ラブラドゥードルの制作者が後悔を告白、何が問題なのか?

ラブラドゥードルの制作者が後悔を告白、何が問題なのか?

ラブラドゥードルを最初に作った人が「生涯で最悪の後悔」と告白したことが話題になっています。ラブラドゥードルの何が問題なのか、考えてみたいと思います。

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ラブラドゥードルが作られた経緯

白いラブラドゥードル

ハイブリッド犬の草分けとも言えるラブラドゥードル、その制作者であるウォリー・コンロン氏がオーストラリアABCニュースのポッドキャストで「ラブラドゥードルを作ってしまったことは生涯に渡って悔いている。パンドラの箱を開けてフランケンシュタイン博士の怪物を解き放ってしまったようなものだ。」と述べたことが話題になっています。

しかしコンロン氏自身は決してお金のためにこの人気犬種を作ったわけではないのです。当時、コンロン氏はオーストラリアのガイドドッグ協会でブリーダーとして働いていました。盲導犬を必要とする一人の女性から、彼女のご主人が犬にアレルギーがあるのだが、アレルギーを悪化させない盲導犬はいるだろうか?と相談を受けました。

アレルギーを起こしにくい犬と言えば抜け毛の少ないプードルだ!ということで、当初はスタンダードプードルを盲導犬として訓練することが提案されました。プードルは頭の良い使役犬ですから、これは良いアイデアだと思われたのですが30匹以上のプードルを訓練しても盲導犬としてはうまくいきませんでした。そこで考えられたのが盲導犬として実績のあるラブラドールとスタンダードプードルを交配することでした。

1989年、初めてのラブラドゥードルが誕生しました。このとき生まれた子犬は3匹。1匹は当初の予定通り、相談を受けた女性の元に盲導犬として送り出したのですが、問題は残った子犬でした。コンロン氏と協会はマスコミのメディアと協力して『ラブラドゥードル』という名をブランドとしてプロモーションすることにしました。愛らしいラブラドゥードルはあっという間に人気になり、ここから問題が始まったのでした。

世界中の他のブリーダーたちがデザイナー犬に手を出し始めた

パグル

ラブラドゥードルのような犬種の違う純血種を交配して作られた犬はハイブリッド犬と呼ばれます。ハイブリッドとは異なる種類の2つの動物または植物の子孫のことです。
メディアによって人気を得たハイブリッド犬は『デザイナー犬』という名で呼ばれるようになりました。

知名度が上がり人気になったラブラドゥードルは純血種と同等の高値で取引されるようになり、パピーミルを含む多くの繁殖業者が参入し始めました。
ラブラドゥードルだけでなく、パグ×ビーグルのパグル、コッカースパニエル×プードルのコッカプーなど様々なハイブリッド犬がデザイナー犬として売り出されブームとなりました。

コンロン氏自身は最初のラブラドゥードルを生み出した後も、第二世代、第三世代を生み出し、昔ながらの方法で犬種としての特徴を固定化する丁寧なブリーディングを行なっていました。しかし消費者向けに乱繁殖されたデザイナー犬たちは、遺伝性の問題などは無視され劣悪な環境で生み出されて販売されます。
コンロン氏は「非倫理的で冷酷な人々に、ハイブリッド犬は大金を生み出すと気づかせてしまった」として「パンドラの箱を開けて怪物を解き放った」と表現したのでした。

コンロン氏は現在のラブラドゥードルについて「もちろん中には良い個体もいるが、その数は少なくごく稀です。大多数はまともではなく、遺伝性の問題を抱えています。」と述べ、そのようなラブラドゥードルを見かけると自分自身を許せなくなると語っています。

デザイナー犬の問題は他にもある

ケージの中の子犬たち

人間は長年にわたって様々な犬種を作り上げて来ました。新しい犬種を作り出す時の始まりは常にハイブリッド犬の第一世代だったはずです。ラブラドゥードルやコッカプーも同じではないの?と考える人がいるのも無理はありません。
しかし犬種としての特徴を固定化するためには、望ましくない属性を排除して何世代もの時間をかける必要があります。
パピーミルの繁殖業者が生み出すデザイナー犬とは全く別の世界の話です。

また2匹の違う種類の純血種の犬を交配した場合、子犬が毎回同じ特徴を持って生まれてくる保証はありません。同胎の兄弟犬であっても全く違う犬種のような特徴を持っていることも珍しくありません。
一般に望まれるような特徴を持っていない、つまり売り物にならない子犬はどうなるのか?どう考えても非人道的な結末に行き着きます。

さらにデザイナー犬の流行は悪質な繁殖業者だけでなく、無分別な素人繁殖にも火をつけてしまいました。
「うちのチワワと同じ犬種の犬が身近にいなかったから諦めていたけれど、知り合いのヨーキーと交配させればチワッキーが産まれる!」というような例はたくさん見聞きされました。
遺伝性の問題などはほとんどの場合、念頭に置かれてさえいません。想定していたのと違う容姿の犬が生まれて保健所などに連れて行かれた例も少なくありませんでした。

まとめ

チョコ色のラブラドゥードル

ラブラドゥードルを最初に生み出した制作者が、公の場で後悔の念を告白したことをご紹介しました。
制作者のコンロン氏がラブラドゥードルについてこのような発言をするのは今回が初めてではありません。時間を置いて何度も同じことを繰り返すことで、現状に対する警告を投げかけ続けているのでしょう。
ラブラドゥードルの話題が、悪質な繁殖業者や素人繁殖の問題について考える人が増えるきっかけになれば、コンロン氏も少し救われるのかもしれません。

《参考URL》
https://people.com/pets/labradoodle-creator-regrets-breed/
https://www.thesprucepets.com/what-is-a-designer-dog-breed-1118093

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 匿名

    私たちが犬を迎える時に、そういったデザイナー犬を迎えない意識を持つのも大事ですよね。
    ペットショップで買うから、パピーミルの業者が後を絶たないから不幸な犬が増える。
    迎えるなら、その犬種を愛して母犬を大切にして子犬一匹一匹に愛情を注いでるブリーダーさんからお迎えすればいいのですから。
    日本で今流行ってる、マルプー(マルチーズ×プードル)やチワックス(チワワ×ダックス)といった犬種もデザイナー犬になるのかな。
  • 投稿者

    30代 女性 匿名

    ペットショップでも人気トップ3に入っていたり、たくさんの一代ミックスが売られています。「雑種なので体が強い。」かのように説明する店員すらいます。が、同じ呼び名でも見かけはバラバラ、成長するに従って容姿が激変したりすることもあって、売れ残っているコも多いです。遊び半分の繁殖は絶対にやめるべき!
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