犬の習性とは
犬に限らず、動物にはいろんな習性があります。
では習性とはなんでしょう?
「習性」という字を辞書でひもとくと、
- 同種の動物に一般的にみられる行動の特性。(デジタル大辞泉より)
- 動物の行動に現れる,その種に特有な性質。(三省堂大辞林より)
となっています。
例えばクマの場合だったら、「熊は冬眠をする習性がある」などと使います。これは、みなさんもご存じの「習性」ですよね。
では、犬の場合はどうでしょう?そんな疑問を元に、今回は「犬の習性」にはどんなものがあるのか、一緒にひもといていきましょう。
(じつは、犬の習性を知っておくと、犬と生活する上で、楽になることがたくさんあったりするんです)
問題行動と思われがちな犬の習性
人間と暮らす上で困ったなあ・・と思う犬の行動、たくさんありますよね?
私たちは、そういった行為を「問題行動」と呼び、「やめさせたいな~」とか「何とかしたいな~」と思っている飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。
でも、それはもしかしたら、それは問題行動ではなく、「犬の習性」によるものかもしれません。
正面から見つめると吠えてくる
お散歩をしていると、「かわいいー!」「きゃー!」などと言って、真正面から愛犬に近づいてくる人たちにむかって、思いっきり吠えたりしませんか?
これは問題行動と思われがちですが、実は正常な犬の反応で、これこそ「犬の習性」によるものだったのです。
まず、犬の世界では、「真正面から近付く」、「真正面から目を見つめる」ことは、相手に「敵意がある」ことを意味します。
人間がこの行動を取った場合、極端に怖がりなわんちゃんなどは、恐怖などから噛みつく恐れもあります。
正面から人がきても、見つめられても、どこを触られても大丈夫なように、パピーから訓練するしつけ方法がありますが、もちろん、そういったことも人間社会で暮らしていく上でのトラブル防止にはなりますが、犬の方にはかなりのストレスを与えていることを忘れてはいけません。
おとなしくしている犬でも、顔を若干背けていたり、舌を出してみたり・・と、
「本当はイヤなんだけどなあ」というストレスサインを出している子は結構います。
正面から人が近づいてきたら、飼い主が体でバリアを作る。
犬の視線を他に外してあげる。
もし、お願いできるような雰囲気でしたら、
「犬の方から近付くまで、無視してもらえませんか?」
「横から近付いてもらえませんか?」
「視線を外してもらえませんか?」
などとお願いすることも大切だと思います。
また、逆に知らない犬に近づく時には、絶対に正面から近付いたり、目をみつめることはやめましょう。
あからさまに吠えたり、うなったりして警告をしてくれる犬であればわかりやすいのですが、ストレスのカーミングがおとなしめの場合、人間の方が気づきにくく、我慢の限界までに達した時にガブ!っと噛まれる場合もあります。
マーキング
マーキングは犬にとってはコミュニケーション手段です。
屋外で、マーキングをすることにより、他の犬と情報交換を行っています。
住宅地など、他のお宅の門柱などにおしっこをかけることは避けるべきですが、マーキングをしても大丈夫な場所にいったら、できるだけさせてあげて、その後を人間が掃除をする(水をかけるなど)などして、犬のコミュニケーションの楽しみを奪いすぎないように気を付けましょう。
マーキングは犬の習性、本能です。
マーキングの尿の量は少量なので、水をかければほとんど匂いは残りません。
犬は自分の巣穴を清潔に保つ習性がありますので、家の中でマーキングをする場合には、ストレスや病気が考えられます。
ストレスや病気などの原因をとりのぞいてあげれば、家の中は汚しません。
我が家の場合も保護犬を何頭か迎え入れたり、一時預かりなどをしていましたが、全頭、最初のうちは家の中でマーキングをしていましたが、しばらくすると落ち着いてやらなくなりました。
また実家に我が家の犬が大勢でおしよせると、いつも静かに暮らしている実家の犬は、室内でマーキングをしたりします。ストレスがかかっているんですね。
片足をあげておしっこをする
オスが片足をあげておしっこをする理由はさまざま言われています。
- メスの鼻に近くなるようになるべく高く足をあげておしっこをして匂いを残す
- 犬のオスの体の構造から、足をあげた方が、おしっこが自分にかからない
- テリトリー意識で自分の匂いを残す為に他の犬の頭の高さを意識してあげている。
足をあげておしっこをさせたくないから去勢をするという方も多いようですが、去勢をしても足が上がる子はあがります。
我が家のオスたちも早いうちに去勢しましたが、1頭は100%足をあげますし、もう1頭はあげたりあげなかったりします。
穴を掘る
これはよく見かける犬の習性ではないでしょうか。外で穴を掘るワンちゃんは多いですよね?
