犬が『生活習慣病』になっている時の症状4つ!対処法から予防法まで

犬が『生活習慣病』になっている時の症状4つ!対処法から予防法まで

日常の生活習慣が原因によっておこる病気『生活習慣病』。犬の生活習慣病は様々ありますが、その中でも特に身近な病気といえるものを4つご紹介します。また、対処法や予防法もお伝えしていきます。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬が『生活習慣病』になっているときの症状4つ!対処法から予防法まで

病院で聴診器を当てられている犬

生活習慣病は、日頃の生活習慣が原因となって発症する病気となります。少しずつ体に悪影響を及ぼしていくので初期症状に気づきにくく、気づいたときには病気が悪化していた!という場合が多いようです。量をむやみに減らすと必要な栄養素がたりなくなりますので、量を減らさずカロリーを減らすのが理想です。 ですので、日頃から愛犬の生活スタイルを定期的に見直してあげることが大切といえるでしょう。

今回は、たくさんある生活習慣病の中で特に身近な病気といえるものを4つご紹介します。

1.肥満症

芝生に座る太り気味な犬

肥満症の症状

生活習慣病で最も多いのが、通常よりも太ってしまって全身に脂肪がたくさんついている状態になってしまう『肥満症』です。愛犬が可愛くてついついオヤツをたくさんあげたり、人間の食べ物を与えたりしている人は、愛犬を肥満症にさせてしまう可能性がとても高いので気をつけましょう。そんな肥満症の症状は、主に以下のものがあります。

  • 脂肪で腸が圧迫され便秘になりやすくなる
  • 関節を痛めやすくなる
  • 呼吸がしにくくなる
  • いろいろな病気を発症しやすくなる
  • 全身麻酔をするのが難しくなる

肥満になると体の様々な部分に脂肪がついてしまいます。その結果、内臓や器官を圧迫することで体のあちこちに悪影響を与えてしまいます。また、全身に負担をかけてしまうことで、『心臓疾患』『糖尿病』『呼吸器の病気』『椎間板ヘルニア』など、たくさんの病気を発症する可能性が高くなってしまう怖い病気となります。

対処法

肥満症になる主な原因は、『食べ過ぎ』と『運動不足』といえるでしょう。中には遺伝が原因となることもあるそうですが、ほとんどの場合、食生活を見直すことで改善することができます。例えば、愛犬に上げるオヤツの量を減らす。人間の食べ物は与えないようにする。そういったことをするだけでも改善できる場合が多いです。

また、無理に食べ物を減らして愛犬の体重や脂肪を減らそうとする方法は、健康を悪化しやすくなってしまいます。ですので、必要な量のご飯を食べさせてあげながら、いつもよりも運動をさせてあげるようにすることをおススメします。そうすることで、健康を維持しつつ肥満を改善することができますし、運動をすることで、気分転換になったりストレスを解消させてあげたりすることができますよ。

予防法

肥満症の予防法は、何といっても日頃の食生活と運動量をきちんと管理してあげることが大切となります。体重測定はこまめに行い、理想体重をできるだけ維持できるようにしましょう。

体重超過になると減量が大変になります。日ごろの微調節が大切です。 愛犬に合った食事の量を守る。オヤツはあげ過ぎない。毎日散歩に行ったり遊んだりして運動をさせる。それらを守るだけで十分予防することができます。

食べ物をおねだりする愛犬を見ると、つい甘やかしてしまいそうになると思いますが、愛犬の体のために心を鬼にして肥満症を予防してあげてください。

2.糖尿病

獣医師に聴診器を当てられている犬

糖尿病の症状

糖尿病は名前のとおり、オシッコから糖が排出される病気です。インスリンと呼ばれるホルモンが減少することで血糖値(血液の中にある糖)が通常よりも増えてしまい、本来体に吸収されるはずの必要な栄養がオシッコから出てしまう病気となります。そんな糖尿病の症状は、主に以下のものがあります。

  • 下痢や嘔吐
  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増える
  • 元気がなくなる
  • 様々な病気を発症しやすくなる

など

糖尿病になると『白内障』や『緑内障』、『肝臓の病気』や『膀胱炎』など、様々な病気を引き起こしてしまう可能性があります。また、糖尿病は一度発症してしまうと完治が難しいそうです。ですので、糖尿病にならないように日頃から予防しておくことが大切といえるでしょう。

対処法

糖尿病の対処法は、主にインスリン投与と食事療法です。食生活を改善したり、血糖値を抑えるフードに切り替えたり定期的なインスリンの投与が必要となります。飼い主が愛犬にインスリン注射をしてあげないといけなくなるケースが多いそうです。

