犬はパンを食べても大丈夫?与える際の注意点は?

犬はパンを食べても大丈夫?与える際の注意点は?

パンは人間にとって非常に身近な食べものですよね。愛犬にもつい気軽に与えてしまいたくなりますが、実は犬にとって害になる場合もあります。ここでは食べてもよいパンといけないパンや、犬向けのパンについて解説します。

犬はパンを食べても大丈夫!しかし注意が必要

パンを咥えている犬

朝食や忙しい時の軽食などとして、パンは人間にとって日常的な栄養源となるとても身近な食べ物ですよね。

このため、人間と暮らす犬も、床に落ちているパンくずを食べたり飼い主からおすそ分けにパンの耳をもらったりと、何かとパンを口にする機会が多いことでしょう。

あるいは、薬を飲むのが苦手な愛犬に、薬を食パンの白い部分に包み込んで食べさせている方もいるのではないでしょうか。

ですが、パンにも様々な種類があり中には犬にとって害になる材料を使用したものもあるため、むやみやたらにパンを与えるのはおすすめできません。

たとえば、食パンやフランスパンのようなシンプルなパンであれば少量を食べさせる分には問題ないでしょう。

一方、調理パン、総菜パン、菓子パンなどは様々な材料が使用されており、犬に様々な害を及ぼす恐れがあるためできるだけ与えないよう配慮する必要があります。

基本的に、人間向けの加工食品は犬にとって適しているとは言えないため、与えるとしても味見程度にとどめ、日常的なおやつとして継続的にパンを与えるのは控えた方がよさそうです。

また、市販の犬用のパンを与える場合も、パッケージに記載の与え方や1日当たりの給与量を守って与えなければなりません。

菓子パンや惣菜パンなどはNG!

カレーパンやピザパン、サンドイッチやハンバーガーといった調理パン、総菜パンと呼ばれるパンには玉ねぎが使われていることが多いため、犬に与えるのはとても危険です。

犬が玉ねぎなどのネギ類を食べると赤血球が破壊されて貧血を起こし、さらに発熱、嘔吐、下痢、血尿、血便、痙攣などの症状も現れて、最終的に死に至ることもあります。

このため、パンに限らずネギ類の入った人間用の食べ物は決して犬に与えないよう注意しなければなりません。さらにチョコパンやドーナツ、メロンパンといった菓子パン類も要注意です。

菓子パンで最悪死に至る可能性も

特に、菓子パンに使われることの多いチョコレートやココアにはテオブロミンという犬にとって毒性の高い物質が含まれており、摂取すると嘔吐や痙攣、発熱、心不全などが生じ、最悪の場合は死亡することもあります。

さらに、レーズンやマカダミアナッツなどが入っているパンも、チョコパン同様重篤な中毒症状を引き起こす恐れがあるため犬には厳禁です。また、レーズン酵母やブドウ酵母など、レーズンやブドウの成分の入ったパンも現時点では犬への安全性が確認されていないため避けた方が無難でしょう。

糖分としてハチミツが使われている菓子パンも、子犬や老犬などが食べるとボツリヌス菌による中毒を起こす場合があるので注意が必要です。

一般的に、こうした菓子パン類は砂糖が多く含まれていて、カロリーが高く日常的に与え続けると肥満を招く恐れがあります。

油を多く使ったドーナツや揚げパンなども消化不良による下痢や肥満の原因となり、一方でバターロールのようなバターを多く使用したパンは油脂を多く含んでいるため食べ過ぎると膵炎を引き起こす可能性もあるでしょう。

このように、菓子パンや総菜パンは犬にとって様々な害をもたらす材料や成分を多く含んでいるため、極力与えないよう気を付けなければいけません。

もし愛犬にパンを食べさせたい場合は、砂糖や塩、その他の調味料はすべて無添加で作った手作りパンを少量与えるのが最もおすすめです。

使用している素材にアレルギーを起こす可能性がある

健康な犬であっても、体質によってはある特定の食べ物や食材に対してアレルギー反応を起こすことがあります。

パンの生地に使用されている材料の中にもアレルギーを引き起こす可能性があるものが含まれているため、食べさせる際は注意しなければなりません。

特に、パンによく使われる材料である小麦や卵、大豆、乳製品などはアレルギーを引き起こしやすいとされているため、初めて犬にパンを与える際は少しずつ犬の様子を見ながら与えるようにしましょう。

また、たとえ最初に与えた時は平気でも、何回か与えているうちにアレルギーを発症する場合もあるため、常に注意して愛犬の様子を見守るようにしてください。

人間用のパンを与える場合はカロリーと塩分に要注意

パンには風味づけのために塩や砂糖、バターやマーガリンなどがふんだんに使用されている場合があります。

こうした人間用のパンを食べ過ぎると太るだけでなく、過剰な糖分や塩分、脂質などにより心臓や肝臓、腎臓に負担がかかり糖尿病や歯周病、代謝異常などを招く恐れがあるため、与えすぎには十分に気を付けなければなりません。

