もし母犬が育児放棄してしまったら?

もし母犬が育児放棄してしまったら?

動物は自分が産んだ赤ちゃんをお世話しないことがあります。そう。育児放棄です。お腹を痛めて頑張って産んだのに、どうして育児放棄してしまうのでしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

母犬が育児放棄?子犬と母親の様子を観察しましょう

母犬と子犬

【母犬は必至で子供を守り育てる】
犬も人間と同じように陣痛に耐え、お腹を痛めて子犬を産みます。子犬は羊膜に包まれた状態で出てくるので、母犬は羊膜を口で破り、へその緒を噛みきり、子犬の全身や鼻を舐めて呼吸を促します。そして自分のお乳へ誘導しお乳を飲ませ、また次の子を産みます。

子犬がヨチヨチと動いて遠くに行きそうになれば、口で咥えて自分の近くへ運び守ろうとします。大きくなればしてはいけないこと、やり過ぎてはいけないことを教え、子犬は犬のルールを覚えます。

誰かに教えてもらうでもなく、犬は本能でこうしてわが子を必死で守るのです。

母犬が育児放棄する原因

子犬のころの愛犬

なかには育児放棄してしまう子もいます。では、どうして育児放棄してしまうのでしょうか?

母親が初産だった

母親が初産だった場合、育児放棄する可能性があります。母親自体が人間に育てられ、自分のお腹から子犬が出てくると驚き育児放棄するようです。母親も人間社会になれてしまい、本能を忘れてビックリしてしまうようです。

帝王切開で出産した

自分自身が産んでいないのに子犬が急にいて「自分の子」だと理解できず、育児放棄になるようです。

飼い主に依存している

飼い主に依存している犬は、育児放棄する可能性があると言われています。母親になるより、まだまだ甘えたいのでしょうか。

また、生まれた時はちゃんとお乳をやり育児をしていても、飼い主さんが子犬が可愛いあまり、子犬に構い過ぎて嫉妬し、急に育児放棄をする場合もあるようです。

ひどい場合には、飼い主さんに依存し過ぎているせいで嫉妬心が強くなり、わが子なのにいじめたり、最悪の場合噛み殺そうとする場合もあるようです。

理由はこれだけではありません。安心して子育てができない環境や母犬の体調、生まれた子犬の体調が育児放棄につながる場合もあります。

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鈴木桂子

犬は飼育本能の強い動物です。ですが、母犬自体が若すぎて肉体的にも精神的にも未熟な場合、自分が親として子犬を育てるということ自体に戸惑ってしまうこともあります。また、ホルモンバランスが崩れたりして、子犬に対し攻撃的になったりすることもあります。

産室が静かで安心な場所だと思えないと母犬は落ち着けず、不安のため育児放棄する場合があります。また、産後の体調が悪く育児が出来ない場合などもあります。

母犬が育児放棄、もしくは病気でお乳をあげられない場合は、母親の体温で守られないので温度調整がとても重要です。子犬をとにかく温めてあげましょう。

母犬に育児を促す方法

生まれてきた子犬のためにも、母犬が育児放棄をしたら飼い主さんが手助けをし、育児を促さなければなりません。いくら人間と一緒に生活している犬でも本能は必ず持っています。

母親が生まれてきた子犬にお乳を与えないようであれば、子犬を母犬のお乳のところへ持っていき、お乳を飲ませてあげましょう。母親も子犬がお乳を飲みだせば本能が目ざめ、急にお世話をするようになります。

ちゃんとお乳をのませるようになったらもう大丈夫!後はしばらくの間は、飼い主さんが構い過ぎないようにしましょう。注意しなければならない期間が過ぎれば、後のことは母犬に任せて、そっと見守るくらいがいいでしょう。

飼い主さんにとっても初めての愛犬が出産の場合、色々不安になるかとは思いますが、ここは母犬を信じてあげてください。いつもでも可愛いだけの愛犬じゃなく、1つ大人になり母犬になったのですから。

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鈴木桂子

子犬が産まれてきたら、母犬はまず羊膜を破って臍の緒をかみ切り、子犬を舐めて呼吸をさせます。しかし、この段階で母犬が何もせずにいるようなら、すぐに飼い主の補助が必要になります。

まず飼い主が羊膜を手で破り、臍の緒をハサミで切り糸で結びます。そして柔らかいタオルなどで優しく体をふき、鼻や口に詰まっている羊水を口で吸いだしてやります。もしくは逆さにして少し揺らし、遠心分離の形で羊水を出させます。子犬が声をあげて泣き始めたら、呼吸が始まった証拠です。

この段階で母犬のお乳に近づけ、授乳を促します。子犬がお乳を吸う力が母性本能を刺激すると言われているので、戸惑いながらも、母犬がやがて受け入れていくようなら、後はそっと見守っておきます。

どうしても無理な場合は人工保育も視野に入れる

人工保育を始める前に大切なこと

そっと見守りつつも、細心の注意をしなければいけない時期があります。子犬が産まれてから離乳の終わる3~4週間の期間は特に子犬の健康管理に注意して下さい。

特に生後1週間から10日の間は子犬が命を落とす確率が高くなります。命を落とした子犬の6~7割がこの時期に命を落としていますので、できるだけこまめに様子をみてあげてください。

その後、生後1ヶ月ともなれば動きや排便で健康か判断できるようになるので、そこからは少し安心することができます。

飼い主さんが手助けをして母犬のお乳を飲ませても、育児放棄してしまう子もいます。きっと母犬なりに理由があるのでしょうから、怒らないであげてくださいね。その場合は飼い主さんの手で人工保育をしてあげてください。

