犬の里親になるために知っておきたい10のこと

犬の里親になるために知っておきたい10のこと

犬を飼おうと決めた時、ペットショップやブリーダーからではなく保健所や愛護団体から犬を迎える「里親」という選択をする人が増えてきました。では実際に里親さんになる時にはどのような事を知っておく必要があるのか、里親になるには知っておきたい10のことをご紹介します。

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犬の里親になるには知っておきたい10のこと

保健所の檻の中の犬白テリア系

里親さんとは保健所に収容されている犬や、NPO団体などに保護されている犬や、インターネットで個人の飼育放棄などで飼い主がいない犬の新しい家族になるということです。

現在日本ではこうした多くの犬が新しい家族が現れることを待っています。

保健所に収容されている犬たちは一定の期間内に里親さんが見つかるかNPO団体や個人によって里親さんへの譲渡を目的に引き出されることがなければ「殺処分」が行われています。

この殺処分を無くすための活動が広く行われていますが、まだまだ里親さんになってくれる方が少ないのが現状です。

1、犬たちには過去があります

里親さんを待っている犬たちの多くは雑種の成犬です。インターネット等では個人の飼育放棄による里親さん募集が行われておりペットショップなどで高値がつく純血種の犬もいます。ですが、保健所に収容される犬の多くは雑種の成犬、または野良になってしまった犬が産み落とした仔犬、純血種でも繁殖犬として過酷な環境で生きて来た犬たちです。

人に捨てられたり、虐待されていたり、犬たちにはさまざまな過去があります。

人への信頼を失っている犬、人への恐怖がある犬、身を守るために威嚇行動がある犬など犬たちが抱える過去によって新しく家族に迎えても、すぐに心を開いてくれるとは限りません。

2、犬たちには帰る場所がありません

いざ里親さんになったものの、相性が悪い、こんなはずじゃなかったといっても、もともと居場所を失った犬たちに帰る場所はありません。NPO団体などから犬を譲り受ける時には必ず「トライアル期間」「お試し飼い」という一定の期間があります。これは万が一里親さんが「やっぱり飼えない」となった場合に犬たちの行き場所を確保するためです。

ペットショップ等で購入した犬でも、譲り受けた犬でも飼い主の責任は同じですが、一度行き場所を失った犬たちを何度も苦しめることが無いようより大きな覚悟を持つ必要があります。

3、里親になるには条件があります

保健所やNPO団体、個人の愛護活動家から犬を譲り受けるためには多くの条件があります。この条件は「二度と悲しい思いをさせないため」に犬たちを守るための条件です。

この条件に合わない方には譲渡されることはありません。里親の申し出をしても断られてしまった方が、

「せっかく里親になってあげようと思ったのに」
「捨て犬をもらうのに条件がいるのか?」

と口にされていますが、1頭の犬に対して里親さんのお申出が重なれば最良を選びます。

飼育の環境が不十分であれば申し出を断られることもあります。それは全て犬たちの幸せのためです。
里親さんを探している側と、里親さんになりたい側でよくトラブルにもなる「条件」ですが、自分の娘を嫁に出すのと同じ思いで厳しい条件を設けています。

怯えてすがる目で見つめてきたその子を、何度も抱きしめて幸せになろうと懸命に守ってきた思いが、里親詐欺や動物の飼育不適な人から犬たちを守っています。

取り調べされてるみたい、と感じてしまうこともあるかもしれませんがこの譲れない条件についても、里親さんになる前に理解しておきましょう。

4、里親さんになるための条件(あくまでも一例です)

  • 年齢制限(仔犬の場合は50歳未満など)
  • 一人暮らし不可
  • 多頭飼育不可
  • 経済状況の確認
  • ワンルーム不可
  • 予防接種の義務
  • 譲渡後の近況報告
  • お留守番の時間が少ないこと
  • 乳幼児がいないこと
  • 同棲カップル不可
  • 完全室内飼育
  • 避妊去勢の義務

など

犬と男性キス

5、里親さんになるための費用

保健所や愛護センターから犬を譲り受ける場合、各自治体でかかる費用も変わります。

  • 無償譲渡
  • 医療費の負担(ワクチンなどの費用)
  • 定額負担

0円~数千円の費用はペットショップで犬を購入するよりもはるかに安価ですが命の重さや尊さに変わりはありません。

ペットショップでは犬は飼えないけど、保健所の犬はタダだからという安易な譲受を考える人も少なくありませんが、安価で犬をもらってもその後の飼育費用は、購入した犬と変わらずにかかります。

