老犬の徘徊は痴呆の症状のひとつ

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老犬の徘徊は痴呆の症状のひとつ

老犬になると、徘徊(うろうろと歩き回ること)が増えてくる場合があります。それは昼夜を問わないことも多く、飼い主にとって負担にもなってきます。老犬の徘徊はどのように対処すればよいのでしょうか。

監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

老犬を介護すること

お座りしている犬

老犬の平均寿命が延びることによって、介護が必要な高齢犬も増えてきています。

以前なら、いつの間にか老化して、急に亡くなってしまった、というような状況も多く見られたようですが、最近では、家族同然に普段から生活を共にすることで、老犬の体調の変化にも気が付きやすくなっているようです。

また、以前に比べ、室内飼いが圧倒的に増えていることで、便の状態などを、よく観察できることもワンちゃんの寿命を延ばしている大きな要因ともいえるでしょう。

しかし、平均寿命が延びたとしても、ワンちゃんにも必ず「老い」は、やってきます。

それは、体力の衰えや筋力の低下など、体のさまざまな器官にも影響が現れてくるものです。老犬にとって、人間と同様、痴呆の症状が出ることも、珍しくはありません。

人間の場合には、最近ではデイサービスなどの介護施設で、専門のスタッフの人たちの力を借りながら、介護していくことも可能になってきました。

けれども、ワンちゃんの場合には、人間同様のケアが整っているわけではありません。 老犬に痴呆の症状が出たときには、飼い主が責任を持って世話をする必要があるのです。

でも、そういった飼い犬の高齢化による問題に対して、ここ数年ですっかり知名度の上がった「ペットシッター」という存在もいます。

普段から、ワンちゃんに、そのような人と触れ合う機会を持たせておけば、いざ介護が必要になって、どうしても手が足らないときに、信頼できる存在になるかもしれません。

しかし、夜間などどうしても他の人の手を借りることが難しい時もあります。そのような状況が続けば、飼い主が体調を崩してしまうことにもなりかねませんし、それがどのくらいの期間になるのかも分かりません。

ですから、老犬を介護する際は、いかにワンちゃんにも飼い主にも負担がかからないような工夫をしていくかが、重要になってくるのです。

老犬の徘徊

ダックス

老犬の痴呆の症状の中で、特に飼い主を悩ませることになるのが、夜泣きと徘徊でしょう。ワンちゃんは、人間の言葉を全ては理解できません。

しかも、痴呆の症状があるとなると、さらに、飼い主の言っていることを理解するのは難しいかもしれません。

痴呆の症状が出ると、ワンちゃんは、昼夜を問わず、鳴いて訴えるようになることも多いようです。

ですが、言い聞かせることは難しいため、飼い主さんは、ひたすら、その鳴く理由を探し続けるか、諦めるかしなくてはならないのですが、そうなると、気になるのが「近所迷惑」です。

昼間なら、さほど気にならない鳴き声も、夜間の場合は、そうとも限りません。

しかし、いくらワンちゃんが鳴き止まないからといって、叱ったり、叩いたりしては決していけないのです。

そうしたからといって、理解できるはずもないのですから。

老犬が鳴き続けるには、いくつかの理由が考えられます。

まず、トイレに行きたいというものです。

さっき行ったばかりにも関わらず、何度も行きたがることがあり、徘徊するようになります。日中だけとは限らず、夜中でも同じように鳴いて、歩きたがるワンちゃんもいます。

歩くことができるということは、ある意味では喜ばしいことなのですが、痴呆の症状が進み、判断力に欠けていたり、視力が衰えている場合には、老犬の徘徊は、しばしば危険が伴うことが多いので、注意が必要です。

徘徊の対策は

横向きの犬

ワンちゃんによっても異なりますが、徘徊していれば、気も紛れるような場合もあるようです。その際には、距離の問題ではないこともありますので、例えば、少しのスペースに円状のサークルを用意して、その中をぐるぐる歩かせるのも一案です。

円状にする理由は、視力に問題があるような場合、角があるようなスペースでは、そこまで歩くとひっかかって、進めなくなってしまうこともあるからです。

また、庭木などのあるところを徘徊させると、庭木に頭をつっこんで、戻れなくなってしまうことすらあります。また、サークル内で歩かせる場合にはリードは絶対にはずしましょう。リードが巻きつき命にかかわることもあります。

ですから、なるべく、徘徊する専用のスペースを設けて、見守ってあげることが必要でしょう。それが室内でもいいワンちゃんの場合と、どうしても外でなければならないワンちゃんもいるので、なかなか難しいことではありますが、徐々にスペースを狭くしていくなど、老犬の様子に合わせて対応していくしかありません。

なかには、足腰が弱っているにも関わらず、歩きたがる老犬もいるかもしれません。自分で歩く意思があるうちには、ぜひとも歩かせてあげたいものです。

そのような時には、専用のハーネスも登場していますので、うまく利用するのも良いかもしれません。タオルを用いたり、自作すると、老犬の体に負担がかかる場合もありますから、できれば専用のものを使うことをおすすめします。

老犬の徘徊は、飼い主にとっても辛いものです。

しかし、ワンちゃんは、自分でも分からないうちに、飼い主さんとコミュニケーションを取ることが出来なくなってきて、不安な毎日を過ごしているのかもしれません。

少しでも温かい声をかけ、ワンちゃんの体に触れて、励ましてしてあげてください。

▼老犬を飼うときに知っておきたい基本的な知識についてもっと知りたい方はこちら
老犬を飼うときに知っておきたい基本的な知識一覧

平松育子先生

記事の監修
  • 獣医師
  • 平松育子先生
  • (ふくふく動物病院 院長)

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

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  • 女性 mocmoc

    老犬の認知症による徘徊は、実際に経験したことがありますが悲しく感じてしまいますね。ですが、歩けるということは悪くないことだと思います。飼い主は大変ですが。
    徘徊が始まってしまうと、後ろへ下がることができなくなっているので妙なところで引っかかってしまっていることも出てくると思います。我が家の愛犬はどういうわけか電話のコードに引っかかってしまい、動けなくなっていることがありました。下がれば取れる状態でしたが、やはり前に進むことしかできなくなっているようでした。洗濯機と壁のスキマにはまってしまっていることもありました。狭いところは要注意です。入れないように物を置いておくといいですね。

    徘徊が始まってしまっても、家具の配置はあえて変えないであげた方がいいです。意外にも犬は配置を記憶しているので、ぶつかるところにはクッションを巻くなどの対応をしてあげるといいと思います。家具の配置を変えてしまうと、犬は違う場所にいるのかと錯覚してしまい、返って不安になることもあるそうです。愛犬は最後までトイレの場所を覚えていてくれました。立ち上がるのが辛くてもトイレだけは行こうとしてくれました。ちゃんと覚えていてくれたんだなぁと、その行動がとても印象に残っています。
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