また、育児はしているけどお乳が出ない、出にくい場合の子、母親がなんらかの病気で治療をしていてお乳を飲ませられない場合なども人工保育が必要となってきます。

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鈴木桂子

自分の愛犬が繁殖に適しているのかを見極めるのが、そもそも一番大事な問題です。

特に大型犬の場合や犬種によって、出産頭数が多い場合、育児放棄は子犬にとっても飼い主にとっても深刻な問題です。人工保育ができるだけの時間と余裕が飼い主にあるのか、まずそれを考えてから繁殖を計画しましょう。

出産が近づいたら、もしものために哺乳瓶、授乳用スポイトと子犬用のミルクを用意しておきます。育児放棄と分かったらすぐに、子犬にはミルクを飲ませてやらなければいけません。それから買いに行っていては間に合わないこともあります。必ず用意しておきましょう。

人工保育に必要なものと使い方

子犬用ミルク

牛乳や人間用のミルクではいけません。ちゃんと犬用のミルクを用意しましょう。たくさん栄養を与えたいからと言って、濃く作ったりするのは下痢の原因になるのでやめましょう。そしてこの時期の下痢は、成長に大きく影響します。

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鈴木桂子

子犬は産まれてすぐに体重を量ります。生まれてから3週間ほどは母乳、もしくは子犬用ミルクが栄養源なので、毎日同じ時間に体重を量り、体重がちゃんと増えているかで栄養状態をチェックします。

10日目で体重が生まれたときの2倍、3週間で3倍というのが大体の成長目安です。兄妹がいる場合は、それぞれチェックして発育が悪い子犬は注意深く見守る必要があります。

哺乳瓶

小型犬は犬猫用、大型犬は人間用で大丈夫でしょう。吸い口がカットされていないものはカッターであけず、内側から爪楊枝などであけましょう。

吸う力がない場合は、口から胃までカテーテルを通してミルクを与える必要が出てきますので、その場合は必ず動物病院に相談しましょう。

また、ミルクを飲ませた後には排便と排尿をさせましょう。基本的にミルクの温度は人肌にして、弱っているとき、消化の悪いときは薄めにしましょう。

授乳の方法ですが、子犬を手のひらで包むように持ち、もう片方の手でミルクを与えます。若干上に角度をつけ与えますが、空気は飲ませないように注意してください。

また、咥えているからといって飲んでいるとも限りません。必ずミルクが減ってきているか確認しましょう。

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万が一、仔犬が哺乳瓶を受け付けない場合のことを考え、授乳用のスポイトも用意しておきます。子犬の口元に哺乳瓶、もしくはスポイトの先端を押し当ててやると、子犬は自動的にミルクを飲むようになります。

人工保育の場合はお腹が膨らんでパンパンになるまで飲んだか、ちゃんと確認しましょう。生まれた1日目~5日目は3時間おきに、6日目からは4時間おきに、体重が順調に増えているようなら、12日目あたりからは6時間おきにミルクをあげます。

ガーゼなどの柔らかい布

排泄のお世話をするのに使います。子犬は自分で排泄ができないので、本来は母親が股間を舐め、排泄を促します。母親代わりとなり濡らした布やティッシュペーパーで、軽くチョンチョンと股間とお尻をつついてあげて、排尿と排便がでたらふき取ってあげましょう。

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子犬は生後20日頃まで自分で排泄することができないので、通常は母犬が尿道口や肛門をなめて刺激することで排泄が促されます。しかし育児放棄の場合は飼い主が代行してあげなくてはなりません。

ミルクを飲ませるたびに、尿道口や肛門にオリーブオイルを塗り、指先で軽く刺激してあげます。もしくはお湯で濡らした脱脂綿やタオルでかるく叩いたりこすったりしても構いません。

おしっこやうんちが出たらガーゼや脱脂綿できれいにふき取って、常に清潔にしてあげましょう。この時お腹を優しくなでてあげると、ミルクの消化を助けます。

保温するためのタオルやヒーター

子犬は3~4週間になるまで体温調節ができません。それまでは母犬や兄弟にひっついています。涼しい時期は室内を20度前後を保つようにしてください。また暑すぎてもいけませんので注意しましょう。

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生まれて10日くらいは皮膚も薄く脂肪が少ないので、特に体温調整ができません。ペットヒーターなどを30度くらいに設定して、低体温症を防ぎましょう。必ずタオルなどで包んで、低温やけどにならないよう、肌には直接触れないようにします。

まとめ

犬の親子

人間の場合の育児放棄はどんな理由があっても許せませんが、犬の場合はきっと悪気のない理由があるのです。自分の愛犬が子育てする姿を見るのは、とても楽しみだったことと思いますが、決して母犬を怒らないであげてください。

愛犬が育児放棄したならば、私が育ててあげる!と人工保育で母親役になってあげてください。母犬として育児するのは無理だったかもしれないけれど、子犬達が大きくなれば家族や仲間としてとってもなかよくなるかもしれません。

あなたの手で、あなたの犬孫を育ててあげてください!

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鈴木桂子

母親になるには肉体的にも精神的にも、充分に成熟している必要があります。ジャパンケンネルクラブ(JKC)では、オス・メスともに交配時の年齢は9か月1日以上と規定しており、これ以下の場合は血統書の発行がされません。

ですが犬種によって成熟度は違います。大型犬の1歳未満はまだジュニア。そういった段階での繁殖は、母体にとっても決して良いことではありません。また初産があまりに遅すぎるのも、推奨されていません。犬種クラブにはそれぞれの繁殖に関する規定がありますから、自分の愛犬の成熟度の年齢などの参考にしてください。

安易に自家繁殖を望まず、愛犬にとって本当に必要かどうか、そして育児放棄があった場合、それを飼い主がすべてを代行し、命を守ることができるのかどうかを、まず真剣に検討してください。1か月間は付きっきりになる覚悟が必要です。

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