犬が食べても大丈夫なチーズの種類は?
犬が食べても大丈夫なチーズには、どんなものがあるのでしょうか?まずは、犬におすすめのチーズと避けたほうが良いチーズについて解説します。
犬には「犬用」のチーズがおすすめ!
基本的に、犬には「犬用」のチーズを与えましょう。犬用として販売されているチーズやチーズ入りのおやつには、犬にとって良くない食材が含まれていないため、安心して与えて大丈夫です。
一方、人間用のチーズは香辛料やナッツ、チョコレートなど、犬が中毒を起こす可能性がある食材が含まれているものもあり、思わぬ体調不良につながる可能性も考えられます。
犬用チーズと違って塩分が高いものも多く、犬が健康を損なう恐れがあるため、できれば避けたほうが良いでしょう。
なお、犬用チーズにはスティックタイプやフリーズドライなどさまざまな種類がありますが、あまりに固すぎるものはNG。歯の破損や口腔内のケガにつながる可能性があるため、おすすめできません。
また、噛み切れず大きな塊のままチーズを飲み込んでしまうと、食道や腸をうまく通過できず、消化管閉塞を起こす可能性もあります。場合によっては緊急手術が必要になるケースもあるため、十分注意しましょう。
人間用のチーズは塩分の少ないものから選ぶ
ひとくちにチーズといってもさまざまな種類があります。チーズの塩分量は種類によって大きく異なるため、購入時は注意が必要です。
人間用のチーズを犬に与える時は、できるだけ塩分が少ないものを選びましょう。塩分が少ないチーズは以下の通りです。
【塩分が少ないチーズ(犬に与えても良いチーズ)】- リコッタチーズ
- クリームチーズ
- カッテージチーズ
- モッツァレラチーズ
- マスカルポーネチーズ
これらのチーズは「フレッシュチーズ」と呼ばれており、熟成させずに作られています。水分量が多いぶん塩分濃度が低く、犬に食べさせるチーズとしてもおすすめです。
ただし、クリームチーズやマスカルポーネチーズは脂質が多いため、他のチーズより少なめに与えましょう。
一方、塩分が多いチーズとしては、以下のような種類が挙げられます。
【塩分が多いチーズ(犬に与えないほうが良いチーズ)】- ブルーチーズ
- ゴーダチーズ
- プロセスチーズ
- チェダーチーズ
- パルメザンチーズ
- ラクレットチーズ
- カマンベールチーズ
これらのチーズは長期間熟成させるため、製造過程で塩が多く加えられています。そのため、犬に与えるチーズとしては不向きといえるでしょう。
ただし、一般的に塩分や脂肪分が少ないチーズでも、メーカーや商品によって原材料や成分は異なります。犬に与えるチーズを探す際は、必ず原材料表記を確認して「与えても良いか」判断しましょう。
チーズを使った人間用の加工品は避ける
チーズケーキやチーズかまぼこ、チーズ鱈など、チーズを使った市販の加工品には、砂糖や塩、添加物が多く含まれています。
しかし、過剰な塩分や糖分は犬にとって不要なもの。たとえ無塩や無添加などこだわって作られているものであっても、人間用の加工品は与えるべきではないといえるでしょう。
犬がチーズを食べるメリット
チーズ特有の発酵した匂いは、犬にとって大きな魅力。野生時代の本能で「これは栄養価が高く美味しいもの!」ということを、敏感に感じ取っているのでしょう。
そんなチーズの風味や栄養素は、犬の心身に良い影響を与えてくれます。ここでは、犬にチーズを与えるメリットを大きく3つ説明します。
栄養価が高く健康効果が期待できる
チーズは「完全栄養食」と呼ばれるほど栄養価が高く、与えることでさまざまな健康効果が期待できます。
【チーズに含まれる主な栄養素】- 脂質
- タンパク質
- ミネラル(カルシウム、ナトリウムなど)
- ビタミン(A、B群、D、Eなど)
チーズには、五大栄養素のうち「タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン」の4つがバランスよく含まれており、免疫力向上や骨・関節のサポート、毛ヅヤ改善などの効果が期待できます。整腸作用のある乳酸菌も豊富なため、便秘改善や腸内環境の正常化にも役立つでしょう。
犬の食欲をアップしたり薬を飲ませやすくなる
チーズは犬の嗜好性が高く、さまざまな場面で活用できます。例えば、食欲がない犬に対してチーズを細かくちぎってトッピングしたり、チーズのふりかけをかけたりすると、喜んでご飯を食べてくれるようになります。
また、動物病院で処方された薬を嫌がる犬には、チーズで薬を包んで与えるだけで、投薬の成功率がアップします。犬によって好みは違うものの、ほとんどの犬はチーズの風味が好きなため、非常に活用しやすい食材といえますね。
手作りご飯やおやつの食材として使いやすい
チーズは手作りご飯の食材やおやつとしても活躍します。犬が喜ぶ食材といえば、ささみなどの肉類やさつまいもやかぼちゃなど甘みのある野菜を思い浮かべる方も多いでしょう。
もちろんそれだけ与えても良く食べますが、仕上げにチーズを加えれば更に美味しさがアップします。苦手な食べ物もチーズと組み合わせれば食べてくれることが多く、健康のために食べさせたい食材がある時は重宝します。