また、比較的シンプルな味付けの食パンであっても耳の部分は固くてカロリーが高めですので、犬に与える時は耳を取り除いて白い部分のみを少量与えるようにしましょう。

与えすぎると消化不良や肥満の原因になる

特にアレルギー体質ではない犬であっても、パンを食べ過ぎると消化不良や下痢を起こすことがあり、さらに糖分や油脂などをふんだんに使った高カロリーのパンは肥満の原因ともなるため、あまり体によいとは言えません。

また、消化機能の未熟な子犬にパンを与えると消化不良を起こすリスクがさらに高くなるため、子犬にパンを与えるのは控えましょう。

人間向けに味付けがしてあるパンは犬にとっても嗜好性が高く、喜んで食べる犬は多いかもしれません。

ですが、毎日の主食となるのはあくまでも総合栄養食のドッグフードであり、パンは栄養のバランスを整える上で必要な食べ物ではないため、パンを犬に与える際はほどほどの量とすることが大切です。

犬が食べてはいけないパンを食べたときの対処法

犬が食べてはいけないパンを食べたときの対処法

飼い主が十分に注意していても、うっかり落としたパンの欠片を盗み食いしたり、レーズンパンの空き袋に少量入っていたレーズンを食べてしまったりと、愛犬が食べてはいけないパンを食べてしまう可能性はゼロではありません。

では、万が一愛犬が食べてはいけないパンを食べてしまったときはどうすればよいのでしょうか。

犬が中毒を引き起こす食材と主な症状

チョコレートやレーズン、玉ねぎやマカデミアナッツなど急性の中毒症状を引き起こす恐れのあるパンを犬が食べてしまった場合でも、症状の出るタイミングや重症度、あるいは症状の有無などに個体差があります。

場合によってはある程度時間が経ってから重篤な症状が現れることもあるため、自宅で経過を見るようなことはせずできるだけ速やかに動物病院を受診することが大切です。

すぐに動物病院へ行くことができない場合でも、動物病院に連絡をして食べたパンの種類、食べた時間や量などを伝え、どうすべきか指示を仰ぐようにしましょう。

中毒を引き起こすものを食べると、主に以下のような症状が見られます。

玉ねぎ

1日~数日以内に嘔吐、下痢、腹痛、食欲低下、血尿、黄疸、呼吸数増加、元気消失などの症状が現れます。

レーズン(ぶどう)

数時間から12時間以内に嘔吐が見られ、その他にも下痢、頻尿、無尿、腹痛、多飲多尿、食欲低下、元気消失などの症状が見られます。数日後に急性腎不全で死に至ることもあります。

マカダミアナッツ

12時間以内に嘔吐、腹痛、発熱、後ろ脚の麻痺、四肢の腫れや痛み、痙攣、運動障害、呼吸困難、元気消失などの症状が現れます。

チョコレート

4~5時間以内に嘔吐、下痢、失禁、多飲、落ち着きがなくなるなどの症状が現れ、さらに症状が進行すると頻脈、神経過敏、多尿、興奮といった症状が見られるようになり、さらに重症化すると痙攣、発熱、不整脈、失神などが生じます。

アレルギー反応を起こす可能性のあるものを食べてしまった時

小麦アレルギーをはじめとする食物アレルギーのある犬が小麦粉などのアレルゲンの入ったパンを食べると、痒みや皮膚炎、腸炎などが起こります。

具体的には、口、耳、目などの顔回りやわき、内股、肉球の間など皮膚が重なる部分、さらに肛門周辺や尻尾、足先などに痒みが生じるでしょう。

また、腸炎により慢性的な嘔吐や下痢、軟便なども見られます。これらの症状は必ずしもアレルギーに限って現れるものではないため、最初はアレルギー反応とは思わないかもしれません。

ですので、飼い主が独断で判断せず、まずは動物病院で診察やアレルギー検査などを受けることが大切です。

また診察の際は、アレルゲンの特定に役立つ手掛かりを正確に伝えられるよう、症状が出る前に愛犬が食べたものやしていたことなどについてメモを取っておくとよいでしょう。

一方、すでにアレルギー検査を受けたことがあり、愛犬が何にアレルギー反応を示すか特定できている場合は、アレルゲンとなるものを愛犬が口にしないように徹底することが大切です。

飼い主が普段から徹底して食べ物を管理し、家の中でも外でも盗み食いや拾い食いをさせないように気を配ることが重要となります。

カビの生えたパンを食べてしまったとき

飼い主がパンにカビが生えていることに気づきゴミ箱に捨てても、うっかり愛犬の手の届くところにゴミ箱を置いてしまい、いつの間にか盗み食いしまうこともあるかもしれません。こうした場合はどうすればよいのでしょう。

犬も人と同様、カビの生えたものを食べると食中毒を起こす可能性がありますので、嘔吐や下痢、食欲の低下や痙攣などの症状が見られ、食中毒が疑われる場合はすぐに動物病院へ連れて行かなければなりません。

また、傷んだパンを食べたことが分かっていても、自己判断で食べたものを無理やり吐かせてはいけません。吐いたものを気管に詰まらせる恐れもありかえって危険ですので、すぐに動物病院へ連れて行ってください。

