子犬のしつけで大切なこと
子犬を迎えるにあたって、飼い主となる人のほとんどがお世話の大変さや経済面を考慮するなど、多くの覚悟と責任感を持って迎えていると思います。そのうちの1つに飼い主の責任として、子犬にしつけを学習させるという使命があります。
「子犬のうちから厳しくしつけるのは可哀想」という人もいますが、「厳しくしつける」というよりも「家の中でのルールに慣れてもらう」あるいは「人間と暮らしやすい生活をするためにしつける」と考えてください。
子犬にとって、何も指示されずただ可愛がられるだけという状況こそ、実は不安に感じています。元々群れで行動していた犬にとって、リーダーである頼れる存在がいないということは、安心感を得ることができず、居心地が良い環境とは言えません。しつけることで「この人は自分より上の立場だ」「この人の言うことを聞いていれば安心だ」といった信頼関係を築くことができ、それが子犬にとっても安心感に繋がります。
また子犬をしつけることの必要性として、やはり人間と一緒に暮らしていくには人間社会のルールに適応してもらう必要があります。子犬のうちから慣らせることで、そのルールが犬にとっても当たり前になりますので、成長してから窮屈に感じる事はありません。
またご近所さんにも迷惑を掛けず、お互いが気持ちの良い生活を送るためにも子犬のしつけは非常に重要です。子犬をしつけることは飼い主にとっても子犬にとっても大切な事、としっかり理解して取り組みましょう。
子犬のしつけの基本8つ
しつけは非常に重要な飼い主としての義務ですが、だからといって厳しく叱責したり、手を挙げてしまうと逆効果となってしまうそれがあります。また一度にたくさん覚えられるものでもありませんので、焦らず、1つずつ、確実にしつけていくことが大切です。では、成犬になる前の子犬の段階では、どのようなしつけを行うべきなのでしょうか。ここでは子犬のしつけとして、基本となるしつけを8個ご紹介します。
1.アイコンタクト
まずは愛犬となる子犬とアイコンタクトを取るところから始めましょう。始めはまだ何もわからない子犬ですので、しっかりしたしつけではなく、「名前を呼んだらこちらを見る」「飼い主と目を合わせる」というちょっとしたしつけから始めます。
「アイコンタクトなんて、子犬でも簡単にできるのでは?」と思う方も多いと思いますが、中にはアイコンタクトを取ることを嫌がったり、名前を呼んでもなかなかこちらを振り向いてくれないという子も多いです。
アイコンタクトを取ると良いことが起こる、名前(子犬には名前という概念はないため、名前という「言葉」)を呼ばれると良いことが起こるというように学習させ、しつけることが大きなポイントです。アイコンタクトは後に他のしつけをする際にも重要になってきますし、飼い主と子犬との愛情表現の一種としても役立ちます。
また名前を呼びこちらを見るという行動は、単純ではありますが非常に重要なコミュニケーションの1つですので、しっかりアイコンタクトができるよう子犬のうちからしつけましょう。
2.呼び戻しトレーニング
名前を呼びこちらを見る、アイコンタクトができるようになったら、次は呼び戻しトレーニングをします。
呼び戻しトレーニングとは、子犬と少し距離を取り、距離がある場所から名前を呼んだら飼い主の方へ自ら来るようにしつけるトレーニングです。最初は名前を呼びながら手で合図をしたり、あるいは音の鳴るおもちゃを使って気を引かせるといった方法をとりましょう。
自分から飼い主の元へ歩いてきたら、すぐに褒めてあげてください。褒めるタイミングが遅すぎると、子犬は何に対して褒められたのか理解できなくなってしまうからです。これを何度も繰り返すと、徐々に音を鳴らしたり手で合図をしなくても自分で近寄ってきてくれるようになります。
これを積み重ねることで「飼い主の指示に従う」「呼ばれたら飼い主の元へ行く」という基本的なルールとコミュニケーションを身に付けることに繋がります。
3.ボディコントロール
そして子犬のしつけとして次に行いたいしつけがボディコントロールです。ボディコントロールとは、人に触られても怖がったり嫌がったりしないようにしつけるもので、日常生活のちょっとしたスキンシップ時などに行うと良いでしょう。
これはその子犬によっても個体差が大きく異なります。始めから触られても嫌がらない、むしろ触って欲しいとせがんでくる子もいれば、警戒心が強く嫌がったり逃げてしまう子もいます。後者の場合、触られることに慣れさせなければ、成長してからお世話がしにくくなったり、病院へ連れて行くことが難しいといったデメリットが生じる恐れがあります。子犬のうちに触られることに慣れさせることで、後々スキンシップもとりやすくなりますし、お世話もしやすくなりますよ!
