていたりと戦争の背景も描いているようです。またイギリスで有名にならなかった理由と同じくアメリカでもバッドエンドは受け入れ難いようで教会で亡くならなかったり、父親が現れるなどの改変も行われているようです。少し驚きました。確かに悲しい話ですが、学ぶことや感じることの多い犬が登場する代表的な話のひとつなので世界中で愛されるといいですね。
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