叱っても怒鳴っても逆効果
私自身の経験や、周囲のワンちゃんを見てきた中で、代表的な吠えのパターンとして挙げられるのが、
- チャイム吠えに代表される警戒吠え
- ご飯やお散歩の要求吠え
- 飼い主さんの帰宅時に興奮して吠える
- お散歩の時に他の犬に吠える
などなど。
多くの飼い主さんは、「うるさい!」とか「ノー!」と制止の言葉をかけていますが、これで吠えるのをやめるコはまず見たことがありません。
飼い主さんが怒鳴る横で、ますます吠えるばかりです。
ポイントはワンちゃんの集中の矛先を変えること
吠えているときのワンちゃんの精神状態を考えると、おそらく警戒であれ要求であれ、その対象に一点集中していることは容易に想像できますよね。
そんな時に、いくら怒鳴っても飼い主さんの声は、ワンちゃんの吠え声にかき消されてしまいますし、興奮状態にある彼らの耳には届きません。
ヘタすれば「大好きな飼い主さんも一緒に吠えてくれてる!」と思わせて、ますます吠えを助長してしまうだけです。
吠えることは彼らにとってごく自然な行動であり、やめてほしいのは人間側の都合。
いくら飼い主が必死に止めても、彼らにはなぜ吠えてはいけないのかは理解できません。
まずはとにかく叱らないこと。
怒鳴ることは百害あって一利無し!くらいに覚えておきましょう。
ではどうするか?
ワンちゃんが吠えることに集中している物やことから、ちょっとだけ集中の矛先を変えてみましょう。
以下、我が家でうまくいった方法をお伝えします。
1回だけ吠えさせて「おしまい!」
我が家の小型犬2匹も、チャイム吠えやその他の警戒吠え、家族の帰宅時の吠えにはずいぶん悩まされ、あの手この手で改善を試みたものの、なかなかうまくいきませんでした。
が、犬のトレーニングを学ぶ中で、「一度、吠えることを覚えてしまったワンちゃんを完全に黙らせるのはなかなか難しく現実的でもない」という考え方もあることを知り、それなら、と考え出したのが「1回吠えルール」。
たとえば、うちの犬たちの場合、宅急便屋さんが玄関の前に立った段階ですでに吠え始め、チャイムが鳴ると同時に吠えもピークになります。
その時、1回目の「ワンッ!」で、「おしまい!」の声をかけ、だまったところで即、おやつをあげます。
この時にあげるおやつは、一口ではのみ込めない豚耳スティックやアキレスなど固いもの。
それを夢中で食べている間に、リビングの扉を閉めて玄関に出て応対し、もどってくるまで大人しくしていたらよくほめます。
最初は、「おしまい!」の声かけや、おやつをあげるタイミングに試行錯誤しましたが、常にリビングにおやつを用意しておくことで、すぐに対応できるようにしました。
その結果、犬達も私がそのおやつの容れ物を取り上げただけで私の動きに集中し、黙るようになりました。
当初は、いったんはこれで黙っても、おやつを食べるとすぐまた吠えようとしましたが、その時には親指と人差し指でおやつをつまみ、その手のひらを犬のほうに向けて「マテ」の指示を出して制止し、黙ったらおやつをあげることを繰り返していたら、犬達のほうも「どうも1回以上は吠えてはいけないらしい」「1回だけ吠えればおやつがもらえるらしい」と学んだようです。
今では宅急便屋さん以外に外の物音などを警戒して吠えるような時にも、この方法を続けた結果、ずいぶん吠えが改善されました。
他の場合にも応用が効く
同じやり方で、ご飯やお散歩の要求吠えや、飼い主さんの帰宅時の吠えなどでも応用がききます。
「1回だけの吠え」に限定することでワンちゃん自身もある程度の欲求が満たせますし、飼い主さんに集中させることで興奮して吠え続ける連鎖を断ち切ることができます。
「おしまい!」に従えば、必ずおいしいおやつがもらえることを理解するようになれば、飼い主さんへの信頼にもつながっていきます。
まとめ
ひとくちに吠えのしつけと言っても、原因も理由も本当に様々なうえ、そのコの犬種や性格によっても対応の仕方は変わりますし、また、変えなければならないことでもあり、それだけ難しい問題です。
ここでお伝えした方法も、完全とは言えません。
でも、元来、吠える生き物であるワンちゃん、そして一度、吠えることを覚えてしまったワンちゃんを完全に黙らせることはかなり難しいもの。
いつまでも吠え続けるのをやめさせるには、「1回だけほえる」ことを許すのも現実的な方法だと思います。
吠えるワンちゃんのしつけにお困りの飼い主さんは、ぜひいちど試してみてください。