NPO団体などから犬を譲り受ける場合には「譲渡金」「寄付金」などがかかります。

「譲渡金」「寄付金」

保護している間にかかった医療費などを里親さんに負担してもらいます。保護している間にもたくさんの費用がかかりますので里親さんが費用負担をしてくれることで次に保護した子の医療費などに充てることができます。

譲渡金の金額は

  • かかった費用全額
  • かかった費用の半額
  • かかった費用にかかわらず定額
  • 寄付として金額は里親さんに任せる

さまざまですので事前に確認しましょう。

また、譲り受ける犬を里親さんの自宅まで運ぶ際の交通費も里親さんが負担するところが多いようです。

個人間の譲渡でも金銭的なトラブルが多いようなので、必ず契約書を交わし金銭のやり取りはあらかじめ十分に確認するようにしましょう。

多くのNPO団体や個人の動物愛護活動家は、個人の収入や財産を切り崩し動物たちを保護する活動をしています。募金や寄付金だけでは、毎日溢れるように捨てられる犬たちの数が多すぎて経済的に厳しい状況です。

里親さんになるための費用は次の命を救うための大切なお金になっていることを理解しておきましょう。

6、病気が見つかるかもしれません

過去が分からない犬たちは保健所にいる間や保護されている間に健康診断や適切な医療ケアをうけている場合もあります。保健所によっては感染症の検査のみの場合もあります。

そのため、家族に迎えたあとに病気が見つかる場合もあります。また、正確な年齢なども分からないことも多く、隠れた病気などは分からないまま家族に迎え入れることもあります。

ですがどの犬も病気になる可能性はありますし、仔犬を購入しても先天性の疾患がある場合もあります。

ペットショップでセット販売されている「生体保障サービス」などはありません。病気になったからといって譲渡の時にかかった費用が還ってくるわけではありません。

犬たちを家族に迎えるということは「どんなことがあっても家族として責任を持つ」という覚悟が必要です。

7、問題行動があるかもしれません

新しい環境にも慣れ、犬たちの様子は少しずつ変化していきます。日に日に甘えん坊になっていったり新しい名前を覚えたりと嬉しい変化もたくさんありますが、さまざまな経験をさせていくうちに「苦手なこと」「癖」などが見えてきます。過去の辛い経験やトラウマが突然現れて、噛んでしまったり、吠え続けてしまったり里親さんを悩ませる行動があるかもしれません。

ですが、その全てを受け入れ一緒に問題解決をしていける忍耐力と精神力、心の余裕が必要になります。

へそ天白い犬

8、犬は何歳になっても新しいことを覚えます

成犬を迎えるは不安という方の多くが「仔犬からじゃないと躾けられない」と思われています。ですが、犬は何歳になっても新しいルールを覚えることができます。

時間がかかることもありますが、飼い主さんが諦めず正しく教えてあげれば成犬になっても躾けることができます。

犬に対するしつけ方や、接し方を正しく理解し、犬の行動や仕草から気持ちを読み取るには、飼い主さんの努力と愛情が必要です。

NPO団体などから犬を譲り受ける場合には、犬の飼育が初めての方でも丁寧にしつけの相談やレクチャーを受けることができます。また、各自治体の保健所や愛護センターでもしつけ教室や飼育の相談が行われているところもあります。

9、里親さんは希望の光

1頭の犬を里親として譲り受けると同時にもう1頭の犬の命を繋ぐことができます。保健所などで殺処分が行われる要因の一つに「収容スペース」「収容頭数」の限界があるためです。

10頭の収容スペースに20頭の犬たちが収容されている厳しい現状のなか、1頭でも多くの犬たちが新たな家族のもとへ引き取られていくと、そのスペースにも余裕ができます。

NPO団体の保護施設なども常に許容範囲をこえた数の犬たちが溢れています。1頭が里親さんにひきとられればそこにも新たなスペースがうまれ殺処分されるはずだった犬をあらたに保護できるかもしれません。