4.いろいろな音に慣らす
また多くの音に触れるというトレーニングも子犬の基本的なしつけの1つです。今まであまりたくさんの音に触れる機会が少なかったという子犬が非常に多いため、家に迎えたら生活していて自然と耳に入ってくる音には慣れさせる必要があります。
例えば「ピンポーン」というチャイムの音やトラックの音、掃除機の音、テレビの音…考えてみると、家の中で生活しているだけでも多くの音に囲まれていることがわかります。犬の聴覚は非常に優れているため、子犬であっても人間以上に大きな音に聞こえています。そのため、知らない音が突然聞こえると驚いてしまい、パニックを引き起こすことも珍しくありません。
こうした事態を子犬のうちから少しずつ減らしていくために、まずは身の回りで起こり得る様々な音を聴かせ、慣れさせる必要があるのです。
5.トイレトレーニング
ここからは子犬のうちにしつけておかなければ、後々問題行動になり得るしつけをご紹介していきます。
ここまでご紹介してきたしつけは、飼い主とのコミュニケーションやスキンシップに関わる超基本的なしつけでした。しかし、子犬のうちにしなければいけないしつけはそれだけではありません。
まず子犬に教えなければいけない基本のしつけはトイレトレーニングです。子犬をペットショップやブリーダーさんから迎えた場合、元いた場所ですでにトイレトレーニングが行われているところもありますが、基本的には飼い主が責任を持ってトイレの場所をしつける必要があります。
始めは子犬がおしっこやうんちをしそうな体勢や仕草を見せたらトイレのある場所に連れて行きます。最初から犬用トイレにシーツをセットするのではなく、トイレシーツのみ2~3枚を敷いた状態でさせるようにしましょう。
最初から子犬に規定のトイレサイズで無理にさせようとすると、失敗癖がついてしまうことがあるからです。トイレシーツの上でおしっこやうんちをすることを覚えさせたら、徐々にトイレシーツの面積を狭くしていき、最終的にトイレにセットして使うようにしていきます。
また始めは犬用ベッドをゲージに置かず、ゲージの床全体をトイレとして使用し、「おしっこ(うんち)はトイレシーツでする」としつける方法もあります。
6.基本動作(待て、お座り)
今後一緒に暮らしていく上で、飼い主の指示を聞くということを明確にさせる必要があります。そのためには、子犬に「お座り」や「待て」などの基本的な指示動作を覚えさせることが有効です。
基本動作には、「お手」「おかわり」「伏せ」といった芸のような動作も存在しますが、子犬のうちに必ずしつけておきたい動作は、とりあえず「待て」と「お座り」です。この2つができてから、飼い主とのコミュニケーションの一環として他の芸もしつけると良いでしょう。
「お座り」も「待て」も始めからできる子犬はいません。このようなしつけにはおやつが効果的です。例えば「お座り」であれば、おやつに目線を持って行き、おやつを子犬の頭上で停止させると自然とお座りの体勢をとるようになります。
この時におやつを与え、褒めてあげましょう。徐々におやつを無くし、手の動きでお座りができるようになったら、お座りをさせる前に「お座り」と言葉に出すようにします。これを根気強く続けることで、「お座り」という言葉や手の動きから指示を聞くことができるようになります。
7.無駄吠え
子犬を迎えてから最も飼い主が苦戦しやすい問題行動に無駄吠えが挙げられます。
元々犬は吠える動物ですから、本能的な行動は仕方がありません。しかし、人間と共生していく上で吠えてばかりいては困りますし、近所迷惑にもなります。そのため、子犬のうちから無駄吠えのしつけは行わなければいけません。
外の音に反応して警戒するタイプの無駄吠えの原因は、飼い主のことをリーダーとして認識していないからです。子犬が「頼りにならない」と飼い主のことを認識しているため、「自分が守らなければ」と思い込み吠えて警戒しているケースが非常に多いです。
この場合は、飼い主が信頼できるリーダーであることを認識させることで直すことができます。上下関係をしっかり築く、信頼関係を築くことが先です。無駄吠えの種類として、他にも飼い主に構ってもらいたいという思いから吠えるケースも子犬には多いです。
これは吠えたからと近寄ってしまうと余計に悪化してしまいます。最も効果的な手段は無視をすることです。無視をすることで「吠えても飼い主は来てくれない」「むしろ構ってくれなくなってしまう」と学習することで、無駄吠えがなくなりやすいです。