家の中でも、床を一生懸命掘っている子もいます。
これにもいろいろな説がありますが、
- 外的や天候から身を守るために穴を掘って住居としていたなごり
- 地面の中にいる小動物をつかまえる為
- 食べ物が余った時に穴に埋めて保存していた為
などがよく言われています。
室内でいろいろなものをガリガリやられてしまうと困りますが、それが犬の習性ですので、叱らずに、段ボールを置いたりして、掘っていい場所を決めると、犬もストレスをためることなく過ごすことが出来ます。
マウンティング
これもいろいろなことが言われています。
- 性的な意味
- ○優位性を示す為
- 遊びの誘い
- ストレス
人間にマウンティングをさせるのは、人間をリーダーと思っていない証拠だ!などという方も多いですが、あまり関係はなく、遊ぼうよ!の意味の場合が多いような気がします。
意味合いがたくさんあるので、すべてをどんな場合でもすぐにやめさせる必要はないとは思いますが、ドッグランなどで見知らぬ犬にマウンティングをしたりというのは、トラブルの原因になりますので、そういう場合にはやめさせましょう。
明らかに優位性や性的な意味合いの場合には注意が必要です。(犬同士の場合には喧嘩に発展する場合もあります。)
遠吠えをする
これも犬の習性です。
理由は諸説ありますが、主なものは
- さびしいから
- 仲間を呼んでいる
- ストレス
などがあります。
原因をとりのぞけば、しなくなりますので、何が原因でやっているのかを探ってみましょう。
収集癖
お散歩の時にいろいろなものを持ち帰って自分のお部屋に隠したり、おもちゃをどんどん自分の部屋に隠す、というわんちゃんも多いですよね。
これも犬の習性で、狩猟時代は、毎日食事にありつける訳ではなかったので、残りを巣穴に隠したりしていました。その名残です。
我が強い、自己顕示欲が強いなど問題行動と思われがちですが、犬の習性ですので、衛生面などで問題がある場合には、犬がいない時にそっと掃除をしてしまうなどして、対処をしましょう。
地面に体をなすりつける
鹿の糞をみつけた!と思ったら、犬があおむけになって体をなすりつけたー!とか
よくありますよね?
