犬を飼いたい。
そう思ったとき、皆さんはどこからお迎えしますか?
HOME'S PRESS編集部の行った『住まいと犬の調査』によると、犬を飼うことになった経緯について、半数近くの方が『ペットショップ』という回答をしていることが明らかになりました。
次点『ブリーダー』の約3割と合わせると、全体の8割を占めています。町で見かける犬たちの多くは、ペットショップかブリーダー出身というわけです。
今回お話したいのは、残りの2割。
犬の入手経緯として、現状1割にも満たない『動物愛護センター』についてです。
動物愛護センターという名前は聞いたことがあるけれど、実態はよく知らないという方も多いのでは?
なんだかお堅い名前だけど、なにをしているところなの?
そんな疑問を解消すべく、すこし詳しく調べてみました。
動物愛護センターってなんだろう
どんなところなの?
各自治体によって名称が多少違うことがありますが、インターネットの検索サイトにて
『動物愛護センター ○○(お住まいの自治体)』
と入力すると同じような機能を持った全国の施設が出てきます。
横浜市の動物愛護センター(以下、センター)によると、
”センターとは「人と動物が共に快適に暮らせる環境づくり」を推進する拠点であり、保護収容動物を可能な限り譲渡するよう取り組んでいます。また、市民利用施設として市民の皆さまに広くご利用いただける施設です。”
出典:横浜市ホームページ
とあります。
ちょっと抽象的ですが、それぞれの自治体でNPO法人や各団体と手を取りながら、犬やねこなどの動物と人が快適な暮らしをするためにさまざまな取り組みを行っているところ、と考えて良いようです。
すでに犬を飼っている方、これから飼おうという方、どちらにも開かれています。
どんなことをしているの?
全国の各センターで多少の差はありますが、ほぼ共通していることは以下のとおりです。
ふれあいの実施
センターでは、平日の決められた時間に動物たちとのふれあいが出来ます。また、ふれあい体験としてイベントが行われることも。
動物に関する講習、勉強会
多くは良心的な値段でしっかりとした講習が受けられます。
犬、ねこの譲渡会
一定の条件を満たせば、市場価格よりずっと安くお迎えすることが可能です。
その他の役割
- 動物感染症などに関する情報の発信
- 飼い主への指導
- 動物の一時収容
- 収容動物の処分
各自治体のホームページで、譲渡会のスケジュールが見られます。
しつけ教室があるって本当?
飼い主への指導のひとつとして、多くのセンターでしつけ教室が行われています。
犬を飼ったあとのしつけで、苦労されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しつけに関する本を買って読んでもうまくいかなかったり、誰かに質問したくてもできなかったり‥‥。
そんなときは、センターで行われているしつけの教室を利用してみるのもひとつの手です。
参加費や授業料は低額で、きちんとした指導を受けられるのでおすすめですよ。開催スケジュールやコースをチェックして、ぜひご参加を。飼い主さんとしてのスキルアップにもなります。
動物愛護センター、すごいことになってます!
皆さんは、センターにどんなイメージをお持ちですか?
薄暗い?臭いがきつい?
なんだか冷たくてこわいイメージ‥‥という方、ぜひ、和歌山県の動物愛護センターを検索してみてください。
もはや、ちょっとしたレジャー施設です!
建物も現代的でキレイですし、敷地面積の広さにも驚きます。図書コーナーやクイズなども充実。
授乳室もあるので、子どもを連れて遊びに行くのに適しています。動物とふれあいたい時のひとつの選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか。
市街地からはすこし離れていることが多いですが、お住まいの自治体の動物愛護センターをまずは『どんな建物なんだろう?』くらいの気持でちょっと覗いてみませんか?
こちらで和歌山県の動物愛護センターの動画が見られます。
出典:和歌山県動物愛護センター
どうして、動物愛護センターからお迎えする人が少ないの?
センターでは、ペットショップやブリーダーよりずっと安く犬をお迎えできます。
一定の条件があり、どなたでもすぐ譲りますというわけではありませんが、犬たちはきちんと検査を受けた健康状態に問題ない子たちです。
では、なぜセンターからお迎えする人が少ないのでしょうか。
それには、以下の理由が考えられます。
そもそも知らない
センターの名前くらいは聞いたことがあるけれど、機能までは知らず、譲渡を行っていることも知らなかった‥‥という理由です。
案外、少なくないのではないでしょうか。
犬がほしいとおもったとき、目につくのは町中にあるペットショップです。反対にセンターは市街地からは離れていることが多いですから、存在を知らないこともありえます。
どんなところかわからないので、不安がある
センターは知っているけれど、どんなところかよくわからない。自治体の運営でお堅いイメージがあり、うかつに近寄れない‥‥といった理由です。
ホームページなどを調べても、写真などが少なくイメージが良くつかめないことはよくあります。
この場合は、まずふれあいイベントに参加して実際にセンターや動物たちへの印象を持つことで不安を解消出来るとおもいます。
ネガティヴなイメージがある
これこそが、最大であり最もむずかしい理由です。
前述のとおり、センターにいるのは保護収容動物です。
どこか病気なのではないか。他の飼い主に飼われていた経歴が気になる。処分を行っているセンターから、どことなく死を連想してしまう‥‥。
人は、ネガティヴなものからは遠ざかりたいもの。いくら「健康状態は問題ない犬たち」と言っても、ネガティヴなイメージがこびりついている限り、センターからお迎えする人が少ないのは仕方ないのかもしれません。
そんなときは、ぜひセンターから犬をお迎えしたという経験者の方からお話を聞いてみてください。
彼らはどのようにしてネガティヴなイメージを乗り越えたのか、犬との暮らしはどうなのか、とても参考になるはずです。
近くにいないという方は、インターネットで調べたり、本を見てみたり、センターに問い合せてみるのも良いでしょう。
お迎えすれば皆が喜ぶ
ペットショップやブリーダーからお迎えすることがいけないというわけではありません。
大切なのは、経緯の選択肢を増やすということです。
飼うのは飼い主さんであり、自由ですから、処分されていく動物たちを思うならセンターからとは言えません。
ただ、犬をほしいとおもったとき、センターを選択肢から外すことはやめてみませんか?
どんな子がいるかな、と覗いてみるのを、ペットショップの他にセンターも入れてみてください。
センターは、たしかに行きにくいところにあるかもしれません。
けれど、ペットショップで買ったときより喜びが多いことはたしかです。
それは、喜びが飼い主さんだけでなく、センターの職員や、一匹でも多くの犬の命が救われるよう願う人たちにまで広がるからです。
犬を飼うという行為が自分や自分の家族だけのものでなくなるとき、世の中の役に立ったという、かけがえのない喜びが飼い主さんに訪れるはずです。