8.噛み癖
続いて噛み癖です。子犬のうちは様々な物を口に入れ、噛むことでその物を知ろうとする傾向にあります。最初のうちは噛む力が弱いので問題にはなりませんが、成長すると家具を壊してしまったり、飼い主に甘噛みをしたら怪我をさせてしまったなどの危険が出てきます。そのため、噛み癖は子犬のうちからしつけをし、後々様々な物を噛んで壊したり、相手の人や犬に怪我を負わせないようにする必要があります。
子犬が家具や物を噛んでしまうのであれば、犬の嫌いな匂いのする噛み癖防止用のスプレーが販売されているため、それを使用すると良いでしょう。甘噛みの場合は、噛んだら飼い主が構ってくれなくなる、姿を消してしまうと子犬に認識させることで、「噛んでしまうと寂しくなる」「噛んだらダメなんだ」と認識させることができます。他にも噛んでも良いおもちゃを子犬に与えるなど、他の物に意識を向けることも1つのしつけ方法として有効です。
子犬のしつけを始める時期
「まだ小さいから…」と子犬の時期にするべきしつけをしていないと、後々成長したときに様々な問題行動に繋がりやすくなってしまいます。そのため、子犬の時期から飼い主によってしつけをすることはとても重要です。しかし、子犬のしつけは具体的にどのくらいの時期から始めるべきなのでしょうか。最後に子犬のしつけの時期についてお話ししていきます。
子犬のしつけはいつから?
子犬を迎えるにあたり、「子犬のしつけはいつから始めるべきなのか」という疑問を持つ飼い主さんは多いです。
たしかにあまり早過ぎても理解ができず、窮屈な裳委をさせてしまいそうで可哀想と思ってしまいますよね。しかし、基本的には子犬のしつけは家に迎えたその日のうちからスタートできます。なぜならば、多くのご家庭が子犬を迎えた時、すでにその子犬は生後3~4ヶ月になっているからです。
この時期は社会化期を抜け、すでに若齢期と呼ばれる期間に突入していることが多いです。この時期に様々な事に触れ、学習することで、今後のその犬の性格や考え方が構築されるといわれています。そのため、しつけをこの時期に始めても問題ありません。
特に基本的なしつけとして始めの方でご紹介した「アイコンタクト」「呼び戻し」「ボディコントロール」「音慣らし」に関しては、家にやってきてすぐの段階で始めましょう。早いうちからこれらのしつけを行うことで、飼い主とのコミュニケーションもとれますし、信頼関係構築にも繋がります。
成長してからのしつけは難しい!
子犬期と呼ばれる1歳までの間にしつけを十分にしていないと、そこからは成犬期と呼ばれる時期に入ってしまうため、しつけが難しくなります。人間の子どもと同じように、小さい頃から教わったことと、大人になってから教わったことでは、飲み込みの早さや受け入れやすさなどが大きく異なります。
成長してからもしつけをすることは可能ですが、やはり子犬のうちにしつけができるようであれば、子犬期に行ってしまった方が飼い主もお世話がしやすいですし、犬側もすんなりと受け入れやすく、ストレスになりにくいと考えられます。
したがって、子犬のしつけは早いうちから、初歩的な基本のしつけを少しずつ始め、徐々に難易度の高いしつけを行っていくと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?子犬のしつけをする際は、怒鳴るなど感情的にならず、飼い主が落ち着いて行うことが重要です。
子犬にとって今後の生活に影響を与えることにもなりますので、子犬のうちにしつけはしっかり行うようにしましょう。
ユーザーのコメント
30代 女性 べーちゃん
わかってはいても、子犬を迎えたら一緒に寝たり、自由にさせてしまった結果信頼関係が築けないことになってしまいがちです。安心な居場所作りと全身マッサージ、アイコンタクトを、我が家の犬たちにもやってみようと思いました。
30代 女性 MAI
まずはケージに慣れさせる事は需要だと思います。可愛いからといってその時期にかまい過ぎるのも注意ですね。落ち着いた自立心のあるワンコに育ってもらう為にも、最初の飼い主のしつけ方が特に大切だと思いました。
20代 女性 なつみ
体のどこを触られても平気にするように子犬の時期のふれあいは大事です。トイレもすぐに教えます、一度失敗すると覚えるのに時間が掛かるようになってしまうので…名前もきちんと反応するように教えてあげないと何かあった時に困ります。
30代 女性 さら