犬の腸閉塞とは
人間にとって怖い病気とも言われる腸閉塞は、人間だけでなく犬にも起こる病気です。犬の腸閉塞とは、様々な原因によって腸が塞がってしまい、最悪の場合死亡してしまう恐れのある非常に恐ろしい病気です。
主な症状としては、食欲不振や嘔吐、中には便が異常なほど軟らかくなって出てくる下痢の症状を発症する犬もいます。また異物によって引き起こされる腸閉塞の場合、異物が詰まってしまった部分が壊死してしまう危険性もあります。
犬が腸閉塞を患ってしまった場合、症状に気付かず放置してしまうと手遅れとなり、最悪の場合亡くなることもあります。愛犬を命の危機にさらさないためにも日々の観察は重要です。また、何かを誤飲してしまった場合には、症状が出るのを待たずに病院へ連れて行く必要があります。
腸閉塞の場合は手術を行い治療しますが、閉塞してから時間経過が長くない場合は手術の予後は良好です。しかし、時間経過が長い場合は腸が壊死を起こしたりショック状態を起こすために予後がよくないこともあります。腸閉塞が疑われる症状が現れたら、すぐに病院へ連れて行くことを心がけてください。
犬の腸閉塞の症状
犬の腸閉塞は異物の誤飲や他の病気によって引き起こされる恐ろしい病気です。症状が現れたら、すぐに病院へ連れて行き、検査や治療をしてもらう必要があります。では、犬の腸閉塞はどのような症状が現れるのでしょうか。
腸閉塞の初期症状
まず犬の腸閉塞の初期症状として最も多く現れる症状が下痢や嘔吐です。いつもよりうんちが軟らかく軟便のような状態で出てきたり、お腹の痛みにより丸まるような体勢を取るという兆候が現れます。
食べてしまった物を吐く、あるいは吐き気が止まらないなどの症状が現れることも非常に多く、中には草をたべることにより胃の中の異物を取り除こうと試みることもあります。さらに嘔吐のし過ぎにより吐血してしまう犬もいます。
また前兆として、嘔吐が続いてしまうことにより、脱水症状を避けるために水をよく飲むようになるという行動を取る犬もいます。普段よりも愛犬が多く水を飲んでいると異変を感じたら、脱水症状や腸閉塞を疑うべきでしょう。
腸閉塞が進むと現れる症状
初期段階が過ぎ、腸閉塞の症状が進行してしまうと元気や食欲がなくなるという症状が見られます。下痢や嘔吐によって元気がなくなってしまったり、腸が詰まってしまうことにより便秘となり、食欲がなくなってしまうのです。
また腸が詰まってしまうことにより苦しくなり、普段よりも呼吸が早くなる、あるいは荒くなってしまうという症状もみられるようになります。呼吸が速くなると動く元気もなくなってしまい、最終的には寝たままになってしまうなどの異常が現れます。さらに腸閉塞により腸が炎症を起こし、ゼリー状の血が混ざった血便を出すこともあります。これは血の色が黒ければ黒いほど時間が経過していることを意味します。
他にも腸閉塞から腹膜炎が引き起こされ発熱したり、重症化すると貧血を引き起こしたり体が震える、さらにショック症状により意識を失ってしまうなどの症状が現れることもあります。最悪死に至る危険性がありますので、こうなる前に早めの診察が重要です。
腸閉塞とその他の病気の見分け方
腸閉塞の場合、嘔吐した際の嘔吐物からうんちのような匂いがしたり、あるいは嘔吐した後の口臭がうんちのような匂いになっているなどの特徴があります。これは腸が詰まっており、うんちが外に出ず、口に向かって上がってきてしまっていることが原因です。
初期症状の嘔吐や下痢といった症状は、他の病気でも現れやすい症状です。しかし、前述のような違いがありますので、嘔吐した嘔吐物や口臭にうんちのような匂いが混ざっているかどうかを判断基準にしましょう。また、もしそのような異変がなかった場合であっても、嘔吐や下痢は違う病気を引き起こしている恐れがあります。どちらにせよ、早めに病院へ連れて行き診察や検査をしてもらいましょう。
犬の腸閉塞の原因
発見が遅れてしまうと手遅れとなってしまうケースの多い怖い病気「腸閉塞」ですが、犬の腸閉塞はどのような事が原因となり引き起こされてしまうのでしょうか。主な原因を下記に記載しましたので、飼い主さんは日頃から注意しましょう。
異物の誤飲
