動物看護師の仕事はきつい?やめたいときの対処法や向いている人も解説

動物看護師の仕事はきつい?やめたいときの対処法や向いている人も解説

獣医師と共に動物の治療を行う動物看護師。令和4年度から国家資格になり、気になっている方もいるでしょう。人気の一方で、動物看護師はきついと言われます。今回は、動物看護師がきつい理由や、やめたくなったときの対処法、向いている人についてご紹介します。

動物看護師がきついといわれる理由

動物看護師がきつい

動物看護師がきついといわれる理由は、勤務内容や労働環境、人間関係などです。動物以上に獣医師や同僚、飼い主さんとのコミュニケーションが欠かせず、動物が好きなだけでは務まらない大変さもあります。

動物看護師になってから苦労しないためにも、あらかじめ大変なところを知っておきましょう。

残業が多く、勤務時間が長くなる

残業

動物看護師は、残業が多い仕事です。動物病院の診療時間は、病院によってさまざまですが、一般的に9時ごろ〜19時ごろの病院が多いです。入院動物の世話があれば、診療時間よりも早く出勤する必要があります。

内容によっては診察が長引くことがあり、確実に定時に終わるとは限りません。急患が来院したり、緊急手術が必要になると、思いがけない残業も発生するでしょう。そのため、仕事後の予定が入れにくくなります。

休憩は平均的には1時間程度とれます。しかし、お昼の時間には手術や処置、検査を行うことも多く、ゆっくり昼休憩をとれない日もあるでしょう。

給料が低い

給料が低い

動物看護師の平均年収は320万円ほどです。月収の平均は15〜17万円程度になります。動物看護師の給料は、病院の規模によっても差が出る傾向にあります。

大手企業が運営しているような大きな病院では、一般的に給料も高くなります。反対に、個人が経営している病院では低くなるようです。

個人経営されている病院では社会保険に加入されていないこともあり、その場合には負担が大きく、手元に残るお金も少なくなるでしょう。

個人経営の動物病院に勤める場合には、毎月のやりくりが難しく生活できなくなる可能性があるため、生活水準を低くする必要があります。

動物の「死」と直面することがある

動物の死

動物看護師の仕事は、動物の死と向き合わなければなりません。この仕事を選んだ人は、動物が好きで動物の役に立ちたいという気持ちの方が多いでしょう。

それだけに、動物との別れは悲しみが大きくなります。特に子犬や子猫、通い続けていたシニア動物、闘病していた動物の死に直面すると、精神的にダメージを受けます。

気持ちの整理ができず、仕事がつらく感じることもあるでしょう。動物との別れにしっかりと向き合い、悲しみを乗り越える心の強さが必要になります。

仕事の幅が広く、覚えるまでが大変

動物看護師の仕事内容は多岐にわたります。主な仕事内容は次のとおりです。

  • 受付、電話対応、飼い主とのコミュニケーション
  • 診察や手術のサポート、検査
  • 処方する薬の準備
  • 清掃、院内備品管理、事務作業
  • 入院動物の世話

専門的な知識が必要なことも多く、未経験で働き始めた場合には、慣れるまでは苦労するでしょう。

とくに、動物病院は犬の予防が集中する春に最も忙しくなります。そのため、忙しい現場の中で仕事を覚えなければならず、大変に感じるかもしれません。

人間関係が特殊

人間関係

動物病院は人間関係がこじれることも多い職場です。小さな病院では、少人数で仕事を行うので、個人間で1つトラブルがあるだけで、職場全体がギスギスします。

また、看護師だけではなく、獣医師の性格もさまざまです。プライドが高い獣医師がいると、コミュニケーションが難しいこともあるでしょう。

大きな病院の場合には、獣医師によって考え方ややり方が違うかもしれません。指示が統一されず、看護師が状況に合わせて臨機応変に対応しなければならないこともあります。

動物看護師は現在、男性動物看護師も増えてきてはいますが、圧倒的に女性が多い職業です。女性だけの環境でいじめや仲間はずれもないとは言えません。職場の人間関係や獣医師の人柄も、面接時などに見ておきたいポイントです。

クレーム対応

クレーム対応

動物病院では、思いがけないクレームを受けることもあります。よくあるクレームは、「治療に納得できない」いう主張や、「説明が不十分だった」というお叱りです。

とくに、ペットに非常に強い愛情を持っている方や、神経質な方は、些細なことでも気になり、クレームに発展しやすいでしょう。中には、「なぜ混んでいるのか」、順番前後の可能性を伝えているのに「抜かされた」など、理不尽な内容で怒られることもあります。

診療中の獣医師にクレームをぶつけることは難しく、窓口である看護師がまず対応をすることになります。理不尽なクレームにも頭を下げなければならず、しんどいと感じるときもあるかもしれません。

人手不足で休みが取りにくい

動物看護師は離職率が高く、常に人手不足な病院も多いです。自分が休むことで業務が回らなくなるため、休みが取りづらくなるでしょう。有給が設けられていても、実際にはほとんど使用できないことも多いです。

動物病院によっては、土日祝日にも診療を行うところもあります。お盆や正月などの長期休暇でも、休診期間は短い場合が多いです。

また、休診であっても、入院動物の世話をのために当番で出勤することもあります。友人や家族と休みを合わせるのが難しく、ストレスを感じるかもしれません。

動物看護師をやめたくなったらどうすればいい?

