衛生面を考えると犬にとって水道水が一番!
朝、犬のために水を容器に入れた後、その水が少なくなるまで常温で置いておくこともありますよね。しかし、犬の唾液や食べカスなどが入った水を長時間交換しないままだと、細菌が繁殖し次第に衛生的ではなくなってしまいます。
犬に清潔な水を与えるためには、できるだけ衛生的に保つことのできる水を選択したいものですよね。そのためには、水道水が一番いい選択です。水道水が良い理由についてミネラルウォーターと比較しながら解説していきます!
水道水に含まれる塩素による殺菌作用
日本の水道水は塩素が0.1mg/L以上含まれるように義務化されており、そのまま飲んでも人や動物の健康上大丈夫なように1mg/L以下となるよう管理されています。
この塩素による殺菌作用のおかげで、水道水は常温で最長3日ほど放置した場合も、衛生的に保たれるようになっています。
犬に与える場合は、1日数回を目安に水を交換していれば、清潔な状態を保つことができますね。交換する際は容器も十分に洗ってあげてください。
ミネラルウォーターは衛生的には注意が必要
ミネラルウォーターには、塩素が含まれておらず殺菌作用がありませんので、常温で長時間放置しておくと細菌が繁殖してしまう可能性があります。与える際は、放置しすぎないようにしましょう。
水道水の代わりにミネラルウォーターを与えてもいい?
外出先などでペットボトルを買った場合など、ミネラルウォーターを与える時もあるかと思います。基本的にはミネラルウォーターを与えても問題はありませんが、長期間持続して与える場合は考慮すべき点がいくつかあります。
尿石症を引き起こす可能性がある
尿石症とは、尿中のマグネシウムやカルシウムなどが凝集してストルバイトと呼ばれる結石が形成され、その結石が尿路や膀胱を傷つけたり、さらに大きくなると尿路に詰まったりしてしまう病気です。
特に海外製のミネラルウォーターは硬水のものが多く、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが多く含まれていますので、持続的に摂取していると尿石症を引き起こす可能性があります。
犬が尿石症になっている場合、「排尿に時間がかかる」「尿をする頻度が増えた」「血尿が出ている」などの症状がみられることがあります。
普段と違う排尿の様子が見られたらすぐに動物病院に相談しましょう。日本製のミネラルウォーターは軟水のものも多いので、成分を確認してみてください。
マグネシウムによって下痢を起こす犬もいる
ミネラルウォーターに含まれるマグネシウムは、下剤にも含まれるような成分ですので中には下痢を起こす犬もいます。
軟水であれば下痢は起こりにくくなりますが、ミネラルウォーターを飲んでから「いつもより便が柔らかい」と感じられた場合は控えておいたほうがいいでしょう。
犬に水道水を与える際の注意点
犬に与えるのはミネラルウォーターより水道水の方がオススメですが、水道水を与える際にもいくつか注意すべき点があります。
水道水中の塩素が水中の物質と反応してできる物質をカルキと呼び、これが水道水特有のカルキ臭の原因となります。人間よりも嗅覚が鋭い犬は、カルキ臭を嫌がって飲まない場合があります。
このカルキ抜きをしたい場合の注意点と、カルキ臭を軽減する方法、また地域による水道水の質の違いやその他の方法についてご紹介します。
汲み置きや煮沸でカルキ抜きをすると塩素が取り除かれる
水を日光に当てておく「汲み置き」と呼ばれる方法や、水を煮沸する方法などでカルキ抜きをした場合は、水道水中の塩素が取り除かれて殺菌作用がなくなってしまうため、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
そのため、これらの方法でカルキ抜きをした水を与える場合はこまめに水を交換してあげましょう。
カルキ臭を軽減するやり方
カルキを抜くわけではありませんが、臭いを軽減する方法を2つご紹介します。方法は以下の通りです。
- 朝一番の水は避ける
- ペットボトルに入れて振る
まず一つ目に朝一番の水は避けたほうが良いです。朝一番など、何時間も使ってなかった水道を開けると、初めに出てきた水はカルキやサビや鉄などの臭いがする場合があります。
数時間ぶりに水道を開ける場合は、数十秒流した後の水を犬に与えるようにしましょう。そうすることによって臭いを軽減することができます。
次に、ペットボトルに水道水を入れて数十秒振ることによってカルキに衝撃が加わり、水とカルキが分解されやすくなり臭いが軽減すると言われています。
こちらの方法はペットボトルに水を入れて振るだけです。簡単にできて効果的なので、良かったら試してみてください。
地域によっては比較的硬度の高い水道水もある
水中のマグネシウムとカルシウムの量が120mg/L以上のものを硬水と呼びます。日本の水道水はほとんどが100mg/L以下で軟水となっていますが、千葉県、埼玉県、沖縄県などの一部の地域では、100mg/L以上の比較的硬度の高い水が使用されています。
これらの地域の水道水は硬水というわけではありませんが、ミネラル成分の摂取をできるだけ避けたいという方は、ご自身の地域の水質を簡単にチェックできるサイトもありますので、検索してみてくださいね。
浄水器や犬用ミネラルウォーターを使う方法もある
水道水を与えることに抵抗がある方には、浄水器を使うという方法もあります。浄水器を使うと塩素やミネラル成分も取り除かれるので、カルキ臭や尿石症にかかる可能性も心配しなくてよくなります。
犬用ミネラルウォーターに関しては通販などで簡単に手に入れられ、軟水に調整されているものが多いです。災害時に犬と一緒に避難しなければならない時などに役立ちます。
しかし、どちらもミネラルウォーターと同様に殺菌作用もないので、使用する際には水をこまめに交換するようにしましょう。
まとめ
水道水には、殺菌作用のある塩素が含まれているため、ある程度長時間放置する場合もミネラルウォーターより衛生的です。
ミネラルウォーターは短期間与えるには基本的に問題はありませんが、硬水のミネラルウォーターを長期的に与えると尿石症や下痢を引き起こす可能性があるので長期的に与えるのは控えましょう。
水道水を与える場合では、日光に当てておく汲み置きや煮沸をして塩素を取り除く方法、また塩素によるカルキ臭を軽減するやり方として朝一番の水は避ける・ペットボトルに入れて振る方法もご紹介しました。
また、日本の水道水はほとんどが軟水であるものの、一部の地域では比較的硬水に近いことがあります。どうしても水道水を犬に与えるのは気になるという飼い主さんには、浄水器やペット用ミネラルウォーターを用いるという方法もあります。
水道水を与える場合はご自身の地域の水質を、ミネラルウォーターなどを与える場合は成分表示をぜひチェックしてみてください。