トイプードルのしっぽを切る理由とは?断尾のメリットや方法など

トイプードルのしっぽを切る理由とは?断尾のメリットや方法など

トイプードルのしっぽは断尾されていることをご存知でしょうか?生後間もない時に人の手により意図的に短く切り落とされ、本来のしっぽの長さよりも短くなっていることがあります。今回はトイプードルのしっぽを断尾する意味と、断尾の方法、トイプードル以外で断尾されている代表的な犬種についてまとめてみました。

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トイプードルのしっぽについて

尻尾を見せて走るトイプードル

トイプードルのしっぽと言えば、短くて丸みを帯びた形をイメージする方が多いかもしれません。実際トイプードルのしっぽは短いものがよく見られますが、それは生後すぐに短く切られてしまうためであり、本来はもう少し長いのです。

犬のしっぽを切断することを「断尾」と言い、昔からさまざまな理由で行われてきました。ではなぜトイプードルのしっぽは断尾するのでしょうか。

トイプードルのしっぽを断尾する理由

トイプードル尻尾

歴史的な背景によるもの

断尾の歴史は古く、イギリスをはじめとするヨーロッパの国々で行われていました。その昔、ヨーロッパでは狂犬病を予防するために断尾が効果的だと考えられていたようです。また、使役犬などとして活躍していた犬は、瞬発力を高めるために断尾するとよいとも信じられていました。

さらに、鳥獣猟犬だったトイプードルは深い茂みや藪の中を移動することが多く、棘や枝で体を傷つけてしまうことがありました。傷から何らかの感染症にかかる可能性もあり、そのリスクを下げるためにも、狩りに不要なしっぽを断尾していたとされています。

ヨーロッパが原産国であるトイプードルは、このような慣習により断尾され続けてきたと考えられています。

スタンダードに合わせるため

各犬種にはそれぞれスタンダードと呼ばれる基準スタイルがあります。長い間断尾され続けたトイプードルは短いしっぽがスタンダードの姿となってしまったため、現在のトイプードルもその姿に近づけるため断尾されていることが多いようです。

トイプードルの場合、生まれたままの長いしっぽより断尾されたしっぽの方が体とのバランスが良いと評価されています。また、短くてかわいいしっぽの毛を、さまざまなデザインにカットして楽しむことができる点も、トイプードルの人気を支える理由の一つとなっています。

これらの美容的な観点から現在も断尾が続いていると考えられています。

トイプードルのしっぽを断尾する方法

手術で尻尾を切る

断尾の方法

トイプードルの断尾の方法は主に2種類あります。外科的な方法で断尾する場合、通常麻酔を使わずハサミやメスで切断し1~2針の皮膚縫合を行います。手術自体は数分程度で終わり、その後1週間~10日後に抜糸をして断尾は完了します。

もう一つの方法は、しっぽをゴムバンドなどできつく縛り、しっぽの血流を遮断して壊死させる方法です。壊死した部分は数日後に自然に取れます。

断尾の時期

トイプードルの断尾は生後5~7日くらいに行われています。この時期に断尾が行われる理由としては、「生まれたばかりの子犬は血管が少なく出血量も少ない」という点と、「生後間もない子犬の神経は未発達のため、子犬が痛みを感じないから」と考えられてきたことが挙げられます。

しかし、2014年には「生まれたばかりの動物が痛みを感じないというのはよくある誤解の一つである」という研究発表がされ、この研究では子犬も痛みを感じていると断言されています。断尾を考えている飼い主さんは、子犬の断尾には痛みを伴うということもしっかり念頭に入れておきましょう。

手術費用

トイプードルの断尾の手術費用は病院によってさまざまです。断尾方法や病院の費用設定に違いがあるため、トイプードルのしっぽを切る費用ははっきりしないのが現状です。8,000円程度という所もあれば2万~3万円かかったという情報もあります。

獣医師の判断で断尾は行なわないところもあるので、希望する場合はまず動物病院に問い合わせてみるとよいでしょう。

断尾の見分け方

トイプードルのしっぽが断尾されているかどうかの見分け方は簡単です。現在、ペットショップで販売されているトイプードルのほとんどは断尾されていると考えてよいでしょう。

断尾されていないトイプードルは明らかにしっぽが長く、個体によっては背中に向かって「くるん」と尾先が向いています。しっぽの長さを比較することで、断尾したかどうかをすぐに見分けることができます。

トイプードル以外でしっぽを断尾する犬種

断尾した、ドーベルマン

ミニチュアシュナウザー

ミニチュアシュナウザーはトイプードル同様ヨーロッパで作出された犬種のため、ヨーロッパでの断尾の歴史を継いでいます。ミニチュアシュナウザーも牧場や馬舎の番犬など使役犬として活躍してきました。誘導をおこなう際、牛や馬にしっぽを踏まれて転んで怪我しないように断尾されたと言われています。

ヨーキー

ヨーキーもトイプードル同様、本来は長いしっぽを持つ犬種です。ヨーキーは19世紀、炭坑や織物工場でネズミなどの害獣を追い払う役割を担っていました。しっぽが長いままネズミと戦うと、しっぽに噛みつかれて怪我をするリスクが高まるという理由から断尾がおこなわれ、現在に至ると言われています。

アメリカンコッカー・スパニエル

鳥猟で活躍したアメリカンコッカー・スパニエルもトイプードルのように断尾されています。鳥猟をする際には身を潜めながら鳥に近づかなければいけませんが、しっぽが木や藪草に触れて音を立ててしまうと、獲物に気づかれ逃げられてしまいます。確実に猟ができるよう、長い尾を断尾したと言われています。

ドーベルマン

ドーベルマンもトイプードルと同じく断尾されている犬種です。ドーベルマンは警察犬として、外部の敵などから場所や物を守る役目を担ってきました。時には他の犬と戦うこともありますが、長い尾は相手から狙われやすく嚙みつかれやすい急所でもありました。

しっぽを嚙みつかれた痛みが原因で戦いに負けることがないよう断尾されているようです。

マルプー

マルプーはトイプードルとマルチーズのミックス犬です。マルプーの場合はトイプードルのように断尾されている個体もあれば、長いしっぽのままでいる個体もいるようです。

もともとは両犬種とも長いしっぽを持つ犬であるため、マルプーもその遺伝子を引き継いで長いしっぽで生まれてきますが、親犬が断尾していることの影響を受け、マルプーも断尾されることがほとんどです。断尾はブリーダーの判断により、行うところと自然のままにしているところに分かれます。

まとめ

トイプードル後ろ向き

トイプードルの断尾には歴史的な背景があり、現在でもスタンダードに近づけるなどの美容的な理由で続いているようです。ペットショップに並ぶトイプードルのほとんどが、生後数日で断尾されているという現実もしっかり知っておきたいですね。

最近は断尾に対する考え方にも賛否があり、断尾しないトイプードルも増えてきているようです。トイプードルを家族として迎え入れる際には、断尾についてしっかり知っておくようにしましょう。

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