悩む看護師

動物看護師の仕事について、働く前に全て理解することは難しく、働いてみて初めて分かることもあります。命を扱うことへの精神的な負担や、職場環境など、さまざまな理由から次第にやめたいと感じることもあるでしょう。

自分には向いていない気がする、やめたほうがいいかもしれないと感じたときには、どうすればいいのか不安になりますよね。やめたくなったときの解決方法を3つご紹介します。

仕事と割り切る

気になることがあっても、仕事だと割り切って考えることで、ストレスを抑えられる可能性があります。

動物看護師になる人は、動物が好きな人が多いでしょう。自分の好きな動物が関わると、考えにこだわってしまい、マイナスな感情をプライベートにも引きずりがちです。

仕事だと割り切れば、感情的になりすぎず、冷静に仕事に向き合えます。仕事のことをプライベートに持ち込まず、オンとオフのメリハリがつけば、気持ちが楽になるかもしれません。

ただし、ストレス耐性が低い人には、仕事と割り切ることでかえってストレスになることもあります。自分には合わないと思ったときには、無理に割り切ろうとはせず、別の方法を考えましょう。

転職する

人間関係がもつれたり、獣医師とどうしてもうまくいかない、など、働いてみてどうしてもなじめないと感じることもあるでしょう。

我慢し続けて体調を崩せば、人生の大切な時間を無駄にしてしまいます。自分を優先して無理せず転職をするのも1つの方法です。職場環境に問題があれば、他の病院では動物看護師の仕事を続けられるかもしれません。

動物看護師の仕事をやめて、違う仕事に挑戦するのもいいでしょう。獣医療機器のメーカーやペットショップなど、動物看護師の経験を活かせる他の職種に就職する手段もあります。即戦力として判断してもらえ、転職しやすいかもしれません。

相談する

自分で決断をする前に、まずは人に相談するのもいいでしょう。家族や友人など、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になります。

根本的な解決には至りませんが、思いがけないアドバイスをもらえたり、考え方のヒントを得られるかもしれません。

また、労働状況や職場環境に問題がある場合には、思い切って職場の上層部に相談してみてもいいでしょう。問題のある状況が伝われば、解決案を検討してくれる可能性もあります。

動物看護師に向いている人・いない人とは?

考える看護師

動物看護師の仕事は、動物が好きなことはもちろん重要です。しかし、実際には幅広い業務を行うため、他にも求められることがあります。

動物看護師に向いている人、向いていない人に分けて、それぞれ特徴をいくつかご紹介します。

ただし、向いていない項目に該当していても、動物看護師を続けられないとは限りません。あくまで参考として、自分と照らし合わせて考えてみてください。

動物看護師に向いている人

  • 観察力がある人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 体力がある人
  • 勉強熱心な人

動物は言葉を話せないので、些細な変化にも気が付く観察力や洞察力があると、業務を行う上で役に立ちます。

動物看護師は、動物以上に人間とのコミュニケーションが求められる仕事です。飼い主さんから情報を聞き出したり、院内での情報共有、円滑な人間関係を保つなど、自然にできる人は向いていると言えるでしょう。

動物病院での業務はほとんど立ち仕事になります。1日の仕事量も多く、長時間の勤務になるので、体力があった方が続けやすいでしょう。

動物医療は日進月歩です。薬や治療、検査など、常に新しい知識を得る努力は怠れません。セミナーや勉強会の参加も自主的に行い、スキルアップをすれば、現場で求められる看護師になれるでしょう。

動物看護師に向いていない人

  • プライベートを優先させたい人
  • 細かい雑務が苦手な人
  • アレルギーがある、血を見るのが苦手な人

動物看護師は残業が多く、拘束時間の長くなります。休みが思うようにとれない場合も多いです。自分の時間が思うように確保できないため、プライベートを優先したい人は不満を感じるかもしれません。

また、手術助手や保定など、動物看護師として目立つ仕事はほんの一部です。カルテ整理などの事務作業や、清掃などの細かな雑務が多く、苦手な人にはストレスになるでしょう。

いくら動物が好きでも、動物へのアレルギーがある場合には、悪化して続けるのが難しくなる可能性もあると理解しておきましょう。

動物病院では、血や内臓を見ずに働くことはできません。多少慣れるとは言われていますが、かわいそうで見られない、見るのが苦手な人は、精神的につらくなる恐れがあります。

動物看護師はきついけどやりがいがある仕事!

笑顔の看護師と犬

動物看護師という仕事について、想像以上にきつい仕事だと感じたかもしれません。しかし、大変な仕事の中に、大きなやりがいがあることも事実です。

獣医師と連携して動物の治療にあたり、ときには命を救えることもあるでしょう。責任重大な仕事だけに、やり遂げたときには大きな充実感や達成感を得られます。

とくに、元気に回復した動物を見たときや、飼い主さんに感謝されると、やりがいを感じ、涙が出るほどの嬉しさを感じられるでしょう。

人間関係の不安もあるかもしれませんが、反対に、動物看護師同士で助け合い、情報交換する中で、仲間意識や固い信頼関係を築けます。

動物看護師は、動物の役に立てるだけではなく、自分の存在価値を高め、やりがいを得られる仕事と言えるでしょう。

まとめ

考える看護師と犬

動物看護師は、精神的・肉体的に過酷な勤務内容や、プライベートの時間が取れないことなどから、きついと言われています。始めてみると思ったよりもつらく、自分に合わないと感じてやめたくなるかもしれません。

そんなときは、一度仕事への向き合い方を考えたり、周りの人に相談して、まずは気持ちを落ち着かせてみてください。それでもやはりつらいときには転職するのも1つの方法です。

動物看護師は、人と話すことが得意で細かなことに気がつき、勉強熱心な性格の人に向いています。その一方で、私生活を優先したい、雑務が苦手、動物が傷つく姿を見たくないと感じる方には、よりきつく感じるかもしれません。

責任が重く大変な仕事ではありますが、確実に動物の力になれる仕事です。元気になった動物の姿や飼い主さんの笑顔を見ると大きなやりがいを感じられます。

今回の記事を参考に、動物看護師について、改めて自分の気持ちを確かめてみてください。

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