犬にメープルシロップを与えても大丈夫?
犬にメープルシロップを与えることは大丈夫です。
犬の舌は甘味をよりおいしく感じる仕組みになっています。そのため、メープルシロップ、白砂糖、はちみつなどの甘い味は大好物!といってもいいでしょう。
犬のおやつとしてクッキーを作ったり、老犬で食欲が落ちた時の食べるきっかけとして、愛犬が「おいしい」と思える味を楽しませてあげたいと思うのは飼い主さん心ですよね。そんなおいしさのために「メープルシロップを使うのはどうだろうか?」と、家庭に常備してあればふと思うことだってあるはずです。
メープルシロップ自体は、サトウカエデなどの樹液を濃縮した天然の甘味料です。犬に与えても特に体調に問題は起こらず、緊急性がある中毒症状などの報告もありません。そのため、少量をおやつに混ぜたり、ちょっとしたごほうびに使うことは可能だと言えます。
メープルシロップとはちみつは何が違うの?
メープルシロップとはちみつは、家庭でも親しまれることが多いどちらも天然の甘味料です。
違いと言えば、
- メープルシロップはカエデの樹液
- はちみつは蜂が集めた花の蜜を、体内で変化させた後に巣の中で濃縮させたもの
という採取の仕方です。
はちみつは世界的に産出されていて、蜂が集めた花の蜜の種類によって、味や風味が大きく変わります。最近話題のマヌカハニーも、はちみつの一種です。
対してメープルシロップは、世界に流通する約8割がカナダで採取されています。はちみつよりもミネラルバランスに優れており、カロリーもやや低めな優秀な甘味料と言えます。しかしながら、はちみつに比べて価格は高い傾向にあることがやや難点です。
メープルシロップの種類
日本で流通しているメープルシロップは、ほとんどがカナダ原産のものです。愛犬と自分が食べるためにメープルシロップを選ぶ時には、そのクラス分けにも注目してみましょう。
食用のメープルシロップに適用されるCanada Grade Aという基準では、「色」や「風味」に合わせて消費者が好みを把握しやすいようにクラス分けされています。採取時期が早いものほど色は薄く、時期が後になるほど濃い色・強い風味に変化していきます。
- ゴールデン/デリケートテイスト
- アンバー/リッチテイスト
- ダーク/ロバストテイスト
- ベリーダーク/ストロングテイスト
ゴールデンは比較的すっきりとした味わいで、しつこい甘さがないことから、パンケーキにかけたりとその優しい甘さを直接楽しめます。最も店頭に出回っているのはアンバーで、メープルクッキーなどのお菓子作りに使われたり、メープルパンとしてパンの中に練りこんだりと、多様な使われ方をしています。ダーク以上になるとその独特の風味は強くなり濃厚なため、料理の味付けとして使われることが多い色味になります。
家庭で自分と愛犬のために日常的に使うなら、手に入りやすさや強すぎない味わいを考えて、ゴールデンやアンバーをおすすめします。
犬にメープルシロップを与えることで期待できる効果
メープルシロップを犬に与えるなら、どんな栄養素による効果が期待できるかをぜひ知っておきましょう。
ミネラルが豊富
メープルシロップは、普通の砂糖やはちみつよりも、
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- 亜鉛
が豊富に含まれています。
ミネラル成分は、体の骨などを構成する成分であり、体内の水分移動やpHの維持にも大きな役割を果たしています。体を形作る名脇役と言える成分たちというわけですね。
他の甘味料に比べてビタミン含有量も高い
メープルシロップに含まれるビタミンは、B1・B2それぞれが白砂糖やはちみつよりも多く含まれています。
ビタミンB1は、炭水化物からエネルギーとして体が活用するために変換する時に必要になります。他にも、神経伝達物質の合成に働きかけ、神経の伝達機能をサポートする役割を持っています。
そして、ビタミンB2は細胞の成長を助け、皮膚や被毛、粘膜を健康に維持するための栄養素として働いています。
体を健康に保つためのビタミンも入っている甘味料として、メープルシロップは優秀というわけですね。
抗酸化成分である67種類のポリフェノール
