犬がアボカドを食べると体調を崩す可能性がある
愛犬にはアボカドを食べさせても大丈夫なのでしょうか。アボカドを使った犬用の手作りごはんレシピも存在しますし、アボカドの成分が含まれているドッグフードもあります。
ところが大丈夫との情報がある一方で、危険という情報もあるのです。日本の情報では「危険」と書かれている例が多いのですが、海外では問題ないと言われていることがあります。これでは正解が分からず悩んでしまうものですよね。
栄養価の高さから人間に愛されているアボカドですが、「犬にアボカド」は賛否両論、まだ結論が出ていないのが現状です。実際に手作りごはんを与えている人もいるため、大きな異常が出ない可能性もあるでしょう。
しかし、犬によっては体調を崩す可能性があるため、与えるべきではないと考えられます。同様にアボカドオイルも使用を避けてください。
犬がアボカドを食べてはいけない理由
犬にアボカドを与えるべきでない理由について、分かりやすく紹介していきます。
人間の体には優しい食材であるアボカド。体に良いと言われ、頻繁に料理に取り入れている方も多いようです。しかし、犬には以下のような理由から与えるべきではありません。
それぞれの理由についても紹介しますので、ぜひ内容をチェックしてみてください。
犬が中毒を起こす成分が含まれている
アボカドにはペルシンという毒性物質が含まれています。ペルシンは、葉・種・樹皮に含まれる成分です。さらにペルシンには、たんぱく質代謝阻害作用もあるということが明らかになっています。
ペルシンが引き起こす中毒症状は、動物により重さの程度が違うとのこと。鳥や牛などの動物にとって、ペルシンは特に危険な成分です。
ただし、犬は比較的ペルシンへの感受性が低い生き物であるため、軽微な症状で済むことがあります。
このペルシンの含有量は、産地による違いが見られるのが特徴です。日本で食べられているメキシコ産のアボカドには、ペルシンが多く含まれています。
中毒症状が出ても死ぬことはなく軽度という説もありますが、子犬や老犬なら致死量は少なくなるでしょう。諸説ある状況から考えると、与えるべきではないと考えられます。
高脂肪で犬の消化器官に負担をかけやすい
アボカドは脂質が多さから考えても、犬には与えるべきではないと考えられます。脂質自体は犬にも必要な栄養素です。ドッグフードからの脂質摂取量が減ってしまうと、以下のような症状が出ることがあります。
- 体重の減少
- フケや脱毛
そのため、基本的には犬にも適切な量の脂質を与えなくてはなりません。
しかし、脂質が多すぎると消化器に大きな負担が掛かってしまうので、脂質の取りすぎには気を付ける必要があります。下痢や膵炎を引き起こす原因となるため、脂質を多く含んだアボカドには注意が必要です。
アボカドの種を誤飲すると消化管閉塞の危険がある
種を誤飲すると消化管に詰まってしまい、食道閉塞や腸閉塞などを引き起こしてしまう可能性があります。種にはペリシンも多いため、そもそも危険なのですが、誤飲にも注意しなくてはなりません。
人間の食べ物に興味を持ち、食べようとする犬は多いものです。アボカドの種を放置しておくと、誤飲の原因につながります。人間が料理で生のアボカドを使ったら、種は犬がいたずらできない場所に捨ててください。
もしも犬が種を飲んでしまった時は、すぐに動物病院を受診しましょう。
交差反応によりアレルギーを引き起こす可能性がある
もともと何らかのアレルギーを持っている犬は、特に気を付けなくてはなりません。
アボカドは、カバノキ科花粉などとの交差反応性があるとされる食品です。ラテックスーフルーツ症候群において、アボカドは頻度が高いフルーツだという研究結果があります。
人間でもアボカドはアレルギーの原因につながるのです。そのため、犬もアボカドで交差反応によるアレルギーを引き起こす可能性があります。
愛犬のアレルギーについて、すべてを把握できているとは限りませんよね。アレルギー検査をした経験のない犬の方が多いでしょう。
リスクを回避するためにもアボカドは与えるべきではないと考えられます。
犬がアボカドを食べたときの中毒症状
犬がアボカドを食べると、以下のような中毒症状が生じる可能性があります。
- 嘔吐
- 下痢
- 脱水
- 呼吸困難
- 痙攣
- 胃腸障害
- 心筋障害
- 肝障害
特に多いのが、嘔吐・下痢など軽度の胃腸障害です。
アボカドは中毒症状を起こすだけでなく、アレルギー症状を起こすこともあります。中毒症状は、摂取して短時間で突然昏睡状態になるなど、すぐに異常が出ることは少ないと言われていますが、それでも注意が必要です。
アボカドを摂取してから症状が出るまでの期間は、体質やその時の体調によって大きく異なりますが、きちんと対策をしないと取り返しのつかないことになる可能性があります。
また、昏睡などの重篤な症状を引き起こす可能性は低いとはいえ、もちろん危険性がゼロというわけではありません。アボカドは犬にとって危険な食べ物であり、摂取量によっては命に関わることもありますので、注意をしてください。
少量ならアボカドを食べてもいいの?