里親さんになってくれる人が増えれば、救われる命も増えていくことになります。

あなたが迎えたその子は、失われるはずだった命に「幸せの空席」を残してくることができるかもしれません。

犬は人との繋がりをもっとも重要とする感受性豊かな優しい動物です。本当の幸せは家族としてたくさんの愛情を注がれることです。

行き場所を失った犬たちにとって、里親さんは希望の光です。

保健所の檻の中の犬柴系

10、犬たちが教えてくれること

里親さんになられた方が皆さんおっしゃるのは、

「救われたのは私たちの方ですよ」
「この子と出会えて良かった」

という、愛犬に対する感謝の言葉です。

一度は人間の身勝手で苦しい思いをした犬たちは、里親さんとして自分を救ってくれたことを理解しているようにも感じられます。

里親さんとの特別な絆を結び、目の輝きを取り戻していく犬たちの様子に里親さんになられた方々は特別な経験をしています。

犬という動物の素晴らしさに改めて気が付きます。綺麗な心、真っ直ぐな瞳に触れますます犬が大好きになります。

犬は何度でも、許し信じて尽くしてくれます。

保健所の冷たい檻の中で、生気を失った悲しい目で小さくなっていた犬が、大きな愛情で輝きを取り戻していく姿を家族として見守り、支えていく経験は何にも代えがたい素晴らしい時間になります。犬たちは私たちにたくさんの事を教えてくれます。

犬の里親になるためのまとめ

里親さんになるということ、不安なことも多いと思います。ですが、どんな過去があっても毛色や姿形はさまざまでも、犬たちは私たちのかけがえのないパートナーになります。

乱繁殖、生体の商品販売、飼育放棄と犬たちを取り巻く環境は決して良いものとは言えません。殺処分される犬たちの多くは救える命です。

目の前にいるたった1つの小さな命を救う「里親」という選択。ペットショップじゃなくても運命の出会いはあります。

ペットショップにいく前に一度里親さんを募集している犬たちに会ってみませんか?

そんな小さなきっかけになれば幸いです。

全ての犬が幸せに、人間の身勝手で失われる命がなくなりますように。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 女性 yokko

    里親詐欺などもあるなかで確かに信頼関係を得ることは大切でも、せっかく迎える意志がある人に、家族構成や年収まで根掘り葉掘り聞くのはちょっとどうなんだろう…と思いました。世話をするのはその家族なんだし、もう少し敷居が低くなる必要があると思います。
  • 投稿者

    30代 女性 kan

    里子であるわんちゃんを引き取り里親となることで、本来なら人間の都合で失われてしまう可能性のあった命を助けることができます。近年は減少傾向にある悪質ブリーダーによる保健所への持ち込みや、捨て犬の保護、その他飼い主の都合により手放された犬達。ペットとして犬を出迎える際の選択肢として里親募集がありますが、やはりわんちゃんが幸せになること(飼い主の都合で不幸にさせないこと)が前提で里親を決定すべきであり、厳しい条件を設けるのは必然であるとかんじます
  • 投稿者

    20代 女性 めぐ

    私も実家で飼っている大型犬を里親として引き取りました。沢山いるワンちゃんの中から、愛犬を選び、記事にも書かれているような色んな条件をクリアしなければ引き取れませんでした。家に迎えてからは、野良時代に虐められたのかお年寄りが苦手だったり、犬が苦手で散歩中は他の犬に吠えまくったり、今まで飼ってきたワンちゃんの中で一番大変だと思いました。しかし、そんな性格にしたのも人間のせいなんだなぁと思うと辛いです。今も散歩は吠えて大変ですが、愛犬のそばに行くといつも尻尾を振ってニコっと笑いかけてくれます。その姿を見るたびに、なんで愛犬を捨てたのか疑問に思いますが、その分幸せにしてあげたいと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 ゆーこ

    記事の中に、「犬たちには帰る場所はない」とありましたが、確かに又捨てられたらもう次はないという現実なんですね。ペットショップで買ってももちろん一緒ですが、特に里親になるには違った責任感が必要かもしれないですね。その子達にとって、安心できる最後の居場所をちゃんと作ってあげてほしいです。
  • 投稿者

