ちゃんと理由がある!犬の里親になる条件が厳しいと言われている理由

ちゃんと理由がある!犬の里親になる条件が厳しいと言われている理由

さまざまな事情で飼い主さんから手放され、動物の保護団体や地方自治体の動物保護施設に収容されている動物がいます。犬は「保護犬」、猫は「保護猫」と呼ばれていますが、そういった動物を家族として譲り受けたいと考えている人が増えている一方、「条件が厳しすぎる」「手続きが面倒」などと言う意見も聞かれます。保護犬や保護猫の里親になりたいと思うほど動物が好きな人が殆どのはずなのに、なぜ譲渡の条件が厳しくなってしまうのでしょうか?

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里親とは?

しゃがんで子犬を撫でる女性

里親とは?

「里親」とは、「育ての親」という意味でもあります。犬や猫を家族として迎えると、家庭の中では「ママ」「パパ」あるいは、「おかあさん」「お父さん」「お兄ちゃん」と自称する人が多いと思います。つまり、「飼い主」も愛犬を自分で産んだ訳ではなく、慈しんで育てているのですから、「里親」の一部であると言えます。

保護犬を引き取りたい理由

お札の山と子犬

安価で引き取れそうだから

日本のペット産業は、年々成長を続けています。ペットサロンやペット用品なども含まれていますが、生体販売の効果も大きく、その市場規模は 1,000 億円程度であると推計されています。犬や猫を飼育したい、と考えている人が生体販売を行っているペットショップで支払う金額の平均が約26万円と算出されています。人気犬種であれば、さらに高額で取引されていることもあります。ですから、「人気犬種でも保護犬ならもっと安価で譲渡してもらえるはず」と考える人がいても不思議ではありません。

殺処分される動物を少しでも助けたいから

最近、テレビやネットでも動物の殺処分や飼育放棄、虐待、多頭崩壊などの動物が絡んだ悲惨なニュースがよく報道されるようになりました。そのため、「動物を飼うなら保護団体から譲渡してもらう」という選択肢が広く知られ、たとえ一匹でも救おうと考える「里親候補」の人もたくさんおられると思います。

子犬よりも成犬の方が飼いやすいと考えたから

犬の飼育経験が豊富な人の中には、「子犬よりも性格に個性のある、落ち着いた成犬がいい」という人もいます。

里親になるための条件~保護団体の場合~

人の手に抱き上げられている子犬

以下に例として挙げている内容は、ごく一部です。保護団体によって細かい条件は異なります。

ペット飼育可の一軒家、あるいは分譲型マンションを所有し、居住していること

ペット不可の賃貸に住んでいる人は、動物を室内で飼育することができません。場合によっては、ペット可であっても賃貸物件に住んでいたら、譲渡されないこともあります。なぜなら、賃貸物件に住んでいて契約が更新されず、やむなく引っ越しをしなくてはならなくなり、ペットの飼育ができなくなってしまうケースがあるからです。

同居している子供の年齢が15歳以上であること

保護団体によっては、子供の年齢についての条件がない、あるいはもっと年齢が低くても飼育環境の審査をし、その審査で合格となれば、譲渡してくれる場合もあります。小さいお子さんがいると、動物を手荒く扱ったり、それが原因で動物がケガをしたり、逆に動物の扱いに不慣れなために犬がストレスを抱えて、子供さんを噛んでしまうこともあります。

また、子供さんが成長するに従って、部活、塾通いなどで忙しくなってしまい、「誰も面倒を見なくなったから」と犬を邪魔もの扱いする人もいます。このように、子供さんが小さいと何かとトラブルになりやすく、飼育環境も変化しやすいため、子供さんの年齢制限をしている保護団体も多いようです。

一人暮らしでないこと

一人で暮らしていると、仕事などで外出することがあり、当然、犬が長い時間ずっと家の中に閉じ込められていることになります。また、飼い主さんが急病や突然のケガなどで入院することになったとき、動物の面倒を見る人がいません。それは、悪意のない飼育放棄となります。そのために一人暮らしの人に譲渡しない、という条件があります。

生涯飼育すること

動物を飼おうと言う意思があるのなら、条件として当然のことです。この条件を「厳しい」という人は、動物を飼う資格はありません。

避妊、去勢をすること

いろいろな意見がありますが、病気を未然に防ぐことと、未計画な妊娠出産によって乱繁殖しないようにするためと考えられます。プードル、チワワ、ダックスフントなどの人気犬種だと、犬の繁殖について全く何の知識もない人が「子犬を生ませてお金を儲けよう」と考える人がいないとは言い切れません。無計画な動物の繁殖は多頭崩壊を引き起こし、動物の命を脅かします。そのリスクを考慮した上で、譲渡される動物に避妊、去勢をすることを条件としているのです。

