犬のヒート:年間の発情回数と発情期間
犬の生理は正式には「ヒート」と呼びます。
発情期を迎えると出血を起こしますが、人間の(生理)による出血とは全くメカニズムが違います。人間と同じだろうと誤った認識でいる飼い主さんがとても多いのです。
犬の発情には「発情前期」→「発情期」→「発情後期」→「無発情期」という流れがあります。
発情前期
発情前期は約7日~10日ほど続きます。この時期にはホルモンの影響で落ち着きがなくなり、飼い主の言う事を聞かない子もいます。陰部が肥大し赤い粘液が見られる様になります。自分で陰部を舐めたりして初めての飼い主さんは発情期のサインに気が付かない場合もありますが、出血量が増えて行くので、これからご紹介していく発情期を迎える様な月齢時期になったら、意識して観察してあげましょう。
この期間から牡犬がフェロモンに引き寄せられて寄ってきますが、まだ牡犬を受け入れられる時期ではありません。マーキングを始める子や、普段は温厚な性格でも急に怒ったり、いつでも元気いっぱいの子が、遊びに誘っても静かにじっとしていたりと、様々な変化が見られる場合もあります。
発情期
発情期は約4日~12日で平均8日間ほどです。排卵の準備が整うと出血が減り、粘液の赤みが少なくなって排卵が起こりますので、交配はこの時期に行われます。
交配を望まない場合や、事故的な妊娠を防ぐ為にこの発情期には特に十分な注意が必要となります。未去勢の牡犬と多頭飼育等をしている場合には発情前期から、生活スペースを隔離する様にしましょう。犬の場合は出血→排卵になりますので、出血が止まったから発情期が終わりではありません。
発情後期
発情後期は約60日~100日間ほど続きます。
この時期は妊娠をしていなくても黄体ホルモンが出ており、その影響で乳腺や子宮等に病気が出る事もあります。また、この時期に偽妊娠と言ってお乳が出たり巣作りをする様な行動が見られる場合があります。
無発情期
無発情期は50日~80日ほど続きます。
繁殖活動が低下し、ホルモン的に落ち着いた状態で、次の発情期が来るまではこの状態が続きます。避妊手術を受けた犬は常にこの時の状態が続いている事になります。
この流れを1年間に1回~3回繰り返すと言われています。大きさや犬種によっても個体差はありますが多くの犬の場合、1年間に2回の発情期を迎える事になります。
犬の発情期が来る時期
犬の発情が見られる時期として「春と秋」に見られるという季節繁殖動物と聞く事が多いと思いますが、先にご紹介した通り、季節には関係なく一定の感覚で発情が来ると考えた方が良いでしょう。5カ月~8カ月の間隔で発情がみられる犬が多いです。また大型犬種より小型犬種、老犬より若犬の方が発情感覚が短いと言われています。
犬が性成熟を迎える時期
2,3か月ほどで家族に迎え入れた仔犬が性成熟を迎え、最初の発情期が訪れる時期は
- 「小型犬の場合」6カ月~12カ月ごろ
- 「大型犬の場合」15カ月~24カ月ごろ
この様に大きさによっても大きく開きがあります。体重が15キロ程度まで(中型犬程度まで)の犬でも、6カ月ごろから性成熟を迎え始めると考えておくと良いでしょう。
近年では良質なフード、室内飼育が一般的となり夏は涼しく、冬は暖かくという最高の環境で、体調管理も行き届いている為大型犬種の性成熟に達する月齢が早まっている傾向が見られます。
牡犬には決まった発情期はありません
牡犬は発情期を迎えた牝犬のフェロモンに反応して興奮します。未去勢の牡犬は発情期だけでなく常に自分の縄張りを守る為「匂い」に敏感です。近くに発情期の牝犬がいることで興奮状態になり、飼い主の静止を聞かずに脱走してしまうという子もとても大く見られます。
これは本能的に起こる行動で、躾をしっかりとしていても、なかなか制御する事が難しいと言えます。警察犬や盲導犬の訓練を受けた犬であっても、この本能的行動を制御する事は非常に難しいと言われており、また、この行動を制御される事で牡犬にかかるストレスも大きくなります。未去勢の牡犬にとっては、近くに発情期の牝犬がいるのに本能的な活動を無理やり制御されているわけですから、拷問に近い様な状態になってしまいます。
去勢等は飼い主さんの考え方それぞれですが、脱走やパニック等の牡犬の問題行動の改善に、去勢手術を受けた事で一定の成果が出ている事も知っておいた方が良いでしょう。
愛犬が発情期を迎えたら
牝犬の飼い主さんは、発情期を迎えたら「お散歩」や「施設の利用」等周りへの気配りが出来る様、正しい知識を身に着けておきましょう。
病気ではありませんので安静にしていなくてはいけないという事もありませんが、初めての発情期の時には愛犬の様子をよく観察してあげましょう。とくに発情期に見られる、陰部の近くに触れたりすると「フラッキング」という尻尾を交尾しやすい様に横によける行動がある時は、牝犬も普段より興奮しやすい状態になっていますので、脱走などにも注意が必要です。
先にご紹介した様に、未去勢の牡犬の立場から考えると、近くに発情期の牝犬がいるのに本能的活動を無理やり制御されている拷問の様な精神状態は、とてもストレスがかかっています。
出来る限り多くの犬が集まる場所を避け、周りにストレスを与えない様に注意しましょう。また、牝犬も発情前期に牡犬に付きまとわれて大きなストレスとなる場合もありますので、この時期には他の犬との接触を出来る限り避ける事でトラブルを回避できます。