予防法

糖尿病は食べ過ぎや早食い、免疫力低下やストレスが原因となる場合が多いので、肥満症と同様に食生活や毎日の適度な運動が予防法といえるでしょう。また、ホルモンの減少によっても糖尿病になることがあるので、免疫力やホルモンが低下しやすいシニア犬は、ふだんから定期的に病院で体の状態を診てもらうことをおススメします。

3.歯周病

病院で口の中を診察されている犬

歯周病の症状

歯周病を危険に感じる人は少ないと思いますが、実はとても怖い病気の1つといえます。歯周病は歯と歯ぐきの間に細菌が繁殖したり、歯石や歯垢が溜まることで炎症をしたりしてしまう病気となります。

犬の口は虫歯にはなりにくい環境ですが、歯石ができやすく歯垢が歯の表面に付着したら2~3日で歯石が形成されてしまいます。また、歯磨きを嫌がる犬が多く、歯磨きをしても全部の汚れを取るのは難しいので、結果的に歯周病になってしまう可能性のある犬は少なからずいることと思います。

歯周病が悪化して歯の根まで炎症が及んでしまうと、その周りの骨が溶けてしまうそうです。中には下あごの骨を溶かしたり、目や鼻の近くの骨を溶かしたりして皮膚に穴をあけることもあるのだとか。また、近年では歯周病が心臓病や腎臓病などの病気と関わりがあることが分かっているそうです。そんな歯周病の主な症状は、以下のものとなります。

  • 炎症
  • 腫れ
  • 痛み
  • 口臭が酷くなる
  • 歯が抜ける
  • 周辺の骨が溶ける
  • 様々な病気を引き起こす可能性がある

対処法

歯周病は全身麻酔をして原因となるものを取り除くという治療法が一般的です。例えば、歯垢や歯石を取り除く。歯周ポケットを綺麗にする。といったことをするみたいですね。また、状態が酷いときは歯を抜いたりすることもあるそうです。

予防法

日頃から愛犬の口の中を清潔に保ってあげることが歯周病の予防法となります。毎日歯磨きをしたり、歯磨き効果のあるオモチャやオヤツを使ったりして、口の中を健康に保つようにしてあげることが大切といえるでしょう。

4.関節の病気

ベッドで横になっているダックスフンド

関節の病気の症状

運動することが大好きな犬にとって、身近な病気となる『関節の病気』。例えば、テンションが高くなって思いっきりはしゃいだり、ソファなどの段差となるものに上ったりしたときに、足に負担がかかることで脱臼をしたり、関節が炎症をしたりしてしまうことがあります。
特に小型犬は関節が弱いので、関節を痛めやすいそうです。私の愛犬の場合は、散歩をしていたときに他の犬が急に飛び出してきてビックリしてしまい、足を脱臼したことがあります。また、太り過ぎていると関節に負担をかけてしまい、関節が炎症をしたり病気になってしまったりする場合が多いので、注意が必要といえるでしょう。
関節を痛めてしまったときは主に以下の症状があります。

  • 足を浮かせる
  • 足をかばうよう歩く
  • 動くのを嫌がる
  • 痛みがある
  • 痛めている部分を舐める
  • 触られるのを嫌がる
  • 歩けなくなる

など

対処法

関節を痛めたり病気になってしまったりしたときは、痛み止めや炎症を抑える薬を処方してもらって服用する。それぞれの症状にあった手術や治療をする。食生活や環境を改善して体に負担をかけないようにする。といった方法で病気を治していくそうです。
しかし、関節の病気が悪化してしまった場合は、完治するのが難しいとようです。ですので、関節を痛めないように、ふだんから対策をしておくことが大切といえますよ。

予防法

関節の病気は、肥満になって体や関節に負担をかけないように食生活をきちんと管理することが効果的となります。愛犬の体重にあったご飯とオヤツの量をちゃんと守ることで、肥満になりにくくすることができます。

また、愛犬が生活するスペースの床を滑りにくくしておくと、関節を痛めにくくすることができるのでおススメです。愛犬がジャンプして上る可能性のある高い家具(椅子やソファ、テーブルなど)があるときは、それらを取り除くか、上らせないように改善する。もしくは、手前に小さな段差をつくって上り下りしやすいようにしてあげましょう。

まとめ

自然の中で嬉しそうな表情の子犬

日頃の生活習慣が原因となって発症する生活習慣病の多くは、愛犬の生活を毎日厳しく管理したり改善したりすることで予防することができます。特に愛犬が肥満になるかどうかは飼い主次第といえるでしょう。愛犬が可愛いあまりつい甘やかしてしまいがちになってしまうことと思いますが、愛犬の健康のためにときには厳しく接することをおススメします。

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