これも諸説ありますが、犬の習性です。
- 他の動物の匂いをつけて自分の匂いを隠す(狩猟成功の為)
- 獲物となる動物の匂いをつけて、獲物に油断をさせて狩りをしやすくする。
- ただ単に嬉しい時、興奮した時
- ただ単に犬はくさいものが好きだから。
習性ですので、叱らずに、あまりなすりつけて欲しくない場合には犬より先にその対象物をみつけて、避けるようにしましょう。
犬種別の習性について
人間は、犬に作業をさせる為に、その作業目的にあった個体を選別してブリーディングをしてきました。
現代は、その本来のお仕事をする必要がない犬がほとんどですが、その本来の仕事に必要な能力を持っている子も沢山います。
仕事をしない人間との暮らしの中で、問題行動と呼ばれているものの多くは、その犬本来の習性によるものが多く、愛犬の犬種がどんな目的で作出されたのか?どのような仕事をしてきた犬なのか?を知る事は、とても大切です。
コーギーが人間の足を噛む
コーギーはイギリスで、農家の牧場のお仕事を手伝う為にブリーディングされてきた犬種です。家畜(主に牛など)の蹴りをうまくかわして、群れを扱う為に、家畜のかかとやくるぶしに噛みつく性質の強い子達がブリーディングされてきました。
そのため、その名残で、飼い主さんの足を噛む子も多いようです。
ビーグルの遠吠え、匂いかぎ
ビーグルはローマ時代から存在していた古い犬ですが、やはり猟のお仕事をしていた犬種です。高い声を出して、仲間と連絡をとりあって獲物を追い詰めたり、獲物を追っている際に鳴きながら追い詰めるなど、声が猟に重要な役目を果たしていました。
また、嗅覚が優れていて、これも猟に重宝されていた理由でもあります。
すぐれた嗅覚から、「匂いかぎがひどい」ということや、猟をしていた時の名残から、「遠吠え、吠え声がうるさい」など、それが問題行動としてとられることが多いようです。
牧羊犬の吠え癖
仲間を集める、走っているものを追う
ラフコリー、シェルティー、ボーダーコリーなどは、広大な敷地の中で、羊の群れを声をだして誘導してまとめていました。
1頭でも群れから離れたら、それを追って行って群れに戻し・・といったお仕事をしていましたので、お仕事がなくなってしまった今、走っている自転車を追う、吠え声がうるさい、家族が離れるとまとめようとするなどが問題行動としてとられてしまうようです。
レトリバー種の何でも持ってくる癖
ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなどが、スリッパをくわえてもってくる、靴下をくわえてもってくる、もうとにかく何でも咥えてもってくるから困ってしまう・・というレトリバーの飼い主さんは多いようです。
レトリバー種は、ハンターが撃ち落した獲物をみつけて、ハンターのもとに咥えて持ち帰ることがお仕事でした。
咥えて持ってくることはレトリバー種の習性です。
サルーキーやウィペットなどの走っているものを追う習性
サルーキーやウィペット、グレーハウンドなどは、その優れた視覚で、遠くにいる獲物をいち早く見つけて、俊足をいかしていとめる仕事を担っていました。
そのため、遠くで動くものにロックオンしてそれにむかって一直線!という子もいるようです。
テリアやダックスフントなどの穴を掘る習性
地中にいるアナグマを狩る為に改良されてきたダックスフントや、ネズミやモグラなどの地中にいる動物をしとめていたテリアやミニチュアシュナウザーなどは、穴を一生懸命に掘る子が多く、家の中でも絨毯、シーツ、クッションなどを一生懸命掘ったりする子もいます。
こちらも犬の習性ですね。
犬の習性に関するまとめ
このように、問題行動と普段言われていることは、ほとんどが犬の習性が原因となっているものが多く、それを正しく理解してあげて、対処してあげることで改善できることがたくさんあります。
犬を飼う前に、飼いたいと思っている犬が、
「どんな目的でブリーディングされてきたのか」
「どんな習性を持っているのか」
などを調べた後に、自分のライフスタイルにあっているかどうかを確認して犬を飼う事はもちろんですが、犬本来の習性についても、正しく理解して、対処をしてあげるようにしましょう。
ユーザーのコメント
20代 女性 コエリ
今度知人に愛犬を触らせる際に試してみたいと思います。
50代以上 女性 K9-ABC
愛犬の習性を理解してより良いパートナーシップを築きたいです。
30代 女性 TIKI
また、マーキングやマウンティングをする意味も納得出来ました。以前、散歩前に愛犬がたまに私の足にマウンティングのような事をするので困っていましたが、「遊ぼうよ!」と誘う意味もあるのだとわかりました。
女性 パッチ
女性 コロ
シャンプー後に自分のベッドなどでごそごそすることも多いです。自分のにおいが消えてしまってちょっと不服な時に、同じにおいに戻そうとしてこういう行動をするらしいです。
女性 もふころ