甘噛みとは?
甘噛みとは
犬にとっての甘噛みとは、人や他の犬に対し、力加減をして噛むことを言います。主に、一歳未満の子犬によく見られます。また子犬に噛む力のコントロールや、「噛むコミュニケーション」を教えるために、親犬が子犬を甘噛みすることもあります。
甘噛みをする肉体的理由
歯の周辺が痒い
子犬の歯に変化が現れるのには、三つの段階があります。最初は、乳歯が生える時期。生後2か月ごろです。次に乳歯が生え揃い、永久歯に生え変わる時期。生後4から5か月頃です。最後に、永久歯が生え揃う時期です。
この時期は、歯茎や歯肉に痒みを感じ、人間のように手や指で口の中を掻くことが出来ないため、人の手やおもちゃなどを人間がガムを噛むように、モゴモゴした感じで甘噛みします。
遊びの中でのコミュニケーション
子犬同士がじゃれ合って遊ぶとき、本気で噛むとケガをしたり、遊び相手が逃げてしまったりします。そこで、子犬同士で遊びながら、歯を立てずに甘噛みをして噛む力の力加減を学びます。
運動不足
人間の手ではなく、足首などに執拗に執着し、そのあたりを狙って甘噛みをしてくる場合があります。主に、何かを追いかけるために作出された犬種に良くみられる傾向のようです。
例えば、ボーダーコリーのような牧羊犬や、アナグマ狩りのために作出されたダックスフンド、ジャックラッセリテリアなどは、たとえ子犬であっても、「何かを追いかけたい」という本能的な欲求が強い犬種です。そして、不思議なことに、その欲求を満たすだけの運動が足りていないと、人の足に対して固執し甘噛みするようになるそうです。
甘噛みをする心理的理由
甘えたいから
遊んでほしいとき、構ってほしいときなどに、相手の体の一部を傷つけないくらいの強さで噛みます。
退屈を紛らわせたいから
甘噛みは、人の手や足だけではありません。家具や雑貨などを齧ることもあります。そういうときは、誰かに相手をしてほしいけれど、それを上手に伝えることもできず、退屈で仕方なく、噛みやすいもの、噛んでいると気持ちが落ち着くものをガジガジと齧ります。本気で噛み砕く気はないので、これも甘噛みの一種と言えるでしょう。
甘噛みの許容範囲
痛さのレベル
子犬の歯は、小さいけれどとても鋭く尖っています。甘え、じゃれて噛んできたとしても、ミミズ腫れになったり、皮膚が破れて血が出たり、靴が食い破られたりするのであれば、早急に「噛んではいけない」しつけを始めましょう。
頻度のレベル
飼い主さんが手を差し伸べたり、遊びに誘ったりするたびに甘噛みする、あるいは、犬の近くを通っただけで足首にとびかかってきて甘噛みしてくる、という状態になったら、むしろ犬がいろいろなことを学ぶための集中力が高まっている時期だと言えます。
犬の成長レベル
子犬の時期は、力もさして強くないし、甘噛みしてくる様子も可愛いので、なかなか厳しくしつけるのに、飼い主さんの心がくじけるかもしれません。けれども、長く愛犬と過ごすためには心を鬼にして、生後半年を過ぎたら甘噛みを止めさせるために厳しく躾けましょう。
甘噛みにしつけが必要な理由
甘噛みを放置することで起こるリスク
噛んだら要求が通ると犬が勘違いをして覚えてしまうと、犬が気に入らないことがあると「噛むぞ!」と威嚇するようになると、飼い主さんの言うことを何も聞かなくなります。また、噛み癖がつくと、他の犬とのトラブルが起こっても、飼い主さんが制止できません。
甘噛みを止めさせるためのアクション
じゃれついてきたり、飼い主さんに対して何らかの要求があったりするときに飼い主さんの手や足を甘噛みしてきたら、「痛い!」と大きな声で大袈裟に痛がります。
そして、「ダメ!」と叱るときは、短く、低い声で怒った顔を見せて叱ります。さらに、しばらく完全に無視をします。「噛んだら、叱られて無視される」ことを愛犬に覚えさせます。大好きな飼い主さんから叱られ、無視されることは、愛犬にとって何よりも辛いことなので家族全員でしっかりと取り組みましょう。
甘噛みを止めさせるための工夫
甘噛みを完全に止めさせることは、犬に大きなストレスを与えることになります。ですから、甘噛みを止めさせるのではなく、「噛んではいけないもの」「噛んでいいもの」を教えます。人の手や足は噛まない、家具や雑貨は噛んではいけない、けれども、噛んでもいいおもちゃとして与えられたおもちゃは噛んでもいい…と言う風に、しっかりとメリハリをつけて、躾ましょう。
まとめ
犬は、人間のように言葉でコミュニケーションをとることが出来ません。ですから、犬の甘噛みは自分の意志や要求を伝える方法の一つと考えられます。
とはいえ、大人になっても甘噛みの癖が治らないと、飼い主さんの手に負えなくなります。大切な家族として迎えたからには、「子犬のうちだけだから放っておこう」と甘噛みを放置せず、むしろ子犬のうちにこそ、しっかりと愛犬の行動をコントロールし、むやみ甘噛みをしないようにしっかりと躾けましょう。そうすれば、愛犬とより深い絆を築くことができるはずです。
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20代 男性 匿名