まず最も多い原因として異物の誤飲が挙げられます。犬は口に入れたり舐めたりすることでその物を判断することが多い動物です。特に何も知らず好奇心旺盛な子犬期は、口に物を入れてしまう事故が多発します。異物を誤飲してしまうと消化管のどこかに詰まってしまいます。異物が詰まり食べたものが移動(排泄)できなくなる状態を腸閉塞と言います。
「大きい物を誤飲してしまわなければ大丈夫でしょう?」と思う方もいるかもしれません。たしかに誤飲してしまう物の大きさが大きければ大きいほど危険ではありますが、小さいからといって油断はできません。
おもちゃやタオル、プラスチックといった大きい物から、普段私たちと一緒に生活している部屋の中に落ちているであろう髪の毛やティッシュも危険です。ひもで遊んでいたら飲み込んでしまった犬もいます。中にはぬいぐるみやクッションで遊んだことで、中の綿が出てきてしまい、その綿を誤飲し腸閉塞になってしまった例もあります。
他にも犬が食べられる食材とされているとうもろこしの粒を丸呑みしてしまい腸閉塞の原因となってしまったり、散歩中に道に落ちている砂や石を舐めたり口に入れてしまい、腸閉塞を引き起こすケースも多いです。
上記のように様々な物が腸閉塞の原因となり得ます。犬に一人遊びをさせる場合は、必ず危険でない物を与えたり、近くで見守ってあげることが大切です。
病気が原因の可能性も
異物の誤飲以外での原因としては、別の病気によって腸閉塞が引き起こされることもあります。例えば鼠径ヘルニアなどのヘルニアができてしまい、異物誤飲のように腸を塞いでしまった場合、腸閉塞となってしまう恐れがあります。
病気によって腸閉塞が引き起こされる場合、最も多い原因として癌が挙げられます。癌によってできてしまったリンパ腫の影響で腸閉塞になってしまうのです。他にも手術後の癒着によって腸閉塞が引き起こされたり、異物を誤飲したことで体内に入ってしまった異物が胃の壁を突き破って出てきてしまう腹膜炎を引き起こす恐れもあります。
誤飲をしていなくても他の病気の影響で腸閉塞を引き起こしている可能性があります。「誤飲していないから大丈夫」と思うのではなく、症状が現れたら別の病気による原因を疑い、病院で検査してもらいましょう。
犬の腸閉塞の検査法
犬が腸閉塞になってしまった疑いがある場合、まず検査を行い閉塞の有無の確認をします。
腸閉塞の検査にはレントゲンを撮り、身体の異常を確認するX線造影検査を行います。状態によっては血液を採取して体の状態を確かめる血液検査を行う場合もあります。これらの検査を行い、検査の結果を基に手術に向けて体の調子を整える処置がされることも多く、点滴や抗生剤の投与などを行い、手術ができる体へと整えていきます。
犬の腸閉塞の治療法
腸閉塞が疑われる場合、一般的に手術します。自然治癒は望めない怖い病気です。
外科手術による異物の除去
最も多い治療方法は手術により治療する外科的方法です。手術により、腸に詰まってしまった異物を取り除いたり、腸の中を整えることができます。これにより腸閉塞を完治させることができるのです。
手術時間は腸閉塞の状態や他の病気が併発しているか否かなどの条件によって異なります。また獣医さんの選択した手術方法によっても異なります。しかし、手術の成功率は高く、約90%の成功率とされています。100%ではありませんが、医療ですから絶対はありません。そのため、非常に高い成功率と言えるでしょう。しかし、閉塞から時間経過が長いと予後は悪くなりますので早期の治療が重要です。
腸閉塞の手術後2~3日は食事ができません。また術後、1日は水を飲むこともできません。基本的に点滴により脱水症状や栄養不足を防ぐ状態となります。2~3日経過した後、病院で流動食を与えられるようになるため、一般的に入院期間は5日間ほどとされています。最低でも5日間ですので、術後の経過によっては入院する期間が延長されることもあります。
流動食も嘔吐などの問題がなく、食べることができるようであれば、獣医さんによる判断の下、普通の食事に切り替えられます。さらに退院後も投薬を続ける必要があります。そのため、手術開始からすべてが終わるまでは、10~14日間はかかります。
治療費はどのぐらいかかるの?