犬用パンのおすすめ3選

人間用のパンは色々な材料が使われているため愛犬に食べさせるのは心配ですが、犬でも食べられるように配慮された市販の犬用パンであれば、ある程度安心して与えられます。

アレルギーや与えすぎなどには注意しなければいけませんが、たまのおやつとしてあげる分には問題ないでしょう。

市販の犬用パンには以下のようなものがあります。

サンメイト コックさんがワンちゃんのために焼いたコックパン

サンメイト コックパンチーズ 60g 犬 おやつ コックパン

塩分が少なめで合成保存料や合成着色料などが無添加のミニパンです。

おやつやトレーニングのご褒美に利用しやすい一口サイズとなっています。柔らかく丁寧に焼き上げてあり老犬でも比較的食べやすいでしょう。

チーズ味の他にもヨーグルト味やさつまいも味、メロンパン味、ミルク味など様々なフレーバーを楽しめるシリーズ商品です。

アドメイト お菓子屋さんの手作りスイーツ しっとりドーナツ

アドメイト 犬用おやつ Petit Sweets しっとりドーナツ はちみつ

愛犬と一緒にお茶を楽しめそうなかわいいミニサイズのしっとりドーナツです。

一般的なドーナツと比べて脂肪分が約30%カットされています。一袋10個入りのお手軽サイズなので、気分転換のおやつとしてたまにあげると犬も喜びそうです。

銀のさら プチごほうびパン

ドギーマン 犬用おやつ おなかにやさしい ワンワン超ぷちパン

お腹に優しいオリゴ糖やカルシウムが配合された低塩分、無着色のパンです。

小型犬でも食べやすいプチサイズで、商品名の通りしつけのご褒美などに最適でしょう。ドッグフードをあまり食べない犬や老犬などでも食べやすく人気が高いようです。

犬用パンを手作りする方法

犬用パンを手作りする方法

愛犬にパンを食べさせるのであれば、飼い主自らがしっかりと材料を厳選し、犬の安全を考慮して作った手作りパンが最も安心です。以下に簡単にできる犬用パンのレシピをいくつか紹介します。

米粉の蒸しパン

お米から作られるグルテンフリーの米粉は、小麦アレルギーなどのある犬の手作りおやつの材料として人気の高い食材です。

蒸しパン以外にもパンケーキや食パン、おやつのケーキまで様々な犬用メニューに利用できます。

ちなみに、この米粉の蒸しパンは作り方もとても簡単ですので、お好みで茹でたカボチャやさつまいもなどを混ぜてあげてもよいでしょう。

  1. 米粉(30g)、水または犬用ミルク(30~40mL)、はちみつ(小さじ1杯)をボールに入れて混ぜ合わせます。
  2. 電子レンジでも使えるシリコン製の耐熱カップなどに入れてレンジで1分~1分半加熱します。
  3. 竹串やつまようじなどを刺して中の生地が生でなければ完成です。

おからと米粉のパンケーキ

こちらも砂糖を一切加えないヘルシーなパンケーキです。

  1. 生おから(大さじ3杯)をレンジで1~2分加熱します。
  2. ボウルに「①」と米粉(大さじ2杯)、犬用ミルク(大さじ1杯)、卵(1/2個)、水(約80cc)を入れてよく混ぜ合わせます。
  3. フライパンに少量のサラダ油(お好みで米油やオリーブオイルでもOK)を敷き、大さじ1杯分の生地を広げて両面を焼きます。

パンケーキに水切りヨーグルトをトッピングしてあげるのもヘルシーでおすすめです。

ホームベーカリーを使えば本格的な犬用手作りパンも簡単!

強力粉やドライイーストなどの材料を混ぜ合わせてオーブンで焼けば本格的なパンを作ることができますが、一次発酵、ベンチタイム、二次発酵など様々な工程があって初心者にはややハードルが高いかもしれません。

そこで、もし家にホームベーカリーがある場合は塩や砂糖を使わず、代わりにハチミツやオリーブオイルなどを使えば簡単に犬用のパンを作ることができるでしょう。

また、もう少し手をかけて作りたい場合は、一次発酵までをホームベーカリーに任せ、その後のベンチタイムから成形、二次発酵、オーブン焼成までの工程を自分で行うこともできます。

こうした便利なツールも上手に活用して、ぜひ愛犬の喜ぶ手作りパンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

パン

人間用のパンは基本的に犬に適した食べ物ではないため、与える場合はごく少量とし、使われている材料が犬にとって害のあるものではないか、アレルギーを引き起こすものが含まれていないかなど、様々なことに注意する必要があります。

また、総菜パンや菓子パンなどは糖分や塩分、油脂なども多く使われており犬にとっては有害となる可能性がありますが、食パンやフランスパンなどのシンプルなパンであれば少量を食べさせる分には比較的安全です。

ただし、種類を問わず人間用のパンを日常的なおやつとして犬に与え続けていると、肥満をはじめ糖尿病や腎臓病など様々な病気を招く恐れがあります。

したがって、もし犬にパンを与えるのであれば、犬用に作られた市販のパン、あるいは犬の害にならない食材のみを使用して飼い主が手作りしたパンを与えるのが最も安全でしょう。

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