お散歩のコースの変更や時間の変更、運動量の確保には自宅のお庭を利用するなど、発情中は工夫して生活をしましょう。
施設の利用などの注意点
「ドッグラン」「ドッグカフェ」「ペット同伴型複合施設」「ペット可宿泊施設」等では、利用規約に発情期の牝犬の利用について明記されています。
その多くが「ヒート中(発情中)のわんちゃんの利用はお断りしています」となっており「出血が止まってから2か月間はご遠慮ください」など期間を指定している所もありますので、ほとんどの施設の利用は出来ない期間という事が分かります。
ドッグランに来ている飼い主さんで「今ヒートなんですよね」と言って平然と犬を遊ばせている様子を度々目にしますが、その牝犬の後ろには未去勢の牡犬達がまとわりつき、牝犬を巡って「不必要な喧嘩」等が起こっています。牡犬の飼い主さんは、愛犬をその場から引き離すために振り回されています。また、「怪我」にも繋がって大きなトラブルが起こる場面を多く見て来ました。身勝手な利用は絶対にしてはいけません。
最後に
「ヒート中」だからと言って自由が奪われるは可哀想だと思われている飼い主さんも多くいられる様ですが、発情期の牝犬は想像以上に強い匂いを発しています。しっかりとした注意と気配りを心がけて下さい。
発情期の事故の中には「望まない妊娠」の危険もあります。規約を守らず身勝手にドッグラン等を利用した結果、ちょっと目を話した時に未去勢の牡犬と交尾してしまった等という場合もあるのです。他へ迷惑をかけない為にも愛犬を守る為にも、しっかりとした知識とマナーを身に着けましょう。
ユーザーのコメント
20代 女性 こなつ
飛びついて行って事故に遭うことも考えられますから、本当は去勢するのがいいと思われるのかもしれませんね。
30代 女性 Chappy
人間と同じメカニズムかと思っていましたが、全く違うのですね。実家の愛犬も発情時期があり、やはりいつもと様子が違っていて興奮していましたね。よく陰部も舐めていました。
30代 女性 ミニー
トラブルになる事もあるので正しい知識を身につけて、メスの犬を飼われるいる飼い主様は、ヒート中を上手に乗り越えて欲しいと思います。
20代 女性 すず
まず始まる少し前にそわそわしたりいたずらしたり不安定になります。しばらくするとヒートが始まるのでヒート中はオムツをはかせてこまめに取り替えてあげるようにしています。
また、なるべく安静にストレスなく過ごしてほしいのでご飯に茹で野菜を混ぜたりバランスの良い食事を与えて、カルシウムが多くとれるおやつを与えたりおもちゃを与えたり家の中でゆっくり過ごせるように心がけています。
20代 女性 ゆり
私はそんな無責任な人を見た経験がありませんが、もし遭遇したら注意しようと思います。それが他のワンちゃんのためにも、ヒート中のワンちゃんのためでもありますからね。
女性 匿名
40代 女性 ママちゃん
数日前からドライフードを食べなくなり今も野菜やチキンをトッピングしないと食べてくれません。そんなこともあるのでしょうか?ただのワガママなのかな?飽きた?
30代 女性 匿名
それまで完璧だったトイレもこの時期は失敗ばかりで家中あちこちでマーキングしてます。他にも頻尿、抱っこ要求、ソワソワ落ちつかない、ご飯も膝の上に抱っこした状態じゃないと食べません。
避妊も考えたけど小さすぎて麻酔のリスク高すぎます、と言われ断念しました。
※7さん、ワガママになると思いますよ〜。
50代以上 女性 シェリー
まとわり付いて、なかなか離れません。
無理矢理話しても良いのでしょうか?
そうしないと何も出来ないのです…
女性 チーコ
40代 女性 匿名
来週に避妊手術を行う予定です。
繁殖予定などは考えておりませんが、やはり避妊手術が直前になると本当にしていいものなのか、可哀想ではないか…などなど悩んでいました。
しかし、ヒート中は施設の利用や散歩などが今まで通り出来なく、愛犬や飼い主にストレスがかかってしまうようならば、やはり避妊手術は必要なんだなと改めて感じました。
病気予防にもなるし、これからも楽しい時間を愛犬と過ごすためにも避妊手術をさせようと思います。
40代 男性 匿名
避妊手術も考えておりますが、ホルモンバランスが崩れる事による体調不良などもありえますので、思案中です。人間の場合、卵巣を摘出すると、更年期障害のような症状が若いうちから現れることがありますので。
しかし、ヒート期間は長いですね~・・・。
30代 女性 匿名
特に人間の生理と全然違うのが犬のヒートですが、メス犬の血はオス犬にはとても刺激が強く、オス犬が二階から飛び降りるほど興奮してしまうほどと言われています。
また、ブリーダーはこのような発情期やヒートで交配をしますが、一般の飼い主さんは調べなければ分からないことかも知れませんね。愛犬のヒートの時期など、把握しておきたいことです。
わが家ではヒート中は特にオムツやパンツなど履かせていませんが、メス犬は血を自分で舐めて処理できるので、最初からオムツなどを履かせると、犬自身で処理できなくなるそうです。なるべく自然のままが良いのだそうですが、カーペットなどが汚れるのが心配でしたらオムツを付けることになりますね。
記事の中のドッグランのことは無責任な飼い主が多いなとコメントにも多くありましたが、避妊去勢している、していないに関わらず、お互い嫌な思いをしないで済むようにオス犬にも目に見えて分かるマナーパンツを履かせるなどの対処も必要なのかなと思います。
女性 匿名
女性 ししゃも