    40代 女性 デコポン

    ペットショップ等で安易に愛犬を求められる→放棄される・捨てられる・放置される子が出てしまう→だから、二重の苦しみを与えないために、里親の条件は厳しくせざるを得ないという方程式がまかり通ってしまうのは、哀しいけれど現実なのかもしれないのでしょうか。その事に逆ギレしてしまうのも、昔はペットショップからのお迎えではなく、近所で産まれた犬をタダで譲渡(貰ってやっていたぐらいに思っているかも)されているのが当たり前だった人々が感じる意識の差なのかもしれませんね。
  • 投稿者

    50代以上 男性 りく

    私は里親譲渡会で出会った元パピーミルの犬を飼っています。先住犬を亡くし、悲しみの中にいた私に、再び犬を暮らす幸せをもたらせてくれました。

    私は独身なので、それだけで「NG」という団体もありました。でも私の犬への愛情と飼育歴を理解してくれる団体に出会うことができ、今は幸せに暮らしています。

    既婚未婚などの表面的なプロフィールだけでなく、里親の内面から判断してもらえたらと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 まちこ

    私も最近飼育放棄をされた子を迎えました。ただ保護団体からではなく、保護をされていた個人の方から引き取りました。私の場合は保護団体の厳しい里親条件にクリア出来ない項目があるため、おそらく希望したとしても里親にはなれないでしょう。身勝手な人間の都合で不幸な境遇にされてしまった子たちを助けてあげたい、幸せにしてあげたいという気持ちはありますが、賃貸住宅はダメだとか、留守番が長いのはダメだとか言われてしまうとどうしようもありません。私も働かないことには生きて行けませんから。私の飼育経験は40年近くあり、今回保護されていた方は私の飼育経験を信頼して任せて下さいました。もう主人がメロメロです(笑)もちろん里親の条件はある程度厳しくはあるべきだとは思いますが、臨機応変な対応も必要ではないかと思います。
  • 投稿者

    30代 女性 ワン

    周りからの協力も得られ、せっかく保護犬を生涯お世話出来る環境にあっても、個人情報に厳し過ぎては、尻込みする方もおられると思います。保護犬が一匹でも多く受け入れられ、二度と傷つく事なく幸せになるために、本当に提示しなければいけない個人情報を絞る必要があると思います。
  • 投稿者

    女性 チョコ

    妹の家の犬は保健所から選んできた犬です。小さい頃から犬や猫が大好きで、「将来動物を飼うなら絶対に保健所からもらってくる!」と言っていたので、有言実行しているので感心しました。保健所から犬や猫を引き取りたい!と言っている方は多いと思うのですが、記事にも書いてある通り、実際はかなり条件が厳しいようです。妹はきちんとした職もあり、家庭もありますが、子どもがいません。彼女が犬を引き取った保健所でも「犬の留守番の時間が短いこと」という条件があったようで困っていたようですが、たまたま時短のパート社員だったので、問題ありませんでした。もちろん、犬の過去のことを考えれば条件が厳しいことは本当に仕方のないことだとは思いますが、一つでも条件が合わなくて諦める方もいるかもしれないので、少し柔軟になるともっと引き取りやすくなるような気もします。
  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    現在 保護犬の里親となり楽しく生活しています。
    ペットショップでも、保護犬譲渡と同様に厳しい審査が必要と思います。

    審査を受けるほど、命の重み 責任の重大さ 終生愛情とお金が必要と言う事を冷静に考えさせられ家族全員でペットに対し真剣に向き合えるいい機会だと痛感しました。
  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    昨年の3月に写真の犬の里親になりました。
    プードルと聞いていたのに見た目が全く違いビックリしました。
    でも人懐こく先住犬を初めてペットショップで見た時を彷彿させるような感じだったので先住犬の良い相棒になってくれると思い即日、引取りました。
    連れて帰ったら、人にも犬にもダメで気に入らないと唸ったり噛んだりでした。
    ネグレクト犬だったので、散歩も怖がり、オヤツを食べたりオモチャで遊ぶ習慣がなく最初は大変でしたが1年と少し経ち、散歩もオヤツもオモチャも大好きになり良く懐いてくれるようになりました。7年間、酷い生活をしてきたので、余生は幸せに過ごせるように努力していきたいと思っております。
    匿名の投稿画像
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