治療方法と同時に飼い主が気になるのが治療費ですよね。基本的に腸閉塞の治療費には診察代、検査費、手術費用、術後の点滴代、入院代などが含まれます。腸閉塞を治療する場合、かかる料金は平均で7~15万円台と言われています。しかし、中にはより多くの検査や施術をする必要がある犬もいます。その場合はその分の値段が加算されますので、料金がより高くなり30万円ほどかかることもあります。
ペット保険に加入している場合は、腸閉塞の治療にも適用されます。腸閉塞の治療を行った場合、ペット保険に加入していないのであれば、ぜひ愛犬が病気になってしまった時のことを考え、すぐに加入するようにしましょう。
犬の腸閉塞の予防法
腸閉塞は犬にとっても非常に怖い病気です。発見が遅れてしまったり、放置してしまうと死に至ることもありますし、余命宣告をされることも珍しくありません。飼い主であれば、「愛犬をそんな恐ろしい目に遭わせたくない」と思うことでしょう。
では、愛犬が腸閉塞にならないためにできる予防法はあるのでしょうか。まず腸閉塞にならないために出来る事前対策としては、腸に詰まる恐れのある犬が食べてはいけない異物を床に置かないという対策が挙げられます。例えばおもちゃであれば、飼い主が見ている前でのみ遊ばせるといった方法をとったり、食べ物も床に落としたままにしないなど、部屋の中であっても細心の注意を払うことが大切です。
さらに散歩中には拾い食いによって腸閉塞になってしまう恐れがあります。そのため、拾い食いをしていないか、または地面に落ちている砂などを舐めていないかを注意して観察するように心がけましょう。これだけでも異物を口の中に入れてしまうリスクが軽減されます。異物を口の中に入れてしまった場合は早急に吐き出させたり、病院へ連れて行き取り除いてもらうように対応することが大切です。
犬の腸閉塞の応急処置方法
愛犬に腸閉塞の疑いがある場合はすぐに病院へ連れていくべきですが、嘔吐によって苦しそうにしているなどの緊急性の高い異変が現れた場合、飼い主ができる応急処置を知っておくと安心です。
嘔吐の症状がある場合、嘔吐物が気道に詰まらないように応急処置をする必要があります。嘔吐物が気道に詰まってしまうと窒息してしまう危険性があるからです。もしも苦しそうにしている場合は、口の中を覗き、見える位置に嘔吐物が詰まっている場合はピンセットで取り出してあげましょう。苦しくて暴れてしまう場合がありますので絶対に無理をしないようにしてください。 ピンセットで口の中に傷ができたり、ピンセットを飲み込む恐れがあります。見えない場合は背中を叩いたり、横に寝かせた状態で肋骨の下の部分を軽く押して嘔吐物を押し上げるなどのマッサージをすることで応急処置をしてあげましょう。
もしも上記のような応急処置をしても吐かないなど、変化が見られない場合は病院にすぐに連れて行き取ってもらいましょう。苦しそうにしていない、普段通りに過ごしているなど緊急性の低い場合は、数時間ほど様子を見てから病院に連れて行くのも良いでしょう。
犬の腸閉塞の参考になるブログ
最後に犬の腸閉塞に関するためになるブログをご紹介します。
こちらのブログには、ブログの筆者の愛犬が腸閉塞になったところから治療法、さらに入院時の経過や費用までが書かれています。その他にも術後の抜糸に関する情報も記載されているため、腸閉塞になってしまうとどのような症状が現れ、どのように治療するのかがわかります。こちらの筆者の愛犬は手術により、無事治療することができたとのことです。愛犬のことを大切にしている筆者の方だからこそ書けるブログでしょう。ぜひ覗いてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。犬の腸閉塞は自然治癒できる病気ではありません。気付かずに手遅れになってしまうケースもある恐ろしい病気です。しかし、恐ろしい病気ではありますが、早期発見し、治療することで治る病気です。それよりも腸に詰まりそうな危険なものを身近に置かないようにすることが大切です。
腸閉塞の場合は初期症状の嘔吐や下痢がポイントとなります。特に今回ご紹介したように、嘔吐物がうんちのような匂いがした場合、吐く回数が異常に多い、便が細くなり出ないなどの症状があれば腸閉塞の可能性が高いでしょう。
嘔吐や下痢の症状は腸閉塞でない場合でも恐ろしい病気が隠れていることが多いです。このように普段から愛犬をしっかり観察し、少しでも異変を感じたら、かかりつけの病院に電話で尋ねてみたり、そのまま病院へ連れて行き、診察してもらうようにしましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 RIRIKA
20代 女性 こなつ
下痢や嘔吐はいろんな病気に見られる症状ですし、元気がなくなるや食欲低下も熱中症のときにも見られます。
すべての症状がはっきり全部出るわけではないので判断は難しいです。
体重が減少してきたら何かしら体に異常があるはずなので、すぐに病院に連れていって欲しいと思います。
対策として愛犬が食べてはいけないものは愛犬の届くところにおいてはいけませんね!