犬がチーズを食べるデメリット・リスク
栄養豊富で使い勝手も良いチーズですが、デメリットやリスクも存在します。過剰に怖がる心配はありませんが、後で焦らずに済むよう、念のため覚えておいてくださいね。
ここでは、愛犬にチーズを与える際に知っておきたいポイントを3つ紹介します。
食べ過ぎは塩分と脂質の過剰摂取や肥満につながる
チーズは脂肪分やカロリーが多く、食べ過ぎると肥満や急性膵炎、高脂血症につながります。
また、塩分の摂り過ぎは食塩中毒を引き起こす可能性もあり、場合によっては命を落とすことも考えられます。一般的に体重1kgあたり塩分2~3gを摂取すると、食塩中毒の症状が現れるといわれているため、あげすぎには十分注意しましょう。
アレルギーを発症する可能性がある
牛乳にアレルギーがある場合、チーズを食べることでアレルギー症状がみられる場合があります。食物アレルギーとは、特定のタンパク質に体の免疫機能が過剰に反応することで起こるもので、主に以下のような症状がみられます。
【主な犬のアレルギー症状】- 嘔吐下痢
- 皮膚の赤み痒み
- 脱毛皮膚の色素沈着
初めて愛犬にチーズを与える時は少量にし、その後の体調に注意しましょう。もし変わった様子が見られたら速やかに獣医師へ相談し、次回以降は与えないようにしてください。
乳糖不耐症による嘔吐や下痢が起きるかもしれない
まれではありますが、チーズに含まれる乳糖を消化しきれず、嘔吐や下痢などの消化器トラブルが起きる可能性も考えられます。
乳糖とは哺乳類の乳に含まれている糖類のことで、体内で分解するためには、ラクターゼという消化酵素が必要です。犬の場合、このラクターゼが少ないために乳糖の分解がうまくいかず、消化不良を起こしやすい傾向があります。
チーズの乳糖は製造過程でほとんど失われていることが多いものの、犬の体質やチーズの種類によっては消化不良に注意が必要といえるでしょう。心配な場合は、人間用のチーズを与えるのではなく、乳糖が少ないヤギミルクを使った犬用チーズがおすすめです。
【乳糖を含むチーズ例】- カッテージチーズ:100gあたりの含有量0.5g
- クリームチーズ: 100gあたりの含有量2.4g
- マスカルポーネチーズ:100gあたりの含有量3.5g
※牛乳は100gあたり4.4g含有
犬にチーズを与える時の注意点
犬にチーズを与える時は、大きく3つの注意点があります。間違った与え方は犬の健康を害する恐れがあるため、注意してくださいね。ここでは、犬にチーズを与える際に心がけてほしい点を解説します。
1日に食べていい量の目安を守って与える
チーズはあくまでおやつであり、主食ではありません。与える場合は、1日に必要なエネルギー量(総カロリー量)の10%以内にとどめることが大切です。体重・体の大きさ別の目安としては、以下の通りです。
【犬に与えていいチーズの量】- 超小型犬(体重4kg未満):約2~5g/小さじ1杯程度
- 小型犬(体重10kg以内):約5~12g/大さじ1杯弱程度
- 中型犬(体重20kg以内):約12~21g/大さじ1杯半程度
- 大型犬(体重20~40kgとして):約21~35g/大さじ2杯強程度
※カッテージチーズを健康な成犬に与える場合
とはいえ、チーズは種類によって脂肪分や塩分量が異なるため、上記はあくまで目安です。初めて愛犬にチーズを与える際は必ず少量にとどめ、体調に変化がないかよく様子をみるようにしましょう。
一度に大量に食べてしまった時は獣医師に相談する
犬にとって有害な食材が混じったチーズ製品を食べた場合や、一度に大量のチーズを食べてしまった時は、できるだけ早くかかりつけの動物病院に連絡し、獣医師の指示を仰ぎましょう。
一般的に、食塩中毒の症状は摂取してから数十分から数時間以内に現れます。主な症状は嘔吐や下痢、ふらつき、けいれん発作など。「元気そうだから大丈夫だろう」と様子をみているうちにぐったりしてしまう可能性もあるため、注意してください。
アルミホイルの包装ごと誤飲させないようにする
チーズは非常に食いつきが良いため、犬によっては包装ごと食べてしまうケースも考えられます。
紙製のものを少量食べた程度であれば便に混じって出てきますが、アルミホイルの包装を誤飲した場合は、消化管閉塞によって命を落とす可能性もあります。
思わぬ事故を防ぐためにも、チーズは必ず包装を取り除いてから与えましょう。なお、包装にチーズのかけらが付いているとそのままパクッと食べてしまう恐れがあるため、ごみはすぐに片づけてくださいね。
まとめ
- 基本的にチーズは犬用を与えよう
- 人間用のチーズを選ぶ時は塩分量が少ないものを
- 与えすぎは体調不良や病気の原因になるため注意する
- 初めて与える時は少量ずつ、その後しばらく様子をみること
チーズは栄養バランスに優れており、犬の食いつきも良い食材です。食べ過ぎには注意が必要ですが、ごほうびとして適量あげる程度であれば健康を害する心配もなし。食欲がない時や投薬時にも活躍してくれるので、使い勝手は非常に良いといえるでしょう。
ぜひこれからの生活にチーズを取り入れて、愛犬との時間をよりハッピーに過ごしてくださいね。