アメリカのロードアイランド大学で行われた研究によって、メープルシロップには67種類ものポリフェノールが含まれていることが判明しました。
ポリフェノールというのは、体が酸化する働きを抑えてくれる抗酸化成分の一種です。体が酸化することは、老化はもちろんのこと、がんや内臓機能の低下につながることでもあり、抗酸化成分の重要さは犬の栄養学の間でも大きく支持されています。
ボツリヌス菌による食中毒リスクがない
犬にはちみつを与えてもいいかどうかの論点として注目されるのは、「ボツリヌス菌による食中毒」です。人の1歳未満の乳児でも言われているように、腸内環境が整っていない赤ちゃんにおいては、乳児ボツリヌス症による危険性が示唆され、食べてはいけない食品となっています。
そのため、犬にとっても腸内環境が整っていない子犬や、消化機能に問題がある犬の場合は避けるべきでは?と言われているのが現状です。しかし、メープルシロップは煮詰める過程で殺菌され、ボツリヌス菌の心配はほぼありません。
犬にメープルシロップを与える際の注意点
メープルシロップが愛犬にとって食べられるものとは言え、あげる時にはいくつか注意するべきことがあります。事前に知った上でメープルシロップを活用してあげましょう。
少ない量でほどほどに
犬にとってメープルシロップの甘味はおいしいものですが、たくさん食べればその分カロリーは増えます。接種するカロリーが増えるほど、やはり肥満につながることに変わりはありません。
犬用クッキーにちょっとした風味づけに混ぜ込んだり、無糖のプレーンヨーグルトにほんのちょっと垂らすといった与え方で十分です。犬の食欲をアップさせたり、トレーニングのとっておきのごほうびに使ったりと、「ここぞ!」という時の活用に留めておきましょう。
偏食につながるリスクを覚悟する
犬によっては、一度おいしいものを知ってしまったら「それが出てくるまで待つ!」という頑固な子も中にはいます。特に小型の愛玩犬に多く、元々が偏食傾向にあれば、それを助長するリスクがあります。
もしもあなたの愛犬が食に偏りを持つタイプの子であれば、ごほうびとしての「味つけ」が今後の食事事情を左右する原因になるかもしれません。甘いものは犬の喜びにつながりますが、必ずしも必須のものではないということを知っておきましょう。
メープルシロップ「風味」の甘味料に注意
メープルシロップを購入する時に注意しなければいけないのが、メープルシロップに似た模造品が販売されていることです。これは、コーンシロップ・砂糖にメープルの風味や匂いを移しただけのものなので、純粋なメープルシロップとは全く異なります。ややこしいことにコーンシロップが混ぜてあっても、「メープルシロップ」という商品名で販売されています。
模造品はカロリーや栄養価が大きく異なり、愛犬の内臓に負担をかける可能性があります。必ずボトルの原材料名を確認し、「カエデ樹液」「楓糖液」「メープルシロップ」といった表記のみのものかどうか確認し、純粋なメープルシロップだけを選ぶようにしましょう!
メープルシロップの保存方法に注意
開封前のメープルシロップは常温保存でも問題ありません。しかし、開封後のメープルシロップははちみつと違って、常温保存ではカビが発生する可能性が高い食品です。犬にとって安全な食材として選んだはずなのに、実はカビが発生していて体の酸化ストレスにつながったり、お腹を壊したりという結果になれば悲しいですよね。
メープルシロップは基本的に冷蔵庫で保管することでカビの発生を抑え、1か月以内に使いきることが理想とされています。もしも1か月以内で使いきれない!という時には、最初から冷凍庫で保存しましょう。粘度は高まるものの、家庭用の冷凍庫の温度ではカチカチに固まることはありません。また、冷蔵庫で保存するよりも風味が落ちにくく、おいしさが保てる傾向にあります。
まとめ
メープルシロップは、犬にとって比較的使いやすい栄養バランスに優れた甘味料です。もちろん使い方や量に気をつける必要はありますが、人にも愛犬にもどちらにも使えることは嬉しい要素ですよね。メープルシロップは人にとっても、白砂糖に比べて血糖値の急激な上昇を避けたり、赤ちゃんにも優しい甘味料とされています。
愛犬とのたまの楽しみとして、自然由来の甘味を味わってみてくださいね。