50代以上 女性 K9-ABC
散歩中は目が離せませんね。だいぶ身についたリーダーズウォークが拾い食い防止にも役立っています。家では愛犬が届きそうな所に飲み込んだら危険な物を置くことはやめていますが、予想外に届いてしまうことがあるので、いつも確認や工夫が必要です。
しかし、大事な愛犬に危険を寄せ付けないためなので、色々試行錯誤しています。愛犬はそれを見て首をかしげていることがあって、こちらにはその様子が可笑しいのですが、相手も知恵があるので飼い主の責任として何重にも用心しています。
女性 白川
初めは便秘気味だなと軽く感じるくらいでした。震災後だったこともあり、ストレスもあるのだろうと思っていました。ですがひと月近く経ち、こんなに便の量が少ない期間が続くのはおかしいと思い始めた頃、ご飯を一切口にしなくなり、今度は吐くものがないほどの嘔吐が始まり、元気もなくなっていきました。元々お腹がぽっこりしている犬だったのですが、そのぽっこりも異常に大きく感じました。
急いで病院に向かい検査をしてもらうと、腸の圧迫が酷く破裂寸前でした。
その場で即入院し、点滴と下剤、浣腸などで腸内の固まった老廃物を少しでも外へ出すように対処してもらい、ある程度お腹の圧迫感が治まったところでヘルニアの手術になりました。
もし食欲不振の時に無理にでも食べさせてしまっていたら、完全な腸閉塞になっていたかもしれません。ヘルニアが破裂していたかもしれません。
今でも便秘気味になるととても不安になってしまいます。
便秘気味の状態が数日続くようなら、元気があるかどうか、食欲はどうか、嘔吐下痢もある場合は急いで動物病院で診てもらってください。
そしてそんな時は無理に食べさせないことも重要です。
20代 女性 あめたま
腸閉塞の原因がおもちゃや木片の誤飲という事で、愛犬が誤って床に落ちている物を飲み込んでしまわないように常に部屋を掃除しておかなければならないと感じられました。
特に子犬の場合は好奇心旺盛なケースが多いので、適切な躾を行い適切な物事を判断出来るようになるまでは特に気を付けてあげなければいけないと考えます。
腸閉塞は恐ろしい病気ですが、落ちている物を飲み込んでしまう事は愛犬にとってとても危険です。
したがって、日常的に愛犬と過ごす部屋の掃除と躾を施さなければならないと感じられました。
20代 女性 てとまる
友人の愛犬をよく友人の代わりに散歩しているのですが、散歩中に落ちているゴミやボールを拾ってしまうクセがあります。そのため腐った食べ物などを食べて体調を崩さないか心配で、リードを短く持つようにしていました。また力が強い犬だったので出来るだけ落ちているものを先に見付けて近寄らせないようにしていました。
我が家の愛犬も以前、机の上に置いたままだったビーフジャーキーを食べた経験があるので誤飲の元になるようなものは愛犬の届かないところへ置くようしています。また散歩中もいつ何に興味を持つか分からないので、いつでもリードで愛犬を止めれるようにしてあげたいと思います。
女性 ラルコ
女性 毛糸
我が家にも何でも食べようとする、トイプードルとシーズーのミックス犬がいて、トイプードルの系統のせいなのか一度口の中に入れてしまうと絶対に取り出すことができません。他の犬種も飼っているのですが、その子はすぐに口から取り出すことができますが、ミックスの子に関しては牙を剥き出しにして唸り歯を食いしばるのでいつも途中で根負けして諦めてしまいます。
この記事を読んで、腸閉塞の原因になる物に思い当たる事が多く、ちょっとびっくりしました。
大型犬が大量の靴下を飲み込んだのなら、それは仕方が無いかなと思いましたが、散歩中の石や葉っぱなどでも起こるんですね。
気を付けようとおもいました。
女性 コロ
消化しきれなかったら胃腸に影響があるかもしれないと思い、病院に行ったところレントゲンにしっかりガムの形が…。消化できなかったら腸閉塞の可能性も出てくると言われました。幸い時間をかけて無事消化できたみたいです。
おやつであっても丸飲みしやすい子からは目を離してはいけないですね。
女性 もふころ
噛み癖が強い子やおもちゃの破壊癖がある子の場合は、いつ何を飲み込んでしまうかわからないので、生活空間に置く物なども注意するべきなのかなと思いました。
腸に何かある時は下痢や便秘などの症状が顕著に表れるので、毎日のおトイレチェックも大事ですね。