補助犬とは
補助犬とは、目や耳に障害のある方や身体に不自由がある方の社会参加や自立を支えている犬のことで、「介助犬」「盲導犬」「聴導犬」の3つがあります。
介助犬と盲導犬の犬種は、ラブラドールレトリバーがほとんどですが、ゴールデンレトリバー、ラブラドールとゴールデンのミックス犬、介助犬の中にはスタンダードプードルなどもいるようです。聴導犬としてはさまざまな犬種が活躍しています。
補助犬は、生後2ヶ月〜約1歳になるまで子犬飼育ボランティアのパピー・ファミリーに家族の一員として飼育され、人間社会のルールや習慣を身につけなければいけません。その後訓練所に戻り、約1年間それぞれの仕事内容に沿った訓練を受け、公益財団法人日本補助犬協会から補助犬として認定されます。
2歳から10歳までの約8年間補助犬として活動し、引退した後はボランティアの元で余生を過ごします。
補助犬の種類① 介助犬
介助犬は3つある補助犬の種類のうちの一つで、身体が不自由な方の日常生活のサポートをする補助犬です。ユーザーが落とした物を拾ったりドアの開閉をしたりするだけでなく、予測外のことが起きた時に人を呼びに行くなどの緊急的な対応もすることができます。
介助犬は機能的な役割の他に、ユーザーや家族の精神的な支えにもなっているようです。一人で出かける不安を軽減したり家族が安心して出かけられるようになったりと、介助犬は身体が不自由な方が社会との繋がりを持つための大切なサポーターの役割を担っていると言えるでしょう。
補助犬の種類② 盲導犬
3つある補助犬の種類のうちの一つである盲導犬は、目の不自由な方が安全に外を歩くことができるようにサポートをする補助犬です。道路に沿って一定の速さを保ちながらまっすぐ歩き、階段や交差点の前で止まったり障害物をよけたりしながら歩きます。
しかしユーザーは、盲導犬に任せっきりにしているわけではなく、自分で目的地までの道順を頭に思い浮かべながら歩いています。また、周囲の音や足音の変化などを感じ取りながら、状況の判断をするのもユーザーです。信号を渡る時は、車の音や人の流れ、信号機の音などから、ユーザーが盲導犬に渡るタイミングを指示しています。
このように、目の不自由な方の歩行はどちらか一方では成り立たたない、盲導犬とユーザーとの共同作業となっています。
盲導犬の費用
盲導犬などの補助犬は無償貸与されます。しかし、使用する期間の飼育管理費用や、ワクチンや健診などの医療費はユーザーの自己負担となります。基本的には家庭で犬を飼う時と同じくらいの費用がかかることになりますが、盲導犬の場合は市町村によっては医療費の補助などが受けられることもあるようです。
補助犬の種類③ 聴導犬
聴導犬は3つある補助犬の種類のうちの一つで、耳が不自由な方の代わりに音を聞き取り、さまざまな動作を使って音を知らせるサポートを行う補助犬です。ドアのチャイムや赤ちゃんの泣き声、FAXの呼び出し音、目覚まし時計の音など、生活する上で必要な音を覚えておき、ユーザーにそれを伝え音源の近くまで誘導します。
生活の中で日常的に聞こえる音以外にも、警報機の音を判断し危険な状況を伝えるなどユーザーの安全を守る仕事もしています。また、外出先では病院や銀行などの窓口で名前を呼ぶ代わりに鈴を鳴らしてもらい、知らせることもあるようです。
聴導犬は、耳の不自由な方の音が聞こえないことからくる不安を減らして、快適で安全な生活を支える役割をしています。
補助犬との接し方
仕事の邪魔をしない
補助犬が仕事をしている時は、「 見つめない」「勝手に触らない」「声をかけない」の3つを守らなければいけません。補助犬が仕事中に他のことに気を取られてしまうと、事故に繋がる危険があるため絶対に邪魔をしていはいけません。補助犬は、ユーザーの命を守る仕事をしているということを忘れないようにしてください。
犬に声をかけてはいけませんが、もしユーザーに困っている様子が見られた場合は、手伝えることがないか声をかけましょう。
食べ物や水を与えない
補助犬のユーザーは、排泄のタイミングを一定の時間に揃えるために、一定量の食事や水を決まった時間に与えています。補助犬に勝手に食べ物などを与えると、排泄のタイミングが合わなくなってしまうこともあるので注意をしましょう。また、食べ物が合わず体調を崩してしまうこともあるため、ユーザーに許可なく与えないようにしてください。
補助犬にまつわる問題点
補助犬を連れての入店を拒否される事例が、たびたび社会問題として取り上げられています。
2002年10月1日に施行された「身体障害者補助犬法(補助犬法)」では、病院やデパート、スーパーマーケット、飲食店、ホテル、コンサートホールなど不特定多数の人が利用する公共の施設や民間施設、交通機関で補助犬の同伴を拒否してはいけないことが定められています。
ユーザーに対しても補助犬の予防接種や健診を受けて健康管理をすることや、シャンプーやブラッシングなどのお世話をしっかり行い清潔な状態を保つことなどを義務づけているようです。
それにも関わらず、補助犬に関する問題は後を絶たないのが現状です。解決するためには、補助犬はユーザーの身体の一部であるという認識や理解を社会に広めていかなければいけません。
まとめ
補助犬には3種類の仕事をする犬がいることが分かりました。どの補助犬も人の生活をサポートする大事な役割を担っています。補助犬が仕事をしている時は、邪魔をしないように注意しなければいけません。
補助犬はしっかりと訓練されており、手入れも十分に行われています。みんなが補助犬への理解を深めて、全ての人が生活しやすい世の中にしていきましょう。
ユーザーのコメント
30代 女性 匿名
女性 シナモン
ラッシュ時を避けてか、ちょっとずれた時間にいつも利用されています。ホームでは盲導犬がお座りして、きちんと乗車待ちの列に並んでいらっしゃいます。車中でも、恐らく邪魔にならないようにでしょうか、椅子に座られることなく、ドアから離れたところに立たれています。盲導犬はやはり人混みですので緊張した面持ちです。
盲導犬を連れた方がいらっしゃると、お声かけをした方がいいのか、邪魔にならないようにした方がいいのか、ちょっと悩んでしまいます。そういった方、犬にとってどういったサポートが適切なのか、そういえばわかっていなかったな、とこの記事を読んで思いました。