基本的には少量でも避けることをおすすめします。なぜなら、犬によってアボカドの成分に対する感受性が違うからです。少量でも重篤な症状を引き起こしたり、嘔吐したりする可能性があります。安全性を考えるのなら、与えるのはやめましょう。
犬がアボカドを食べたときの致死量
興味をお持ちの方もいるかもしれませんが、正確なアボカドの致死量は断定できません。なぜなら、アボカドの摂取量・犬の体重・体質などにより、大きな違いが出るからです。
わずかな量のアボカドが致死量になることもあるでしょう。愛犬の命を守るためにも、致死量ではなく、与えないことを検討してみてください。
犬がアボカドを食べてしまったときの対処法
どんなに人間が気を付けても、犬がアボカドを誤って食べてしまう可能性があります。一瞬目を離した隙に、犬がいたずらしてしまうことも多いものです。
実際に「うっかりアボカドを食べられた・舐められた」という経験をもつ方もいるでしょう。そこで犬がアボカドを誤って食べた時の対処について確認していきましょう。
アボカドの実や種を食べてしまった場合
もしも、犬がアボカドを誤って食べてしまったら、早急に動物病院へと連絡して受診してください。この時に、危険だからと飼い主が吐かせようとするのは、犬の体に負担がかかり危険です。
受診時はかかりつけの動物病院に連絡して、時間や量を伝えましょう。すでに何らかの中毒症状が出ているのなら、その旨も伝えてください。どの部分を食べたのかも伝える必要があります。
種を飲んだなら特に危険な状況ですので、夜間や休日でも対応できる病院に相談しましょう。応急処置の必要があれば、獣医師が教えてくれますので、必ず指示に従ってください。
犬がアボカドオイルを舐めた場合
アボカドオイルを犬が舐めた時にも動物病院に連絡してください。なぜなら、アボカドオイルにはペルシンが多く含まれているからです。
アボカドオイルは食用油だけでなくスキンケアにも使われています。美容用のアボカドオイルは、エイジングケアに効果が期待できるとして人気です。
日ごろのお手入れに、アボカドオイルを使用している方も多いでしょう。そのお手入れをした肌を犬が舐めてしまう可能性が考えられます。
普段から飼い主の手や顔を舐める犬なら、アボカドオイルが塗られていても、舐める可能性は十分にあるでしょう。犬を飼っていて、スキンシップをする機会があるのなら、アボカドオイルの取り扱いにはくれぐれも注意してください。
アボカドを使ったドッグフードは大丈夫なの?
ドッグフードの原材料にアボカドを使用しているメーカーは、その栄養価の高さに注目をしています。
良質な脂肪、抗酸化物質、ビタミンA、C、Eなど、アボカドの魅力は確かにありますし、犬や猫の被毛や皮膚の健康にも良いとされています。
ペットフードにアボカドを使用する場合、メーカーはペルシンの含有量が少ない品種の果肉のみに限定し、さらにペルシンの含有量を常にモニターしています。
このような厳密な管理は一般家庭では難しいので、アボカドそのものは与えない方が良いですが、メーカーのアボカド入りドッグフードを規定の給餌量与えるのはOKということですね。
ただし、獣医師によっては子犬や老犬にはアボカドを使ったフードは控えた方が良いという意見もあります。「念には念を入れて」ということですね。
まとめ
「犬にアボカド」は現在の時点で賛否両論あり、分からないことも多い状態です。万が一のリスクを考えるのなら、アボカドを与えるべきではないでしょう。
人間にとっては、栄養価が高くて優れた食べ物でも犬にはNGです。もし、誤って犬がアボカドを食べてしまった時には、なるべく早く動物病院に連絡してみてください。
「今まで与えていたし特に問題はなかった」と感じる方もいらっしゃいますよね。人間の食べ物をつい与えてしまう、という状況なら注意してください。
目に見えていない部分で、犬に何らかの中毒症状が出ている可能性もあります。
健康被害を引き起こすリスクを考えると食べさせないのが安心です。愛犬に健やかな毎日を過ごしてもらうためにも、アボカドを食べさせないようくれぐれも気を付けましょう。