病気予防のためにワクチン接種を必ず行うこと

「里親」として、今から生涯飼育する動物の健康を守るために絶対に必要なことです。ワクチン接種すら拒否するような人は、譲渡された動物が病気になっても、何の治療もしないだろうと判断されても仕方ありません。

飼育予定地の図面、写真を提出すること

自治体が行っている動物の保護施設から譲渡される場合、飼育予定地の広さなどを担当者に確認してもらうために、家の敷地の図面や写真などが必要な場合があります。

里親になるための条件 ブリーダーの場合

子犬たちの世話をする母犬

血統や遺伝病などを十分に考慮し、ペットショップではなく自家繁殖犬で計画的に繁殖して、動物を販売している健全なブリーダーさんの場合、保護団体よりもさらに条件が厳しいことがあります。なぜなら、自家繁殖犬であっても、ブリーダーさんにとっては手塩にかけた自分の子供同様の家族だからです。まだ健康に長生きできる状態でリタイアさせ、その後、自分以上に愛してくれる人に我が子を託すわけですから、思い入れが強くその分、条件が厳しくなるのは当然です。

連帯保証人が必要

芝生で犬を可愛がっている夫婦

そのブリーダーさんと何の関りも持っていない人が里親を希望してきた場合、そのブリーダーさんが信頼している人を連帯保証人として仲介してもらわないと犬の譲渡はしません、というシステムです。

ペット保険の加入

譲渡する犬が病気やケガをしたときに、十分な医療を受けられるように譲渡する時点でペット保険の加入を条件としているケースです。

里親になる条件が厳しい理由

檻の中からこちらを見つめる黒い犬

里親詐欺防止のため

「里親詐欺」とは、保護団体から譲渡された動物を虐待したり、転売したりする犯罪のことです。人を騙そうとしている人は、平然と嘘をつきます。そういった人を見抜き、動物を守るために、時に保護団体の人たちは譲渡希望をしてくる人に対して、厳しい態度をとることもあります。

飼育放棄、虐待防止のため

譲渡された後に飼育放棄されたり、家族構成が変化して飼育環境が変わったことが原因で飼育している動物を虐待しはじめたりする…といったことが起こりえないかどうかを判断するために、ただ、動物との相性を見るのではなく、面談や家の中の様子も審査対象になります。

動物の幸せと命を守るため

里親詐欺防止にしろ、飼育放棄、虐待防止にしろ、保護した動物が譲渡の条件を厳しくするのは、二度と命の危険に晒されることがないか、幸せに暮らせるかどうかを見極めるという目的があります。

まとめ

犬の手を包み込む人の手

保護犬や保護猫を引き取りたくても、条件が厳しくて引き取れない。だから、ペットショップで買うしかない…という意見もあります。保護団体の掲げる条件に対しては、いろいろな意見があると思います。

譲渡の条件が厳しいのは、平気で動物を傷つける人がいて、それらの人から動物を守ることが大前提だと思います。また、動物を愛するあまり、里親希望者の人に暴言を吐いてしまう人もいるようです。けれども、根底には人が傷つけた動物を、もう二度と人によって傷つけられることがないよう、生涯幸せに暮らしてほしい…という願いがあることは信じても良いのではないでしょうか?

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 男性 匿名

    もう二度と人によって傷つけられることがないよう、生涯幸せに暮らしてほしい…という願いがある

    そういう願いがあれば暴言を吐いてもいい、というのとは問題が違う。特に一人暮らしにたいする差別的な言動は、人としてどうかと思うレベル。政府の人口調査では、東京都民の約半数、大阪府民の約四割が単身者、今後十年ほどで全都道府県民の30パーセントは単身者になるという結果が出ている。つまり、国民の最低三割を敵にまわしても構わないという考え方ですかね? それに、全人口で考えても、約七割の人がペットを飼っていません。そう考えると、保護団体が理想とする「持家で専業主婦がいて経済的に余裕があり、保護犬をわざわざ引き取りたい家庭」なんてこれから先、どんどん減っていくとは思えませんか?

    単身者だから犬をほったらかしにする、なんていうのは、単なる保護団体の持っている偏見と想像力の無さを露呈しているだけ。一人暮らしでもしっかり犬の面倒を見ている人なんていくらでもいるし、それこそ入院でもした時には、他に犬の面倒を託せる人がいるかどうかを確認しておけばいいだけの話。その程度の工夫もせずに、自分達は立派なことをしている、だから赤の他人を値踏みして、見下す権利があるんだと思っておられるなら、まずはそこから改めるべきでしょうね。
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